■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。初めて内閣委員会に参りました。どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは7大臣の所信表明演説に対する質問ということでありますけれども、とりわけ、3人の方からお越しいただきまして質問をしてまいりたいというふうに考えております。
民主党の中でもさまざまな調査会がございまして、子ども・男女共同参画調査会というのがございます。私はそこの事務局を担当しておりますので、まずは、少子化ないし子供政策、そして男女共同参画について、上川担当大臣の所信より何点か伺っていきたいと思います。
冒頭、大臣、御就任おめでとうございます。これまでの取り組みが大臣職でさらに引き継がれていくというふうに本当に期待をしておりますけれども、私、この問題に入りますときにいつも気になることがあります。それは何かと申しますと、後ほど質問もしていきたいと思いますが、少子化対策という言葉についてであります。
どうもこれは、人口をふやさなければならない、ふやしたいという大人の側からの発想であって、もちろん、人口減少が我が国の社会経済に大きな影響を及ぼすことはこれは明白でありますし、それは何とか影響が緩和されていかなければならないというふうにも思うわけでありますけれども、ただ、この少子化対策という言葉が世間に広まれば広まるだけ、子供の視点というものが、あるいは子供が中心であるという考え方がやはり弱まっていくのではないかな、そういう懸念を持っております。
今回、大臣の担当も、少子化対策、男女共同参画というふうについておるわけでありますけれども、大臣にはそうした、何といいますか、政府の側というよりは、これから育とうとする子供たちの視点に立っての政策展開をぜひお願いしたいと、冒頭強く申し上げておきたいと思います。
まず、所信表明演説の中で、子供たちのことについて言及している中で、最大限の成果が上げられるように取り組んでいく、こんなお言葉がありました。多少前後の文脈は省いてしまいますので、これだけ聞くと一体何だろうと思われるかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、私の基本的な問題意識というのは、少子化対策というのは一体何だろうかということにあるわけなんですけれども、大臣がここでおっしゃっているその最大限の成果というのは、一体何をとらえて最大限の成果とされているのか。つまり、人口減少に本当の意味で歯どめがかかったということをもって成果と言うのか。あるいは、その前段の部分にはこのように書いてあります。後段の方にも書いてありますが、安心して結婚し、子供を生み育てることができる社会の実現という意味での最大限の成果であるのか、一体どういった意味での成果を指しておられるのか、そこを伺いたいと思います。
■上川陽子国務大臣(少子化対策・男女共同参画担当)
今回、福田政権におきまして、少子化、男女共同参画の担当及び青少年と食育ということで、四つの所掌を預かっているところでございますが、私にとりましては、この四つの分野いずれも、子供の心と体の健やかな成長を応援するということを中心に据えたテーマであるというふうに思っておりまして、そういう意味では、委員が御指摘になられました子供の視点ということを特に意識しながら、大切に取り組んでいきたいというふうに思っております。
そういう意味で、今、福田政権では、希望と安心の国づくりということでございますが、お年を召した方でも安心して地域の中で暮らしていくことができる、そして若い世代の人たちも、夢と希望を持って、そしてお子さんを欲しいという方についてはその希望が実現することができるように、また、産みたいけれどもなかなかためらっていらっしゃる方についても、そのためらいの原因をしっかりと解明しながら、それに向かって、国民の皆様一人一人のそうした希望が実現することができるような社会ということに、全力で取り組んでまいりたいと思います。
■西村(智)委員
少子化問題への対応ということで、今ほど大臣の方からも答弁いただいたところなんですけれども、一般的に少子化問題への対応と申しますと、大きく幾つかのカテゴリーに分かれる、まあ三つのカテゴリーに分かれるのではないかと私は考えております。
