■西村(智)委員
民主党の西村智奈美でございます。
まず、独立行政法人改革について伺いたいと思っております。
先月の27日に、いわゆる有識者会議の指摘事項というのが取りまとめられまして、独法の整理合理化計画を年内にも策定というふうに聞いているんですけれども、報道などを通じまして、大臣がこの間大変御苦労されているということを仄聞いたしております。独立法人改革というのは、私たち民主党も必要なことだと思っておりますし、そのことについて取り組んでおられるということには敬意を表します。
大臣、これは通告はしていないんですけれども、独立行政法人改革に向けていろいろ取り組んでおられる中で、省庁によってはなかなか消極的な発言が続いているということなんですけれども、率直な今のお気持ちといいますか、どんな御感想を今この独法の問題に取り組んでいるに当たって持っておられるのか、そこをちょっとお聞かせいただければと思うんです。
■渡辺国務大臣
私がこのミッションを仰せつかった背景には、独法制度が六年たちまして、やはり根本から見直しをする必要があるのではないかということがあったかと思います。
独法制度は、行政の効率化を目指して、ある程度経営の自由度を高め、民間的手法も導入しながら行っていく趣旨であったかと思います。残念ながら、各独法とも、それぞれの主務官庁の関係が非常に強いといいますか、事業管理のみならず人事管理も事後評価もすべて各省のグリップがきいているという状況にございます。したがって、こういうことではなかなか独立行政法人、イギリス流に言うとエージェンシーでございますが、こういうもののよさを生かすことはできないのではないかという思いがございました。そこで、ガバナンスをより強化し、これを一元化していくことも必要ではないかと考えるようになったのでございます。
つまり、事業管理は各省に任せるとしても、人事管理や事後評価については各省に任せておくだけではうまくいかないではないか、特に大事なことは、事後評価の仕組みが余りにも複雑で、結果として各省に置かれた評価委員会のお手盛り評価がまかり通っているではないか、そういうことから、この独法制度の抜本見直しに着手をしたところでございます。
各省にしてみれば、当然これは、それぞれの役所のいわば権益が脅かされることになるわけでありますから、反対が多いのは当然だろう。反対については想定内のことであろうかと思っております。しかし、私のミッションを果たしていく上には、何としてでもこの反対は乗り越えていかなければならない、改めてそういう強い思いを持つものでございます。
■西村(智)委員
今ほど大臣から、独法の改革に向けて、基本的なスタンスを示していただいたと思っております。
人事管理ですとか、それから事後評価のグリップが余りにきつ過ぎるというようなことはまさに御指摘のとおりだなというふうに思いますし、また、エージェンシーのよさを生かしていく必要があるという点についても全くそのとおりであるというふうに考えております。
実は、私は、先週この内閣委員会で、国立女性教育会館のことについて上川大臣と議論をさせていただきました。国立女性教育会館は、今埼玉県にあるんですけれども、ここがやはり非常にいい活動をされていて、国内的な評価のみならず国際的にも高い評価を得ております。この国立女性教育会館の改革案については、有識者会議の中で、青少年教育振興機構との統合、そして機能縮小ということが提案されているやに、これも報道なんですけれども、聞いていますが、実際にそういった議論が既にあるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
■渡辺国務大臣
有識者会議において結論が出されたわけではございませんけれども、国立女性教育会館と国立青少年教育振興機構との統合につきましては前向きに議論をいただいたところでございます。
これは、男女共同参画社会の形成ということに後ろ向きということでは全くございません。重要なのは、いかに充実した女性教育を行えるか、また、このことが男女共同参画社会の形成を増進していくか、そういう観点からの議論であったと聞いております。
■西村(智)委員
随分先回りして答えていただいた項目もあるんですけれども。
どういう内容で議論されているのかということについても、これはまだ実は明らかになっておりません。ですけれども、この独法の改革が議論されているということでパブコメが行われたと思いますけれども、そのパブコメに対して、この国立女性教育会館に関連しての意見が上がってきているんではないかと思うんですね。
つまり、恐らくパブコメの意見を寄せてくださった方々の多くは、ここでの研修制度に参加した方々からだったのではないかと思います。ここで行われている活動は、大きく言えば、教育研修、それから研究、それから広報などの情報発信、それと国際的な役割を担っていく、大体こんなことなんだろうと思うんですけれども、まだ内容が明らかになっていない時点ではあるんです。また、パブコメは本来、有識者会議の議論されていた中身が出てきて、あるいは整理合理化計画案というのが出てきて、そこから行われるべきであるというふうに思っていますけれども、まずその前段階として行われたパブコメでどんな意見があったのか、それを伺いたいと思います。
