■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
どうもお久しぶりです。よろしくお願いいたします。
きょうは、提出されております三法案についてと、その後、行政文書の件につきまして伺いたいと思っております。
もう既に、長い時間、いろいろな方からの議論があったこの三法案についてでありますけれども、私たち民主党の考えは再三述べてきたとおりでありまして、改めて申し上げますと、特に地方税法については、ふるさと納税、そして道路特定財源の維持ということが入っておりますので、反対という意思である。
特に、道路特定財源については、私たち民主党の考え方は、これはもう特定財源制度はやめて一般財源にするということ、そして暫定税率は廃止をするということ、そして国の直轄事業の負担金は廃止をするということ、この三つなんですけれども、これを政府の考え方、政府・与党の考え方と照らしてみますと、同じように三点が言えるんだろうと思います。つまり、道路特定財源制度を維持する、暫定税率を十年間延長する、そして、国の直轄事業に当たっての地方負担金制度も維持をするということだと見なければならないんですけれども、総務大臣、ここはちょっと通告をしておりませんが、政府の考え方、この三点において今なお変更なしということでよろしいでしょうか。
■増田国務大臣
政府の方の考え方は、今お出ししている法案でございますので、これを前提にまた立法府の方でいろいろ御判断をいただく、こういうことになるかと思います。
■西村(智)委員
政府の考え方は今の三点で変更はないということでございます。このことは今後の国会での審議に任せたいというようなことでありましたけれども、政府の考え方はかなり今後の成り行きにも影響すると考えております。私たちとしても、今の発言を重く受けとめて今後の審議に当たっていきたいと考えています。
さて、きょうの私の質問の問題意識、大きなところの一つ目は、いわゆる地方法人特別税の創設でございます。
これは、かなり急に出てきた話だなというのが私の印象なんですけれども、たしか、秋でしたでしょうか、与党の税制調査会の方で出てきた話だったなと承知をしております。
この地方法人特別税というのは、いわゆる法人事業税を半分国が召し上げて、それを人口と従業者数、これで譲与するというものなんだそうでありますけれども、そもそもこの法人事業税というのは都道府県の基幹税であると私は認識をしております。この点、大臣はどういうふうに認識されておられますか。
■河野政府参考人
お答えいたします。
法人事業税は都道府県の基幹税ではないかというお尋ねでございますけれども、平成十八年度の決算で申し上げますと、超過課税等を除きまして、都道府県税収入、約十六兆円ございます。このうち、法人事業税が五・二兆円ございまして、約三割強を占めております。都道府県における基幹税であると考えております。
ただ一方で、法人事業税は、景気の変動に左右されやすいわけでございますし、地域間での偏在も大きいといった地方税としての課題も抱えておるわけでございます。
したがって、今後、偏在性が小さく税収の安定的な地方税体系を構築していくという観点から考えますと、一方では地方消費税を充実していくということが重要でございますけれども、これとあわせまして、法人事業税などの地方法人課税のあり方を見直していくということも必要になってくるというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
今、余りにも多くのことをまとめて一つの答弁で言われてしまったので、ちょっと整理をさせていただきますと、まず、法人事業税は都道府県の基幹税であるということは、これは疑いの余地がないことが一つ。ただ、その後、言いわけがましく、この法人事業税というのは、地域的な景気の変動などもあったりして、地域的な偏在があるということ。ですので、今後は地方消費税の話も含めて検討していくべきだと考えている。この三つのことを一つの答弁で言われたんですけれども、最初のところだけ私は聞きたかったのであります。つまり、法人事業税というのは、やはり都道府県においての基幹税であるということですね。
そういったことからいたしますと、今回はその基幹税を国税にいわゆる吸い上げるという形になります。これは、言ってみれば、地方税から国税への転換、こういった本質的な問題にもなってまいりますし、法案の説明の中では、新しい偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間の暫定措置だというふうに書かれているんですけれども、この暫定という言葉は、最近、暫定は暫定ではないんですね。暫定といいながら、これが言ってみれば半恒常的に使われてくることが大変多くなっている。
こういったレトリックが通ってはいけないと思いますので、念のために伺いたいんですけれども、この偏在性の小さい地方税体系の構築が行われるまでの間というのはどのくらいの期間を想定しているんでしょうか。
当然のことながら、この条文の書きぶりですと、新しい地方税体系というのが構築されたときにはこの地方法人特別税というのはなくなるということだと思いますけれども、期間を区切るべきだと考えています。この点についてはどうでしょうか。
■河野政府参考人