一つは、少子化そのものに歯どめをかける、少子化を是正するための政策のカテゴリー。もう一つが、少子化の弊害を緩和する政策、人口減少があったときにその弊害を緩和するための政策。もう一つが、人口減少社会であっても社会経済制度が維持できるようにするための政策、持続可能なそういった政策への転換。この三つのカテゴリーだと思うんですけれども、大臣が担当されておる少子化対策ですね、少子化対策といった場合には、一体この三つのカテゴリーの中のどれを指すものだというふうに理解したらよろしいのでしょうか。
ここは、この分野での問題を議論する上で大事な点だと思いますので、多少観念的な話になって恐縮なんですけれども、確認をさせていただきたいと思います。
あわせて、少子化対策と申しますと、冒頭申し上げましたけれども、どうもやはり大人中心の論理になりがちである嫌いがありますので、この言葉そのものが、担当大臣の括弧書きとして、言葉として適当なのかどうか。私はここは多少考え直すべきではないかなと野党の立場から思っておるんですけれども、大臣のこの点についての意見がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
■上川国務大臣
ただいま委員からの三つの切り口ということで御指摘がございまして、私も、そういう切り口で少子の問題について考えていくということについては、大変いい御示唆をいただいたことというふうに思っております。
それで、まず、少子化そのものの歯どめをかけるかどうかということについて、今、出生率が1・26ということ、昨年は1・32ということで少し上がりましたけれども、なかなかその歯どめがかからない、これは問題であるというようなこと、そして、社会を維持していくために必要な人口等についても予測がございまして、それにふさわしいように持っていく必要があるのではないか、こういう議論があるというふうに思います。
ただ、社会を構成している私たち一人一人の国民に、自分の希望する生き方ということについてそれぞれ自分の価値観に基づいた選択があるわけでございますので、その総合的な家族としての国というものが、出生率が上がったり下がったりということについてマクロ的な視点でその歯どめをかけるべきだというようなことを国の方針として出していくことについては、私は、そういう考え方ではないというふうに思っております。
しかし、いろいろな形でかなりドラスチックに日本の社会は動いてきておりまして、そういう意味では、少子高齢化の進展も、徐々に進んでいけばそれなりのチューニングをしながら社会が持続できる、持続可能な社会を展開できるというふうに思いますが、しかし、かなりスピードが速いということで、そこの弊害について十分に是正していくような形で、時間をかけて社会全体をバランスのとれた形に持っていくということについては、これは少し、十分に考えていかなければいけないというふうに思います。
短期的なところで問題があったり、そして中長期的な視点で考えたりということが、この少子の対策ということについても必要ではないかというふうに思っております。
ですから、三つの視点ということでございますけれども、それを、どのところを選択するとか、どういう考え方ということだけではなくて、それぞれの社会の今の現状と、それから、これからのお一人お一人の意識とかあるいは働き方への考え方とか、いろんなことをよく考えながら、その弊害について、一部に負担がいくというようなことにならないように、十分に調整ができるような形で社会が少しずつ進んでいくということが大事だと私は思っておりますので、そういう視点で、短期、中期、長期というような問題についても、より十分に考えてまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
非常に言葉を選ばれて丁寧に答弁をいただいたんですけれども、少子化対策と申しますと、やはりどこかしら、産みたい人たちの自由な選択の結果として、子供を持ちたい人が持つということよりは、何か政府の財政のために自分たちは子供を持てと言われているのではないかと、少しうがった見方かもしれませんけれども、そのように感じられることもありますので、ここのところは大臣の丁寧な説明をぜひこれからもしていっていただきたいというふうに思っております。