■渡辺国務大臣
パブコメを実施いたしましたところ、国立女性教育会館に関する意見は10月12日から12月3日の間に142件寄せられております。いただいた意見の内容は専ら、男女共同参画の中心施設として国立女性教育会館の単独での存続を要望するものであったと把握をいたしております。
ただ、私がこれらのメールを見て非常に残念に思いましたのは、同じ中身の内容のメールがあったということでございます。
■西村(智)委員
同じ中身のメールがあったということは、それだけ同じ思いを持っている人がたくさんいらっしゃったということの証左だと私は申し上げておきます。
そこで、先ほど、男女共同参画政策推進のための中核拠点である、そういう意見もパブコメの中にあったということなんですけれども、実際そうなんですね。
実は、各国に既にこういった国立女性教育会館のような同類の施設が、このアジア太平洋地域に広く存在をしておりまして、お隣の韓国などは、もともとあったそういう一つの機関を、わざわざ最近、研修と研究を行う二つの機関に分けて、この日本の、ヌエックというふうに言わせていただきますが、国立女性教育会館の略称です、ヌエックはそれぞれと連携をして交流なども行っている。実は、これは、国内の男女共同参画推進の拠点であるだけではなくて、国際的にもアジア太平洋地域の拠点として本当に役割が大きく期待されているものであります。
特に、このヌエックというのは、所管が文部科学省にあるんですけれども、実際には外務省とも非常に密接な仕事も担っております。
例えば、JICAで活動する人たちの人材研修ですとか、アフガニスタンの女性のエンパワーメントのための行政官研修ですとか、そういったことを通じて、国連でミレニアム開発目標が設定されておりますけれども、その実現に向けても大いに貢献しているということで、つまり、国内的にも非常に評価の高い機関であると同時に、国際的にも非常に評価されている機関なわけなんです。
仮にこれが子供の施設と一緒になるということになりますと、これは、実際にそうは思っていないけれども、統合した、いわゆる主体の見方と、それから、そういう事情が説明されたとしても、やはり外から見た見方というのは異なりますからね。やはり日本というのは、そのように子供の政策と女性の政策を一緒にやるということで、後退したのではないかというふうに見られることを懸念しておりますし、先週、上川大臣と議論をいたしましたときも、大臣からそのような答弁がありました。この点について渡辺大臣はどういうふうにお考えでしょうか、直接の御担当ではないんですけれども。
日本は今、世界的に非常に男女共同参画がおくれている国だと言われております。GEMといいまして、各国の女性の参画度合いをはかる指標があるんですけれども、かなり下位の方でずっと低迷をしているんです。政府が取り組んでいるにもかかわらず、なかなかこの順位というのも上がっていきません。
どうでしょうか。やはり国際的な日本に対する評価を維持する、そしてまた高めていくというためにも、私はこれは単独で存続というのが適当ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
■渡辺国務大臣
男女共同参画社会の形成といったミッションをさらに進めていくことは私も大賛成でございます。重要なことは、いかに充実した女性教育を行っていけるかということではなかろうかと思います。
例えば、先ほど来お話がございますように、仮に二つの独法、女性教育会館それから青少年教育振興機構を統合した場合、指導者への研修や教育に関する研修施設の運営、調査研究などのノウハウの共有を図ることが可能になるのではないでしょうか。また、バックオフィスを含めた組織運営の効率化を図っていくことができるのではないでしょうか。国立青少年教育振興機構が保有する研修施設において女性教育のための研修など、全国展開が可能になるといったメリットがあるのではないでしょうか。
こういった観点から有識者会議では議論が行われたものと思います。男女共同参画社会をより進めるためにも意義があるものという観点からの議論であったかと承知いたしております。
■西村(智)委員
大臣が今、101の独立行政法人の見直しに取り組んで、現時点で廃止ということでほぼ確定に近くなっているのが三つだということ。小さいところからでも成果を上げなければならないというお家の事情は理解をいたします。
ですが、先ほど大臣おっしゃいました、ノウハウを共有することができるのではないかということですけれども、果たして、このノウハウの共有というのが二つの機関で必要とされているのかどうか。私は、このヌエックの研修に参加した人たちの満足度が非常に高いということからして、ノウハウの共有によって新たにヌエックが得るべき中身というのはそれほど大きくないのではないかと考えております。
また、効率化という点についてでありますけれども、有識者会議の中で四つのポイントが示されておりまして、一、二、三、四とあった最後のところの、統合、民営化の考え方のところでは、小さいところを統合の対象とするというようなこともあって、私はこれを見たときに、あれっと思ったんですね。
