■福岡委員
自由民主党の福岡資麿と申します。
まず初めに、民主党提出の児童扶養手当法の一部を改正する法案について話を聞かせていただきたいというふうに思います。
まず、私の周りにも、今、離婚家庭とかが増加していますから、同級生とかでも母子家庭とかがたくさんありますし、先般、母子家庭の方々と生活実態についてお話を聞く機会をいただきました。そういった中で本当に厳しい生活をしていらっしゃるんですね。
平成十八年の調査によると、母子家庭の平均年収が二百十三万円、これは全世帯の平均の三七・八%ということでございまして、平均の四割にも満たないというような状況であります。この数字にあらわされますように、生の声を聞いてみると、子育てをしながら本当に一生懸命働いていらっしゃるにもかかわらず、所得は低くて、まさに肉体的にも、そして精神的にも、経済的にも大変つらい立場に置かれているというのが現状だというふうに思っています。そういった現状を踏まえて環境改善に努めていかなければいけない、このことについては与党も野党も同じ認識のもとに立っているということをまず確認をさせていただきたいというふうに思います。
その上でお聞きしたいんですけれども、平成十四年に母子及び寡婦福祉法の改正が行われた際に、それまでは児童扶養手当中心の施策であったのを、就業、自立に向けた総合的支援ということで、大幅にかじを切っていったわけであります。そして、国としてもしっかりとそういった自立の支援を行いながら、自立が図られたのであれば、支給後五年後を目途として、二分の一を超えない範囲で支給を停止しようということが定められたわけであります。
今回、与党の措置としては、まだまだ十分自立が図れていないという現状を踏まえて、支給停止を行わないということを決定したわけなんですけれども、民主党さんの案でいうと、支給停止ということをそもそも外してしまうということを決められたわけでして、そうすると、この平成十四年の法改正の趣旨である自立の促進という部分に対して、民主党は否定された、もしくはもうあきらめられたのではないかととらえられても仕方がないのではないかというふうに思うわけなんですけれども、その点についてまず御見解をお聞かせいただきたいと思います。
■西村(智)議員
福岡委員にお答えいたします。
福岡委員も母子家庭の皆さんと意見交換をされて、その現状把握に努めておられるということ、まず敬意を表したいと思います。
おっしゃるように、まだ母子家庭の現状は大変厳しいものがございます。それは私も意識は共有していますけれども、結論から申し上げまして、自立を促進したいというその考えは基本的には今回の法案をもっても変えてはおりません。しかし、多くの母子家庭の皆さんが、大変厳しい就業状況の中で、いつ母子家庭に対する児童扶養手当が削減されるかという不安の中で生活をしておられることもこれまた事実でありまして、そういった不安を軽減し、しっかりと就労に向けてのトレーニングなどを行っていただいた上で、確実に就職まで結びつけていただけるような、そういう環境整備、経済支援は、これはやはり就労支援とセットで行われなければならないと私たちは考えておりますので、今回、その規定の削除の法案を提出しているところでございます。
諸外国では母子家庭の就労率が低いために、母子家庭の就労率アップが課題となっておりますけれども、日本では既に八五%の母親が働いております。母子家庭の母は、それぞれ懸命になって自立に向けて努力をしているにもかかわらず、就労実態は、先ほど福岡委員御指摘のとおり、年収は平均世帯の約四割ということで、依然として経済的自立にはほど遠いという状況でございます。
二〇〇二年の法改正時には、この児童扶養手当の減額規定に対して、与野党問わず、その趣旨と妥当性について厳しい追及がなされており、また全国の母子家庭の母からも不安の声が上がっておりました。
この規定は、政府の自立支援策等によって母子家庭の自立が図られて、経済的支援が不要になることを前提に規定されていましたが、働く母子家庭の母にとって現実は非常に厳しい状況にあります。結局、二〇〇二年の法改正から五年たっても状況は改善されておりません。
こういう母子家庭に対しては、経済支援にプラスして就労支援が必要だということは有識者の方も指摘をしておられまして、また母子家庭には、DV被害によって精神的や肉体的にも働くことが難しいケースもあります。それぞれに置かれている状況を把握しないまま、最初に削減ありきという姿勢が問題だと私たちは考えております。
二〇〇二年の改正時に、民主党の主張によりまして、就労支援をきちんと行うことが附帯決議に盛り込まれました。しかし、その就労支援が成果を上げていない現状と、当事者の多くの声を聞きまして、民主党は、今回、本法律案を提出した次第です。