そこで、所信のさらに前の方に進ませていただきますと、子どもと家族を応援する日本重点戦略という項目が出てまいります。本年末を目途にこの重点戦略を打ち立てるということのようでありますけれども、実は、これ、きのう説明も聞いたんですけれども、この重点戦略検討会議ですか、一体、何をどう検討して、何を打ち出そうとしているのかなということが、正直に申し上げて、よくわかりませんでした。
少子化社会対策会議を廃止して、有識者の皆さんも外部から入っていただいて、それでこの検討会議を設置しているということなんですけれども、メンバーを見て、非常にそうそうたる有識者の方々だなと思うのと同時に、検討されている課題などを見ますと、今までと余りかわりばえがしないんではないか、率直に言って、こういうふうに思いました。
今後、この検討会議、どういうスケジュールで、どういったことをテーマとして検討していくのでしょうか。また、この検討会議の成果として、結果として、何を生み出して、どう少子化問題に取り組んでいこうということになっているのか。ぜひ大臣から説明をいただきたいんです。
■上川国務大臣
ただいま御指摘をいただきました子どもと家族を応援する日本重点戦略の策定ということでございますけれども、これは六月に中間的な方向が出まして、それに基づいて検討をしていただいているところでございます。
先ほどの質問の中で私も触れさせていただきましたけれども、少子化の原因ということで、やはり結婚や出産、あるいは出産も、お子さんを一人なのか二人なのか三人なのかというようなことの、そうした御希望が大変あるにもかかわらず、今の日本の社会の中では、それを実現していくことに対してさまざまな壁があり、またためらいもあるような状況も、最近でも例の産科の問題もございましたし、あるということでございます。
ここの重点戦略の検討の基本的な考え方としては、やはり、結婚や出産に対して国民の皆さんが本当に希望しているところと現実の間にギャップがある、どういう理由でそのギャップが生まれているのか、できればそのギャップをしっかりと解決して、その希望がかなえられるような社会ということが大切ではないか、そういう考え方にのっとって今取り組みをしていただいているところでございます。
働き方の部分も含めて、未婚とか晩婚の部分、また、子供さんを持ちたいけれどもなかなか持てないというような形の中に、その背景として、働き続けることと結婚して子供を持つことの二者択一を迫られている状況がまだあるということ、あるいは、男性も含めまして、大変長時間の労働があるということ、また、多様な、さまざまな働き方に対しての選択がなかなかできにくいというようなこと等、働き方をめぐるさまざまな課題というものが存在している。
こういうことの部分を踏まえて、その結婚、出産に対する国民の希望を実現するには何が必要であるかということに焦点を当てて、特にその中でも、ワーク・ライフ・バランスの実現のための働き方の改革、多様な働き方に対応できるような、子供を育てるための支援の政策の再構築ということの具体的なあり方について検討していくことが必要であるというふうに考えております。
効果的な対策の再構築ということでございますけれども、これまで実施してきたさまざまな施策の点検、評価ということがとても大事になってくると思いますし、また同時に、子供の視点、また親の視点に立った点検、評価の手法の開発ということについても専門家の皆さんの中で御議論いただいているということでございますので、こうしたことも踏まえて、最終的には十一月、そして年内ということで骨太の方針には書かれておりますが、日程的にそうしたことを目標に取り組みを進めているところでございます。
■西村(智)委員
大変長かったんですけれども、何となくまだやはり全体像がぼんやりとしてわかりません。 大変失礼ながら、きのうレクに来ていただいたときの説明と今の大臣の説明は多少異なるところもあるわけです。説明に来てくださった方は、何か制度や仕組みがあるんだけれども、周知をできない人のところにどうやって周知をするかということを検討していたり、あるいは、行政の縦割りのところではざまに落ちている部分をどうするかというようなことも検討しているんだと。今の御説明とは必ずしも一致しないことがありました。
ちょっと具体的に、これは局長で結構なんですけれども伺いたいんですが、おととい、24日の新聞報道で、重点戦略検討会議で支援施策を充実させたら2・4兆円がさらに必要になるというような新聞報道がありました。