お話ございましたように、今回の措置は、税制の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置ということで行うものでございまして、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われます際に、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組んでまいりまして、これによって偏在性の小さい地方税体系の構築を進めてまいることにしておるわけでございます。
具体的にいつかというお話でございますけれども、この消費税を含む税体系の抜本的改革につきましては、社会保障を持続可能な制度としていくために安定した財源の確保が必要でございますので、社会保障や少子化対策に要する費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、早期に実現する必要がある課題なわけでございます。
■西村(智)委員
早期にというのは、大体どのぐらいの期間を想定しているんですか。そのことについてぜひ考えを明確に伺いたいと思います。
■河野政府参考人
お答え申し上げます。
具体的にいつということで申し上げる状況にはないわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、消費税を含む税体系の抜本的な改革といいますのは、今後、社会保障を可能な限り持続可能な制度としていくという観点から早期に実現すべき課題でございますし、平成十六年の年金改正法におきましても、年金の費用負担、国庫負担を二分の一にする観点から検討していくということにもされておるわけでございます。
■西村(智)委員
いや、つまり、今回の地方法人特別税の創設については、これは地方分権に逆行するという異論もかなり強いのではないか、これは省内においても、そしてもちろん私もそういう問題意識を持っておりますし、いろいろな識者からもそういう指摘はあるんだろうと考えております。
こういう、言ってみれば分権に逆行する、地方税を国が吸い上げるということですから、これは地方の自主課税権も侵害することになりますし、こういった措置というのは、暫定措置とはいえ、制度そのものに、こういったあり方そのものにやはり大きな問題があると思いますし、それがいつまで続くかわからない、結局そういう答弁ですよね、今のは。暫定措置といいながら、それはいつまで続くかわからないということになってしまえば、今の道路特定財源の暫定税率と、三十四年たってみてまた同じことでしたというようなことになってしまっては、これは後世の歴史に大きな汚点を残すことになってしまいます。
大臣、この点、どういうふうにお考えですか。いつまでに地方税体系を構築して、暫定措置法というのをやめる、地方法人特別税というのをいつまで続けるんでしょうか。
■増田国務大臣
今、この問題でありますけれども、要は、税源交換を私どもは提案して、その結果として、暫定的ではございますが、十分な税源交換というよりも、今の現状の地方の財源が逼迫しているということに対しての対策をまず先行して実施しようということで、消費税の議論に触れる部分は今局長から申し上げましたように先にして、その上で、来年度、法人事業税の部分だけを手をつけて先行実施した、実質、地方税でございますが、そういう構図をとったわけでございます。
これは、当然のことながら、暫定措置ということで、いわば仮の姿でありますけれども、それは消費税の議論、要するに地方消費税を充実させるということははっきりと確認をしたわけでございますが、そのことについては、消費税の大きな議論にもかかわってまいりますし、税の抜本的な議論につながるということであって、したがってその時期にしようということです。
では、委員のお話のように、その時期はずっと先なのかどうか、全く見通しがつかないのかどうかということを言いますと、これは一方で、社会保障そして少子化対策といったようなことについて持続、安定的な制度にするのはもう待ったなしの状況に来ておりまして、これは国民の間でも大変大きな考え方の違いがありますし、今回、国会の中でも別途、年金については税方式にするのか保険料にするのかといったような活発な議論が行われていますが、いずれにしても、その議論をする時期というのは大変差し迫っているという認識があって、そしてそういう議論が行われているわけでございます。
ですから、見通しのつかない、そういう先というよりも、むしろ、差し迫って社会保障の議論をしなければいけない時期が来ている。政府の方でも、年金の基礎部分について二分の一に引き上げるといったようなことも提案していたわけでございますし、もう差し迫った時期に来ているということが前提になっておりますので、何年ということをはっきりと書いているわけではありませんけれども、それの時期までの間の暫定措置、これはまさに、それほど遠くない時期にはそのことをきちんと議論しなければいけない、こういう認識に立っております。
■西村(智)委員
はっきりと期限の決まっていない暫定の方が、例えば五年とか三年とかと期限が決まっている暫定措置よりも、たちは悪いと思いますね。これはずっと続けるのかなと見ざるを得ません。
例えば、米の臨特も毎年年度末に出てきたりします。まあ、あれはちょっと恒常的になったりしていますけれども。
