■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
今度は立場を変えまして、こちらの方から質問させていただきたいと思います。
通告していた順番を少し変えさせていただいて、最初は、児童扶養手当法の現行の法律について伺っていきたいと思います。
私たちが提出をいたしまして、きょう審議にかけられている児童扶養手当法の改正案でありますけれども、私は、この法案は与党の皆さんからも賛同していただけるものだというふうに考えております。なぜならば、現行の政令において、一時支給停止の除外規定の届けを出せば、これは削減をされないということになっておりますし、予算的にもそれはきちんと手当てをされておりますので、財政面での不安はここは考えなくてよいものと思います。また、二〇〇二年の母子寡婦福祉法の改正以降行われてきた就業支援の状況を見ましても、なかなか就業率は改善をしておりません。
こういう状況を平たく見たときに、やはりここは、この規定を削除して、安心して母子家庭の母の皆さんが就労に向けての活動に取り組んでいただけるような、そういう環境をつくることが必要だと思っておりまして、ぜひ、ここは与党の皆さんからも賛同いただけると思っておりますし、またいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
まず、質問の方は児童扶養手当法のことについてであります。ここはちょっと通告をしていないところが少し出てくるかもしれませんが、そこはお許しをいただきたいと思います。
先ほど午前中の質疑の中で、政令で児童扶養手当を削減しないということを実質的には手当てをしているので、法改正をしなくてもいいのではないか、そういう御意見があったのです。
ここは厚生労働省の方に確認をさせていただきたいと思うんですけれども、この政令をなくすとすぐさま児童扶養手当は法どおり半減される、また、その政令というのは国会の審議を経なくてもなくすことができる、こういう理解を私はしているんですけれども、これで間違いないでしょうか。
■大谷政府参考人
政令の位置づけでありますけれども、この政令は、まさに法律によりまして委任された厚生労働大臣の権限として提出したものでありまして、この政令による改正の内容について、財政効果が当然に発生するわけでありますけれども、今回の政令改正に基づく財政的な影響としては、見込みとして、財政的な影響は今回出ていないので、今のところ減額はないわけでありますが、原理的に、もし政令を違う発令の仕方を仮にしておって、全額を一部停止するということであれば、それは必要な額が削減されたということはあり得たというふうに考えております。
■茂木委員長
だから、政令を外したらどうなるのか。
■大谷政府参考人
政令は、これは法律によって、平成二十年の四月一日より定めるということになっておりますので、これはいわば必然的に発出したということでございます。
■西村(智)委員
政令ですので、国会の審議を経なくても、これは出したり変えたりということができるわけですよね。
そういたしますと、多くの委員の皆さんの思いは、今こういう状況の中で母子家庭への児童扶養手当を削減するのはやはり厳し過ぎるのではないかというお気持ちなんだろうと思います。しかし、そういう国会の意図とは裏腹に、国会の意思が反映されないままにこの政令が変更されてしまうということもまたこれはあり得るわけでございまして、私は、そういう点からも、政令によっての措置ではなくて法律改正が必要だというふうに考えます。
今回の質問の中で次にお伺いをいたしたいのは、同じく児童扶養手当についてでありますけれども、この政令によって、就労意欲の見られない者については児童扶養手当を削減するということになっております。そもそも、就労意欲の有無、これをどう判断するのか、どうやってはかって、だれが客観的に判断するのかということについては、私はこの届け出のいろいろな中身を見ていたときにもやはり疑問に思うことが大変多いんですけれども、厚生労働省は、今回、この就労意欲の有無というのをどういうふうにはかれるのだというふうにお考えになったのか、そこを伺いたいと思います。
■大谷政府参考人
抽象的には政令に書き込んだような言いぶりになるわけでありますけれども、この対象を固めるときの一つの整理といたしましては、一つは就業している場合を確認するということ、それから、就業はしていなくても求職活動その他自立を図るための行動を行っている場合ということで幾つかの整理をする、それからそれ以外には、障害を有する場合であるとか、負傷、疾病等により就業することができない場合といったものを整理して、その個々のものについて必要な書類や要件等を省令で定めたというところでございます。
■西村(智)委員
きょうは私も資料を配付させていただいております。これは厚生労働省からいただきました、自治体の方に一部支給停止適用除外事由を届け出させる、その様式のひな形であります。この一枚目を見ますと、点線の囲みで五つの項目があります。「1 就業している。」「2 求職活動等の自立を図るための活動をしている。」「3 身体上又は精神上の障害がある。」4、5、こういうふうに続くわけなんですけれども、一点お伺いをいたしたいのは、なぜこういう項目をひな形としてお示しになったのかということでございます。
