■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、大臣所信に関する一般質疑ということで、増田大臣と上川大臣にお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
まず一点、増田大臣の方に伺いたいと思います。
地方の元気再生事業についてですけれども、先日、佐々木委員からもこの点について質問があったかと思います。新年度の予算の目玉事業であるというふうに大臣おっしゃっておられました。
こうした地方とか地域とか、あるいは再生とか活性化とか、こういうふうに名前のついた事業が今まで数多く行われてまいりましたよね。そのことについては大臣も御承知のとおりです。今まで例えば、都市再生、構造改革特区、地域再生や中心市街地活性化、大体この四つに分けて行ってきたし、昨年度はまたモデル事業として、特に雇用の分野に限っての事業を行ってきたということだったんですけれども、私は、これらの事業、決して意味がなかったというふうには申しませんが、しかし、政府がそれなりの政策意図を持って税金を行使してきた割には依然として地域間格差が解消していないということは、これはやはり現状としてきちんと踏まえなければいけないことなのではないかなと思います。
もちろん、本当の意味での地方の格差というのは、やはり交付税などとの関係での地方行財政改革、それと国が行ういろいろな施策、今はこういう二本立てになっているわけなんですけれども、古くから日本で地方政策とか地域再生といいますと、やはりあのふるさと創生の発想の域をなかなか出ていないのではないかという気がするんですね。
いろいろこういうふうにやってはきているんだけれども、全体としてこういった施策、政策が成功しているとは言えないのではないかということを踏まえて、大臣、今までやってきた事業を総体的にどういうふうに評価しておられるのか。これまでの事業の反省の上に立って新しい事業が行われるべきだと思いますが、この点について大臣はどういうふうに総括し、そして前に進もうとしていくのか、お答え願います。
■増田国務大臣
先生の御質問にお答え申し上げます。
確かに先生お話しのとおり、地方あるいは活性化とか再生とかの名前のついた事業が今まで随分あったような思いがございます。
そうしたものの中で、成功したものもあったし、それから、どうも思うとおりの効果が上がらなかったもの、いろいろあるわけでございます。例えば、私が知事をしておりました岩手でどぶろく特区を一番初めにやりました。あれなどはかなり効果があったように思っているんですが、やはり、うまくいかなかったものを並べてその共通項をえぐり出してみますと、どうも国があらかじめメニューを決めて、その中で、自治体の選択肢が非常に狭い、地域のことを一番よく知っているのは地域の皆様方ですが、その創意工夫というものを余り生かされないような、そういう枠組みをしっかりと、かちっと決めてしまっているようなもの。
あるいは、省庁の縦割りの壁というのが大変厚いわけでございますが、どうも縦系列で物事が発想されていて、それを地域という横で全体をつなぎ合わせるようなことが行われていなかったり、さらに言えば、省庁がばらばらの施策を用意していたりといったようなことがあったのではないかというふうに分析をしたわけであります。
そこで、今回は今申し上げましたような点を克服して、できる限り地域の発想、創意工夫を生かす、それから、省庁の縦割りにならないような、そういう横断的な、横でのつなぎ合わせというものを生かしていく。四つの本部を統合したということもその一つのあらわれですが、その上で、今回の地域の元気再生事業も、今申し上げましたような、これまでの限界といったようなものを可能な限り取り除くような、そういう内容に仕立て上げたところでございます。
■西村(智)委員
今回の地方の元気再生事業は、総額で二十五億円、お伺いしましたら、一件当たり数千万円の事業を想定しているというようなお話でした。国があらかじめメニューを決めない、あるいは省庁の縦割りということも解消すべきだ、そういった大臣の認識が示された上での事業ということですので、私は、これは少し前に進んだなというふうに思います。
だけれども、これで本当にうまくいくのかというのは私はまだ疑問なんですね。それは、体制として省庁の縦割りを解消しましょう、そしてまた、国があらかじめメニューを決めるのではなく地域の発想を生かしましょうというのは、それは大変結構なことだと思います。ですけれども、本当に地域の活性化とか地域の再生ということを目指すのであれば、もっと何がしか突破していかなければいけないことというのはあるんだろうと思うんですね。
二番目のお伺いですけれども、この事業はその効果を約一、二年で評価するというふうに伺っております。こんな短期間で果たして評価が可能なのでしょうか。
■増田国務大臣
