■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
通告はしてありますけれども、その前に、昨日から問題になっておりますいわゆる道路特定財源の暫定税率、この延長問題について総理の見解を伺いたいと思います。
昨日から与野党の間で協議が行われて、どうも与党の方からつなぎ法案なるものが出てくる。これはもうとんでもないことだと私も思っております。予算の審議が始まる前に、その予算の関連法案が通らないかもしれないということで、予算関連に係る法案、いわゆるつなぎ法案が出てくるというのは、予算の審議を封じ込めるものではないか。これは、あってはならないこと、まさに国会の権利を損なうものであり、総理としても、この点、ぜひ与党の側に提出しないようにということを言っていただきたいのですが、総理はどういう御意見ですか。
■福田内閣総理大臣
今、予算及び予算関連法案の取り扱いについて与野党で協議しているわけですね。それは、結局何かといったらば、国民生活に影響を与えないような形で審議が進まないかどうか、この一点について議論をされているというように伺っておりますので、それはどういう結果になるかわかりませんけれども、私としては、ぜひ話し合いによって解決が図られればいいな、こう思っております。
■西村(智)委員
話し合いについて解決が図られればいいというのは、それは、総理、人ごとですよ、ほったらかしにしているということです。
それは国会の問題と言えるかもしれませんけれども、予算の関連法案は政府が提出しているものです。その審議の前にこの関連法案が出てくるということは、これは国会の歴史を見ても前例がありません。こういったことをやってしまえば、後世に汚点を残すことになってしまう、あしき前例になってしまいますよ、総理。どうですか。
この法律は、本来であれば、議員立法ではなくて、政府が提出すべきものではないかと私は思っています。そうでしょう。予算関連です。そして、政府がなぜこの法律が必要なのかということをきちんと国民に説明して、その理解を得るように努力をする。議員の立法ということであれば、議員が答えるわけですよね。それは政府の答弁ではありません。必ず、将来大きな問題になってきます。政府が提出するおつもりはなかったんでしょうか。
■額賀国務大臣
きのう菅委員が、立法府は国権の最高機関であるというお話をされておりました。予算は内閣に提出権があります。法律は国会の皆さん方がいろいろと提案をして議論されていくことは、国会のルールであります。(発言する者あり)
■西村(智)委員
そんなのは意味のない答弁だと思います。
今、与党の席から、それは議員の立法だから国会の話とは違うんだというような声が聞かれておりますけれども、与党内でも、これは禁じ手だという声が聞かれている。どうなんですか。禁じ手ですよ、これは。
このことが本当に、この後審議をされる、例えばきょうの、何時かわかりませんけれども、午後にでも提出をされる、そして本会議が開かれて採決をされる、そして参議院に送られるということになれば、これは、国会での審議を無視して与党の力だけで何でもできるということになってしまいます。まさに与野党の信義を無視している。審議の封じ込めだと思います。
総理、総理は、薬害肝炎の被害者救済に関して議員立法を与党に指示したと報道されております。ぜひ、この点、与党の側に、議員立法をしない、提出をしないという指示をすべきだと思いますが、どうでしょうか。このまま総理が放置をすれば、総理が与党の側に議員立法をやらせているというふうになってしまいますよ。どうでしょう。
■福田内閣総理大臣
今、国会の運営上のことで話し合いをしている最中です。そして、どういうようなことを考えているか、その中身について私どもは承知しておりません。ですから、それは、国会運営を上手にやっていただきたい、そして、少なくとも、国民生活に心配を与えるような、そういうような事態にならないようなことをしていただく、これが私どもの考え。そのために、与党の方でいろいろ工夫をして、またいろいろな話し合いをしている、こういうふうに思いますので、また、与党からこの運営については任せてほしいというような話も伺っておりますので、そういうことで、私は、何とか話し合いが決着するように、そう願っておるところでございます。
■西村(智)委員
与野党で話し合いが行われているということであれば、これは総理、リーダーシップは一体どうなるんですか。完全にほったらかしということですよね。少なくとも、これだけ大きな問題になっている道路特定財源の暫定税率、総理の何らかの意思が示されるべきではないでしょうか、このつなぎ法案に関して。もう一度伺います。
■福田内閣総理大臣
私の意思は、何しろこの法案が三月末までに、年度内に成立をする、そして国民生活に影響を与えない、心配をかけないということでございまして、それ以外ございません。