真に必要なものは残す、真に必要でないものはやめる、こういった基本的な考え方もありますけれども、ヌエックは効率化は随分進んできているのではないかと思うんです。人件費はここのところずっと減らしてきている、減らすことに成功しているということでありますし、今大臣がおっしゃったことは、もう既に現時点の国立女性教育会館で取り組まれて成果が上がっていることでありますので、そのあたりもぜひ踏まえていただいて今後の検討を進めていただければ、つまり、単独での存続に向けての検討を進めていただきたいと思うのですけれども、もう一度答弁をお願いいたします。
■渡辺国務大臣
そういった御指摘は、私のもとにもたくさん寄せられております。
私ども、行革の観点からいろいろな御提言をさせていただいておりますが、我々の指摘に対しまして文部科学大臣の方から、それを打ち破る立証が果たされるかどうかというところがポイントであろうかと思います。
■西村(智)委員
先ほども申し上げましたが、これは、所管の文部科学省以外に、直接男女共同参画政策を推進する内閣府、そしてまたJICAなどの活動、そして各国政府や研究機関と連携をしていることから外務省、幅広い省庁とのつながりがあるわけでございますので、ぜひそちらも検討対象に加えていただきたいということを強く要望いたします。ぜひ、全国の女性たちをがっかりさせないでいただきたいと強くお願いをいたします。
続きまして、ちょっと時間も少なくなってまいりましたが、増田大臣に、地方分権の推進について伺いたいと思っております。
私は実は長く総務委員会におりまして、地方分権推進委員会のことを質問しようといたしますと、それは内閣府で聞いてくださいということで、ここは非常に縦割りの強い壁に阻まれて、なかなか伺えなかったんです。きょうは内閣委員会でありますのでお伺いしたいと思うんですけれども、地方分権改革推進委員会で中間報告が取りまとめられました。先月十六日のことでありますけれども、ここで大変踏み込んだ内容で書かれていて、私は、ああ、これは期待が持てるかなと思っております。
つまり、これまで第一次改革、第二次改革と進んできた中でどうしても踏み込めなかったことについて記載をされている。例えば、第二次改革で、いわゆる事務事業の移管ということで、なかなか盛り込めなかったことも提案として入っているということで期待をしておりますけれども、ちょっと、もう既に懸念材料が出てきております。
この中間報告が取りまとめられた後、地方分権推進対策本部ですか、これは閣僚の皆さんがメンバーになって構成されているということで、先月末にそれが開催されたということなんですけれども、福田総理大臣が、この中間報告を受けて、全閣僚に対して、政治のリーダーシップを発揮して取り組んでほしいというふうに発言をされた。発言をされたし、恐らく増田大臣も同じ御意向なんだと思うんですけれども、それにもかかわらず、抵抗されるような発言の閣僚もおられたということで、これは本当に、うまく進めていくためには、相当のやはり政治力と申しますかリーダーシップが必要になってくるんだろうと思っているんです。
大臣に、ここはどう突破していこう、突破といいますか、そういった各省庁からのいわゆる抵抗をどう排除していこうとお考えになっているのか、その点についてぜひ伺いたいと思っています。
これまで、例えば前回の分権のときですと、小泉さんが途中まで一生懸命後ろ盾をしていたんですけれども、なかなか最後のところまで力が続かなかったというようなこともありました。大臣、どうここを突破していくおつもりでしょうか。
■増田国務大臣
お答え申し上げます。
先般、今先生お話しの、政府の改革推進本部というものを開催いたしました。そして、丹羽委員長から中間報告をしたんですが、その際に何人かの閣僚の皆さん方から確かに、お話がございましたとおり、御発言がございました。その中間報告で取りまとめられていることに対して、慎重に今後検討していきたいというお話がございまして、役人の言葉ですと慎重に検討というのは否定的な場合が結構多いわけでございまして、そうしたことから今先生の御懸念のことにつながっていったのではないかというふうに思うんですが、各大臣の御発言でございますので、本当によく検討するという文字どおりの意味ではないかというふうに私は思うわけでありますが、その発言をいただきました後に、推進本部として、いずれにしても次の三点を確認いたしました。
中間的な取りまとめを最大限尊重するということが一つ。それから、政府が一体となってスピード感を持って取り組んでいく、そのことが二つ目。それから三点目は、分権委員会の活動を政府として積極的に支援していく。かいつまんで言いますと、この三つのことは最後に本部として確認をした事項であります。
総理も、政治的リーダーシップを発揮しろということを各閣僚に指示もされたところでありますので、こうした確認事項はきちんと残っておりますので、これを各省も受けて今後取り組まなければいけないというふうに思います。
