■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。よろしくお願いいたします。
きょう私は、民法772条に関して5月7日に法務省の方から出されました通達に関連して、何点か伺いたいと思います。
5月7日に出された通達によって、300数十件の方がいわゆる離婚後妊娠ということで医師の証明書を得て救済されたということは伺っておるんですけれども、実は、この証明書によっても、この通達が出されてもなお救済されないケースがあるということについて伺いたいと思っております。
私は、きょうは、この証明書についての算出根拠のところを中心に伺いたいと思っているんですが、大臣、この通達が出た後も、実は離婚後の妊娠であるにもかかわらず救済されないケースがあるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
それはここの算出根拠のところにある一の項目なんですけれども、このように書かれています。算出根拠、一、二、三のいずれかに丸印をつけてくださいということで、その一として、出生証明書に記された出生日と妊娠週数から逆算した妊娠2週ゼロ日に相当する日は平成何年何月何日であり、ここは記入することになっておりますが、その期日に前後各14日間ずつを加えて算出したと。それを、上記の懐胎の時期、括弧して推定排卵日ということになっておりますけれども、その期日をここに記入しなさいということになっているんです。
つまり、この記述に従うと、まず妊娠2週ゼロ日を割り出す、そこからその前と後ろに2週間ずつという長い期間を足し合わせて、その4週間がいわゆる懐胎の時期、推定排卵日として推定されるということなんですが、実質的に離婚後の妊娠であるにもかかわらず、この期間が余りにも長いということで救済されないケースが多々あるわけなんです。
なぜこの各2週間ずつを前後に足すということになったのか、その経過を伺いたいと思います。
■倉吉政府参考人(法務省民事局長)
まず、前提となる本件の問題点について簡単に御説明をさせていただいて、その上で、この通達がどうしてこういうあれになったのかということを御説明したいと思います。御了解いただきたいと思います。
離婚後300日以内に出生した子については、原則として、民法第772条の規定によりまして、前の夫の子供と推定されます。したがって、前の夫の子としてしか出生届を出すことができないということになるわけでありますが、最高裁の判例では、子供の懐胎時期に既に事実上の離婚をして夫婦の実体が失われているなどして性的関係を持つ機会がなかった、そういうことが明らかであるような場合には推定が及ばないとされております。
こういう推定が及ばない場合についてはどうするのかということなんですが、今、この場合には親子関係不存在確認等の調停裁判の手続が必要だということになっておりまして、その手続を経て、間違いなく後の夫の子供ですよということがわかれば、そういう出生届を受理する、こういう扱いになっているわけです。
今先生の御指摘のとおり、救済されないということを言われましたが、この調停裁判の手続を経なければならないということが、事案によっては当事者に非常に重い負担を課すことになるのではないか、こういう指摘がありまして、法務省としても検討を始めたわけでございます。
そこで、子供の懐胎が、今先生の御指摘のとおり、母親の離婚後である場合、この場合については何とかできないだろうかということをまず検討いたしまして、先ほど御指摘のありました通達を平成19年5月7日に出しました。つまり、離婚後300日以内に出生した子のうち、医師の作成した証明書を提出することにより離婚後の懐胎であることを証明することができる事案については、前の夫を父としない出生届、つまり後の夫を父とする出生届を出すことができる、こういうことにしたわけでございます。
ただ、ここから先生の御質問に対するお答えということになりまして、まことに恐縮ですが、戸籍の窓口の職員というのは裁判官ではございません。それで、普通、この子供がいつ懐胎したんだろうかというのは極めて医学上難しい認定、専門的な認定でございまして、裁判所がいろいろな資料を集めて証拠をとって、そして証言を聞き、あるいはお医者さんのいろいろな意見を聞き、この辺だろう、こう定めるというのが、一般論として言えば、そうするべきことということになろうかと思います。
ただ、お医者さんの証明書が、ある程度わかりやすい証明書が出て、いつからいつまでの間に懐胎したものと推定できる、そして、その推定できる算出根拠がある程度わかりやすく書かれている、そういうものが出れば、形式的審査権限しかないと言われております戸籍の窓口の、つまり市区町村の職員ということですが、そういう人たちでも判断できるだろう。
