■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今回、被災者生活再建支援法を与党の皆さんが提案をまとめられたという御努力には敬意を表します。ですけれども、既に私たち民主党の方から参議院におきまして改正案を提出しておりますし、もとより、この被災者生活再建支援法の課題というのは、住宅本体への支援の投入ということにあったと思われます。そのことについても、もう私たちの方から何度となく提案をしておりますので、参議院に提出をしている民主党案を軸に改正が行われるべきだというふうに考えております。これは話の筋からしても当然のことなんだろうというふうに思うんですけれども。
いずれにいたしましても、与党の皆さんがまとめてくださったものの考え方などについて、この後、松本委員からも質問があるんですけれども、私は多少の露払いということで質問をさせていただきたいと思っております。
まず一つは、いわゆる遡及の問題でございます。
施行期日が与党案では公布から一月以内、公布の日以降の自然災害、これも適用対象とするということになっておりますけれども、私の地元は新潟でございます、そしてまた、能登、水害のあった秋田、こういったところを見ますと、そういった地域の被災者の皆さんは、まさに復旧の途上にある、本当に復旧のスタートラインに立ったばかりのところなんだと思うんです。
改正案の「目的」にもありますとおり、「住民の生活の安定と被災地の速やかな復興」ということであれば、まさにこの法律は被災から時間の経過していない被災地にこそ必要な支援であるというふうに考えておりますけれども、施行期日が提案のようになっておりますことの理由について伺いたいと思います。
■大口善徳議員
ただいまの御質問についてお答えをさせていただきます。
まず、本法案におきましては遡及をしないということにつきましては、本制度が、将来の災害に備え全国の都道府県が基金を拠出して、そしてその支援金を支給するものである、その性格上、遡及になじまない、こういうことでございます。
本法制度の制定は平成10年でありますけれども、阪神・淡路大震災等もあったわけでありますが、それ以前の災害については遡及適用していない、こういうことでもありますし、平成16年の改正時においても遡及適用はしておりません。阪神・淡路の大震災につきましては、阪神・淡路大震災復興基金により、支援法の生活再建支援に相当する程度の支援措置が講じられたところでございます。
それで、今委員御指摘の、要するに、対象の災害については公布日から、こういうことについては遡及しているじゃないか、こういう御質問であるわけでございますけれども、災害というのはいつ起きるかわからない、先ほども御説明しましたように、一日も早く施行したい、こう考えておるわけでございます。そして、公布日以降はいつでも施行できるので、できれば公布日施行にしたかったわけでありますが、政令等の整備等の事務的な準備期間が要る、こういうことですので、可能な限り早い時点で、公布の日から起算して一カ月を超えない範囲内で政令で定める日を施行日としたところであるわけです。
そして、このように、公布日施行としてもよいところを、事務的な準備等のために施行日をずらして、たまたまその期間に災害が発生したため、本来であれば改正後の制度の適用を受けられるにもかかわらず現行制度の支援しか受けられないということではおかしいのではないかということから、公布日以降に発生した災害を対象としたわけでございます。法律で、成立が公にされた日ということで、非常に明確に線引きができるということでございます。
いずれにしましても、これは、将来の災害に備え、こういう趣旨になじまないものではない、むしろその趣旨に沿うことであるということで、こういう形にさせていただきました。
もちろん、本制度の趣旨からこの制度の適用対象としてはなじまないということと、新潟、能登の被災者の方の支援の必要性、これは別でございます。提案者としては、これらに対しては、ちゃんとこれらに備えてこの制度の改正を行うとともに、別途、新潟、能登の被災者の方に対しても改正後の支援の内容と同様の支援を行うことができる措置を講ずべきである、こう考えております。
■西村(智)委員
現在、新潟、能登の被災者の皆さんは、まだ生活復旧に向けて大変忙しい、精神的にも物理的にも大変困難をきわめている中、被災者生活再建支援法の適用が受けられるかもしれないということで、既に罹災証明の発行のために一生懸命活動されておられることと思います。
仮にこの与党案が成立いたしましたときに、新しく成立した法律があるにもかかわらず、現在罹災証明を発行してもらうためにいろいろなことをしている新潟や能登の被災者の皆さんが旧法のもとでの申請をしなければならない、ここのところに私は大きな矛盾が生じるのではないかと思います。この点については、提案者はどうお考えでしょうか。