つまり、与党プロジェクトチームの昨年の秋に合意をした取りまとめの中身を見ますと、たしか、就労意欲の見られない者というふうに書かれていたかと思うんですね。そして、障害を持っている人なども除外しましょうというふうに書かれていたかと。そうですね、「就業意欲がみられない者についてのみ児童扶養手当の支給額の二分の一を支給停止とする。」と書いてありますので、就業意欲が見られない者を対象に削減するということになっているわけなんです。
この就業意欲の見られない者を届け出させる項目として、この1から5の項目で果たしてマッチするのか、きちんとつながるのか。一番目は「就業している。」そして二番目は「求職活動等の自立を図るための活動をしている。」ですから、仮に就業意欲を持っていたとしても、働いていない人あるいは求職活動ができない人というのはいらっしゃるんだろうというふうに思うんですね。
なぜこういう項目になったのか、お答えいただけますか。
■大谷政府参考人
抽象的には、「就業意欲がみられない」という表現があるわけでありますが、具体的に行政実務としてそれを固めるためには、こういった個々の項目、ある意味では逆の方から規定して、働いている人はもう就業しているから就業意欲が見られる、それから、働いていなくてもこういう就業するための活動をしていることでそれは就業意欲が類推されるという形で、いわば意欲がないということを、ネガのものをポジで確認していくと、こういった項目を列挙し、それから細々としたその辺の書類、いろいろな手続がございます。
例えば、福祉事務所で自立支援プログラムを策定して支援を受けていることがあれば、もうそれは努力されている形跡があるわけでありますし、あるいは、公共職業安定所で求人情報の提供や職業相談等を受けておられれば、これはやはり就業意欲が見られなくはないということでありますから、そういったことで、個々にいろいろな要件を固めて、手続上定めていったということ。
プラス、それから、今いただいた提出資料の最後にございますけれども、仮に一たんその書類が出ていなくても、それはよく相談して、そしてもう一遍御本人の意向も確認して、ただ一たん出なかったというだけで就業意欲がなかったというふうな打ち切りのないようなところも示しながら、具体的に不都合がないようにしたいということでございます。
■西村(智)委員
行政手続としては、こういった文字にちゃんと置きかえることが必要だとおっしゃいましたけれども、実態は、私は先ほど申し上げました、就業意欲を持っていても求職活動ができない、先ほど、午前中の郡委員の答弁にもあったんですけれども、例えばDVの被害者などは、外に出るとまた加害者から追跡をされるのではないかというおそれから、なかなか外に出られないという方々もいらっしゃいます。そうした方々の存在をどう考えるのか。
また、私の提出している資料の二枚目あるいは三枚目を見ていただきたいんですけれども、二枚目は求職活動等申告書。こういうふうに市町村の方で様式をつくってもらって、提出してくださいということなんですね。二枚目の六番目としては、「募集広告などにより求人企業に応募し、採用選考(面接)を受けた。」というふうに書いてある。ここの項目に当てはまればここに丸をして、そしてその面接を受けたところの証明書をつけなさいということなんですけれども、これは、例えば面接に行ったというふうに自分は理解しているんだけれども、会社の方がそうではないというふうに見るかもしれません。
あるいはまた、募集広告を新聞の折り込みなどで見る、これも就業意欲がある人の行動としてはあり得るでしょう。ですけれども、そこに、最近は男性のみとかという募集広告はもう法律違反ですのでありませんが、例えば、勤務条件として、遠い町の勤務だったり、あるいは遅い時間の勤務がありますとか早い時間の勤務がありますということになれば、子育てと一緒に両立をさせながら働いていくというのは無理だなということで、就業意欲を持っていても、そこから先、広告などを見て一歩前に踏み出せない方々もこれはいらっしゃるのではないかというふうに考えるんです。
次のページの自営業従事申告書でありますけれども、これは完全な自己申告です。自分が自分でこの自営業に従事していますと書けばよろしいということですね。
こういう申告のやり方で本当に就業意欲のあるなしというのを正確にはかれるのだろうか、これは私は大いに疑問なんですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
■大谷政府参考人
先ほど申しましたように、就業意欲が見られないという形を行政上どう確認するかというのは、なかなかデリケートな面があるわけでありますが、例えば、DV等のケースなどになりますと、これは提出をいただきました資料の点線の中の4のところで困難事由の中に拾うとか、あるいは、個々の書類証明等が困難な場合がありましても、これは市町村の担当窓口に相談していただいて、それが相当程度確認されれば、一刀両断で、紙一枚で決めることはないようにしよう、そこもきめ細かに進めたいというふうに考えております。
ただ、いずれにせよ、年間に例えば一人で五十万弱の支給額になるわけでありまして、行政事務としては、その支出について適正を期すという一方の要請もあるわけでありますから、そのあたり、確かに書類や手間等をとらせる面がこれはないとは申せませんけれども、そういったこともあって、ぎりぎり、母子世帯の方々の御負担が軽い方向で、しかし、その就業意欲の確認だけは着実にできるという手段をとるということで、こういった様式を示したり市町村と会議をして連絡をとり合いながら進めているという実情でございます。
■西村(智)委員
大変御苦労なことだと思うんです。御苦労なことだと思うんですけれども、一番御苦労されているのはやはり母子家庭の当事者の母で、次に御苦労されているのは自治体の窓口の担当者ですよ。