考え方として、今回は、もちろん予算等にも限度がありますし、それから、地域の持続的な取り組みというのがやはり最後の決め手になるものですから、今回の事業の対象としておりますものは、そうした地域の創意工夫を生かすソフト事業を中心とする。それから、いわゆる立ち上がり支援ということで、どうしても、すぐれた人材の知恵をかりたいといったときに、従来はそうしたものに対してのしっかりとした経費がございませんでしたので、そうしたものを対象とした、いわゆる立ち上がり支援としての経費を計上させていただきました。
それを、その後、各省の持っている施策、実はそれがもう今ほとんどなわけでございますが、そこにいかに効果的につなげていくか。そして、各省の施策もできるだけ地域の発想に沿った形に誘導していく上での、そういう橋渡しをするためのお金、こういうふうに考えておりますので、その各省のお金の方は本当に継続してつなげていっていいのかどうかという判断を、やはり一年、二年。
もちろん、今先生がお話しのとおり、これは短期的に結果を出すあるいは評価するということであっては決していけないわけでございますが、地域を再生する、活性化するというのは長期的なレンジに立って評価をしていかなければならないというふうに思いますが、その立ち上がり支援をさらに各省の方にうまくつなげていっていいのかどうかの判断は、いずれにしてもその時点で行っていかなければならないものですから、一年、二年、特に二年ぐらいの間に、各地域のそういう発想などがうまく生かされているかどうかの評価。
これは、役人が霞が関の観点でやるというのはやはり過つ原因にもなりますので、民間の有識者の皆さん方のチームの中で十分に意見をいただいて、そして何がしかの判断をしていただく。それで、悪いところは修正したりいろいろ柔軟に考えながら、一定の評価をさせていただいた上で、その次に進めていくべきものはしっかりと各省の方につなげていったらどうか。
あくまでも、特に民間のさまざまな経験をお持ちの人たちの意見を主体にして、そこでの評価をまとめていただきたい、このように考えたものでございます。
■西村(智)委員
とお答えいただきますと、私の理解では、この地方の元気再生事業というのは、言ってみれば、その事業で本当にこれから先も進めていっていいですよということを内閣府が判断をし、そしてその先に、省庁のそれぞれの事業につなげるような橋渡しをする、こういう事業だということでよろしいんですね。それはよろしいですね。
それでは、確認をさせていただいた上で、そうしますと、この事業の到達点というのをどこに据えていらっしゃるのか。
これは、事業の名前は地方の元気再生事業ですよね。ですけれども、今私が大臣の説明を伺ったところで考えると、これは地方の元気再生事業ではなくて、地方の元気再生のための予備的な調査ではないかというふうに考えるんです。実際に予算書の概要の方には「調査」という文言が入っていました。ここの事業名は元気再生事業という、何か本当にこれをやると地方の元気があたかも再生するような、そういうイメージで事業名がついているわけなんですけれども、まず一つ、大臣、事業の到達点というのをどこにこれは据えていらっしゃるんですか。
■増田国務大臣
事業の到達点としては、やはり地域が本当に活性化をするということをねらっているんです。
そのために、今回、このお金を十分の十で全額国費という形で用意しておりますのは、これは国の立場からいいますと、そういった国の太い、各省の持っている政策につなげていけるのかどうかということを調査するようなことになりますので、そこに十分の十を出す根拠もあると思うんですが、一方で、私は知事をやっておりまして、やはり地域起点でこういったものは考えていかなければならないと。今、地域の財政が本当に疲弊しておりまして、そういうお金すら足りないところに何とか国のお金を引き出したいということで、国の立場で、調査をする、そういうお金がうまくつけられるのではないかと思ってこういうことを仕組んだわけです。
逆に言いますと、地域から見れば、事業のねらっております到達点として言えば、やはりそれは、地域の産業が活性化したり、あるいはそこでいろいろな面で、文化振興、観光などで交流人口が本当にふえていく、そこに住んでいる人たちがそこに根拠、居を置きつつきちんとした生活ができ、文化的な営みができるということに向けて、どういう発想をそこで持てるのか。そういう発想とか自主性とかいうことを最大限引き出す、そのための事業、こういうふうに考えられるのではないかと思っております。
■西村(智)委員
事業の到達点は地域の発想を引き出すものだ、こういうふうに理解をさせていただきましたけれども、本来、これは調査事業でありますよね。調査事業ということでいくと、一つ私が考えますのは、地域の活性化とか地域の再生というのは、今まで漠然と語られてきているんですけれども、一体それは何なのかということの議論は実は余りされてこなかったように思うんですね。