このことについては、今ちょうど渡辺大臣も独法の改革についていろいろ奮闘しておられる中で、基本的な原則を定めて、それに反する挙証責任は各省が持つ、こういうやり方で進めているわけでございます。私も、分権を進めていくに当たって、なぜこの事務に対して国が義務づけをしなければいけないのかという共通のメルクマールが分権委員会で示されていますので、それに従えないという理由は各省が示していかなければいけない、こういうことではないかと思っています。そうした原則を踏まえて、今後、今の確認事項もございますので、それを受けて、強力に、分権の中間取りまとめの方向に沿って政府全体としての取りまとめをしていきたい。
来年、分権委員会から勧告が出てきて、それからが本格的な始まりということになりますので、まずは分権委員会に、きちんとした勧告を政府にしていただきたい、このように考えております。
■西村(智)委員
来年分権委員会から勧告が出るということですと、来年の政治状況はどうなっているかなと、今、実は答弁を伺いながら思ったところなんですけれども、いずれにいたしましても、では、その勧告をまずはしっかりと出していただくということが先になろうかと思います。
それと同時に、増田大臣の方から、分権推進一括新法を半年前倒しして、09年の秋の臨時国会で提出したいということなんですけれども、ここは、いわゆる地方税財源の問題、交付税の課題、そしてまた補助金、こことあわせて非常に微妙な一年間にもなってくるのではないかと思います。ぜひ強力に進めていただけるように、強く要請をいたします。
最後に、大田大臣に、実は先週質問する予定だったんですけれども、それから多少質問の内容も変えさせていただきました。
実は、ことしの年次報告、非常に興味深く私は読ませていただきました。去年までの年次報告はどちらかというと、経済成長すれば格差が縮小する、いわば拡大路線にどっぷりと乗っかっているという感じがいたしたんですけれども、ことしの年次報告は多少その色合いが変わって、いわゆる正規雇用と非正規雇用の間の格差の問題や、パートやアルバイトなどそういった非正規の賃金が全体的な雇用の格差につながっている、そういったお話があったり、また、先進国では、経済成長をしているけれども逆に格差が拡大してきている、そういう研究報告がなされているということも紹介されたりしまして、つまり、今までの右肩上がりだけでは格差が解消できないんだということを示している大変貴重な年次報告だったなというふうに思っているんです。
きのうですか、閣議決定をされた平成20年度の予算編成の基本方針も、そういった目線で見ますとやはり軌を一にしていて、特に、だれもが安心して働ける環境づくりという項目があったかと思いますけれども、そういうところなどは年次報告の内容をやはり色濃く引っ張ってきている、興味深い内容だったなと思います。
そこまで書かれているのであれば、私はもう一歩進めて、いわゆる派遣労働のことについてもぜひ、基本方針を取りまとめられた大田大臣の所見を伺いたいと思っております。
派遣労働あるいは請負といった形態についてはここのところ大変大きな問題になっておりまして、いわゆる所得の格差のみならず、やはりその労働者の労働条件、安全衛生という面でも大変深刻な問題を発生しておりますけれども、この労働者派遣法が来年ちょうど見直しの時期を迎えることになっております。ここでぜひ言及が欲しかったというのが私の本音なんですけれども、大臣自身は、この点、いわゆる非正規雇用全体を含めても結構なんですけれども、どんなお考えでこの基本方針を取りまとめておられるのか、その点を伺いたいと思います。
■大田国務大臣
派遣労働者を含めた非正規雇用につきましては、やはり雇用の安定それから福祉の増進ということに対して十分な配慮がなされなくてはならないと考えております。
現状、幾つかの論点がありまして、例えば、登録型派遣や日雇い派遣をどう取り扱うのか、あるいは受け入れ期間の制限をどうするのか、あるいは一定期間受け入れた後の派遣先事業主による派遣労働者への直接雇用契約の申し込み義務、こういったことをしっかり議論していかなくてはいけないと考えております。
これについては、現在、先生も御指摘のように、厚生労働省の公労使で構成される審議会で検討が進められておりますので、その審議の経過を見たいと考えております。
予算編成の基本方針の中でも、派遣労働者を含めた非正規労働者と正規労働者との間の処遇の均衡、それから非正規雇用の正規雇用への転換等を図る施策の推進ということはしっかり言及させていただきました。
あわせて、やはり非正規雇用から正規雇用に移れるような職業訓練も必要だと考えておりますので、予算編成の基本方針の中にはフリーターの常用雇用化やニート等の若者の職業的自立への支援ということも言及しております。
引き続き、こういう非正規労働を含めて、あらゆる立場で働く人の働き方の問題というのは検討を進めていきたいと考えております。
■西村(智)委員
労政審の方に議論をゆだねるということをお伺いいたしました。
いっとき経済財政諮問会議の方が、非正規雇用あるいは日雇い労働が雇用の調整弁であるという方向で議論が流れかけた経過がありますので、今の大臣のお話を伺うと、最近の経済財政諮問会議はそうではないというふうな御答弁だったというふうに認識をいたしますし、そのことは経済財政諮問会議の方で余り踏み込んだ議論がされないように、大臣のお立場からもぜひ配慮をしていただければなというふうに思っております。
時間ですので、質問を終わります。ありがとうございました。