そこで、その証明書というのはどんなものだろうかということを検討したわけでございます。これらの事項については、もちろん法務省に専門的知見があるわけではありませんので、医療の関係団体、具体的には日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本医師会、こういうところに照会をいたしました。そして、医学の専門的見地からの意見を伺ったわけであります。
要するに、超音波検査というのがあります。妊娠初期のころにこの超音波検査をやりますと、子供の大きさから大体いつごろ妊娠したんだというのが推定できるそうであります。その超音波検査によってある程度わかるということになるわけですが、実はこれは、ピンポイントでこの日に妊娠したんだと当てられるものではない、誤差があるんだということなんです。その誤差について、お医者さんによって意見が違う、それから診断回数、診断日数によっても違うということになります。その辺のところを、先ほど申し上げました医療関係団体に照会いたしました。そうすると、誤差としては前後2週間ぐらいを見るのが妥当なところであろう、検討の結果、こういうふうな結論になりましたので、それを標準といたしました。
しかし、もちろん、お医者さんによって、もっと正確に診断できるという人はいるわけです。それから、診断回数が多い、もっと早い時期から診断をしていたというときには、もっと正確に、ピンポイントに近い形でできるということもありますので、ここに注をつけまして、個々の医師の裁量権を尊重して、お医者さんが自分は前後5日だと思う、前後3日だと思うということであれば、そのことを書いてくれ、それによって窓口では判断をいたします、こういう扱いにしたということでございます。
大変長くて申しわけありませんでした。
■西村(智)委員
標準ということでおっしゃるのであれば、いずれにしても、前後2週間というのは余りに長いと思います。
それはなぜかというと、標準的に月経周期は大体28日というふうに言われておりまして、仮に妊娠2週ゼロ日で受精した、排卵日があったということですと、その2週間前までさかのぼってしまうと、これは標準的に言えば月経の開始日ということになりますよ。月経の開始の期間、月経の期間中に妊娠するなどということは、これは常識的に考えて、まあ医学的にそういうことがあるのかどうかわかりません、私も医学的な知見がそんなにあるわけではないのでわかりませんが、今のところそれはないと言われているわけですよね。
ですので、なぜ懐胎の時期、推定排卵日とされる期間がこれほど長く設定されるのかということについては、私はちょっとやはりおかしいのじゃないかと思うんですけれども、局長、どんなふうにお考えでしょうか。
■倉吉政府参考人
これは、実は私も、お恥ずかしいのですが、専門的にどうなのかというのは本当によくわからないところがあります。
それから、月経周期というのがどれくらいにとられていたかというようなことも、個々の人によって違うかもしれませんし、わからないということがあろうかと思うんですが、いろいろな医家団体の意見を聞いたわけであります。私はこの当時いたわけではありませんのでよくわかりませんが、当時いた担当者の話を聞いておりますと、例えば生殖医療なんかで受精なんかを担当しているお医者さんとかいう人たちは、その幅を長く見ようとする、やはり誤差が起こり得るんだ、受精の時期というのはなかなかわからないんだということで、慎重になるところがあるんだそうでございます。
だから、一般的に、今の先生のおっしゃる、2週間というのは長過ぎるんじゃないのという感覚はよくわかるのでありますけれども、医師が診断をして、医療が見るときに、それは2週間ぐらいは見ざるを得ないという人もかなりの数でいるということですので、そうすると、そこを一応標準として置かざるを得ない。
しかし、先生のおっしゃるとおりです。個々の診断をしたお医者さんが、いや、おれはこれぐらいだと思うよ、このケースではこれぐらいだよということを、エコーを何回も見ている、月経も周期をきちっととっているし、基礎体温もとっている、それでいけばここまで絞れるというのが出てくれば幾らでも絞ってくださいということで注書きをつけておりまして、それで運用していくしかないかな、形式的審査権限しかない戸籍窓口ですので、ぜひ御了解いただきたいと思います。
■西村(智)委員
確かに、2週間くらい長くとった方がいいと言う医師がいらっしゃるでしょう。それはいらっしゃるかもしれないと思います。ですけれども、それが標準となっていることはやはりおかしいんじゃないかと私は思うんです。
つまり、2週ゼロ日が推定されれば、排卵はほんの数時間の間でしか起こりませんので、前後どれだけ長くとっても、いいところ2日とか3日とか、そのくらいじゃないかと思うんですね。ですので、ここのところはやはり、この一を標準的な書き方とするのではなくて、一は極めて例外的なケースだ、こういう見方の逆転をする必要があるんじゃないかというふうに考えています。