■西村(智)委員
つなぎ法案について何の見解も総理は持っていない。ということは、総理はこのつなぎ法案を容認している、認めている、進めているというふうに見なければなりません。
総理は、与党の、自民党の総裁です。ですから、与党に対して物を言うことはできるはずです。それは総理大臣としてここにお座りになっていらっしゃるかもしれませんけれども、では、薬害肝炎は何で議員立法を指示できたんですか。そこのところ、説明がつかないじゃないですか。都合のいいときの使い分けです。どうでしょうか、総理。
■福田内閣総理大臣
私は、今ここでは行政の長として立って答弁しているんですよ。薬害肝炎のときは与党の総裁でありますよ。与党の総裁として与党の幹事長に検討をお願いした、こういうことでありまして、今は、与党の総裁であるかもしれぬけれども、しかし、ここに立っているのは総理大臣として立って答弁しているんですから、ひとつそれはきちんとわきまえるということは必要なんじゃないでしょうか。
■西村(智)委員
それでは、与党の、自民党の総裁としてお伺いをいたします。
この法案は、予算関連の質疑が始まる前に提出をされる議員立法であるとすれば、それはまさに、国会の歴史上初のあしき前例になる危険性のある極めて問題のある法案、立法になると思いますけれども、その点について、総裁はどうお考えですか。
■福田内閣総理大臣
議員立法、議員立法とおっしゃるけれども、私は、その議員立法の中身も承知しておりませんし、それを実際に出すか出さないか、そんなことも承知していないんですよ。それは、今まさに、話し合いの結果ということでしょう。だから、そういうことにならぬように話し合いに応じてほしいということですよ。
■西村(智)委員
話し合いに応じるかどうかの前に、私は、この道路特定財源の暫定税率の問題点をまずきちんと国民の前に明らかにすることが必要だと考えております。
総理は今、中身も知らないとおっしゃいましたけれども、これほどまでに報道もされていまして、私たち野党の側にもちらちらとその中身については伝わってまいります。それを総裁が知らないというはずはないんじゃないですか。知っていますよね。この点については、総理、本当に無責任な態度きわまりないと思っております。このことは国会の審議上にも大きな影響を与えると思っておりますが、総理もその点重々御覚悟の上、今後の行動をとっていただきたいと強く要望いたします。
そこで、この道路特定財源の暫定税率、中身について伺いたいと思うんですけれども、総理はこのところ、地球温暖化対策としてこの道路特定財源の暫定税率の維持が必要だというふうに論調を少し変えておられるようです。
ただ、この道路整備費の財源等の特例に関する法律、いわゆるこの関連法ですけれども、ここの第一条に目的が記載されておりますが、ここには地球温暖化対策という文言は一言も書かれておりません。本当に、国会審議に合わせてこの暫定税率を延長するんだ、そういう御意思であれば、こちらの法律の方も目的を改正する必要があるんじゃないですか。それが出ていないのはどうしてでしょうか。
■福田内閣総理大臣
もう何度も答弁していることなんですけれども、地球温暖化のためというか、地球温暖化に役に立つ部分があるわけですよね。それは、昔あったでしょう、東京で、新宿区の柳町で、交差点でもって渋滞があって、そしてあの近辺が、住民が何か公害ぜんそくになってしまったといったようなこともございました。一つの例として申し上げれば、そういうようなことを防ぐような取り組みも道路整備の中で行われているということであります。
こういうようなことについては以前から指摘されていることでありまして、三年前の政府・与党の合意でもって、地球温暖化という言葉が、環境問題という、環境対応というふうなことも書かれておりまして、そういうことをもとにして何回か予算審議の中で御議論いただいたと思っております。
そういうことで、地球温暖化もしくは環境対策ということが全く考慮されていない、今度新しく言われた、そういうことでは全くないんですよ。私も今までと同じような考え方をしているということです。
■西村(智)委員
全く新しいことじゃないとおっしゃるんですけれども、どうも理解できないんですね。
国土交通省の方は、これは道路をつくり続けるためにとおっしゃっていますし、総理の方の、地球温暖化対策として道路の整備が必要だというようなお話も、私が記憶している限り、比較的最近だったと思うんですね。ずっと前から配慮してやってきたということは、それはそうだろうと思います。私も、そのようなことで予算づけの説明があったことも記憶をしております。