実は、この重点戦略検討会議というのは、先ほど大田大臣がちょっと骨太の方針のところでおっしゃっていたんですけれども、6月に中間報告が取りまとめられてから、一たん経済財政諮問会議に報告をされたことになっておるんですね。骨太の2007に反映されるということなんですけれども、先ほど大田大臣は、骨太に少子化対策というのは入っていない、たしかこうおっしゃったと思うんです。そこはお伺いするところではないんですけれども。
19年末を目途に重点戦略の全体像を提示というふうに書いてあるんですけれども、2・4兆円が新たに必要になるという数字が10月の末のこの時点でぽんと出てきて、本当にこれは来年の予算編成に間に合うのかな。一体この検討会議の成果というのはどう生かされるんだろうか、こういう懸念といいますか、疑問を持ったところなんです。
そもそも、この重点戦略検討会議、いろいろな政策を検討していただくのは非常によろしいと思います。有識者の皆さんから知恵をかりて、より効果的な、かつ人々の心に寄り添った政策をつくり出していくということは非常に有意義だと思うんですけれども、実際に、バクっとした話をいつまでも続けていても、これは正直申し上げてどうにもならない。政府である限り、あるいは、私たちは立法府におりますので立法府である限り、幾つかある政策の中から選択する、そういう決断というか勇気というか、それはやはり必要なんだと思うんですね。
ところが、重点戦略検討会議のこの進め方を見ていますと、本当に両手いっぱいテーマを抱えて進んでいっているという感じで、これでだあっといつまでも進んでいっても、どれを選択するのか、どれをつかみ取るのか。広げた両手ではつかみ取れませんから、一体これはどうするんだろうかというふうに思うんです。
私たち民主党の政策は、しっかりと、市民の皆さんの声、世論調査、そしてまた各国との比較やいわゆる生活の実態の調査などから、必要な政策を絞り込んでやっていく。そのためには、内閣府の中に上川大臣がおられるんですけれども、やはり縦割りの弊害というのが余りにも大きいと言わざるを得ない。働き方の見直しの問題にしたって、厚生労働省ですと言われる。幼稚園の問題はこちらです、保育所、保育園の問題はこちらです。ようやく、幼保一元、認定こども園というのができて、幼保連携室というのができて、ここは中央省庁的にはうまくいっているらしいんですけれども、現場ではまだまだです。
こういったことをいつまでも続けていっても、なかなかこれは物にならないということで、ここはやはりひとつ、はっきりと絞って政策を選択する、そういうリーダーシップをぜひ大臣にはとっていただきたいと思うんですけれども、この点について御意見を伺います。
〔委員長退席、岡下委員長代理着席〕
■上川国務大臣
子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議の中にもたくさんの分科会を設けて、これまで手がけてきたさまざまな施策についての評価をしっかりとしながら、そして、これからワーク・ライフ・バランスということで新しい視点に立って働き方の改革を進めながら、これまでの制度の選択の部分も含めて、両輪となって進めていくことが大事だというふうに私は思っております。
大変、少子化対策というと、という話でありますが、子供を取り巻く環境も含めて、子育てについて社会全体がどうかかわっていくのかとか、あるいは、親であるお父さん、お母さんが、働く現場の中で、子供と過ごす時間もつくりながらどのように前向きに頑張っていただけるのか、いろいろな視点でこの問題を見詰め直して、そしてさらにこれからの施策に反映していくべく、大変短い時間ではございますが、骨太の方針の中で年内にということでございますので、そういう意味で、私自身も頑張ってまいりたいというふうに思っております。
そして、大きな方向性と同時に、具体的な施策の成果ということについても、先ほど認定こども園の話がございましたが、育児休業制度の取得の問題とか、あるいは、企業内保育園が最近ちょっとふえているところでありますが、公立あるいは私立の保育園とのバランス、あるいは幼稚園とのかかわりというふうなことについて、地域の中でこうしたサービスを連携をとって進めていくことができるような視点ということも、あわせて検討をしていきたいというふうに思っております。