それから、先ほど、医師の方で診断をして、基礎体温表なども見て、それで推定期間を短くしていただくのも結構ですというふうに局長はおっしゃいましたけれども、これは日本産婦人科医会の出しております「「懐胎時期に関する証明書」記載の手引き」でありますけれども、この中に、本人が持参した基礎体温表で分娩予定日を確定した、こういうケースなんですけれども、その解説として、医会の方では、「基礎体温表は、客観的所見とはいえないので、懐胎時期推定の手段としては用いない。」こういうふうに書かれているんですよ。矛盾しませんか。
■倉吉政府参考人
実は、先生からその御指摘をいただきまして、あれっと思ったわけであります。それで、私もよく見てみたんですが、今御指摘をいただいた「「懐胎時期に関する証明書」記載の手引き」という医会から出ているものでございますが、一番頭にこのように書いております。
「この「手引き」は、全国の産婦人科医師が、誤認のない客観的所見に基づいて無理なくかつ誤りなく「懐胎時期に関する証明書」を作成することができるよう標準的な方法を示したものです。」その上で、「会員各自が個人の判断と裁量に基づいて、本「手引き」と異なる方法で「懐胎時期に関する証明書」を記載することを制限するものではありません。」こう書いております。
この前提での手引ですので、法務省といたしましては、まさに戸籍の窓口は形式的審査権限しかありませんので。基礎体温表をもとにしてこうやった、中には、極めて妊娠の早い時期にエコーを受けた、超音波検査をしたということをしていない方もいるわけですから、そういう方の場合には、何らか別の方法で考えて、多分出産予定日はこうですよと算定するんでしょう、それであれば、逆算していけば、このころ懐胎したはずだということがわかるはずであります。
そういうことで、お医者さんはいろいろな手を尽くして幅を持った判断をすると思いますので、それは法務省としては受理していきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
■西村(智)委員
どうしてもかみ合わないんですけれども。
しかし、医師の側からすれば、この手引をもとに証明書を書くわけでしょう。この証明書の書き方としては、算出根拠、一、二、三、一がやはり標準的な書き方として示されているわけですよ。仮に、医師が自分で、御本人で正確な診断をもとに正確な記載をしたいと思ってこの証明書を見たときに、この記載があれば、妊娠週日は妊娠8週ゼロ日から妊娠11週6日までの間に計測された超音波検査によって決定する、こういうふうになっているわけですから、妊娠八週ゼロ日から妊娠11週6日までの間に超音波検査を行えば、やはりこの一を選択するのかということになりはしませんか。
そしてまた、これは医師にとってなかなかなれない作業だと思うんですよね。こういう一、二、三というふうに、どれか選択をして書けということが、むしろ医師の正確な診断というのを阻害しているんじゃないかと私は思うんです。
ですので、こちらからのこの件に関する要望、提案としては、基本的にはここは自由記載だ、自由記載で、仮に何か特別な事由があったら医師の方からそれを書いていただくということの方が、より正確な、医師の適切な診断が可能になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
■倉吉政府参考人
今二つのお話が出まして、最初の日本産婦人科医会の手引、これは産科医会がそういうふうに書いているものですから、私どもの方で、その記載がおかしいのでないかなんということはとても言える立場にありません。もちろん、そういう専門的な知識も知見もないわけですので、ああ、医会はそういう御意見なんだなと言うしかない。医会がそういうことをホームページで公表し、メンバーに配っている、それを読んだ個々のお医者さんがどういう受けとめ方をするかというのは、これはちょっと私どもの方ではどうしようもできないということでございます。
それで、二つ目の、こちらの証明書の記載のところ、14日が長過ぎるのではないかということなんですが、この医会の手引なんかにもあるのでもわかるとおり、要するに、ある程度慎重に見ていこうという方々もおられるんだろうと思います。そういう方がこう言っていて、14日だという意見が出てくるということになれば、一応そこを標準として見る。しかし、そこをどんどん短縮するのは幾らでも御自由なんですよという形にするというのは合理的な解決方法だろうと私どもは思っておりますので、今はこういう表現にしているということでございます。
■西村(智)委員
大臣、いかがでしょうか。この点、今局長は、医師会との話し合いに沿ったものであって、これで合理的だというようなお話だったんですけれども、今やりとりを聞いていて、どんな御感想を持たれますか。
■鳩山国務大臣
離婚後300日以内に生まれたお子さんを前夫の子と推定するという条文、それは当然、そういう法律をつくる趣旨があったんだろうと思うわけでございますけれども、離婚後の懐胎であるということが医学的に証明できれば、それは戸籍窓口で、前夫の子でない、そういう受け付けができる、こういう中身なんだろうと思います。