ですけれども、かつて附属的に、ついでの話として説明されてきたことを、今、ことしのサミットがあるから温暖化が非常に注目をされている、ここに乗っければ国民の皆さんの理解も得やすいかもしれないということで、あたかも取ってつけたがように目的化していくというのは、これは本当にまやかしじゃないかと思うんですね。本当に地球温暖化対策としてやるのであれば、国土交通省の予算ではなくて、環境省の予算でやるべきではないんでしょうか。どうでしょうか。
■額賀国務大臣
これは、政府・与党としては、小泉内閣のときに、道路特定財源を見直しして一般財源化を図ろうという考え方をお示ししたわけです。そのときに環境問題等々にも触れてあるわけであります。
実際問題として、自動車が通ればCO2を排出していくわけでございますから、それを削減していくために渋滞を解消したり円滑に道路交通をしていくことを考えていくことは、当然のことであります。
と同時に、きのうも説明がありましたけれども、OECDでは燃料にかかる税金を対象にして、環境対策に熱心であるかどうかということの一つの判断の基準にしております。そういう意味から、ガソリンに対する、燃料に対する税金はどういう程度であるかということが各国の評価の目印にもなっていることですから、環境問題と無関係ではないということになるわけであります。
■西村(智)委員
いや本当に、各国から温暖化対策を求められているから道路をつくるんだというふうにおっしゃっているように私には聞こえるんですね。ちょっと矛盾していると思いますね。
私は、この点もう少し、目的はきちんと明確に政府の方でよくよく整理をしていただいて出し直していただかなければならない、内閣の答弁もぜひ整理をし直していただきたいと思います。
きのう、国土交通大臣からパネルを出していただいての説明がありました。私はきょう、資料として最後のページにつけさせていただいているんですけれども、きのう、黄色い色のパネルでしたね。
これを見せられましたら、欠かすことのできない取り組みということで、救急病院へ行く生活道路の整備に始まって、いろいろ書いてある。国民に向かって説明をした資料でありますので、きちんとこの裏づけの数字や項目なりがあるのではないかと思いまして、国土交通省にきのうから、この項目と額について出していただきたいというふうに要求をしておりました。そうしたら、何と出てきた資料は、道路中期計画をそっくりそのままコピーしたものが丸々出てきまして、本当にこれで説明ができるのか、つくのかというふうに私は唖然といたしたんですけれども、この道路中期計画そのものも、非常にずさんなやり方で見積もられていると私は考えております。
例えば、救急病院へ行く生活道路の整備というものですけれども、これ、どこなのか示されていないわけです。ただ文章として抽象的にこう書かれているだけでして、まあ、この救急病院へ行く生活道路の整備が必要だと言われれば、それは私も必要だろうなと思いますよ。
先日、公明党の委員がドクターヘリなどというお話をされていました。ドクターヘリの整備も大事なことだと思いますし、救急病院が、そこに勤務する医師が一割減ったと言われれば、お医者さんの確保も必要だというふうに考えつつも、救急病院へ行く生活道路の整備が必要だと言われると、それはやはり、だめとは言いづらいわけですよ。言えないわけですよ。そのためのお金だったら私も払いたいと思います。
さてそこで、では、一体どこなんだろうというふうに考えますと、この中期計画、十年間の中期計画に全く書かれていないんですね。そういうことになりますと、どこにそれをつくるのか示されないうちにこれから十年間ものお金の請求を、今、きょうとかあすとかいうタイミングで回されるというのは、本当にこれはいかがなものかと思うんですけれども、大臣、ぜひ国民にわかりやすい説明をしていただきたいと思うんです。中期計画には書いてありません、そのことは。どうですか。
■冬柴国務大臣
私に対する通告はございませんけれども、まあしかし、予算委員会ですから。
今、中期計画をお持ちのようでございますが、六十二ページ、六十三ページを見ていただきますと、そこには、各県ごとに何カ所の渋滞箇所とか、それは詳しく書かれてあります。そして、それについて、後ろには各県ごとの、まるで人体の毛細血管のような道路まで書かれてあります。これはすべて我々検証したものでございます。そして、そこに書かれている渋滞箇所、そういうものも全部ありますので、詳細にお読みいただきたいと思います。
■西村(智)委員
詳細に読みました。ですけれども、救急病院へ行く生活道路というのは一体この中でどこなのか。この図、毛細血管のようにその張りめぐらされている道路網の図が、私のところもありました、都道府県別でずらっと全部出ています。ですけれども、救急病院へ行く生活道路というのがどこなのか、これははっきりと出ていないんですね。深刻な渋滞対策ということで、この図を見ますと、では、全部これ、渋滞対策するのかなというふうに考えましたら、そうじゃないんですね。このうち三分の一程度しか箇所づけを行わない。これ、非常にこんなあいまいな計画で、果たしてこれからも十年間、道路特定財源、暫定税率が続けられるのかどうか。