ずばり、大臣、大臣が考える地方の再生とか地域の活性化というのはどういうことですか。ここは次の戦略の問題にかかわってくる質問ですので、ぜひずばりと答えていただきたいと思います。
■増田国務大臣
これはなかなか一義的に定義するというのは難しいところがありますが、今委員の方から、ずばり私の考えでということでお話がございましたので、率直に申し上げたいと思いますが、地域が再生するあるいは元気になるというためには、やはり私は、経済的な基盤、各種の生活の営みのための産業がその地域地域でしっかりと息づいていなければいけないんではないか。これは結局、そのことを通じて地域に雇用の場があったり、若い人たちがそこにきちんと根拠を置いて、みんな都会あるいは東京などに出ていってしまうということを防ぐためにも、一番、やはりそこに基盤を置かなければいけないんではないかというふうに思っております。
ただ、単に経済的な側面だけで地域を見るということではなくて、地域には多様な年齢層、多様な皆さん方がそこにしっかりと生活をしておられる、そのことによってさらに豊かさなどが増していくわけでございますので、場合によっては、そこにいる人たちだけではなくて外部からいろいろな人たちが交流で訪れる、その主因としては文化であったりあるいは観光資源ということになると思いますが、そうしたものが地域にしっかりとあり、あるいは受け継がれていって、そして交流が活発に行われていく、そういうことが本当に、地域のまさに元気さそれから地域再生ということにつながっていくんではないか。
かつて、それぞれが地域地域で自給自足の経済で成り立っている時代もありました。今はもう完全にグローバル化している中にあって、それが本当に経済的に強いところにみんな吸収していってしまうというのは、やはり国土の姿として私は決して好ましいことではない。地域地域、今、各地域がいろいろな形で再生を目指しておりますが、総じて言いますと、私が今申し上げましたように、地域できちんと生活ができ、そして経済的にも成り立ち、一番大事な、人間としてのコミュニティーが維持できるような、そういう地域にまたしていくということではないか。
少し抽象的な部分も含まれて恐縮でございますが、地域によっても多様な違いがあるんですけれども、概して、共通項を取り出せばそういったことではないかというふうに私は思っております。
■西村(智)委員
多様な活力、活性化とか地域力というようなものがあると、大臣は御自分のお言葉で今答えてくださいました。
そこで、地方の元気再生事業に戻るんですけれども、では、そういう目線でこの地方の元気再生事業を見たときに、私はやはり欠けているものがここに一つあると思うんです。
レクに来ていただいて、地方の元気再生事業として行われる取り組みの目指すべき方向性、これが実際に事業を採択するときの基準になるのだという説明を受けました。ここで見ますと、みんな、それぞれ書かれていることはもう至極当たり前のことなんですね。複合的な取り組みが必要だ、モデル性のある取り組みが必要だ、持続性があること、相乗効果があること、主体的な取り組み、計画性。
これは、今までもみんなが事業を行いながら必要だと思っていた中で重要視してきた要素であるにもかかわらず、今までの事業が成果を得てこられなかったというのは、言ってみれば、最終的な地方の活性化という戦略ではなくて、それぞれの単発のメニュー、その戦術の詰め合わせ、お菓子の詰め合わせみたいなもので、例えば、よそで食べておいしかったからこれはうちで食べてもおいしいはずだとか、向こうの地域でやっていたからこれはうちの地域でやってみようとか、そういうことの積み重ねでなかなかうまくいってこなかった側面はかなりあると思っているんです。
それで、今回の地方の元気再生事業、せっかく行う事業ですので、ここにやはり基礎的な調査も含めていただきたいと思うんです。
自分のところの地域の実力といいますか、人口とか面積とかいう本当に基礎的な調査から始まって、これは地方の都市との連携ということも恐らく視野に入れてのことでしょうから、例えばほかの地域と一緒にこういったことをやったときにどうなるのか、こういう基礎的な調査というのは自治体が独自でやろうとしてもなかなか限界のあることだと思います。ですので、そういったことをすべて含め合わせた中で、地域の皆さんがそこにまじって、では、うちの地域ではどういうことを選択しましょうというふうに話し合うために、やはりここには新しい機軸として基礎調査はきちんと入れるべきだと思うんですけれども、この点について大臣はどうお考えですか。
■増田国務大臣
今の先生のお話は私も同感であります。基本的な地域の実情を十分に知っておかなければならない、熟知していなければ、やはりいい成果は出ないと思います。