私も、自分が妊娠したり子供を産んだりしたことがないものですから、知識不足の点がありますが、これは排卵日の推定の誤差を14日ずつとるということなんですね。14日さかのぼるとまだ離婚していないところにひっかかってしまう、そうすると戸籍窓口が受け付けられないというので、何かちょっと残念だなという気がしないでもない。ただ、今、民事局長が答弁いたしましたように、産科のお医者さんの団体、それからいわゆる学会その他が十分に話し合って誤差を14日というふうに見たということで、仕方のないことなのかなと思います。
私は、やはりいろいろな考え方があると思います、法律というものは、特に民法というものは。でも、やはり親子関係というのは、それは養子というような制度があっても、できる限り実の親子関係が、生物学的な親子関係が戸籍上も親子関係になる方が望ましい、それが非常に接近することが望ましいと考えておりますから、さらに医学的な研究をしてもらって、誤差が小さくなればいいなという思いはいたします。
■西村(智)委員
大臣、仕方なくないんですよ。
つまり、生まれた子供が戸籍がないという状態に置かれるわけですから、そういうふうになっているケースも多いわけですから、子供が無戸籍のままでいいというのは、これは772条の趣旨にも反すると思うんですよね。
子供の福祉ということを考えれば、やはり懐胎時期に関する証明書などで困っている方々を一日も早く救済する方法を考えるというのが、これは私たち立法府、そしてまた行政府の責務だろうと思います。見直しに向けて、ぜひ医師会初め三団体との協議を行っていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
■倉吉政府参考人
現在のところ、この通達を出しまして、この証明書に基づいてやっております。
それから、申しわけありません、さっき言い忘れたのですが、先ほどの証明書では、三番というところでその他という欄も設けておりまして、具体的にお書きくださいと。だから、一でも二の方法でもない三の方法というので、いろいろなことがあるんだったらそれで書いてください、こういうふうにして証明書をつくっていただくようにしているわけであります。
これは、先ほど申し上げました、医療関係の団体と十分に協議、検討をした上でこういう証明書ということでまとめたものでございますので、今直ちにこれを改めなければいけないというようなことは考えておりませんけれども、本日の先生の御指摘を初めとして、最近の動向等につきましては、この三団体にもお伝えをして御意見を伺ってみるということは、また機会を見てしてみたいと思います。
■西村(智)委員
私は、やはり困っている方々を救済する、子供の福祉という観点に第一に立っていただいて、そこはぜひ真っ正面からの話し合いをしていただきたいと思うんです。
一、二、三とありますけれども、医師がこういうものを日常的に書いていれば、三のその他のところに丸をつけて自由に記載することは、それはありでしょう。ですけれども、たくさんあるお医者さんのケースの中で、一年に一件とか二件とか、せいぜい出てきて三件とか、そのくらいのケースだと思うんですよね。そういった、お医者さんにとってどういう証明書であればいいのかということも含めてぜひ検討いただければと思います。
一点、ちょっと視点を変えて質問したいんですけれども、この懐胎時期に関する証明書というのは、ここに記載されている懐胎の時期の最も早い日が婚姻の解消または取り消し後であるかどうかによって判断する、こういうことになっております。つまり、わかりやすく言うと、離婚の日が懐胎の時期よりも前であれば受け取れるんだけれども、その日以降の離婚日であると、これは一切証明書は効果を持たないということになるわけですね。
ところが、これはちょっと論理的にも矛盾していると思うんですけれども、懐胎の時期、推定排卵日は、例えばきょうからですと、平成19年の12月7日から平成20年の1月5日までとかいうふうにここに記載されるわけですよね。この期間中に推定排卵日というのは毎日、この日かもしれないし、この日かもしれないし、この日かもしれないということですよね。
そうすると、仮に、明日離婚した、離婚届が提出されましたということになったときに、そこから先の話というのは、これは推定排卵日に十分入っていて、そこで要するに妊娠しているかもしれないじゃないですか。その可能性がどうして排除されるのか、どうして離婚日が懐胎時期の前でなければ受理されない、効果を発しないということになるのでしょうか。
■倉吉政府参考人
まさにその点がポイントでございまして、つまり、この場合には、重なっている期間があるということになれば、どの時期に懐胎したのかというのがわからないと事実が特定できないわけでございます。こういう判断は、戸籍の窓口ではもうできないということであります。