各自治体の首長さんたちが、千八百名余りですか、直筆のサインを持ってこられたそうでございます。きのう菅委員の議論にもありましたとおり、首長さんたちが、今後の予算編成、ちょうど今予算の審議がこれから始まるという時期ですから、サインをして政府・与党の方針に沿った行動をするというのは、私もこれは、まあそうだろうというふうに思います。でも、一般ユーザーがどう考えているかということです。
政府はこの間余り説明はされませんですけれども、実は、自動車の業界、それから石油の業界、あるいはユーザー団体などから道路中期計画に抗議をする声明文が出ておりますよね。確認をいたしましたら、一千万人を超える署名が、要するに、この道路中期計画に沿って暫定税率を十年も延長されるのはたまらない、そういう署名が一千万人を超えて集められ、自民党と財務省とそれから国土交通省に提出をされていると聞いております。
このことはなかなか表ざたにはならないんですけれども、私はここに大変大きな問題があると思っていまして、確かに、道路に使ってくれという御意見もあったようなんです。ところが、問題は、道路特定財源が道路以外のものにも使われているということなんです。
きのう、細野委員の質疑にもありました。レクリエーションのボールですか、グローブですか、何かああいうのを買っているという話でして、私も、直轄事業の約二兆八百億円でしょうか、その内訳がどうなっているのかということを知りたいと思いまして、国土交通省の方に、道路以外、いわゆる道路行政費以外で一体どのくらいの項目が、あるいは額がそれ以外のものに使われているのかということで、ずっと資料請求してまいりました。きのう、夜まで待ちました。待ったんですけれども、出てきませんでした。これは、ぜひきちんと出していただきたい。
道路特定財源という名目で税金を集めておきながら道路以外のものに使っているのであるとすれば、それをきちんとこの審議の場に出して明らかにした上で議論を進めるべきだと考えますけれども、資料は一体どこにあるんでしょうか。
■冬柴国務大臣
予算の中にきちっと書いてあります。したがいまして、道路整備費として整理されております。その中にはもちろん、道路整備に従事する一万三百名以上の従業員に対する公務員宿舎の手当て、そういうものもあります。それから、今までは、いわゆる国家公務員法に定められる、その人たちに対する厚生経費としてのそのようなレクリエーションという費用がありました。
しかしながら、このような原油価格高騰の中でこの延長をお願いするということにかんがみまして、決して違法な計上ではないと思いますけれども、国民から不快感を持たれるような費目については自粛をしようということで、そのことを明らかにしたわけでございます。
公務員宿舎につきましても、これについて新たなものを、これは未来永劫とは申せませんけれども、働く人たちがそこで暮らす住宅の手当てなので、国家公務員宿舎法にもそういうものはきちっと手当てしなさいということが書かれているわけでございまして、しかしながら、そういうものにつきましても自粛をしようということでございます。御理解をいただきたいと思います。
■西村(智)委員
ということは、確認ですけれども、道路特定財源で集められている税金の中から、道路行政費、道路の事業費と申しますか、道路をつくるために使われているお金以外に支出されているお金もあるということですか。
■冬柴国務大臣
道路整備費そのものでございます。二万二千キロメートルに及ぶ国管理の国道、そういうものについての維持管理、あるいはそれに対する拡幅あるいは改善作業、そういうものに専属して従事している従業員の話でございますから、それは道路整備そのものでございまして、これは国土交通省だけではなしに、あらゆるところでそういうことは行われておると思います。
■西村(智)委員
そうしたら、きのう大臣が御説明になったこういうパネルにも、そういうものがきちんと含まれていますというふうに書いて御説明すべきだったのではありませんか。これを見ればみんな、例えば、生活道路をつくるための工事費とか、渋滞を緩和するための信号の設置だとか、ガードレールをつくるためのお金などというふうに考えますよ。そこはきちんと費目別に出すべきだと思いますけれども、それはいつごろまでに出していただけるんでしょうか。私はずっと請求をしております。
■冬柴国務大臣
道路整備をするために企画立案、執行、そして監督したりする費用そのものでございまして、これは道路整備費用そのものではないでしょうか。そういうことでございます。
■西村(智)委員
