■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美です。
私は民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました「被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案」につきまして、意見の表明をいたします。
民主党は、現行の被災者生活再建支援法について、従来認められていなかった住宅本体部分への支援金適用を可能とすべきであるとの主張を続け、これまで4回にわたり議員立法を国会に提出してまいりました。今回、私たちの主張する趣旨が一定程度理解されたことにより、民主・自民・公明の共同提案の議員立法が提出され、ここに議論に付されるに至ったことについて、感謝の意を表しつつ、3点にわたって意見を申し述べます。
第一に、支援金の使途として住宅本体部分の再建が可能になることは、大きな前進と考えます。平成7年の阪神・淡路大震災以来、住宅の再建を公によりバックアップする制度の創設が求められてまいりました。しかしながら「私有財産である住宅に公費を投入することはできない」との理由から、住宅本体部分についての支援金使途の適用は見送られたままだったのです。政府の主張する見解には疑問があり、直接法文に適用できる旨を書き込むことも可能だと私は考えますが、今回の共同提案にて、支援金を、使途を問わない渡し切りの定額制とすることによって、実質的に住宅本体部分の再建に用いることが可能となることは、大きな前進であると考えます。
第二に、使い勝手が極めて悪いとされる本制度の運用が、大幅に改善される見通しです。これまで事細かに制限されていた支援金の使途制限が、一切撤廃され、煩雑な事務処理の負担も、相当程度、軽減されることが想定されます。また支給にかかる年収要件が撤廃されたことにより、災害により収入の道を絶たれたにも関わらず、前年の収入によって法の適用を受けられない、などといった不合理も解消されることは、大きな評価に値するものであります。
第三に、今年発生した4つの大きな災害を特定災害として指定することによって、本改正案の効力を実質的に今年はじめにまで遡及できることは、被災者から大変歓迎されています。これらの災害については、いまなお多くの被災者が生活再建のメドをたてることができておりません。改正法は、現実におられるこれら被災者の方々に、復興への手がかりとして今こそ必要なものであります。遡及によって立法府の責務を果たせるものと考えます。
しかしながら、改正案においてなお、積み残しの課題が存在しております。すなわち、①被災世帯の範囲を半壊世帯まで広げること、②支援金支給限度額を500万円まで引き上げること、③被害認定は適切に運用すること、④国の補助割合を三分の二にすることについては、今後引き続き検討すべきと考えますので、状況を常に注視し、必要に応じて速やかに見直すことが必要と考えます。
本改正案が、被災者の復興意欲を大きく喚起できるような制度となることを願って、私の発言を終わります。