母子家庭の母にとって就労支援が必要なことは論をまちません。自立の一助となる就労支援も当然にしっかりと行っていくべきであると考えております。以上です。
■福岡委員
ありがとうございます。
今後もいろいろ質問したいことがありますので、なるべく答弁は簡潔にしていただきたいというふうに思います。
今聞いていて思いましたのは、鶏が先か卵が先かではないんですけれども、やはり就労支援を促進する、それが実現した暁には支給停止もするということを残しておくということが、社会的にもそういった就労支援に向けて一致団結して取り組んでいこうということをあらわすことになるのではないかというようなことも考えられるわけでして、それが実態としてまだしっかりとした自立が進んでいないというところは認識として一緒でありますけれども、だからといって、今もうそういった支給停止要件を取り下げれば、では、その頑張ろうという意欲に対して、逆に、もうそんなに、これまでどおりでいいのかなと思われてしまうという形にもなりかねない部分というのは私自身として感じるわけでございます。
ここで一つお聞きしたいのは、先ほども、民主党さんとして、自立の促進を図っていくということでありますが、もし、もっと自立が進んで、そして仮に賃金水準ももうどんどん上がってきて、一般の方々と近づいてきたと仮定するのであれば、これはそういった支給停止ということについても民主党さんとしてはあり得るというふうにお考えなのかどうか、お聞きをしたいというふうに思います。
■西村(智)議員
福岡委員は、今母子家庭の置かれている現状を十分把握しておられますし、母子家庭の母が就労などで大変厳しい状況に置かれているということを御存じであろうと思いますので、先ほどの質問はいささか、そういう文脈からいたしますとちょっと理解に苦しむところでありますけれども、やはり今母子家庭が置かれている状況をまずは改善をするということ、これが先ではないかと私は考えております。
まだ男女間の賃金差別、これも大変大きなものがありますし、就職の面接に行っても、母子家庭だからということでそこで切られてしまう例も報告をされております。そういった社会全体での見守りを十分整えられない現状で手当の削減が先に来るのだということは、これは政府の政策の姿勢としては私は誤っているというふうに考えます。
■福岡委員
その点は、確かにおっしゃるように、まだまだ状況としては芳しくないというのは御指摘のとおりだというふうに思っています。
そこで、御承知のとおり、今与党案におきましても、障害や疾病によって就業が困難であるというような特定の事情がないにもかかわらず就業意欲が見られない者以外については、そういった支給停止を行わないというようなことを決めておるわけでございまして、そういった点では、先ほど西村委員がおっしゃったことはすべて担保できているのではないかというふうに思うわけでございます。
民主党さんの案でいうと、特別の事情がないにもかかわらず就業意欲を示さない方に対しても一部支給停止を行わず、すべて手当を支給するということになっていて、自立の促進という意味では、その精神に反するのではないかというふうにも考えられるわけなんですが、この点についてはいかがですか。
■郡議員
御質問ありがとうございます。
先ほど西村議員からも説明がありましたけれども、私たちは、まず母子家庭の就業がしっかりと成り立つという状況には依然ないということを踏まえて、今回この法案を提出させていただいたところです。
大変厳しい状況に置かれておりまして、与党の案というのは、法律はそのままにして、期限のない政省令でごまかしをするというふうにとらえております。母子世帯に煩雑な手続を課してどういう意味があるのだろうかというふうにも思えるところでございます。母子世帯が毎年提出している現況届に加えて、一部支給停止除外事由届け出、これも提出させるということですけれども、この事務手続だけでも大変煩雑なものになって、またこの事務費も大変かかっているというふうに承知しております。
これは、残念ながら、母子世帯、さまざまな事由で就業になかなか結びつかないという状況も、あるレポートでは一一%程度あるというふうなことですけれども、その事由については、本当に探していても就業できない、あるいは、先ほども申し上げましたけれども、DV被害などで夫からの追跡を逃れるために職安にも出向けないという状況などもございます。
こういったことを踏まえて出させていただいているわけで、今、福岡委員からお話がありました、母子世帯が怠けているのではないかというふうにとらえられる、そういうような偏見というものは、ぜひ改めていただきたいというふうに思うところです。
■福岡委員