ぜひそれは早く出していただきたいんです。理事会の方からも請求があったと思いますが、理事会の方にも報告はないようです。ぜひ早く出してください。つなぎ法案がきょう夕方出てきてしまったら、これはもう、なし崩しですよ。わからないうちにまた通っちゃう。
そしてもう一つは、国民は、このパネルを見れば、人件費が入っているとか、あるいはレクリエーションのボール代とかグローブ代が入っているなんてだれも思いませんよ。国民の理解と国会でのあるいは内閣での法律上の運用の話とそごがあるというのであれば、これはまた国民に誤解を与えたままこの暫定税率が延長されることになってしまう。きちんとそこは説明すべきだ、それは提出者としての責任だと思いますけれども、どうでしょうか。
■冬柴国務大臣
理事会で協議をいただきまして、そして、整理してどういうものを出したらいいのか、そういうことを国会として我々に指示をいただけましたらありがたいと思います。
■西村(智)委員
これは、昨日質問をいたしました細野委員からお借りをしている資料です。
直轄事業費の内訳といたしまして、工事費が一兆九千五百億、調査費三百十七億、ここまでは現場の道路行政費として私もそうだろうなと思います。それから、人件費が八百三十億、事務費が九十六億。この人件費の八百三十億と事務費の九十六億、これははっきり言って組織の維持費である。こういったものを全部ミックスしたまま、ごちゃごちゃのうちにこの道路特定財源の話を審議するというのは、これは私は、やはり提出者としてはあってはならないことだと思います。
ぜひ、早く資料を出していただいて、そしてその上で徹底した審議をやるべきだ、このように考えております。(発言する者あり)昼、出すんですね。
さて、それでは、時間も時間になってまいりましたので、補正予算そのものの審議に入りたいと思います。
つまり、なぜこういう話をしているかというと、補正予算の審議を今やっている最中につなぎ法案などという話が出てくるから、せざるを得ないんですよ、ここは。来年度予算の審議の前につなぎ予算の法案が出てくるとかいうふうにおっしゃっているから、補正予算の審議も非常に重要だけれども、こういう話を少しさせていただいたわけなんです。
さて、それでは、補正予算のあり方などについてから伺っていきたいと思います。
きょうの資料で、一枚目「財政法」、それからその二枚目に、これは財務省の主計局が作成されたそうなんですけれども、「執務参考資料(用語の解説)」というものがついております。
そもそも補正予算は、大体通常国会の冒頭に議論されるんですけれども、財政法第二十九条では、「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出」、括弧は省きますが、「又は債務の負担を行なうため必要な予算の追加を行なう場合」などというふうに書かれておりまして、言ってみれば、緊要性、緊急性、これがその大きな特徴の一つなんだろう。逆に言えば、緊要、緊急性がなければ補正予算としては組むべきではないというふうに私は考えるわけです。
ところが、本当にこれが補正予算として上がるのが妥当なのかどうかと疑わしい項目が幾つかあります。
それは何かと申しますと、二枚目以降についている資料なんですけれども、まず総理に一点お伺いいたしたいんですが、この緊急性あるいは緊要性について、補正予算を組まれるときに、総理はどういうお考えでこの緊要性、緊急性というものをとらえられているのか。財政法などではかなり限定的に解されているというふうに私は理解するんですが、総理はいかがでしょうか。
■額賀国務大臣
これは、西村委員がおっしゃるように、この最初に書いてあるように、予算作成後に生じた事由に基づいて特に緊要となった経費の支出等について出しているわけでございまして、当初予算の作業の後に、作成した後に、さまざまな事情の変化、災害が起こったり、そういうことを踏まえて私たちは補正予算を組ませていただいたわけであります。
しかし、財務省、政府としては、補正予算を組む場合も、やはり財政の基本的な原則である財政健全化ということは崩さないということから、公債の増発は行わないという中で、この緊急性に伴う予算措置をさせていただいたということです。
■西村(智)委員
公債の増発は行われておりません。ですけれども、それをもって財政規律が維持されているとはとても言えないのではないかと私は思います。
資料の三枚目を見ていただきたいんですけれども、行刑施設等整備費ですね。これは法務省からいただいた資料なんですが、本予算の要求額として、例えば平成十九年度、今年度ですと二百九億円要求をされている。ところが、本予算でついているのは百十二億であった。そして、補正予算で百十一。これは、足すとちょうど二百をちょっと上回るぐらいなんですね。