今回の法案が審議されるということもあって、私も現状はどうなっているのかと思って幾つか調べてみました。
私の地元の自治体の窓口に電話をしました。そうしましたら、そこの担当の方は、母子家庭の対象者に郵便でこの届け出の様式とそれから書き方マニュアルを、これは二十数ページにもわたるマニュアルを市町村で作成して全対象世帯に送ったと言っていました。六月の末までに必要な証明書を添付して提出をしてくださいというふうに言ったところ、今返ってきて、そういったことで窓口に届け出が来ているのが大体全体の四分の三ぐらい。これは二月から始めているんですよ。二月から始めて六月末まで、あと本当にもう四十日くらいしかありませんけれども、まだ残り四分の一の世帯の方々が何らかの届け出をされていない。
いろいろなことをおっしゃっていました。本当に該当事由がないのか、あるいは書き方が難しくてわからないのか、あるいは、証明書をとるのに時間がかかったり手間取ったりしていてまだ滞っているのかということで、説明があったんですけれども、私は、この届け出というのはかなり母子家庭の母にとって負担である、負担であるという意味は、経済的にも時間的にも、そしてまた精神的にも負担になっているのではないかというふうに考えているんです。
この届け出書というのを新たに六月の末までに出すべしというふうに今回政令が出ているわけなんですけれども、実際には今、毎年八月に現況届というのを出しておりますね。現況届を提出して、さらに新たに届け出を提出させるということは、これは働いている母親にとっては負担なのではないか、こういった状況を勘案しなかったのか。
特に、そういった各種の証明書の中で、ちょっとこの資料にはつけませんでしたけれども、身体もしくは精神上の障害がある、あるいは疾病があるというときには医師の診断書を添付することになっているんですね。医師の診断書というのは、最近、どうでしょう、発行するときに、大体一通当たり六千円ぐらいですか。この負担をさらに求めるというのは、手当を支給しながら、診断書を提出してもらうためにまたさらなる負担を求めるというのは、これはちょっと考え方が逆行しているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
■大谷政府参考人
申し上げておりますように、少しでも現場における誤解や混乱等がないように丁寧に仕事を進めると、分厚いいろいろな説明資料等が行くという、これは裏腹な面があるということで、市町村担当者に事務を煩わせておるということは御指摘のとおりでありますけれども、その執行において母子家庭の不安をなくするために市町村にも御協力いただいておるというのが現状であります。
それから、診断書の費用等でありますが、これは確かに、ほかの福祉関係の手当との並びもございますけれども、給付を受けるときに必要な診断書等については、特に別途手当をオンするということはしていないわけでありまして、そうしたことをお願いしているということでございます。(発言する者あり)
■西村(智)委員
これは、発言がありましたけれども、本当に実質的には手当を政府の方が減額させているということになるわけですね。
ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、母子家庭の母の就労形態として最も多いものは、短時間勤務といいますか、パート労働だというふうに承知をしておりますけれども、それは間違いございませんね。
■大谷政府参考人
間違いございません。
■西村(智)委員
そうしますと、先ほど午前中の答弁で局長は、自治体の方には郵送してもらってもいいというふうに指導もしているという答弁でしたけれども、実際に、これは書類が不備だったりするおそれがあるということを考えれば、やはり市町村の窓口としては来庁を求めるんだと思うんです。そういたしますと、パート労働というのは常に不安定雇用、低賃金、こういったことが問題になりますし、パートですから、休めば休んだ分だけ所得がなくなるわけです。
つまり、仕事を休んだときはその分所得が減るということで、こういった母親の所得減がほかならぬこの政令に端を発して生じているということについて、厚労省はどういうふうに責任をお感じになっているんでしょうか。
■大谷政府参考人
今、パートでお勤めのお母さんのケースという話がありましたけれども、こういったケースについて、私どもも、そういう、仕事を休んで行かなきゃならないということにならないように考えまして、今やっている方法としては、賃金の支払い明細書の写しを送っていただければそれで十分である、こういったような形で、休んで事務所に行く、そういうことのないように、いろいろな方法を盛り込んでいるところでございます。
■西村(智)委員
でも、多くの自治体はもう既にこの届け出の提出のために動いておりますので、厚労省の方が慌てて後から、あっ、しまったと思っていろいろな手を打っても、それはもう既に遅いんだというふうに思うんです。
さらに、事務手続の煩雑さで迷惑をかけている二番目は、市町村の窓口だろうと思います。就労意欲の見られない人というのを届け出てもらうために、本来不要なコストがかかってしまっているのではないかというふうに考えます。つまり、その届け出を郵送したり、そのために新たな人員体制をしいたりということで、この点についてはどうお考えなのでしょうか。また、この事務費は一体幾らくらいの額が見込まれるのか、その額をお答えいただきたいと思います。
■大谷政府参考人
市町村で事務をお願いしておるということでございます。