大体、その都度、一年とか二年とか三年とか、こういう区切りをつけて、その期限を目途に議論を進めるということでなければ、確かに、差し迫っている状況だとおっしゃるのはわかります、社会保障制度のあり方も含めてしっかりと税制を検討しなければならないという状況にあることは、政府にある人だって、与党にある人だって、野党にある私たちだって、あるいは一般の国民だって、それはわかっている話なんですね。
では、わかっている話をいつまで時間をかけてやるのかということは、これはやはり期限を区切らないと、税源交換の話、先ほど総務大臣は、地方法人特別税というのを先取りする形でやったんだというふうにもおっしゃいました。だとすれば、本当の目指すべき形にする時期をきちんと示した上で、そこに向かって、税源交換の話、地方消費税の議論、これをもっと積極的にやっていくんだ、そういうことを示していかなければ、これはまたずるずると税での議論で総務省は押されることになってしまいますよ。
どうでしょうか、もう一回大臣に伺いたいと思います。これはやはり、本来、地方分権の柱は自主財源の拡大だというふうに考えています。今回、この地方法人特別税、地方法人特別譲与税、こういったことによって、むしろそれは自主財源を拡充するという方向とは逆を向いたことになってしまっているので、ここはしっかりともとに戻すための議論を期限を区切ってすべきだと考えています。一年ですか、二年ですか、三年ですか。
■増田国務大臣
地方の安定的な財源が必要だ、こういうことは私どもの考え方でもありますし、それから、今回は、そうした地方の安定的な財源、そして偏在性の少ない財源を、これは、そういった税目ということでは消費税が一番なじむものだと思いますが、その地方消費税を充実するということを閣議決定した文書の中にはっきりと書き込みをいたしました。一月の十一日だったですかね、今そちら、手元に資料がありますが、税制の要綱ということで、政府として、そういった地方消費税を充実する、そしてそれを基本として地方の税の安定を図るというようなことをはっきりと、これはすべての省庁も含めて確認をいたしました。
その上で、消費税の議論というのは、今お話ございましたとおり、それだけの議論ではなくて、社会保障全般にとりましても大変大事な議論につながってくるので、それについては、そのときに、今申し上げました閣議決定の地方税の方向で実現を図っていく、こういうことでございます。
一方で、その社会保障についての議論は、これは民主党の方ではいろいろお考えがあると思うんですが、政府の方として、社会保障国民会議等の方で今急いで議論をしているところでございますし、今お話ございましたとおり、長くこれをほっておくことはもう許されないというのは、これは国民全員が理解をしているところだと思っておりますので、その議論を遠からずの時期に、議論をするだけじゃなくて、やはり結論を出さなければいかぬ、こういう時期に来ていると思います。
その時期のときに、今、各省で確認した、地方消費税を充実して、そして地方税体系全般をそういうときに見直しをする、そういう方向で具体的な中身は実現していくものでございますので、御心配の、ずるずるずるずるそのままの形でずっと将来の方に引きずっていってしまう、そういうことにはならない。もちろんそのために総務省としても閣議決定等の内容の実行に努力をしていくわけでありますが、そういうたぐいのものであるというふうに思っております。
■西村(智)委員
では、大臣の希望としては、この暫定措置法、どのくらいをめどに終わらせるといいますか、新しい地方税体系を大体どのくらいをめどに構築したい、議論の結論を得たいとお考えでしょうか。大体どのくらいの期間でその結論を得たいというふうにお考えですか。
■増田国務大臣
地方税の問題、特に安定的な地方税体系を構築するというのは、これは、これからもずっと追求をしていかなければならない課題だと思っておりまして、今、手元の閣議決定の文書を見ましたけれども、一月十一日でございますが、そこで、「抜本的改革において、地方消費税の充実と地方法人課税のあり方の見直しを含む地方税改革の実現に取り組む。」こういうふうに書いてあります。
ですから、特に消費税を含む税体系の抜本的改革の時期は、もう近々の、待ったなしの課題、これは社会保障等の関係からいっても待ったなしの課題でございますし、遠からずの時期だというふうに申し上げておりますが、国民的にも急がれるということを常に国民の皆さん方からも指摘されていることでございますので、これは特に早急に、急がれるもの。
それからあと、それを含む地方税改革全体、そして、その中で地方の安定的な財源を確保していくということは、これはその後も追求していかなければならない話でありまして、今、地方分権改革推進委員会の方でも、この税の議論というのを、今後、ことしじゅうにはいろいろ御議論いただく予定にしてございますが、そういうことを通じてその後もずっと追求をしていかなければならない、特に、地方の税財源での自立を図っていく上でも、その後も追求をしていかなければならない問題だ、このように考えております。
■西村(智)委員