そのために今、幾つか要素をお話しになっておられました。今回の提案の中にも、そうしたことを十分踏まえるとか把握するといったようなことをしてございますが、まだ具体的な事業、新年度になってからということで、今、提案をする際にどういう要素を中に含めればいいのかということをいろいろ中でまだ議論している段階でございますので、今委員がお話しなさったようなそうした要素もこれからその中に含めて、やはり基礎的な状況というのを十分把握して、その上で戦略を練っていただく、あるいは創意工夫をしていただく、こういうことがより実りのある成果につながるのではないかと私も思います。
早速、言葉としてどう書くか、いろいろ事務局に工夫させたいと思いますけれども、今考えておりますことにさらにそうした要素も含めてそれを取りまとめて、よく地域の皆さん方にその趣旨をお話をしていきたい、そういうふうに考えております。
■西村(智)委員
ぜひ科学的な調査をお願いいたします。地域を熟知している人というのは、それは地域の住民の方であればどなたも知っているんですね。ですけれども、そういった方にこそ、それは私も含めてですけれども、よく知っていると思っているがゆえに、これをやったらうまくいくんじゃないか、そういう過ちに落ちていくことが懸念されますので、そこはぜひ基礎調査も採択基準に含めていただく。大臣から非常に前向きな答弁をいただきましたので、次の質問に移りたいと思います。
次は、上川大臣に公文書管理について伺いたいと思います。
先日、閣僚懇談会の中で、大臣が、公文書管理の在り方等に関する有識者会議を開催するというふうに発言をされて、いよいよこれは進むのかなというふうに私は大変期待をしているところなんですけれども、大臣御存じのとおり、今、日本の公文書管理、行政文書と私は言わせていただきたいのですけれども、行政文書の管理は極めてお粗末な状況にあります。
お粗末というのは、主観的に、例えば私たちが質問するときに役所の方々にこういう資料を出してくださいと依頼するんですけれども、それはありませんとか、つくっておりません、出せませんというようなことで、はね返されるということはしばしばありますし、ここ数カ月の記憶をたどってみても、防衛省の航海日誌が捨てられていたとか、年金の記録管理がずさんだったとか、肝炎の患者のリストが、ないと言っていたのがあって、次々とぼろぼろと出てくるとかいうような、本当にずさんなこともありました。
これは、海外との比較で見ても非常に乏しいということは御承知のとおりでありますけれども、この前、増田大臣からも御答弁いただいたんですが、行政文書の保管と管理それから公開というのは、これは民主主義の本当に基礎の基礎でありますから、そこはやはり政府としてもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんです。
私が行政文書の問題に関して大事だなと思っている視点は四つあるんですけれども、一つは、適切な行政文書が管理されているのか、保管されているのかどうかという問題。そして、その適切な行政文書が公文書館にきれいに移管されているのかどうかという問題。三つ目が、そもそもそういう文書が適切に作成されているのかどうかという問題。四つ目に、そういったその一連の作業の最中で政府の恣意性がいかに排除されるかという問題だと思っているんです。それぞれのその視点を私は持ち、ぜひ政府にもその点に留意していただいて、今後の有識者会議などを進めていっていただきたいと思うんです。
まず、総務省の方に来ていただいておりますが、先日私は総務委員会で、増田大臣、行政局長に質問させていただきました。市町村合併に伴って、市町村が大量に文書を廃棄しているのではないか、廃棄するのではないか、そういう懸念があったことで、自治行政局長の方から三度にわたって、そんなむやみやたらに捨てないでください、そういう通知が出されたようなんですけれども、その後の、要するに、市町村の文書の取り扱いを総務省はどういうふうに把握をしておられますか。
■門山政府参考人
お答えいたします。
総務省では、ただいま御指摘ございましたように、これまで、市町村合併に伴いまして旧市町村の公文書などが散逸したり、あるいは安易に廃棄される、こういったことがないようにということで、平成十四年、十七年、それから十八年、三回にわたりまして公文書などの適切な保存について文書により要請をしたところでございます。大部分の合併市町村におきましては、例えば、書庫などの保存スペースを確保する、そして管理するといったような形で、公文書の散逸防止に取り組んでいるというところと認識いたしています。
今後とも、きちっと適切な保存をしていただくということについては徹底していきたいというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
私は、その後どういうふうに把握をされたのですかと質問をしたのです。
適切に行ってくれているものと思いますでは答弁になりません。捨てたか捨てないかをどうやって確認しているのですか。
■門山政府参考人