まず申し上げておきたいのは、私は怠けているとは決して申しておりませんで、大多数の方々は本当に一生懸命やられているわけであります。そういった現状は、先ほど来申していますように、私もずっと目の当たりにしてきておりますし、そういった、私の説明が悪かったらあれですけれども、決して怠けているというような認識を持っているわけではないということは、ぜひ強く申し上げさせていただきたいと思います。(発言する者あり)では、ぜひ撤回をしてください。
■郡議員
大変誤解を招くような言い方があれば、それについてはおわびをしたいと思いますけれども、ただ、現状は、母子家庭は大変厳しい状況にある。福岡委員も先ほど述べられたとおりであります。
こういう状況がなかなか進まない中で、ここで一方的に打ち切ろうということに対して、私どもは、経済支援と就業支援、これは両立であるということを申し上げているんです。このことがなければ、母子家庭の本当の意味での自立というのはなされないということでして、その辺を御理解いただきたいと思います。
■福岡委員
今の御答弁の中で、一方的に打ち切ろうとありましたけれども、与党案を見ていただいてもわかるように、当然、努力をされている方々についてはすべて行くわけでございます。
ここで一つお聞きしたいんですけれども、もし、今回、今の与党の現状ではなくて民主党さんの案になった場合には、追加的な予算としてはどれぐらいかかるというふうに予想されているかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。
■西村(智)議員
お答えをいたしたいと思います。
正直申し上げますと、これは、私どもも政府に聞きたいという気持ちなのでございます。ことし二月の政令で、就労意欲が見られない者についてのみ支給額の二分の一を支給停止することとされ、実質的には、ほぼすべての母子家庭では手当を削減されることはないと思われます。実際、厚生労働省からの説明でも、削減対象となる母子家庭の数については非常にあいまいな説明でありまして、ほとんどないという説明であったり、あってもわずかだという説明であったりいたします。したがって、財源手当ては、政府において、政府の責任でなされているものだと考えます。
また、政府では、児童扶養手当に係る予算として、十九年度予算で千五百五十八億円、二十年度予算では千五百九十三億円を計上しております。昨年秋に、与党PTの合意によって一部削減の凍結が既にその時点で確認をされていますので、政府も財源の手当てを既に行っており、新たに必要となるものではないというふうに考えます。
■福岡委員
今おっしゃいましたとおり、私が聞いている限りでも、現在でも約八五%の方が実際に就業されていらっしゃるわけです。そして、残りの一五%のうちの八割の方は何らかの形で就業の意欲を持ってそういう活動をされているということでございまして、そして、残りの三%の方々についても、先ほど言った障害であったりいろいろな事情によってそういった要件に当てはまらない方がほとんどだというふうに承っております。
ということでいうと、支給される方の対象が変わらないということであれば、与党案ではなくあえて民主党案でなくても、十分、今の状況のまま、そして、自立をより促進していこうという意欲をかき立てるというか、そういうふうな意欲を持っていただくというためにも、私自身は与党案の方がいいのではないかというふうに思っております。
ただ、これはお互い考え方が違うことでありますので、ここは私は、今の与党案の方がいいということを述べまして、次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。
舛添大臣にお伺いしたいんですが、先ほど来、民主党さんの答弁にもあっていますように、これまでも政府はさまざまな努力をしてきましたけれども、まだまだ就業が進んでいなかったり、また、就業されても賃金が十分に上がっていなかったりという現状があるわけでございまして、これに対して、政府としてどういった取り組みを今後強化していくつもりなのかということについてお伺いさせていただきます。
■茂木委員長
ちょっと、大臣の前に、与党案の方がいいということに対して多分言いたいんでしょうから。
西村さん。
■西村(智)議員
委員長の御高配に感謝を申し上げます。
今回、私たちが改正案を提出いたしましたのは、まずは、自立支援ということに向けて、経済支援と就労支援は必ずセットで行われなければいけないという基本的な考えがございます。
また、与党PTの合意によりまして出された政令によって既にカバーできているではないかという御趣旨だと思うんですけれども、実際には、今までどおりの支給額を受けようとすると、母子家庭の母には大変多くの煩雑な手続を経なければ、それはなし得ないのであります。