私、本格的に増田大臣に質問させていただくのは初めてでありますけれども、私は、いつまでにこの結論を得たいと希望しているのかと大臣に今伺ったわけですね。大臣の気持ち、考えを伺ったんですけれども、答弁として何か閣議決定の文章を読み上げられて、本当に大臣は地方分権を推進するという気概を持っておられるのかな、気持ちを持っておられるのかな、そういうとても不安な気持ちになりました。今の答弁、本当に同じことの繰り返しでして、何か、改革派知事と名高かったあの増田大臣の答弁としては、私は本当にちょっと納得のいかないものなんですけれども。
大臣、これはやはり、国と地方との関係性ですとかあり方とか、あるいは、地方法人特別税というのが導入された経緯などを見てみましても、自治体の間での十分な議論ですとか、こういったものが行われてきた経過がほとんど見られません。年末に来て、税制調査会の方で、こういった新しい税体系の仕組みが提案をされ、了承をされ、言ってみれば、自治体間の財政調整を水平的にやろうというときに、国が上から押しつけて、法人事業税を吸い上げ、そしてそれをまたおろす、こういうやり方というのは、地方分権そのものにも逆行するし、分権を進めるときのやり方としても非常におかしいと思っています。
大臣、この点、どういうふうにお考えですか。今後もこういうやり方を続けていくんですか。
■増田国務大臣
まず地方の実態をよく見る必要があるということでありまして、これは地方団体とも随分意見交換をしましたのと、私も各地域を歩いた、それから今までの経験からしても、特に地方財政計画の中で今回地方再生対策費ということで新たに項目を立てておりますが、そういう形で地方の自主的そして主体的な考え方を事業に結びつける、そういう必要性は大変高い、こういうふうに認識をしたわけであります。
そのための安定的な財源として、今の各地域間の偏在性、それから税の安定性ということから考えれば、地方消費税を充実させ、そして同額、法人事業税と交換する、こういう形で税体系を変えていくことが適切であるという判断をして、これも地方団体とよく意見交換をした上でそういう案というものを昨年提示した。
ただ、今申し上げましたように、東京都でさえ、今は税収は好調ですけれども、ついこの間までは非常にその点に不安を抱えているような状況でございましたので、地方消費税を中心に地方税体系を考えていくというところは東京都も含めて御納得をいただいているところでありますけれども、その地方消費税の議論が税の抜本改革までということで、これは近々に議論される話ではありますけれども、そのときの中であわせて議論をする、こういう大きな方針になりましたので、地方の実態を踏まえて、そのために配分をする財源を求めなければいけないということで、法人事業税を形式上は国税化しつつ、実質は地方税という形で取り扱う、したがって、国税徴収法とか通則法の中でこれは地方税であるということを一方で確認しつつ、今回のような措置を講じたということであります。
これが恒久法として措置をされるということになれば、今お話ございましたとおり、地方分権なりの関係でももっといろいろな議論が出てくると思いますが、今の地方の実態を踏まえて、そちらを優先させて、形式上は国税としつつ、実質地方税という形で措置をしたものでありますし、それが近々に行われる税の抜本改革までの間の暫定措置ということでございますので、この点については、その後、年が明けましてからも地方団体と意見を交換しているところでございますが、そうした額の問題、その点についてはいろいろまだ御議論等もあろうかと思いますけれども、その考え方については理解をしていただけるのではないか、このように考えております。
■西村(智)委員
地方にしてみれば、この間、三位一体改革の影響で歳出削減と交付税削減が二〇〇一年以降ずっと続いてきていますから、格差是正、そういう言葉のもとでは、これは歓迎する話かもしれません。
ですけれども、全体的に、ことしの政府予算全体を見ますと、このように、地方法人特別税ですとか地方再生対策費、一見すると地方重視なんですけれども、構造的なところでは三位一体改革の流れというのは全く変わっていない。岩盤のところが頑丈なままで、つまり交付税が削減され、税源の移譲が進んでいない中で、本当に表面のところだけをならすために法人事業税がやり玉に上がって、それを国が吸い上げて地方に分割する。
あるマスコミなどは、これを選挙対策のばらまきではないかというふうに報じておりました。私も、新年度予算を見ていて、そうだなと思うことがたくさんあります。後でまた内閣委員会で大臣にもお伺いをする機会を得たいと思っておりますけれども、地方再生関連事業などもそのうちの一つだろうと考えているんですね。
さっき、大臣、これが仮に恒久法になったときには問題があるけれども暫定だから問題がないというようなふうにおっしゃいましたけれども、そういう本当に選挙目当てと思われるような施策であったり答弁をされたりというようなことは、これは政策の信頼性を根底から失わせるような答弁でありますので、ぜひしないでいただきたい、それは私が言う話ではないんですけれども。そこのところは、政府のこれまで行ってきた三位一体改革がもたらした結果としてこうなっているんだということをしっかりと自覚していただきたいと思うんです。この点、大臣、どうでしょうか。
■増田国務大臣
まず、今お話を聞いていて、交付税が今回減額されたというふうになっていますが、増額をされていますので、交付税は増額されている。