確かに、いろいろな資料を集めて、あるいはこのお医者さんはこういうふうなことを言ったけれども、鑑定にしてみたら、ほかのお医者さんが、いや、もっとこっちに絞れるんじゃないかと言った、あるいはほかの専門的な知見から、今の医学の進歩の状態からいくとこうなるんですよとか、あるいはエコーの見方が悪い、画像の見方からしてここまで絞れるんですよ、そんないろいろなことが調べられるかもしれません。それは裁判所でなければできないということでありまして、戸籍の窓口では、やはり定型的に、わかるものでやるしかない。
先生のおっしゃることはよくわかるんです。前の方だって可能性があるじゃないか、後の方だって可能性があるじゃないか、そのとおりです。しかし、それのどちらかということを確定しなければならない。これは戸籍の窓口ではできない、裁判所でなければできないということでございまして、ここが行政の限界かな、形式的審査権限しかございませんので、そこまでが精いっぱいのところかと。だから、できる限りのところで、その範囲内で救済のできるところはしていきたい、こう考えているわけでございます。
■西村(智)委員
ですから、この懐胎時期に関する証明書の記載を改めてほしいということなんです。
逆に言いますと、素人である私から見て、ここの算出根拠の一というのは、やはりちょっと納得できないんですよ。直感的に考えて、こんなに4週間も、それは例外のケースはあるでしょう、あると思います。あるけれども、常識的に、標準的なケースというのは、こんなに推定排卵日が長く設定される必要はないわけでして、では逆に、なぜこれほど長く設定しているのかということを説得できるだけの根拠を示していただけばいいんですけれども、どうも今のお話ですと、それはとても私はやはり納得できないと思いますので、ここは前向きに取り組んでいただきたい、協議を前向きに行っていただきたい、強く要望をいたします。
大臣に伺いたいと思います。
きょうは、私は、この証明書の算出根拠のところを中心に伺いました。きのうも某新聞の夕刊に出ておりましたけれども、出たと思った離婚届が出ていなかったために子供が無戸籍になってしまっている、こういうケースが報じられておりました。
つまり、離婚に至るケースというのは、これはいろいろあるんでしょうけれども、最近言われておりますのは、例えばDVなどの被害に遭って、何とかそこから逃れて、それでそうした期間のうちに新しいパートナーと出会って離婚をしたい、だが、裁判の手続などで前の夫の顔を見ることでPTSDなどで苦しむことになる、そういうようなことで困っていられる方はたくさんいらっしゃいます。
きのうの報道であったケースは、前の夫が記載済みの離婚届を持っていて、出したと思ったところが何年も出されていなかったんですね。その間に妊娠をし、新しいパートナーを得て子供が生まれて無戸籍になってしまった。やはり、こういうケースというのは救済されるべきだと思いませんか。もちろん、この証明書で、運用で改善できる点は、それはしっかりやっていただきたいと思います。ですけれども、そういったケースもあるということを考えると、長期的にはやはり法改正が必要になるのではないか、このように考えますが、どうでしょう。
■鳩山国務大臣
一番重要なことは、親子という身分関係を早期に確定することであり、それはお子さんのためというのが第一でしょう。したがって、お子さんが、今先生御指摘のような事情の中で無戸籍になってしまう、戸籍がなくなってしまう、あるいは明らかな父親がわかっていながらも前夫の嫡出推定が働いてしまうというようなことは、これは基本的にあってはならないことだというふうに思っております。
民法772条の嫡出推定というもの自体をなくせというような議論も時々耳にすることがありますが、私もそこのところはまだ考えがまとまりませんが、少なくとも不倫推奨のような形になってはいけないな、こういうふうには思っております。
ただ、先ほど先生、14日間さかのぼるとひっかかるというような話がありましたけれども、婚姻中に懐胎したお子さんについても、さまざまな事情で、これはそのときの結婚している両親の子ではないということがかなり明らかに推定あるいは確定できる、例えば外国に行っていたとか完全な別居であるとか、あるいは刑務所に入っていたとか、どんなようなケースで、戸籍の届け出、親子関係不存在の調停をしなくても戸籍で受け付けてきちんとできるかどうか、あるいは簡単な裁判手続というものがあるかどうかというようなことについては与党で御議論をいただいているというふうに聞いておりますので、できれば与党の議論も進めてもらいたいし、与野党でそういう御議論を前進させていただければよろしいんじゃないでしょうか。それがありがたいと思います。
■西村(智)委員
当面、運用として、この証明書の記載の部分は、やはり私は改めるべきだと思います。大臣、そこのところは行政府の長として、ぜひ、医師会との対話、協議、これを後押ししていただきたいと思いますが、どうでしょう。
■鳩山国務大臣
なかなか自分の考えを曲げてくれない民事局長とよく話し合ってみようと思っております。
■西村(智)委員
お願いいたします。
ありがとうございました。終わります。