雇用証明書などというものを雇用主からいただいたり、あるいは障害を持っている人はその様式に沿った診断書を提出しなければならなかったり、あるいは、就業活動をしている人はハローワークなどに行ってその証明をとってきて、毎年八月に既に母子家庭の母は現況届というのを出しておりますけれども、それに加えて一部支給停止事由除外届というのを出さなければなりません。
この煩雑さを新たに母子家庭の母に与えているというのはいかがなものか。そういう目で母子家庭の母が見られているということが、逆に就労意欲を損なうことにならないか、私たちはそこのところを懸念しているのでございます。
また、これに伴って多くの事務費が生じていると言われておりますけれども、この手当てについては、まだ明確な手当てがなされていないと聞いております。そういう煩雑さを除外し、また、本当に母子家庭の母が就労意欲を持っていただけるためには、この規定はやはり除外したいというのが私たちの考えでございます。
■舛添国務大臣
母子家庭の自立支援ということで、先ほども申し上げましたように、平成十五年度から、まず子育て生活支援が一つ、それから二番目が就業支援、それから養育費をきちんと確保する策、これが三番目、そして経済的な支援策ということをやっております。今年度は、特に、大都会は比較的簡単に自立支援センターに行けるんですけれども、小さな町でそれができなかった。これが、実際実施できるように、事実上同じことができるようにいたしました。
それから、先ほど来、やっと民主党案の提出者と委員との間の議論がありましたけれども、要するに、どういう形で自立をするのか、そのための支援を行う。ただ、その支援のあり方がまずければむしろ自立を損なうことになる。これは、例えば障害者自立支援法なんかについての理想もそうなので、やはり、障害を持っていようと母子家庭であろうと、一生懸命働いて、自分の稼ぎがあって、税金も払っているということが一番理想なんですね。そういうことをやる。
ただ、その前に、民主党の提案者の方々もおっしゃっている、福岡委員もおっしゃっているように、余りにも困った状況がある。これに対してはきちんと手当てはしないといけないと思いますが、そういう中で、ずっと働いていない、直ちに働けといってもこれはなかなか難しいので、とりあえずボランティア活動からやってみませんか、そういう形で、外の世界の風を感じながら、では仕事をしよう、急にというのは難しいですから、こういうことの事業も創設しました。
それから、先ほど申し上げましたように、資格を取る、看護師さんとか介護士さん、こういうこともお手伝いしようということでありまして、総合的なそういう支援策を今年度予算でも組んでおりますので、さらにこういう施策を充実させていきたいと思っております。
■福岡委員
ありがとうございます。
舛添大臣には、ぜひ力強いリーダーシップを発揮していただきたいと思いますし、あと、民主党さんの先ほどの追加の答弁について申し上げますと、就労支援とセットでなければいけないということについては、私もそのとおりだというふうに思います。そして、現状、それが道半ばだということも承知しております。
ただ、手続が煩雑であれば、そこの部分を今後考えていけばいいのであって、それをもってすべてを、支給停止を全員に対してなくしてしまう理由には、それだけをもってしてはなかなかなり得ないのではないかというふうに私自身は思うということをここで述べさせていただきたいというふうに思います。
先ほど大臣にも御答弁いただきましたように、今いろいろ御努力いただいておりますが、これは地元の方でも聞きましたけれども、例えば母子家庭等就業・自立支援センター事業における講習会、そういったものは雇用均等・児童家庭局が管轄であったり、また、母子家庭を対象とした訓練事業等については能力開発課、特別訓練対策室というのが所管であるというようなことで、旧省の縦割りの中でうまく連携が図れていないんじゃないかというような指摘もありました。そういった部分については、これは質問する予定でありましたが時間の都合で割愛させていただきますが、ぜひそういった一体となった取り組みを進めていただきたいということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
■茂木委員長
菊田真紀子さん。
■菊田委員
民主党案に対して質問をしたいと思います。
その前に、先日、気になる新聞記事を目にいたしました。病気や自殺や不慮の事故で父親を失った母子家庭の緊急アンケートをあしなが育英会が行いました。それによりますと、母親のパート代など給料は月に世帯平均約十二万円ということが報告をされたわけでございます。親類の援助や奨学金を入れても、世帯月収は約十六万五千円にとどまるということが明らかになったわけでございます。