そういう意味では、下からのというか、現場からの声の部分をしっかりと吸い上げていく努力、そして、この間取り組んできたことをマクロ的またミクロ的な視点で分析をしっかりしていただきながら、個別施策についても評価を重ねながら、短期間ではございますが、私としては、目的に向かってできるだけ前進できるように頑張ってまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
頑張ってください。
続いて、男女共同参画の方に移っていきたいと思います。
所信表明の中で、「2020年までに指導的地位に占める女性割合が30%程度となることを目指し」、これはいわゆる2020年30%、非常にわかりやすい数値目標なのであります。最近、いわゆるジェンダー指標と申しますか、そこに日本が加えてこなかった指導的地位の範囲が少し広がって、大変詳細なデータも、どうなったかというのをいただいたところだったんですけれども、ここを見まして、かなり大変だなということを実感いたしております。
そこで、ここはまず所信にある大臣のお言葉の方から伺っていきたいと思うんですけれども、「第二次男女共同参画基本計画に基づき、国民各界各層との対話と協働を図りつつ、諸施策を推進してまいります。」このように大臣は述べられました。私は、ここがまさに大事なところなんだと思うんです。「国民各界各層との対話と協働」、今までは、何といいますか、旗振れど、笛吹けど、何とかというところが多少ありまして……(発言する者あり)わかっておるんですが、余り言いたくないものですから。
というところがあったんですが、やはり対話と協働、そしてその理解を持っていただくといいますか、これが本当に国際社会の中でこれから日本が生き残っていく、生きて頑張っていくというためには、やはりこの男女共同参画、ともに一人一人の力を合わせて能力が発揮できる社会をつくるということが、これはもう国際的な潮流でありますし、日本もそれが喫緊の課題であると言われて久しいわけなんですけれども、ここは非常に大事だと思うんです。
そこで、お伺いをいたしたいのがその対話と協働でありますけれども、これもきちんとターゲットを絞ってやっていくべきだと私は考えております。大臣は、どこをターゲットにしてこの対話と協働を行っていかれるおつもりでしょうか。
■上川国務大臣
2020年までに指導的地位を占める女性の割合が30%ということでございますが、それに向けて、「国民各界各層との対話と協働」ということで私自身所信を述べさせていただき、自分自身にプレッシャーをかけて頑張っていきたいというふうに思ったところでございます。
先週、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度となるように期待されている各分野の現状の女性比率というところでグラフにしてみましたところ、例えば、国の審議会等の委員につきましては31・3%ということで、この目標についてはクリアしているということでございますし、国際機関等の日本人の職員の専門職以上というところについては52・5でありますとか、薬剤師の皆さんについては67・2というような形の、分野によってはそういう面はございますが、しかし、全体としてみれば大変まだまだというところについては、委員の御指摘のとおりでございます。
私は、先ほど申し上げました四つの分野ということでございまして、いずれの分野についても、政府の関係するところはもちろんのこと、地方公共団体、そして経済、そして働く側の労働界、あるいは地域の中で頑張っていらっしゃるNPOの皆さん、そうしたいろいろな分野の皆さんとでき得る限りの対話と協働を図りながら、諸施策の推進をしていくということを心がけていこうと思っておりまして、そういう意味では、どれに絞ってということについては、今できるだけたくさんのという形で活動をしているところでございますので、そういう中で絞っていくことについても十分に検討してまいりたいというふうに思っております。
とりわけ、地域社会の中で頑張っていただいていらっしゃる皆さん、行政及び地域社会のさまざまなところで頑張っていらっしゃる皆さんということで、できるだけ地域に行って皆さんとの対話を進めていくということが大変大事ではないかというふうに思っておりますので、そういう意味で、予見を持たずに、今のところは幅広く対応してまいりたいというふうに思っております。