ここはやはり、遡及をきっちりとして、今現在、生活の復興のために頑張っていこう、そういう気持ちになりつつある被災者の皆さんをこの法律で励ます必要があるのではないかと思いますけれども、いかがですか。
■大口議員
今一生懸命罹災証明の申請をされている、こういうことでございますけれども、これは、被災地において、被害認定に関して御指摘のような声があるわけですね。どういうことかといいますと、一回の認定……(西村(智)委員「いや、私が聞いているのはそこじゃありません」と呼ぶ)では、もう一度、済みません。
■西村(智)委員
新法ができたときに、旧法のもとで申請の手続をしなければならない被災者の人たちがいるということに矛盾はありませんかと言っているんです。
■大口議員
ですから、今回、公布日以降について対象にした、そして、この法案成立以前については対象としないということにつきましては、別途しっかり考えていく。
それと、平成19年の1月1日ということでこれは線引きをされているわけでありますけれども、平成18年も17年も大きな自然災害を被災された県もあります。そういうことからいいますと、これは、47都道府県で基金を造成して、そしてやっておるわけでありますから、石川県、そして新潟県のことを考えますと確かにこれは特別の措置はしなければいけませんけれども、この法律におきましてはどこまでさかのぼるかということで、やはり明確な線引きが必要だと思うんですね。
ですから、この新しい制度につきましては、公布日という、明確に法律の線引きができるところ、そして将来の災害に備える、こういう趣旨からいってもそこで線引きをするのが妥当である、こう考えております。
■西村(智)委員
私の質問に対する答弁はありませんでした。
そこで、先ほど答弁の中にありました、遡及はしないけれども、それと同様の支援が行われるべきであると考えている、提案者はこのようにおっしゃったと思います。やはり、この遡及についての地元の要望は本当に強いわけなんですけれども、昨日も私は担当大臣、泉大臣に質問させていただきましたが、その同様の支援というのは一体何を想定されておられるのか、この中身を具体的に伺いたいと思うんです。
一部報道などで、これは萩生田提案者がどうも発言されたというふうに承知をしておるんですけれども、復興支援基金への国からの支援で住宅本体への支援が行えるようにする、それだから、仮にこの法律が新潟や能登に遡及しなくてもカバーされますよというふうに話があった、そんなふうに承知をしておるんですけれども、本当に総務省から基金の適用の範囲についてそのようなお話というのがあったんでしょうか。伺いたいと思います。
■柴山昌彦議員
今、西村議員から御指摘のあった点ですけれども、先日の衆議院総務委員会におきまして、増田大臣から次のように御答弁がありました。
「能登半島地震や中越沖地震の災害復興基金に係る地方団体の負担について一定の交付税措置を講ずることとしているが、国の被災者生活再建支援制度とも歩調を合わせて、住宅本体に係る支援金の支給事業については、従来は交付税措置の対象外としていたところであるが、今般、国の支援制度が改正された場合には、地方公共団体の判断により、災害復興基金を通じて、改正後の支給内容におおむね相当する程度の支援金を支給しようとする場合、交付税措置の対象とすることを考えている」というものでございます。
■西村(智)委員
基金の上乗せについてはどのくらいのものが示されているんでしょうか。ここは大事なところなんです。
つまり、基金の総額というのは、既に総務省の方からは、新潟へは1200億円ということで示されております。これはもう9月の上旬に既に示されているんです。これに基づいて県の方は支援メニューを構成しております。ですので、基金の大幅な上乗せがなければ、総務大臣が仮にそのようにおっしゃっているとしても、これは到底受けられる話ではありません。
具体的な額の提示はあったんでしょうか。
■柴山議員
具体的な金額についてのお尋ねでございます。
内閣府の試算によりますと、今の制度と与党案における改正支援金支給額の差額は、能登半島地震においてはおおむね17億円、中越沖地震についてはおおむね32億円とされております。
そして、総務省の方から、今御指摘があったそれぞれの復興基金の運用益、これは5年分を積み上げますと、能登半島地震でおおむね37億円、中越沖地震で90億円であるということで、改正法遡及適用のレベルをカバーする範囲であるというような形で聞いております。
■西村(智)委員
しかし、それは総務省がはっきりと示しているわけではありませんし、基金全体の中で、基金の利益の総額を今おっしゃって、その中から内閣府が試算している額は十分賄えるというふうな御答弁でしたけれども、何度も申し上げますけれども、ほかにも基金ではいろいろなことをやらなくちゃならないわけなんです。全部が全部この住宅本体への投入に充てられるというものではありません。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。