それからあと、ばらまきというお話でございましたが、交付税自体がばらまきと言われると、これは地方の一般財源でございますので決してばらまきではなくて、ここの点は、地方がそれぞれの創意工夫をする大事な財源ということだろうというふうに思います。
そして、その上で、そうした措置をしたことが、確かに恒久的な措置としてこれが組まれるということではなくて暫定措置ということにしているわけでございますが、その暫定措置がいつまで続くものなのかということを年数的に、二年とか三年とか明示しているものではございませんが、大きな地方税の改革の全体的な方向性は閣議決定で全部決めている中で、実質地方税のものとして今回の地方法人特別税を措置しておりますので、そういう全体の流れは、政府が目指す方向は、こうした初年度、今までの傾向、五年間ですか交付税が減ってきたことを、大きく方向性を変えるという考え方を、そこに政府が考え方を込めている。
額の問題はいろいろ議論があるかと思いますが、そういう大きな方向性を変えるということをこの中に込めているということであって、その大きな方向性というのは、今後も地方の安定的な財源を充実確保していく、そういう考え方だということはその中に示せているのではないか、こういうふうに考えております。
■西村(智)委員
納得はできませんが、次の質問に移ります。
行政文書の作成と管理と保存についてであります。
福田総理大臣が所信表明演説の中で公文書館の充実ということを言っておられました。公文書館を含めて、きょうは行政文書の取り扱い全般について伺いたいと思います。
まず、大臣に基本的な認識について伺いたいんですが、情報公開は民主主義の大事な前提である、情報公開なくして民主主義の成熟はあり得ないというふうに考えておりますけれども、知事も経験されてこられた大臣として、行政文書の重要性とか行政文書が持っている価値などについて、どういうふうにお考えでしょうか。
■増田国務大臣
公正で民主的な行政を展開するということに際しては、行政文書を公開していく、情報公開を進めていくということが大変重要であります。
もちろん、この間、個人のプライバシーの問題、情報をどのように保護するかということも大いに議論をされてまいりましたけれども、これは、情報公開とそうした個人の秘匿をすべきプライバシーの問題とは十分両立をし得ることでございますので、そうした措置を講じつつ、情報公開を推進していく。その上で、情報公開法の果たす役割も大きいと思っておりますし、広く言いますと、今委員がお話しございましたとおり、そうしたことを進めることによって本当の民主主義が培われていく、あるいは民主主義のまさにインフラとなっていくというふうに考えております。
■西村(智)委員
情報公開、大変重要だというお話をいただきました。
そこで、総務省のもとで、行政機関の保有する情報の公開に関する法律がありますけれども、平成十七年にこの情報公開法の制度運営に関する検討会報告が取りまとめられました。この取りまとめ、検討会報告も、私の目から見てかなり不十分な点はあると思っています。
例えば、知る権利を明記することとか、あるいは開示、不開示の範囲の明確化、こういったものについてはそのままになっておりましたし、また、検討会の中で多くの委員の方々がインカメラ手続の導入を主張していたんですけれども、それについても検討会報告では全く取り上げられていないというようなことで、そもそもその検討会報告にも問題点はあったんですが、いずれにせよ報告が出されたのは一つのエポックでありまして、その後、行政機関の保有する情報の公開についてどういうふうに行われていると大臣は認識しておられるか。とりわけ、適正な行政文書の作成、管理、そして国立公文書館への移管についてどういうふうに認識しておられるのか、伺いたいと思います。
■村木政府参考人
お答えいたします。
総務省では、先生御指摘の報告を踏まえまして、情報公開法の制度運用の改善につきまして、次に申し上げるような具体的な措置を実施いたしました。(西村(智)委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。
まず、情報公開法の趣旨の徹底を図り適正な運用を図るべき事項について、各行政機関に通知を発出いたしました。それから、職務遂行に係る公務員の氏名の取り扱い及び不服申し立て事案の処理の迅速化について各省庁申し合わせをして、スムーズに進むようにいたしました。それから、行政文書の開示の実施方法につきまして、新たな方法を追加するということ、あるいは手数料の額について引き下げを行う、こういった措置を講じました。
このうち、行政文書の管理の徹底につきましては、それぞれ各省庁の文書管理規則等に基づきまして、一つは、必要な行政文書を作成すること、二つ目は、保存期間の確認と誤った廃棄の防止をすること、三つ目は、国立公文書館等への適切な移管等、行政文書の管理の適正化について、職員等を対象とした研修等の機会を通じて改めて徹底する、こういうことを先ほど申し述べました通知に盛り込みまして発出しております。
総務省といたしましては、今後とも情報公開法の適正な運営の確保に努めてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