公文書の保存、管理につきましては、やはり各市町村におきまして、その公文書の適切な管理というものの重要性をきちっと認識していただきまして、それぞれの責任において適切に対処していただく、こういうことでなされるべき問題だというふうに考えておりまして、総務省としても、さまざまな機会にそういったことを周知していくということを行っているわけでございます。
■西村(智)委員
それでは、上川大臣にお伺いをいたします。
今、行政文書の管理は、行政情報公開法に基づいて、各府省がそれぞれで文書管理のための規則をつくって、それぞれの府省の中に行政文書管理責任者を置いて、その人が責任を持ってやる、そういうことになっております。内閣府の方でそれを統括していくということになるわけですけれども、現実は、はっきり言ってしまえば各府省にお任せというスタイルになっております。
そこで、上川大臣は、三月十一日にこのように発言をされておられます。今後、有識者会議において文書の保存、移管、廃棄のあり方の議論を進めることとしておりますので、当分の間は、保有する行政文書の廃棄を一たん中止していただきますようお願いいたしますというふうに発言をされておられますけれども、廃棄したかしないか、先ほど総務省の方は、市町村に対してお願いをしました、それぞれやってもらっていると思っていますというような答弁でした。あとはもうそれぞれの責任でやってもらっているんだということで、言ってしまえば、通知、要請してしまえばもうそれでおしまいということに今の仕組みではならざるを得ないわけです。
大臣は、この御発言、一たん中止していただきますようお願いいたしますと御発言なさった、その中身をどう担保されるのでしょうか。本当に廃棄したのかしないのかということを確認する方法はそもそもあるんでしょうか。
■上川国務大臣
十一日の閣僚懇談会におきまして、十二日に公文書管理の在り方等に関する有識者会議を開催するということについて御報告をすると同時に、今先生がお読みになりました、当面の間、廃棄を中止していただきたいという旨の発言をいたしたところでございます。
行政文書のあり方につきまして、作成から始まりまして、保存、また廃棄というところの一連のライフサイクルについてのあり方をこれから有識者懇談会において検討していくということでございますので、そうした検討結果が出るまでの間、今ある仕組みの中でやられていることにつきましては、当面の間ということで、中止をしていただくお願いをしたところでございます。
今回、各府省の最終責任者であります各閣僚に対しまして、トップの責任でこの依頼に対して責任を持って取り組んでいただくということを閣僚懇談会の中で発言したものでございますので、そうした趣旨を十分に御理解いただきまして、適切に対応していただけるものというふうに思っております。
また、先生が御指摘になりましたフォロー、担保をどうするかということでございますけれども、責任を持って各府省がやっていただくということでございますが、私といたしましては、今、現場の方にも視察等で行かせていただいているところでございまして、必要に応じて十分なる現場を見させていただきながら、この私のお願いに対しての取り組みについての現場の対応ということも、きめ細かく現状を把握してまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
それは普通の組織として考えれば、トップの責任で大臣が号令をかければ役所の内部がそのとおりにすると善意で考えたいんですけれども、しかし、この国は大臣に資料を隠すような国でございますので、そういった善意だけでは本当にやっていけないのではないかと思っております。
これは何も私は主観的に物を申しているのではなくて、各国の公文書管理というのは、常にやはり行政の無謬性を前提にしていないという世界の中で運用しているわけなんです。しかし、今の日本のやり方はそうじゃない。行政は悪いことをしませんということを前提にして、そこに任せるというやり方でやっていることがそもそもの問題だと思うんですね。大臣はこの点、どんなふうにお考えでしょうか。
つまり、今の公文書管理のあり方、それは作成から移管まで含めて、そしてまた公開も、公文書館に移管された文書が公開されるというところまで含めて、この一連の取り扱いについて今のシステムでよろしいか、十分かどうか、どういうふうに大臣は今のシステムをとらえていらっしゃるんでしょうか。
■上川国務大臣
今回、福田総理からの大変強い御指示がございまして、担当大臣としてこの問題に取り組むようにということで御指示をいただきました。その問題意識は、現状の、作成からまた保管、保存ということで、公文書を国民の皆さんの共有の財産として積極的に国の責任で保存していくということについての一連の取り組みについては、十分ではない、そういう問題意識のもとで、今回改めてこうした担当大臣を任命されたというふうに私は思っているところでございます。