もともと、この母子家庭の就労支援等について、市町村が個別の世帯をケアしながら仕事をするという体制をとっているわけでありまして、そういった中で、五年に一回、そういった時期に至った方について確認をするという仕事がつけ加わったということであります。
それから、その金額的な話になりますけれども、地方交付税の措置要求におきましては、厚生労働省として、都道府県分で約一千二百万、それから市町村分で二億一千四百万を見込んで、交付税措置要求をしているところでございます。
■西村(智)委員
交付税要求をしていると。交付税措置されればいいんですけれども、これはどうなんですか、されるんですか。それは総務省に聞かないとわからないんですか。
■大谷政府参考人
個々の事務費の積み上げについて総務省がつまびらかにしていることはないと思いますけれども、私どもが確認したところでは、この交付税の措置要求については、地方交付税措置の中で盛り込んだというふうに総務省から聞いておるところであります。
■西村(智)委員
交付税というのは、よく言われますけれども、ウナギのたれと同じで、何が入っているかわからない。入れましたと言えば入っているようにも思えるし、仮に入れていなくても、入っていますと言われると、何か食べてみるとそういうような味がしたりするというのが交付税の本来持っている性質だと思うんですね。
つまり、それが本当に交付税措置がなされたか、なされていないかということはさておき、いずれにいたしましても、今回の政令によって新たな事務費負担が発生しているということは、これは疑いのない事実でございます。先ほど、都道府県に一千二百万とおっしゃいましたか、そして市町村分として二億数千万とおっしゃいましたか、これだけの額が発生しているというのは、これは児童扶養手当の削減をしないということにしておけば生じなかった事務費でありますので、ここのところは、来年度から同じような事態にならないように、私は、やはり今回、きっぱりとこの規定をなくすことが必要だというふうに考えています。
次の伺いは現況届についてなんですけれども、きょうは資料として添付できませんでしたが、毎年八月に、各母子家庭で現況届というのを提出せよということになっております。大変細かい項目がいろいろ書いてあるんですけれども、これを見ますと、職業もしくは勤務先、あるいは障害の有無などについて、母子家庭の母から既に現況届で書いてもらっているんですね。ですから、この現況届の分析次第で、就業状況や障害の状況がわかるのではないかと思います。
ですので、本当に自立支援や就労促進を進めていきたいということであれば、新たに政令による届け出を出させるというのではなくて、この現況届の記載をもとに判断することができたのではないかというふうに考えるんですけれども、なぜそうしなかったんですか。
■大谷政府参考人
毎年の現況届におきましても、勤労の状態がある程度推認されるケースももちろんあるわけでありますけれども、これは、五年に一回のいわば法律上の刻みのところで、その他確認項目があるわけでありますので、そういったことも加えて、五年に一回、法律上のいわば期限に達したところでは全体的な確認をするということで、こういった形をとったところでございます。
■茂木委員長
就職活動等の自立を図るための活動をしているかどうかは、現況届だとわからないということなんじゃないの。
■大谷政府参考人
就労しておられるケースについてはそれで把握できると思うんですけれども、例えば今就労していないけれども求職中であるとかそういった、就労意欲が見られないということを推認するためのほかの項目について、やはり全体を掌握するということで、五年到達時点でこういった届けをしていただくことにしたわけであります。
■西村(智)委員
つまり、私が問題にしたいのは、就労意欲の見られない人という切り方をするから、新たな届け出が必要になってしまうんです。本当に厚労省が母子家庭の就労を進めたいということであれば、今現に就労できていない人だけが問題になるわけじゃないですか。その人たちがどうして就労できないかというところを分析し、本当に必要な手当てを打っていけば十分なわけでありまして、なぜ、改めて就労意欲が見られない人というカテゴリーをこしらえて、さらにそれを振り分けるような届け出をさせているのかということが私は本当に腑に落ちないんです。
言ってみれば、これはやはり母子家庭の母に対する冷たい仕打ちだろうと思います。
既に多くの母子家庭の母は働いている、もう八五%の母が働いていて、日本の母子家庭は極めて特殊だと言われております。欧米などでは、母子家庭の母というのは就労率が低い、だから、福祉から就労へなどという合い言葉で、福祉を削って就労に向かわせるような政策がとられてきていることは事実であります。しかし、日本の母はもう既に働いていて、一つの仕事では足りないから、二つの仕事、三つの仕事をかけ持ちしているという方が大変多いわけです。そういう方々に、あなたは就労意欲がありますかということをさらに確認するというのは、本当に私は冷たい仕打ちだと言わせていただきたいと思います。
来年度からも、この政令が残っている限り、この届け出の提出は毎年義務づけられて行われていくわけでございまして、ぜひ、来年度はこういう不要と思われる事務費が発生することがないように、この機会にぱしっとこの規定はなくしていきたいと考えております。
通告をしていた児童扶養手当の法案の質問に戻りまして、さっき私、日本の母子家庭の特徴を自分で少ししゃべってしまったんですけれども、何か厚労省の方で把握をしておられる日本の母子家庭の特徴がありましたら、伺いたいと思います。