情報公開法によって各府省がそれぞれ文書管理規則を作成して、そこのところで、恐らく官房長などがその省庁の中での文書管理の責任者ということになって取り組みをしているということなんですけれども、実際に、行政文書の取り扱いについては、ここ数カ月を見てみても、本当に大きな問題が次々と出てきております。年金記録、肝炎の被害者リスト、そしてまた防衛庁の航海日誌などですね、勝手に捨てられていたりというような、もうこれは完全に、一〇〇%ルール無視ですよね、保存期間の中でも捨てていたということがあったわけですから。
保存期間の中でも捨てていた、こういう基本的なことが、基本的なことといいますか、こういった保存期間の中でも捨てられてしまうという大変ずさんな、そしてまた意図的とも思われるようなことが行われていたり、あるいは本当に政策の意思決定にかかわって私たちが知りたいと思う本当の情報がそこに作成されていなかったりというようなこと。これは、私も国会での質問に当たっていろいろな資料を政府の方に求めたりいたしますけれども、そういったことを何度となく経験してまいりました。
文書管理規則というのがそれぞれの省庁にあって、それぞれの責任において実施する、そういう枠組みになっているわけですけれども、これは各府省でかなり取り組みにばらつきがあるのではないかと思います。つまり、ほかの省庁できちんとやっていることができていなかったりというようなことがあったりすると思うんですけれども、この問題点について総務省はどういうふうに把握しているのか、伺います。
■村木政府参考人
お答えいたします。
行政文書の管理につきましては、先生御指摘のとおり、情報公開法、それから同法施行令、それに行政文書の管理方策に関するガイドライン、こういうものを設けておりまして、これで文書の作成、保存、移管、廃棄の基準等を定めているということでございます。各省庁におきましては、これらの基準を受けまして、それぞれの責任で文書管理規則を制定し、行政文書の管理を実施している、こういう現状にございます。
そして、現時点におきまして、総務省として、文書管理の現状等についての統一的な把握は行っておりませんけれども、今先生が御指摘ございましたように、保存期間満了前の文書の誤廃棄あるいは文書の倉庫への放置など不適切な事例が生じていることは認識しております。
そのため、これら文書管理に係る不適切な事例が生じていることを踏まえまして、昨年十二月十四日に関係省庁連絡会議を設置いたしまして、同日に行政文書の管理の徹底について申し合わせを行ったところでございます。
総務省では、この申し合わせを受けまして、本年度末現在の各省庁における文書管理の状況を調査いたしまして、取りまとめることといたしております。
■西村(智)委員
不適切な事例があることは総務省の方でも把握しているということでした。
だとすると、私が次に聞きたいのは、そういう不適切な事例が生じているということは、これはそれぞれの省庁の文書管理のあり方に問題があるのか、つまり、その省庁における責任問題ということになるのか、それとも、情報公開法の監督者、その所管である総務省の責任ということになるのか、この点についてはどういうふうに考えるんでしょうか。
私は、現状を見ている限り、例えば保存期間中の書類が破棄されていたというのは、これはその行為についてはそこの省庁の責任なんだろうと思うんですけれども、それが余り問題視されてこなかった。だって、今まで、捜してみてないということがわかったわけですから、捜してみなければないということがわからない書類などというのは、もしかしたらもっとたくさんあるんだろうと思うんですね。ということになると、そういった問題点について何もしてこなかった総務省の責任もあるのではないか、こういうふうに考えるんです。
どうも現状を見てみますと、今までの行政文書の管理については責任が分担されている。責任が分担されていて、それがいい形で強化されていけばいいんですけれども、いや、それは総務省の責任ですとか、それは各省庁にお任せしていますとかいうことになって、お見合いをしてしまってボールをぽとんと下に落としてしまうというようなことが起きているんじゃないかなと考えるんですね。
ですから、ここはそれぞれの担当者が、総務省も一歩前に出るし、各府省からも一歩前に出てもらって、行政文書の管理、作成、保存、こういったものに徹底的に取り組んでもらうということが必要だ。特に総務省は、情報公開法を閣議決定して、それで提出して成立させているわけですから、その責任があると考えておりますけれども、この点については、総務省の問題なんですか、それとも各府省の問題なんですか、どちらでしょうか。
■村木政府参考人
今申し上げましたように、行政文書の管理につきましては、一定のルールのもとに、各省庁で各行政機関の長が責任を持って適切に運用していくということが基本であるというぐあいに考えております。
しかしながら、先ほども申し上げましたように、文書管理に係る不適切な事例が生じていることも踏まえまして、文書管理の徹底について申し合わせをいたしまして、これを受けて各府省の文書管理の状況を調査する、それを踏まえまして今後一層適切な文書管理の徹底を総務省としても図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
■西村(智)委員
内容について伺いたいと思います。