ですので、私たちは、あくまでもここはやはり、地元自治体からも要望がありますように、法律の遡及、これはしっかりとやらなくちゃならない、これは立法府の責務であると考えております。
最後に一つ伺いたいんですけれども、昨日、この災害対策特別委員会におきまして、我が党の寺田委員の方からも、そして私の方からも、いわゆる災害に係る住家の被害認定基準運用指針の見直しについて質問をさせていただきました。私が質問したのは判定方法についてでありましたし、寺田委員の方から質問がありましたのは、地震関係の災害と水害関係の災害と、これは余りに違うのではないか、つまり、水害に伴う被害の実態を踏まえていないのではないか、こういう指摘があったところでございます。
今回、法律本体の改正を提案されておられますので、この指針もあわせて見直す必要があるというふうに考えますけれども、提案者はどのようにお考えでしょうか。
■大口議員
昨日、御指摘の運用指針等について、泉防災担当大臣と御議論があったということは承知しております。
提案者としましては、委員の御指摘を踏まえながら、今後の政府の対応を見守ってまいりたい、こういうふうに思っております。
被災地における被害認定に関しては、御指摘のような声があることは承知しているわけです。そして、被害認定は各種被災支援策に密接に関連する罹災証明書の発行のために必要とされるものでありますから、被害認定には迅速性が求められる、その一方で的確性も要求される、こういう相反した要求というものにこたえていかなきゃいけない、そういうことでございますので、委員の御指摘も踏まえ、被害認定にまつわる諸問題、諸課題について、今後ともこれは検討していく、こういうことでございますので、その政府の対応を見守っていきたい、こう考えております。
■西村(智)委員
政府の対応を見守るというのは、それはどうなんでしょうか。
このように皆さんも今回法律本体の改正を提案しておられますので、この法律でいろいろな不備がある、使い勝手が悪いということについては認識として持っておられるんだと思いますね。ところが、この指針の見直しのことについてどうですかと質問すると、それは政府の検討を見守りたいとおっしゃっている。そういう答弁を聞きますと、私が考えますのは、つまり、今回の改正で皆さんが、本当に被災者のための法律改正ということはもちろんお考えになっていたでしょう、しかし、やはり民主党が早く参議院で提出しそうだから急いでつくらなければいけない、急いで提案をしなければいけない、こういう事情があったのではないか、そういうふうに見なければならないわけでございます。
そこは、提案者の気持ち、これは私はわかっているつもりです。ですけれども、本来、もうちょっと時間をかけるべきだった。そして、参議院で提出している私たちの提案、ぜひこれは、今後の議論ということになりますけれども、遡及を含めた見直しがされるように、私は強く期待をいたしております。
質問を終わります。
■赤羽一嘉議員
西村さんは、議員になられてから以後の話を主にされているんだと思うんですが、私、きのうの趣旨説明をしたように、12年前の阪神大震災の発生から、公的な助成をいかにするかということは延々と研究もしてきました。自分自身の体験としても、それを政治家の原点としてやってきました。それを、平成16年以降のところだけをとらまえて、さも与党が何もしてこない、まあ当時は私たちも野党でしたから、さまざまな歴史の中で、ちょっと今の言い方というのはどうなのかなということを、率直に言って、そう感じます。
しかし、この被災者生活再建支援法というのはオールマイティーな法律じゃないんですね。ですから、私たちはこの案を提案しておりますけれども、松本さんがこの後質問される、必要だと思うことは別に改正することはやぶさかではございませんし、しっかりとした議論をしていきたいと思います。
また、最後の質問ですけれども、ちょっとよく具体的に、私、きのうのやりとりを聞いていなかったのであれなんですが、罹災証明の判定のことで、現場は大混乱しながら二度三度して、家の外だけ見られて一部損壊ということで、中に入ると大規模半壊だということ、私の住んでいたマンションなんかも実はそういうことがあった。
しかし、神戸の場合ですけれども、40万世帯に一日も早く罹災証明を渡さなきゃいけないという使命もあるわけですね。だから、最初から丁寧に家の中に入れというと、それも一つの御提案だと思いますが、そうすると、罹災証明が出るまで延々と二カ月、三カ月待たなければいけないということも考えると、それは、今ここで、どう考えるのかということ。即断するわけじゃなくて、ガイドラインも見直しをしなきゃいけないと思いますが、実際、罹災証明の判定をするのは市町村になると思いますので、そのところと柔軟に、中越の地元の御意見は別に否定するものではございませんし、そこも含めて、しっかりとしたいいものをつくっていきたい、これが私たちの思いでございます。
ちょっと、余計ながら答弁させていただきました。