■大谷政府参考人
既にさっきお述べになったことを含んで申し上げますけれども、諸外国と比較した我が国の母子家庭の特徴につきましては、比較可能なデータが乏しくて詳細な分析は困難でありますけれども、我が国の母子家庭の母は就業率が八五%となっておりまして、これは国際的に見ても高い水準になっているというふうに推測されております。
■西村(智)委員
私は、今答弁いただいたようなことを踏まえて、非常に低い賃金で所得も依然として低いこと、そしてまた子育て環境の充実というのは、やはりセットで進めていかないとならないことだと思うんですね。
母子家庭であるというだけで面接の本当にはなから断られるケースもあります。それはなぜかというと、やはり雇用主からすれば、急に休まれたりすると困るというのが本音でしょう。ですけれども、子供を持っていれば、また単身親であるということになれば、急に子供が熱を出したときに、またこれは急に休まれては困るなということもありますので、子育て支援の環境整備というのもやはりしっかりと同時にやっていかなければならない。
というようなことを考えますと、本当に母子家庭に対して、母子家庭の自立のためにあるべき支援の姿、やるべき支援の政策というのは、今回の児童扶養手当の政令などを離れて、もっと大きなところでイメージをつくらなければならないのではないかというふうに考えるんですけれども、こうした状況の中で、厚労省は、本当にやるべき支援、母子家庭に対する支援としてあるべき支援体制というのはどういうものだというふうに考えておられるのか、伺います。
■大谷政府参考人
今御指摘もありましたように、我が国の母子家庭は就業率が非常に高い。しかしながら、就業の中で雇用形態が臨時やパートである者の割合が四四%と高くなっている、これも現実であります。その平均の所得を見ましても、全世帯の平均所得が五百六十四万円の中で母子家庭の平均所得が二百十二万、こういう形で低くなっているわけでありまして、こういった就業していない方、あるいは現在就業している方についても常用雇用に転換する、こういったことについて取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
また、例えば子育て中のお母さんもおられるわけでありまして、そういった方々に対しましても、例えば、その母子家庭のお子さんが優先的に保育所に入所できるような体制をとる、あるいは放課後児童クラブにおいても母子家庭のお子さんについてその利用の必要性が高いものとして優先的に取り扱う等々、対策を講じているわけであります。
こういった意味で、就労、またそういう生活面においてできる限りの対策を講じているところでありますが、引き続き努力したいと考えております。
■西村(智)委員
ありがとうございます。
そこで、ことしの予算措置といたしまして、母子家庭の就業支援施策ということで予算がふやされておりました。大変喜ばしいことだと思うんです。
この中で、例えば高等技能訓練促進費、資格を取るためにこういった事業が見直されたり、あるいは、ハローワークで就労支援チームというのが組まれるようになったり、あとそれから、中小企業雇用安定化奨励金というんですか、正社員への転換制度、転換させた場合に奨励金を支給する制度を新たに創設したり、個々に見ますと、とてもいいなと思うものもあります。例えば就労支援チームなどは非常に私は期待をしております。
もちろん、それまで就業経験のなかった方が就労しようというときに、やはり資格というのは非常に大事ですので、資格を取っていただくことも重要なんですけれども、実際に本当に就業にまでつなげていく、そのための努力をもっともっと政府からもしていただきたいと思うんですね。
そういう意味で就労支援チームなどは非常によかったなと思うんですけれども、ちょっと効果が疑問視されるものも私の目から見まして若干ございまして、その点について伺いたいのです。
高等技能訓練促進費事業ですか、資格を取得するために、養成機関で修学する場合、入学時におけるインセンティブとして、入学金の負担を考慮した額を一時金として修了後に支給するんですね。これはなぜなのか。
大体、母子家庭の母などは、学校に入るというときにまずそもそも想像されるのは、経済的な基盤が弱いということです。養成機関に通っている間の生活費はどうするのかということを考えれば、せっかくインセンティブとして一時金を出していただけるのであれば、修了時ではなくて入学時に出すべきではないでしょうか。それがまず第一点のお伺い。
二つ目のお伺いは、正社員への転換であります。転換させた場合に奨励金を支給する制度を創設するということなんですけれども、この額は一体どのくらいの額を想定しておられるのか。できれば本当にインセンティブになるような額であれば私は効果も期待できるんですけれども、この額について具体的なところをお答えいただきたいと思います。
■大谷政府参考人
二つお尋ねがありました。まず一つ目の、母子家庭のお母さんが看護師等の資格を取得するために養成機関で修学する場合において、今回、入学金の一時金を修了時に支給する仕組みを導入したということでありますが、これについて御説明を申し上げたいと思います。
これは、従来なかったものについて一時金というものを創設したわけでありますけれども、考え方としましては、これは、入学時については、現在でも技能習得資金、入学貸し付け、特別資金貸し付けというものがあるわけでありまして、そういった貸付金をもって修学していただいて、無事修了されたというところで、一時金として、いわばその返済にも充てることができるわけで、修学金を一括して支給するという仕組みを導入したわけでありまして、途中でやめることなく最後まで努力していただける、一種のインセンティブといった面も考えたものであります。