これは二〇〇二年の九月にも、このあしなが育英会が、お父さんと死別をした母子家庭、母親と子供の家庭にアンケートを実施しておりますけれども、そのときは十三万六百円でありましたから、そのときより以上に、この父と死別した母子家庭というのは本当に苦しい状況に追い込まれているということが明らかになったわけでございます。
しかも、仕事があるお母さんの五六%がパートか臨時でしか働けていない、あるいは内職しかない。そして、二つ以上あるいは三つ以上の仕事をかけ持ちしながら頑張っているという人も大変多くいるということがあったわけであります。加えて、最近はこの物価高でますます生活が苦しくなったというようなことであります。
こういった家庭の子供たちは、途中で進学の断念とか進路変更を余儀なくされるケースも大変大きいということでありまして、私は、このアンケートを見まして、本当にこういった人たちが浮かばれないような政治であってはならないと、改めて思ったわけでございます。
そのような中で、民主党は、今回なぜ児童扶養手当等の一部を改正する法律案を提出されたのか、改めて考えをお伺いしたいと思います。
■郡議員
菊田委員、御質問ありがとうございます。
今御紹介いただいたそのあしなが育英会のアンケートの結果、私も胸が締めつけられるような思いで聞かせていただきました。
二〇〇二年の母子及び寡婦福祉法等の改正においては、政府の就労支援、また子育て生活支援策の強化によって母子家庭の自立が図られて、経済的支援がもう必要はなくなるということを前提といたしまして、手当額の削減が決められたわけでございます。
しかしながら、法改正から五年たった現在におきましても、先ほど来、菊田委員も御紹介くださいましたけれども、就労支援事業は十分に機能しておりませんで、母子家庭の母親の環境というのは大変厳しい状況が続いているわけでございます。
児童扶養手当の一部減額措置につきましては、与党側は手当削減の凍結を決定いたしまして、政令により、就労意欲が見られない母子世帯のみ削減措置を適用することといたしました。しかしながら、政府は、今後この削減策をそのまま行うという方針は変わっていないわけでございまして、将来のビジョンを持たないまま、根拠のない政令によって、あいまいな措置でごまかすというのはいかがなものか、そういうふうに思ったところでございます。削減を取りやめることを明確にするには、やはり法改正が必要であろうと考えたところです。
今御紹介いただきましたように、母子家庭の平均年収は全世帯の平均所得の三八・五%、それから預貯金も五十万円に満たない家庭がほとんどであるといったようなこと、また、雇用形態も半数以上が臨時やパートといった大変厳しい非正規雇用であるという状況、こういうような状況を御理解いただきますと、今回の私どもの提出の趣旨、御理解いただけるのではないかと考えております。
■菊田委員
民主党案のポイントについても説明をいただきたいと思います。
■西村(智)議員
お答え申し上げます。
今回の私たちの法案のポイントということであります。
近年の三位一体改革によりまして、全体的に社会保障関係費が削られてきております。こういう流れの中で、今回の児童扶養手当法で見ますと、法律上はこの手当額の一部削減が規定をされておりまして、期限のない政令によってこれは一部支給停止除外の事由も設けられたわけでありますけれども、こういった期限のない、あいまいな政令のままでは、いつ、いきなりまたこの削減が俎上に上って社会保障関係費の削減の対象になるかわからない、つまり、いつ削られるかわからないという状況に置かれ続けることになってしまいます。そうしますと、母子家庭の母にとっては、いつまでも不安定な状態、不安な状態が絶えず続くということでございます。
したがって、政府・与党の考える削減措置の一時凍結ではなく、削減規定を全部廃止する法改正が必要だと考える次第です。
政府・与党の政令では、就労意欲があることを改めて立証、証明しなければなりません。このことは、母子家庭の母にさらなる負担を強いることになります。また、母子家庭への社会全体の見守りがなければ、幾ら自立、自立と口で叫び、それを求めてみたところでも、達成はできないわけでございまして、就労支援などに加えて経済的な支援を続けること、そして雇用問題の改善や子育て環境の充実などが結果的に自立を促進するためには大切でありまして、今回の私たちの法案の効果、それはまず環境の整備の第一歩、大前提であるというふうに考えております。
■菊田委員
私も、ぜひ、この民主党案に対しまして、多くの議員から賛同いただいて可決できるようにお願いを申し上げたいと思います。
少し時間が余りましたが、私の質問をこれで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。