先ほど委員の方からも御指摘がありました。さまざまなずさんな文書管理というお話もございましたし、信頼をして行政をしていただきながら、そしてその意思決定に対してしっかりと説明責任を果たしていくというためにも、作成からの一連のライフサイクルにおいてしっかりと対応していただくための制度づくりということにつきましては、今回大きな論点の一つであるというふうに思っております。
そういう意味で、この懇談会、有識者の皆様の専門的な御視点で、これまでも取り組んでいらっしゃった方ばかりでございますので、最終的な結果が出るように、精力的な議論を積み上げてまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
諸外国では、公文書館が非常に充実をされております。日本では、例えば一例ですけれども、内閣府所管の公文書管理に関する職員が四十二人であるのに対して、例えばアメリカは二千五百人、所蔵の書架も、日本が四十九キロメートルに対してアメリカは九百三十キロメートル。現用記録の管理についても、公文書館長が責任を負って指導を行っていたり、公文書の廃棄に当たっては国立公文書館の長官の承認が必要だと。つまり、これをそっくりそのまま日本に当てはめていえば、文書を捨てるか捨てないかというのは公文書館長が判断する。それは捨ててもいいですよとか、捨てないでというような判断をする。
あるいはほかの国でも、国立公文書館が監督をして各府省が保存すべき公文書の選別を行うというふうに行っていまして、各府省にお任せをしているという国は、先進国の中では、私が見ている範囲では日本だけだと思うんですね。大臣はこの点についてどういうふうにお考えですか。
つまり、なぜ伺うかといいますと、これから有識者会議というのをリードするのは上川大臣であられるわけです。ここは、変な話、各府省を、行革担当大臣ほどでないにしても、一定程度敵に回すというようなことにもなってくるのではないか。そこで、大臣の強い決意もぜひ聞かせていただきたいと思って質問をしているんですけれども、大臣は、今各府省に行政文書の管理が任せられているということ、これをどんなふうに考えていらっしゃいますか。
■上川国務大臣
現行の制度におきましては、先生がおっしゃったとおり、内閣総理大臣が国の機関と合意により移管を受けた歴史的公文書等につきまして国立公文書館に移管する、こういう仕組みになっております。
そのゆえに、さまざまな現場での判断というところの余地が非常に大きいということでございますので、御指摘いただいたような各国の事例等も十分に調査をしているところでございますが、そういうことも踏まえて、専門家の皆さんの議論も深めていただきながら、大切な文書はしっかりと残していくということを担保できるような制度設計というものをつくり上げていくということを、私自身、課題として取り組んでまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
今大臣は、それぞれの政府と公文書館との協議でというふうにおっしゃいましたけれども、これは移管についてなんですよね。移管について過去そういうふうにしてきたということですが、文書の作成とか保管については、これはそれぞれの府省でつくっている規則にのっとってその担当責任者がやっているということですから、そもそもそこのところを何とかすべきではありませんか。
■上川国務大臣
今、移管のところということで御指摘がありましたので、今のようなことを申し上げたところでございますが、作成から省内での行政文書の保管、そして移管の手続、さらには廃棄また保存という一連の文書のライフサイクルということについては、これは徹底的に現状を見直しながら、問題点も洗いながら、しっかりと残しておくことができるように、また作成の時点でも、大切な意思決定のさまざまな節目の中で記録がしっかりと残すことができるようにということを十分に考慮した仕組みづくりということで考えているところでございます。
先ほどは移管ということの御質問でしたので、その旨だけお話をいたしましたが、一連の流れということを、全体像を見ながらということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
最後に一点、大臣、外交文書について、これもぜひ有識者会議の中で前向きな検討をしていただきたいと思います。
自国の外交政策について自国民が知ることができないというのは、これはやはりおかしいと思いますので、この点もしっかり前に進めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
■上川国務大臣
外交文書につきましては、平成十三年の閣議決定に基づきまして、ただいまのところ外交史料館に移管されているというところでございます。
このことも含めまして、現状を十分に精査しながら、有識者会議におきましても専門的な視点からの御議論をしっかりとしていただきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。