それから、正社員転換の奨励金でありますけれども、これは、それを取り入れた企業に対しまして、一人当たり三十万の規模で行っております。
■茂木委員長
いいの、その答えで。大丈夫なの。
■大谷政府参考人
はい。
■西村(智)委員
ただ、これは、入学金の負担を考慮した額を一時金として支給するんですからね。やはり、私は、そういう種類のお金であれば入学時にお渡しするというのが筋だろうと思います。
また、正社員への転換制度でありますけれども、本当に三十万で大丈夫なのかなという気がいたします。これはまた次の年の予算のときに、その成果などをしっかりと検証させていただいた上で発言をしたいと思います。
さて、こうしたさまざまな就労に向けての支援策を厚生労働省の方でもやっていただいてはいるんですけれども、この五年間、いわゆる特措法のもとでいろいろなことも行われてまいりました。しかし、五年たってみても、就業率及び母子世帯の所得、残念ながらほとんど変化が見られません。私は、こうしたいろいろな施策、やはりもう一歩前に踏み出す必要があるのではないかと思っております。
つまり、先ほど、ハローワークに就労支援チームなどが発足されたことで、恐らく厚生労働省の方もお気づきになっておられるんだろうと思うんですけれども、本当に、就業のところまで結びつけないことには、せっかく資格を取っても、あるいはせっかく研修を受けても、それがなかなか実にならないわけでありまして、そういった意味では、一定程度の就職のあっせんをもうちょっと強力にやっていただくとか、あるいは公的機関の事業を優先発注するような仕組みが必要ではないかというふうに考えるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
■茂木委員長
大谷局長、もし、先ほどの答弁、補足、訂正ありましたら、していただいた上で答えてください。
■大谷政府参考人
先ほどの正社員転換のときの奨励金でありますが、三十五万円でございました。失礼しました。
それから、母子家庭の母に対する支援でありますけれども、先ほど御評価いただきましたハローワーク等の取り組み、それから、これはもともと市町村、各自治体が行っております母子家庭等就業・自立支援センター等において、これはマンツーマンでプログラムを立てて進めていこうということで、またその市町村が中心になって関係機関にも働きかけ、取り組んでいるわけでありますけれども、特別措置法、これまで進めておりましたその法律の中でも、いろいろな企業の取り組みについても規定しているところでありますが、今おっしゃったような考え方で、できるだけその地域地域で取り組めるように体制をつくっていきたいと思います。
■西村(智)委員
つまり、母子家庭に対しては、本当に必要なのは手当の削減ではないはずなんですよ。手当の削減は、就労がきっちりと十分体制が整ってから、それは就労だけではなくて、先ほど申し上げたような子育て環境の整備も、これはちゃんと環境として整えておかないとなりませんし、そしてまた、社会全体でそうした母子家庭を見守ろうという、そういう雰囲気も醸成されていなければならない。まず削減ありきではなくて、そうした支援体制の充実こそが先にあるべきだというふうに考えますので、その点を強く主張しまして、この児童扶養手当法についての質問は一たん打ち切らせていただきます。
今回提出されております児童福祉法等の一部改正についてお伺いをしたいと思います。
まず、午前中からもいろいろな質問があったんですけれども、確認の意味で私からも伺いたいと思います。
今回、家庭的保育について規定が設けられたわけなんですけれども、市町村の保育の実施責任に関する規定のところに、保育所における保育を補完するものとして家庭的保育事業が位置づけられました。この意味するところは何か。先ほどからも質問があったかと思うんですけれども、保育需要の増に対応するための応急措置として、平成十二年度は家庭的保育事業というのが創設されたんですけれども、今回はその延長線上にあるのかどうかを伺いたいと思います。
■大谷政府参考人
お答え申し上げます。
御指摘のように、従来の国の補助事業のときは、これは臨時的な対応としての応急措置という位置づけでございましたけれども、今回は、法律におきまして保育所保育の補完として正規に位置づけ、いわば集団保育たる保育所、それからそれを補完する家庭的保育事業ということで、応急措置ではなく、法律上の根拠ある事業として位置づけたところであります。
■西村(智)委員
これまで、例えば家庭的保育、ちょっと便宜上保育ママと呼ばせていただくことをお許しいただきたいと思うんですけれども、そうした家庭的保育が行われるときには、言ってみれば、利用者といいますか保護者と、それから家庭的保育者との間での契約だったんだろうと思うんですけれども、今回、市町村の保育所における保育を補完するものとしてこの家庭的保育事業が位置づけられるということになりますと、そのときには、契約形態、契約関係というのは、どことどことの契約になるのでしょうか。
私は、これは、法律で位置づけられて、そして市町村の保育所における保育を補完するということから考えると、やはりここは、責任体制を明確にするために、市町村と利用者、保護者ですね、そことの間の契約であるべきだというふうに考えるんですが、この点いかがでしょうか。