今、内閣府に入りまして二カ月になりますが、まず隗よりということもございまして、内閣府の中での男女共同参画の指導的立場の30%等については、よく議論をしながら、そのところの採用の問題とかそういうことも含めて取り組み、また、そうしたことの中での問題点等もよく把握をしながら、地方自治体の中での取り組みあるいは企業の中での取り組み等についても十分に現場の声をいただきながら取り組んでまいる所存でございます。
■西村(智)委員
今、恐らく、この平成19年9月、内閣府男女共同参画局でおつくりになった「女性の政策・方針決定参画状況調べ」というものがあるんですけれども、これをごらんにならずに大臣の答弁を聞かれた方々は、ああ、全体的にやはりそういうことになっているんだから、全体的に取り組むということでいいのかなというふうに多分聞かれると思うんですけれども、実際に個別に細かくとった数字を見ますと、全体的に満遍なくということは、もう言っているわけにはいかないのではないか。つまり、ゼロというところがあるわけですよ、かなり。審議会などのところは女性の比率31・3%ということになっておりますけれども、団体役員、それも例えば企業ですとか農林水産関係、あるいは各団体等の会、そういったようなところ、これはもう見ればすぐわかるわけでありますので、こういったところを、まず大臣からは、ぜひ足で稼いでいただきたいと強く要望しておきます。
時間がだんだん過ぎてまいりまして、ちょっと迫ってまいりましたので、先に進みたいと思いますけれども、ここからは少し官房長官にもお伺いをしたい点でございます。
人身取引、いわゆる人身売買、ヒューマントラフィッキングです。この防止及び被害者の保護に関する法律案を民主党は提出いたしておりまして、継続法案となっております。
ちょっとここは警察の方に伺いたいんですけれども、この実態。刑法が、おととしでしたでしょうか改正になりまして、人身売買が刑罰、刑法の中に入ったということなんですけれども、現状、これは国内ではどのようになっているか、お伺いいたします。
〔岡下委員長代理退席、委員長着席〕
■片桐裕政府参考人(警察庁生活安全局長)
お答え申し上げます。
警察としましては、人身取引事犯につきましては、御指摘の刑法の人身売買罪のほかに、出入国管理法等さまざまな法令を適用して、その取り締まりを図っているところでございます。
検挙状況を過去5年間で申し上げますと、平成14年が44件、28人、15年が51件、41人、16年が79件、58人、17年、この年の7月から御指摘のように刑法の人身売買罪が施行されておりますけれども、この年が81件、83人、平成18年が72件で78人となっておりまして、また、人身売買罪を適用した事件は、平成17年で2事件、10人、平成18年で4事件、23人となっております。
■西村(智)委員
これは、もう国際社会の中では日本は大変恥ずかしい状況に置かれておりまして、世界最大の加害国であるというふうに言われております。この背景には、そういったいわゆる人身売買にかかわった人たちへの刑罰が非常に軽かったこと、刑法の中に今回入ったんですけれども、これはやはり私はきちんともう一回見直す必要もあると思いますが、もう一つは、被害者に対する人権の保護という視点が薄かったこと、これがやはり大きな問題だったんだろうと思うんです。
何人かのケースに私も遭遇いたしましたけれども、例えば国外から買われて日本でオーバーステイなどをしていた女性が、結局、それはオーバーステイだと言われて逮捕されてしまうわけですね。逮捕されて、十分に取り調べをされないまま、出入国管理法違反ということですぐに国外追放されてしまうということだったんです。
ここはもう一つ、日本が人権先進国である、そういう認識をきちんと持ち、そこに立脚するならば、これはやはり大事な、重大な人権問題だというふうにとらえていただいて、被害者の保護、人身、人権を守る、そういうことをきちんと立法する必要があるのではないか、このように考えておりますけれども、官房長官、いかがお考えでしょうか。
■町村信孝国務大臣(内閣官房長官)
人身取引が重大な人権侵害であり、また国際的な組織犯罪であるケースも多いということで、政府を挙げて対策に取り組むということにしているわけであります。