ずっと振り返ってみますと、もっとひどい年がありまして、平成十三年度から平成十八年度ぐらいまで、本予算よりも補正予算の方が多いんですよ。本当に緊急性でこういうことをやっているとしても、補正予算が本予算を上回るということが余りにも続き過ぎている。本当にこれは常態化しているんですね、こういう状態が。つまり、プラスの補正が行われるということを前提にして本予算を策定しているのではないかと思われるところがあるんです。
これは、このところ、骨太の方針などで歳出歳入一体改革、ずっと歳出の削減ということも言われておりまして、恐らく各担当の方は予算編成に相当苦慮されていると思うんです。しかし、それだからといって、こういうプラス補正を前提としたような予算組みが常態化しているというのは問題があるんじゃないか、こういうふうに考えますけれども、法務大臣、いかがでしょうか。
■鳩山国務大臣
基本的には、やはり犯罪が平成十四年ぐらいに向かってがあっとふえていって、結局、拘置所あるいは刑務所で処遇しなければならない人の数がふえていった。それが刑務所の過剰収容問題となっていくわけで、その趨勢の中でこういうふうな数字が並んでいるんだろう。
つまり、当初、ことしはどれくらい。変な話ですが、刑務所でも出と入りと両方あるわけですね。要するに、入りが多くて出が少なくて、だんだんふえていったわけですよ。それが予想を上回っておりましたから、結局、補正予算でふやさないとあふれちゃう、こういうことでございます。
ただ、平成十五、六年度からは、特定の処遇をしなければいけない人の、変な言い方ですけれども、需要がふえてきたわけですね。平成十九年の場合、ことしの百十一億というのは明確でございまして、高齢者、六十歳以上が高齢受刑者というんですが、元気な人はいっぱいいますが、その中で格別に要介護に近いような者、面倒を見なくちゃいけない人が予想より三百人ぐらい多くなってしまったので、こういうお願いをした。
しかも、今度、刑務所のバリアフリー化を進めるわけですね。そうなりますと、各刑務所にそういう介護が必要な人たちがぽろぽろといるとかえって効率が悪いから、大分と高松と広島の三カ所に格別にそういう介護の必要な方々を集めるというようなことで、これも緊急性あり、こういうことであります。
なお、耐震能力が低いので、北九州の医療刑務所、この緊急性もお認めをいただいて予算を認めていただいております。
■西村(智)委員
今、伺いますと、高齢者用のバリアフリー化だとか耐震だとかということが含まれているということですけれども、それは急に受刑者がわっとふえた話じゃなくて、高齢者の方というのは、だんだん年をとっていくわけですから、わかるわけですよね。そうしますと、それは本予算で本来やるべき話。耐震化などというのも本来はそうだと私は思います。きのうまで頑丈だった建物がきょういきなり耐震度が低くなるなどということはないわけですから、やはりそういう見積もりをきちんとした上で本予算を組むべきだ。
ですから、ここは財政規律の話に直結してくる話だと思います。こういう、本予算と補正予算とを足してちょうどいいみたいな、そういう発想での予算編成はぜひ今後やめていただきたい。そこは強く要望したいんです。
あわせて、合併市町村の補助金についてなんですが、資料の次のページを見ていただきたいと思います。
市町村合併は、このところ、国のいわゆるあめとむちでかなり強力に推進されてきた。合併しない小規模自治体は交付税の減額がされるという「むち」と、合併すれば特例交付金などでお金が行くという「あめ」とで進められてきた市町村合併です。政府の方針としては、合併をこうやって推進しているということですので、ある程度の合併が行われるだろうということは、ごく当然に織り込み済みの話なんだろうと思うんですね。
ところが、この市町村合併の補助金についても、先ほどの行刑施設の補正と同じように、当初予算よりも補正予算の方が多いとか、あるいは、今年度もそうなんですが、五十八億円が当初予算、補正予算が四十二億、足して概算要求額を上回るぐらい、こういうようなことが、こちらもやはり常態化しているのではないかというふうに考えております。
ここのところも、歳出歳入一体改革のところで、本予算の編成のときに切り抜けなくちゃならないということで、本予算の編成時にみんなが考えて、それで出された知恵といえば知恵ですけれども、やはり、悪知恵だと思うんですね、これは。財政規律をきちんと維持するというために、ここはやはりきちんと本予算でやるべき性質のものだったんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
■増田国務大臣
お答え申し上げます。