■大谷政府参考人
家庭的保育事業のいわゆる契約方式についての考え方でございます。
この家庭的保育事業の対象児童は、これは保育所と同じく保育に欠ける乳幼児でありますことから、その利用に当たっては、まず、市町村に申し込みをしていただいて、市町村が当該児童が保育に欠けるかどうかを判断するということがまず前提になるわけであります。
その先、保護者と、それからいわゆる保育ママ、家庭的保育者との契約の関係でありますけれども、これは法律上は、特にそこの形は明記していないところであります。これは、従来からやってきた市町村の先例などを見ますと、先ほどの市町村が判断した内容に沿って、保育者と直接に契約している進め方をやっているところもありますし、また、考え方として、今おっしゃったような、市が直接契約をして委託するという形もとり得ると考えておりますが、このあたりは地域の実情等に応じて適切に定めていただくことになろうかと思います。
■西村(智)委員
午前中からずっと、今回の、例えば保育ママの資質の確保ですとか、あるいは研修の中身、あるいは資格などについて、いろいろな質問がありました。法律ができてから政省令で対応するということなんですけれども、その省令づくりのときの考え方を、ではちょっと伺いたいと思うんです。
つまり、それぞれの自治体での今までの取り組みも参考にしながら決めていってもらうことになるだろうということは、ちょっと契約関係のところから離れて伺いたいんですけれども、例えば家庭的保育を行う場所のスペースの広さですとか、あるいはそのカリキュラムといいますか、その時間帯の過ごし方とか、お散歩をするとかしないとか、おやつはどうするとか、そういった基準というのは、基本的には、市町村にこれまたすべてお任せをするということになるんですか。それとも、全部お任せというのではなくて、少なくとも最低の基準、水準、これは国が省令で示しますよということになるんでしょうか。どういう考え方でこの政省令を考えておられるんでしょうか。
■大谷政府参考人
家庭的保育事業の推進に当たりましては、これは質と量のバランスを図りながら制度設計を進める必要があると考えております。
本法案におきまして、この保育士について、担い手の資格、あるいは今お話がありましたような各施設の、施設といいますか、家庭的保育の行われる環境、その他いろいろ決めていくことがありますけれども、これにつきましては、家庭的保育のあり方について、検討会、これは局内でかねてから開いていろいろ勉強を進めてきたところもあり、その中では、専門家、市町村の関係者からも意見を伺っておりますので、そういったものを踏まえて詰めをしていかなければならない。
また、社会保障審議会の児童部会におきましても、特別部会をつくりまして、その一、二、三月の中でこういった家庭的保育について、契約のあり方であるとか、そういったことについて御議論を賜っておりますので、そういったものを踏まえて今度は実施基準とかガイドラインというものを定めて、各市町村に無用の混乱がないように、不必要な格差が生じないように、それは努めてまいりたいと思います。
■西村(智)委員
もう一度確認をさせていただきたいんですけれども、そうしますと、国で最低水準ないし最低基準を設けるという考えなのかということがまず第一点と、一方で、先ほど、質と量のバランスをとりながらというお話がありましたけれども、私も、それぞれの地域性は確かにあろうと思いますので、それまでの取り組んできた自治体の独自の取り組みは、これはやはり余りつぶしてほしくないという思いがあるんです。その点についてはどうお考えになっていますか。
■大谷政府参考人
今御指摘ありましたとおりでありまして、基準について余りかたく一つのルールで線を引いてしまいますと、そうでない形で実施した先例が頓挫する、こういうことがあってはいけませんし、一方で、先例において行われたことをすべてこれを認めていくとその質についての不安が出るということで、そこは、最初に申しましたような質と量、それから、進めていくプロセスにおいてのバランスを図りながらいかなければならないと考えておりまして、実施の基準であるとかガイドラインをつくるときに、そういったものも関係者の意向もよく伺い、また、時間的な進め方についても考慮して、この制度が定着するように検討していきたいと思います。
■西村(智)委員
最低基準をつくるのかという質問に対して答弁がなかったので、それは考えていないというふうに理解をさせていただいてよろしいんですか。
■大谷政府参考人
今、実施の基準と申し上げましたけれども、いわゆる最低基準という考え方というよりは、今は、その実施の基準ということで、あるべき姿のガイドラインを考えたいと思います。
■西村(智)委員
政省令、これから、そのプロセスにおいても、その中身においてもいろいろな意見を聞きながらということでありますけれども、やはり、国会の中で審議をしておりますと、見えないものを何となくつかもうとしているようで、とても歯がゆい思いがするのであります。できればこの法案の審議の場に供していただきたかったというふうに強く申し上げます。
さらに伺いたいんですけれども、この家庭的保育者、保育ママのお話、実際に経験されておられる方々のお話を、私たちの調査会でお招きをして伺いました。そうしたら、本当に大変な話をいろいろ伺うことができまして、やはり一番大変なのは、自分が病気になったりけがをしたときだとおっしゃっておられたんです。