昨年十二月十四日に関係省庁連絡会議が設置されて、そこで文書管理の徹底について申し合わせた、総務省がこの申し合わせを踏まえて各府省庁における状況について報告を求めて、その報告を取りまとめして、その結果を踏まえて改善を図るというふうになっているわけなんですけれども、では、総務省は今後何に留意してこの改善措置を図っていこうと考えているんでしょうか。
■村木政府参考人
昨年十二月十四日に行いました関係省庁の申し合わせにおきましては、行政文書の作成、それから行政文書の保存、行政文書の管理台帳、行政文書の管理体制、各省庁こういう点について再点検なり見直しをしてください、こういう中身の申し合わせになっております。
今申し上げましたような点についての文書管理の状況について報告を求めまして、先生御指摘があったように、私どもの方で取りまとめを行います。その結果を踏まえ、必要に応じ、管理状況を把握し、文書管理の改善を図るということでございまして、今申し上げました行政文書の作成、行政文書の保存、行政文書の管理台帳、行政文書の管理体制、こういったところを重点に、問題があれば改善を行っていくという考えでございます。
■西村(智)委員
いや、今までに問題があったから改善をしていかなければいけない、今そういう位置にあるわけですよね。なので、関係省庁の連絡会議が設置をされて議論をされている、今の答弁を伺いますと、結局今までと同じことの繰り返しになるのではないかなという大変な心配をいたしております。
ちょっと時間もありませんので先に進みますけれども、内閣府の方からも来ていただいているんですが、公文書館のあり方について質問したいと思います。
この前もちょっとレクでお話しして、わかったところによりますと、今、公文書館に移管される文書ファイルというのは、各省庁と内閣府が協議をして、そこで移管していいですよということになったものが公文書館に移管をされる。公文書館から、こういう書類があるでしょうからこれを移管できませんかというふうに照会をすることもできるし、その中からの移管も、ほんの五%から一〇%という低い比率ではあるけれども、移管することができているということなんですね。
ところが、公文書館から内閣府に対して、こういう資料を作成してください、こういった資料が後世のために必要だから、こういった文書を作成してください、こういう要請はできない、そういう話でありました。
私は、今回、福田総理が公文書館の充実とおっしゃっていることの中身について、これからまた質問もしていきたいと思いますけれども、行政文書の作成、管理、保存について大事なことは、私は四つあると思っています。まず一つは、適切な文書が本当に管理されているかという問題。そして、適切な文書が公文書館に移管されているのかという問題。そして、その前提として、その移管されたり保存されたりする本当に必要な文書というのがそもそも作成されているのかという問題。ここはやはり大事なポイントだと思います。四つ目のポイントとしては、そういった必要な文書の移管とか保管とか作成のときに、いかに行政の主観性といったものを排除するか。
つまり、情報公開というのは行政の無謬性というのを前提にしてはいません。何か行政が過ちを犯すのではないか、そういう心配のある世界にこの情報公開法というのはあるし、公文書館の充実というのがそこのところに切り込んでいく一つのきっかけになってくれることを私は期待しているんですけれども、ちょっと時間もありませんので、質問を幾つか飛ばさせていただいて、先に進めたいと思います。
この国立公文書館への文書ファイルの移管というのは、外国に比べても非常に貧弱なものですし、移管率も、ここ数年見ても〇・五%とか〇・七%、非常に少ない分量しか移管をされていません。
一方で、自治体の方ででも公文書館を持っているところは五十一自治体でありますけれども、一つ言われておりますのは、市町村合併に伴って、かなりこうした重要な書類、自治体の所有している行政文書が大量に廃棄されたのではないかというふうに懸念をされているんですけれども、この点について総務省はどういうふうに対応してきたのか、またその後の状況把握をどういうふうにされているのか、この点について伺います。
■岡本政府参考人
お答えいたします。
今先生御指摘のように、市町村合併に伴いまして旧市町村の公文書等が散逸したり安易に廃棄されるということが懸念されることから、これまで、私どもといたしまして、十四年、十七年、十八年の三回にわたりまして公文書等の適切な保存について要請をしてまいっております。
平成十八年四月までに合併してできました五百五十八市町村を対象に、公文書の散逸防止にそれぞれどういう取り組みをされているかということを、私どもが事務局をいたしております合併の研究会で調査いたしました。
その結果といたしまして、一つは、庁舎等を増改築したり、そういう工夫をいたしまして書庫などの保存スペースを確保して管理しているというふうにお答えいただいたのが約八割の四百四十一団体、あるいは、データをデジタル化して保存、公文書館の整備拡充に取り組んでいきたい、そういう予定があるというようなお答えをいただきましたのが約六十五団体、一〇%強などでございまして、多くの合併市町村で公文書の散逸防止に取り組んでいただいているというふうに考えておりますが、今御指摘のような点の懸念もございますので、公文書等の散逸といったことにならないような、そういう意識を引き続き徹底してまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