この合併補助金ですけれども、これは、合併後のまちづくりや一体感の醸成のために行う事業に対して補助するというものなんです。十四年から計上してございますけれども、やはり、合併自体が非常にデリケートな問題なものですから、当該年度にどの程度の市町村合併が行われるかということは見通しが立てづらい。ことしは全国で百市町村行われるとか、そういったようなことが非常に立てづらいということがございます。
それと、あと、合併した後も、先ほど言いましたような、事業に充当する補助金でございますが、そうした事業の内容がまた合併した後いろいろと見直しをされるといったようなこともございますので、もちろん財政規律を確立するという観点も大事でございますが、できるだけ実態に合わせて、当該年度年度ごとに予算を計上させていただきました。
それから、ことし、十九年につきましては、五十八億と四十二億ということでございますが、これは特に、昨年に財政健全化法が成立をして、それによりまして、財政力が弱い合併市町村で地方債を発行するということがなかなか難しくもなってきているんですが、今、十九年からのこの合併の補助金が、起債を中心として、起債で基金を積み立てて、それの償還に補助金を充てるという仕組みをつくったんですが、それとの関係で、やはり起債よりも現金で本年度交付をしてほしいという市町村からの御要望もございました。
この点については、でき得る限り、私どもも市町村の要望を生かしたいというふうに考えておりまして、この点、ぜひ御理解を賜ればと、このように考えております。
■西村(智)委員
私は、ここのところをちゃんと、総務省が合併を推進してきているわけですから、市町村からの要望があるとか何だとかといろいろ細かい御説明はいただいたんですけれども、そこは、国がきちんとその方針を示して、それにのっとって自治体が合併を推進してきているので、そこはきちんと当初の見積もりでやはり上げるべきだ。
これは、今の説明を伺ってもきちんと理解できないんですね、私。つまり、何かというと、やはりシーリングがかかっていて、そこを超えないようにということで組んだ予算であり、足りない分は、総務省と財務省の方でどういう話があるのかわかりませんけれども、足りない方は補正でよろしくお願いしますよなどという話があってこういうふうにやられているのであるとすれば、それはもう本当に財政規律の根本にかかわる問題だと思っていますので、ぜひそこのところは注意していただきたい。
もちろん、新年度の予算案の編成のところでも私たちはその点をよくチェックをしていきますし、来年度の補正のときにも、同様にそこのところは確認をさせていただくことになると思っております。
本来、補正予算で組むべきものというのは、やはり緊要性のもの。例えば災害対策、私は新潟ですので、本当に災害対策などでは必要な経費もあります。そういったものだけで行われるものだと思っておりますので、この辺はぜひ今後とも留意していただきたい、強く要望いたします。
ちょっと時間がなくなってまいりましたが、次の高齢者医療制度の円滑導入費について伺いたいと思っています。これはちょっと視点の違う話です。
高齢者医療制度の円滑導入費、これはきのう高橋委員と阿部委員の方からも議論がありましたけれども、そもそも私たちもこの制度に反対をしております。しかし、与党の方が強行採決までされて決めた制度だということがあり、そしてまた、その制度の導入時に、一部高齢者、昨日の阿部委員の説明資料でいいますと、一番左の枠の方々に対しては、制度加入後二年間の軽減措置が決まっていたはずです。
今回、この高齢者医療制度円滑導入費に関して、激変緩和を行うということで保険料のさらなる減免が決定されたわけですけれども、既に軽減措置が講じられることになっていた制度です。なぜ、さらに激変緩和措置が必要なのでしょうか。
■舛添国務大臣
今委員おっしゃったように、高齢者に過大な負担とならないように配慮をしようということで措置をとっておりましたけれども、それに加えまして、先ほどこの高齢者医療制度の理念、目的、そういうことについては御説明したとおりでございますので、その新しい医療制度を円滑に実施するために、この高齢者の方々の置かれている状況について配慮して、より一層きめ細かい対応をとりたい、そういう必要性があるということで激変緩和措置が取りまとめられたわけであります。
そういう与党の取りまとめを踏まえまして、政府といたしましても、激変緩和措置を講じて制度をさらに円滑に実施していきたい、そういうふうに思っております。
■西村(智)委員
より一層の激変緩和が必要だと判断した理由は何ですか。
■舛添国務大臣
既にお答えいたしましたように、高齢者の方々の今置かれている状況というものを配慮して、より一層細かな激変緩和措置をやるということを与党において決められたということであります。
■西村(智)委員
高齢者が置かれている状況というのは、この高齢者医療制度の制度導入時、法案を採決したときにもわかっていたはずのことではないかと思います。