平成16年に関係省庁の連絡会議を設置いたしまして、平成16年12月には、人身取引の防止、撲滅と被害者の保護を含む総合的、包括的な対策としての人身取引対策行動計画というものを策定しているわけでございます。また、人身取引議定書は平成17年6月に国会承認を得ております。この議定書の承認にあわせて、先ほど答弁にあったような刑法の改正等々の法律の見直しも行われているところでありまして、そういう意味で、しっかりとした体制づくりができ上がりつつあるんだろう、こう思っております。
では、十分なのかどうなのかということに関しては、日本は何か第二分類ということで、この分類が本当に正しいのかどうか、よく私にもわかりませんが、決して芳しい状態ではないということになっているのは残念なことでございますから、より一層強化しなければいけないと思います。
被害者の保護について言うならば、公的シェルターの、これは保護者数は大分年々ふえてきているようでありますが、その活用でありますとか、入管による在留特別許可件数をふやしていくでありますとか、民間NGOへの一時保護委託、あるいは国際移住機関、IOMを通じた被害者の帰国支援といったようなことをやりつつあるところであろう、こう思います。
したがいまして、法律という場合にどこの部分を法律化するのかなということがちょっと必ずしもよくわかりませんけれども、いずれにしても、政府としては引き続き強力にこの対策を推進していく必要があると考えております。
■西村(智)委員
DV防止法がこの前改正されまして、これは参議院の方の委員会からの提案ということで通ったんですが、やはり被害者の保護という視点がどうしてもこの分野には必要であると思うんです。それが日本が第二分類になっている、つまり日本は今現在国際社会からそのように見られているということを、しっかりとここは認識をする必要があるのではないか、そのように考えますし、民主党といたしましても、この点についての立法は引き続き主張してまいりたいと考えております。
時間が大変限られてまいりましたが、もう一点、上川大臣の方に伺いたいんです。
ことしの1月でしたでしょうか、家族の法制に関する世論調査というのがまとまって、これは内閣府の大臣官房政府広報室で行っていただいたものでございます。町村さん、御存じでしたでしょうか、こういうものが行われております。
ここの中で、「家族の役割」「女性の婚姻適齢」「名字(姓)」「裁判上の離婚原因」「嫡出でない子」というふうにいろいろな項目に分かれてアンケートがとられているんですけれども、ここで、特に「名字(姓)」についての分析結果であります。これを大臣はどのようにごらんになりましたでしょうか。
現在の民法では、結婚、婚姻をした場合に、夫または妻のいずれかの姓を名乗るということになっております。つまり、夫ないしは妻が姓を変更しなければなりません。そのことについて多くの方々が不都合を訴えられている。仕事上で不都合が生じる、あるいは自分、自己が喪失したのではないか、そうした喪失感にもさいなまれる、仕事上で非常な不便がある、いろいろな意見があるわけなんですけれども、大臣、この結果をどういうふうにごらんになりましたでしょうか。
■上川国務大臣
平成18年の12月調査ということで、家族の法制に関する世論調査ということでございますけれども、この中で選択的な夫婦別氏制度ということで、特に、賛成の割合が36・6%、平成13年の5月の調査では42・1%ですので、少し下がっている状況、また、反対の割合が35・0%で、平成13年5月の調査は29・9%ですから、そこのところについては少しまた上がっているということで、この賛否については拮抗しているというような状況にあると思います。
また、家族の名字が違うことで家族の一体感には影響がないと思うというような設問もございまして、これについては、影響がないと思うという回答は56・0%。これは平成13年の5月の調査は52%ですので、4ポイントほど上昇しているということ。そして逆に、家族の一体感が弱まると答えた者の割合ということで39・8%。これは13年の調査では41・6%ということでございますので、少し動いている状況でございます。
もう一つ、夫婦の名字が違うことで子供にとって好ましくない影響があると思うと答えた者の割合ということでございますが、これは66・2%ということでございますし、子供に影響はないと思うと答えた人の割合は30・3。いずれも、66から66・2、微増ということでありますし、子供に影響はないと思うという御回答も26・8から少し上回っているという状況でございます。