大臣からも冒頭、情報公開は非常に重要だ、プライバシーの保護とは両立し得ることだというお話がありました。
各自治体で設置されている公文書館は全体で五十一なんですけれども、大臣が県知事を務められていた岩手県では、公文書館は設置されておりますでしょうか。
■増田国務大臣
岩手では公文書館はございません。ちょうど私が知事をしていたときに、これをつくろうかと思って、それで、ちょうど県立図書館を整備して、その後にそれを持ってこようかとか、あるいは別の場所で既存の施設をうまく活用しようかとか、いろいろ検討していたんですが、県立図書館の整備が、ちょうど知事の任期の結構ぎりぎりのころに整備をされて、その後利用のことをいろいろ考えておりましたけれども、財政難でございましたので、公文書館という形では設置をしていない。
それからあと、文書自体のいろいろな利用可能性、公開に資するということから、目録文書を電子化するですとか、それからその整理をする、詳細な目録の作成といったようなことにその間取り組んでおりました。そうしたことを含めた情報公開条例を制定し直しをして、それによって当時の県民の皆さん方の知る権利にこたえよう、こんなことを行ったところでございます。
■西村(智)委員
公文書館の設置については、これは自治体においてももっと進めていただきたいと私は考えています。
ちょっと時間が来てしまったので、質問もかなり残っているんですけれども、一点どうしても伺いたいことがありまして、もう少し時間をいただきたいと思います。
これは私の感じ方なのかもしれないので確認をしたいと思って伺うんですが、発言者名が記載されていない議事録がどうも最近ふえているのではないかという感じがしております。ホームページなどに公開をされておりますので、ネットでつないで取り寄せるんですけれども、議事要旨とか議事概要などという形で丸められて掲載されているものがかなりあるんですね。こういったことについて総務省は把握しておられるのか。
平成十一年の審議会等の整理合理化に関する基本的計画では、議事録は原則公開というふうになっております。これは、私がさっき申し上げた四つのポイントのうちの三つ目、つまり本当に必要な文書が作成されているかどうかというところにかかわる大事な点なんだと思います。
総理は公文書館を充実するとおっしゃっておられますけれども、このままいきますと、発言者名のない議事録がどんどんとつくられて、それがどんどんと公文書館に送り込まれるということになりかねない、それでいいのか、そういう疑問を私は痛切に感じるんですけれども、この点について、もう最後ですので、大臣にまとめて答弁を願えればと思います。
■村木政府参考人
先生御指摘になりました審議会の議事録等の公開につきましては、先生御指摘のありました審議会等の整理合理化に関する基本計画で原則公開ということが決まっておりまして、各府省においてこれに基づいて適切に運営されていると認識しておりますが、今先生御指摘になったようなデータにつきましては、私ども今手元に把握しておりませんので、調査を実施いたしまして、取りまとめの上、後刻先生に御報告をさせていただきたいと思います。
■増田国務大臣
議事録などは、発言者の名前が出ていないとやはり議事録たり得ないと思うので、やはりそういう形で整えておく必要があるだろう。もちろん、迅速性の関係があるので、まず最初に議事要旨をぱっと出して、それから議事録自体は少し時間がかかってくると思いますけれども、そういう形で議事録を出す。ただ、何か個人の関係のところがあるのであれば、それは多少の加工の必要というか、何か必要かもしれませんけれども、そういうものが本来のあり方だろうというふうに思います。
それからあと、いずれにしても、先ほど委員の方からもお話ございましたが、内閣全体として、公文書の保存、管理、それから公開のあり方などについてやはり抜本的に考える必要があるだろう。公文書館の問題もございますし、昨年にいろいろと大事な文書が管理が不十分でなくなってしまったということが現実にありましたので、それが関係省庁の申し合わせにもつながってきたわけでありますが、そういう問題にとどめておくと余り改善されないのではないかということがございましたので、総理の方で、担当大臣も置いてこの問題をきちんと考えよ、こういうことに内閣全体としてなっています。
いずれにしても、そういう取り組みを通じて、情報が管理をされ、それから公開され、そして先ほどありましたように、必要な情報が行政の恣意性が入らずにきちんと作成をされるといったようなポイントは大変大事な指摘だと思いますので、そうしたことを踏まえて、より情報公開が推進されるように考えていきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
最後に大変いい御答弁をいただいて、ありがとうございました。
ただ、大臣、総務省の中に設置されております審議会等でも、発言者名のない議事要旨のみの審議会が大変多いです。議事録も公開されていないところもあります。そこのところをぜひ一回チェックをしていただいて、まずは身内からということでやっていただければと強く要望して、質問を終わります。