つまり、自分が一人でやっているというときに例えば風邪を引いちゃったりすると、子供は待ってくれませんから、代替要員を探さなければならないんですが、その代替要員について、自治体によっては補助体制みたいなものをつくっていて、欠員、穴があきそうなときにすぐそこから派遣してもらえるという仕組みなどをつくっているところもあるようなんですけれども、補助者を御自分でお雇いになって、そして、その人にかわって来てもらうということをやっておられる方もいらしたんですね。
実質的に子供三人に家庭的保育者一人ということになっておりますので、普通の家庭だったら、子供三人を一人で見るということもあり得ると思うんですよ。つまり、年齢が離れていますから。普通の家庭で考えて、例えばゼロ歳児が三人いるなんという家庭は、現実的には余り考えられない。ゼロ歳とか三歳とか五歳とか、年齢層が離れていますのでそれなりに面倒を見られるんだと思うんですけれども、家庭的保育ということになりますと、ゼロ歳児が三人ということもあり得る。そうすると、一人が泣いてしまったときに、ほかの二人の子供の面倒はどうするのかということで、これは大変だというお話を伺いました。
こうした保育者の援助体制については、今回、家庭的保育が法律上の位置づけがなされるわけですので、それぞれの保育ママの御努力だとかに任せるのではなくて、代替などの援助体制を整備することが必要なのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
■大谷政府参考人
この保育ママという制度を遂行していくために、先ほどから、ガイドラインといいますか、実施基準をつくってまいりたいと考えているわけでありますが、それについては、専門家等に集まっていただいて、今後、検討会を立ち上げて議論をかためていきたいと考えております。
その中で、もう既に私どもにもこれまでいろいろ御議論いただいた指摘を踏まえまして考えておりますことは、今おっしゃったように、家庭的保育者が乳児または幼児の状態に応じた保育を適切に行うことができるように、保育の内容に応じた支援を行う、また、家庭的保育者の病気や休暇で保育が行われない場合に、その家庭的保育者にかわって保育が行われるような必要な体制を整えるということは重要なポイントであろうと思いますので、そういった必要な規定を整備して、家庭的保育者のバックアップをしてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
ちょっと時間が迫ってまいりましたので、質問を省かなければなりませんが、一つ、里親のことについて伺っておきたいと思います。
里親として登録していらっしゃる方は、今は全国で約八千人、それに対して、委託されている子供の数が三千四百人くらいでしょうか。要保護児童のわずか九%ということであります。ヨーロッパなどでは、家庭的保育、里親、養護の中でも里親が中心になっているというふうに伺いますけれども、日本では、なかなかこの里親への委託率というのが高まっていない。平成二十一年度までにこの里親委託率を一五%までにしようという計画があったと承知していますけれども、改善されたのはわずか一%ということでございます。
ここは、児童相談所などのマッチングがやはりいま一つうまくかみ合っていない、うまくいっていないのではないかなというふうに考えるんです。
例えば、児童相談所の中で里親のあっせんなどを専門に行う担当者がいるとかいうことであれば、スムーズな里親とのマッチングがいくんだろうかというふうに考えるんですけれども、この改善のために里親支援機関を新設するのだというふうに伺いました。
この里親支援機関というのはどういうのを想定しておられるのでしょうか。そしてまた、その役割についてはどういうことを想定しておられるんでしょうか。
■舛添国務大臣
これは、特にNPOなどを活用したいというふうに思っています。
今委員はマッチングということをおっしゃいましたけれども、実はそれより前に、要するに里親という制度自体に対して、午前中もお答えしましたけれども、江戸時代なんかは家を守るために養子縁組なんてしょっちゅうありました。ところが、やはり戦後、民主的な体制になって、しかも、私たちの世代がそうですけれども、ベビーブームで子供の数がたくさんいる、そして高度経済成長だ。なかなかこれが定着しない。さまざまな要因があると思います。
そういう中で、里親支援機関事業ということを掲げて、今マッチングということをおっしゃった、そういうことをNPOなんかの方々に担っていただければいかがかなというようなことを今想定して作業を進めているところであります。
■西村(智)委員
時間になりましたので終わりたいと思うんですが、里親の皆さんからは、やはり最近、虐待を受けた子供が非常にふえていて、そうした子供の対応のために、常に相談体制、相談できるところがあったらいいのではないかというお声をいただきました。
先ほどの菊田委員の質問にもありましたけれども、養護施設などにおいても、精神科医ですとか、そういったものがあったらいいのではないかという意見があったそうでありますけれども、やはりそうした医療の専門相談機関といいますか、そういったところの連携もまたぜひ考えていただきたいと思います。
ですので、里親支援機関は、私からいたしますと、もちろん里親に対する世論の喚起、それからマッチング、こういったものはぜひ期待したい役割ではありますけれども、また、里親として子供を養育しているときに、本当にその子供の対応で困ったときに相談できるような、そういう専門的な機関であってほしいという思いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。