では、そのとき高齢者の置かれている状況がわからなくて、そして、与党PTがある日突然この高齢者の置かれている状況に気がついて、より一層の激変緩和が必要だというふうに判断したんでしょうか。
私は、そうじゃないと思うんですね。高齢者の置かれている状況というのは、この法案を採決したときから今に至って、急激な変化というのはないと思います。当然、置かれている状況は楽ではない。これで医療保険料が取られるということになればさらなる負担増というところで、私たちはこの制度導入に反対をしてきました。しかし、強行採決をしてまで通した理由、これは振り返ってみてもよくわからないんです。
今になって激変緩和が必要だという、そういう激変的な政策をどうして強行採決してまで通したのか、これが一点、非常に不可解なのと、また、もう四月から、これは施行が目の前だという状況になっていたものです。なぜこの直前に方針転換をしたんですか。明快に答えてください。
■舛添国務大臣
まず、この後期高齢者の医療制度を含めて、先ほど申し上げましたように、国民皆保険という現行の状況を守っていって、きちんとした持続可能な医療制度を守っていく、そして、高齢の方々は心身とも若者とは違いますから、きめの細かい対応をやっていく、そういう目的で、これは一日も早く実現させるべきだ、そういうことで行ったわけであります。
しかし、例えば、七十歳から七十四歳までの窓口負担の一割から二割への引き上げとかその他について、これは与党の皆さん方が、過渡期において、この制度が定着するまでの間にやはりきめの細かい配慮をしてあげないといけない、そういう思いでお決めになったことでございます。
それを踏まえまして、厚生労働省としてもそういう激変緩和の措置をとった、こういう次第であります。
■西村(智)委員
いや、それは、過渡期なのは、ずっとそうなんですよ。これは単なる負担の先送りでしょう、高齢者の皆さんにとっては。制度そのものがなくなるというわけではなくて、本当に制度をなくすのであれば、それは与党PTが言うように、高齢者の置かれている現状をきちんと理解した上での措置だというふうに言えますけれども、これは高齢者の皆さんにとっては単なる負担の先送り。
そしてまた、これもまた骨太方針の二〇〇六で示されていることですけれども、社会保障費を五年間にわたって一・一兆円削減する、こういうことも示されておりますけれども、この中で、例えば、世代間の負担を先送りしない、次の世代には負担のツケ回しをしないということも示されているんです。
そういったことをもろもろ考えてみますと、どうも導入直前の方針転換というのは、やはり、私たち民主党がずっとこの制度の導入について疑義を唱えてきたからであり、参議院選挙で負けた後に、与党の中で、この高齢者医療制度が評判が悪いようだから一定程度見直そうということになったのではないか。すなわち、いわゆる選挙対策的に極めて短期間のものとして導入されただけで、本当の意味で高齢者の置かれている状況を勘案して決めたものではないし、制度そのもののあり方について見直すものでもないというふうに見ざるを得ないんです。
そこのところについては、どうお考えですか。
■舛添国務大臣
日本国民は高齢者ばかりではありません。若者もおります。この世代間の公平な負担ということを、全体を考えてこの制度設計をやる必要があると私は考えております。
例えば介護保険について、今四十歳からですけれども、二十から保険料を払わせてはどうかというような意見もありますけれども、そうすると、若い人に対しての負担が重くなる。そういうふうに、少子高齢化が進む中で、高齢者と若者との間の負担の公平化、こういう観点を入れておりますから、今委員は高齢者という視点を強調されましたけれども、私は、若者も高齢者もすべての世代を公平に、こういう立場からこの制度設計をやっているということをお話ししておきたいと思います。
■西村(智)委員
ある意味では、今の世代といいますか、若い世代に対する方針転換でもあるわけですよね。大臣がおっしゃったとおりです。世代間の負担の先送りはしないということで導入をされたはずなのに、ことし、本当に施行直前になって見送りをするといった、これはやはり朝令暮改だと思います。
こういう朝令暮改はこの高齢者の医療制度に関することだけではなくて、農業政策も民主党の政策の方に政府も寄ってきたなと感じるんです、緊急対策ですね。しかし、こういった朝令暮改をやられ続けますと、政府に対する信頼はより一層失われていくことになると思います。
道路特定財源の話も、私たちが要求している資料をきちんとそろえていただいて、その上で改めてもう一度議論をさせていただきたい。くれぐれも、つなぎ法案なるものが提出をされて、政府からの説明が一言もないうちに暫定税率がまた十年間も延びることがないように強く要望いたしまして、私の質問を終わります。