婚姻制度と家族のあり方と大変密接に関連している選択的な夫婦の別氏制度の問題ということで、今、世論調査の中でも意見がさまざまであるというふうに思っておりまして、この世論調査にはまさに拮抗している状況が明らかではないかというふうに思っております。
中には、先ほど委員が御指摘のとおり、結婚した後、社会生活の中で不都合を生じるというような声もございますし、また同時に、今は長男長女の時代ということで、一人っ子が女性であるというようなことで、実は私のところにも、なかなかお婿さんという形にはならないので、お墓を守るにはどうしたらいいのか、あるいは会社を相続させたいんだけれどもなかなかというような声も寄せられているところでございます。
こういう私たちの大変基本的な、国民の皆さんにとっても基本的な婚姻制度また家族のあり方にかかわることでございますので、17年の12月に閣議決定した第二次男女共同参画基本計画においては、国民の意識動向をしっかりと踏まえながらよく議論をして、その上での取り組みというような形で方向性を出しているところでございますので、この点について、私自身、この結果ですぐにというような流れではなく、まだ社会の中はかなり意見が分かれているというような認識を持っているところでございます。
■西村(智)委員
ちょっと残念な答弁でした。
選択的夫婦別姓の導入について、ほかにも、例えば配偶者の親との関係に影響があるかどうか、あるいは家族の一体感が弱まるのではないかどうか、それから子供にどんな影響があるのかということについては、これはむしろ選択的に夫婦別姓であってよろしい、こういう傾向は先ほどの大臣の答弁から分析できると思うんですね。極めて短期的な分析でありますけれども。
また、選択的夫婦別姓のところで、前回の調査、平成13年から見て六ポイント動いているというような御説明でしたけれども、その前から見ますと、長期的に、実は調査項目はぴったりとは一致しないんですけれども、昭和五十一年からの世論調査結果が載っておりまして、その長期的なトレンドから見ると、これは確実に上がっている。選択的夫婦別姓がよろしい、それを導入していいと答えている方が確実に上がってきているんだろうと思うんですね。
ですので、そういった短期的なことだけでこの結果を分析するのはいかがなものかというふうにも思いますし、先ほど大臣の御答弁いただいた文言は、恐らくこれは法務省から出されているコメントとほとんど同じなんだろうと思います。法務省の方もそのようなコメントをしておった記憶があります、今すぐにやるという状況ではないと。
ところが、ではいつになったら今になるのか。もう多くの人たちが、先ほど大臣もおっしゃいました、例えば一人っ子同士で結婚できない、事実婚で、いつか選択的夫婦別姓が導入されたら結婚して子供を持とうと思っている人たちがもう何年も待っているわけです。(発言する者あり)待っております。そういった方々も大変多くいらっしゃいますし、あるいは仕事上の不都合、そして自分が自分の名前として仕事をしていたのが、あしたから名前が変わってしまって、一体自分のアイデンティティーはどうなってしまったんだろうというような訴えが実に多くの方々から寄せられている。
これは、すべての人に別姓にしろと言っているのではありません。選ぶことができるようにしましょうということなんです。もう社会的な事情が変わっているわけでありますので、結婚したくてもできない人たちができるようにするためにも、そしてまた子供を持ちたいと思う人たちが持てるようにするためにも、ここは一日も早く選択的夫婦別姓の導入を行っていくべきではないかというふうに考えております。
大臣のお考えがあったら伺いますが、いかがでしょうか。伺って終わります。
■上川国務大臣
婚姻の制度また家族のあり方ということで、大変基本的な話でございますので、今の世論調査の結果、大変短いトレンドで比較しているのはいかがなものかというお話がございました。流れとしてはそうした方向に少しずつ変化しているということも十分に認識をしておりますので、大変難しい問題ではございますが、この動向をよく見定めながらまたいろいろ議論を深めていきたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
時間ですので終わります。