■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美です。
住民基本台帳法の一部改正、昨年の改正に引き続いて、2年連続ということなんですけれども、ことしは戸籍法の改正とあわせて行うということで、私といたしましては、法改正そのものは歓迎すべき方向で行われているのではないかというふうに考えております。
ただ、実際に現場での運用ということになりますと、今ほど寺田委員の方からも質問がありましたけれども、かなり現場の運用にばらつきがあるのではないかということも指摘をされておりますし、既に、本人等請求、本人あるいは同居する家族などによる請求については、請求事由を明記するようにというふうに求めている自治体もあれば、そうでないという自治体もあったりして、その自治体の、主には首長さんの考え方なんだろうと思いますけれども、それによってかなり運用面でのばらつきが出てくるのではないかというふうに私も考えております。
そこで、今回の法改正を受けまして一体どのくらいの業務量が変動を生じるのかということについて伺いたいというふうに考えておるんですけれども、まず冒頭伺いたいのは、これまで、住民票の写し等の交付件数、また戸籍の付票、そして住民異動届け出などについては、年間でどのくらいの請求件数があったのでしょうか。
■藤井昭夫政府参考人(総務省自治行政局長)
お答えいたします。
平成17年度の件数ということで御承知おきいただきたいと思います。
住民票の写しの交付件数でございますが、これは7,502万9,921件、戸籍の付票の写しの交付件数でございますが、421万2,047件、住民異動届け出の件数でございますが、そのうち転入届については425万6,631件、転出届は412万5,969件、転居届が259万2,702件、世帯変更届が95万3,532件。
写しの交付が大体7,500万、それ以外の写しの交付とか異動は400万オーダーというふうに御理解いただければと思います。
■西村(智)委員
そうしますと、足し算すると、ラフな足し算ですけれども、ざっと年間8,000万件以上の件数があるということであります。
多くの市町村の窓口は、言ってみれば市民課というところが交付窓口になるんだと思うんですけれども、今回戸籍法の改正が行われて、例えば戸籍謄抄本の交付などについても同じ窓口で審査を行うんだというふうに承知をしておりますけれども、かなり窓口の負担というのがこれでふえるのではないかというふうに懸念をされております。
業務量の増減について総務省はどのような見通しでおられるのか、その点について伺いたいと思います。
■藤井参考人
今回の改正については、私どもとしては、やはり市町村を擁護する立場でございますので、市町村の事務負担というものを非常に懸念していて、いろいろ市町村の実情等もお聞きしながら制度改正を検討したところでございます。
ただ、今回の改正というのは、先ほども話がありましたけれども、市町村側から、手続整備についてやはりきちっとしてもらいたい、そうすることによって手続が円滑に動くということで、これが1つの大きな要素でございまして、そのために、法律上明確な根拠規定を置いたというところでございます。したがいまして、このように法律で手続あるいは根拠規定が明確になるということは、市町村窓口の写しの交付とか届け出の事務処理についての円滑性がむしろ推進されるという面も大きいと思っております。
そういったことを総合的に勘案しますと、私どもとしては、先ほども言いましたが、別にテスト調査をやってみたわけではありませんが、今回の改正というのが大幅な事務増につながるというふうには考えておりません。
■西村(智)委員
市町村の方から法的な根拠を明確にしてほしいというお話があった、そういう中身の御答弁だったかと思うんです。
確かに、そのこと自体は私も何となくイメージはできるんです。例えば本人確認などで、あるいは請求事由などの審査のときに、窓口で、何でこんなことをやる必要があるんだと窓口に来られた方が言われたときに、担当者は、いやこれはまあそのと言葉を濁してしまうと、恐らくそこで審査に余計なといいますか、余分な時間がかかってしまうということになる。それが、例えば住民基本台帳法で今回こういう改正になりましたということであれば、理由が明確に述べられるということはあるのだろうと思うんです。
ただ、窓口で文句といいますか、ごねる方というのは、住民基本台帳法が改正になりましたと言っても、何でそんな改正になったんだとか、ごねる人は何か理由をつけてやはりごねることになるんだと思うんですね。一体それで業務量の微増程度に本当にとどまるのか、ちょっとこの辺は心配をするところであります。
また、実際にどこまで審査をするのかということについていえば、市町村の窓口での運用によるところがやはり大きくなるのではないかというふうに考えておりますけれども、もう1度、業務量の考え方、見通しについて伺いたいと思います。
■藤井参考人
私ども網羅的に承知しているわけではないんですが、いわゆるクレーマーと言われるような方々が非常に限定的ながらいらっしゃって、それが結構市町村なり都道府県の窓口業務で負担になっているという話は、確かに私どもも聞いたことはございます。
さはさりながら、これは繰り返しになって恐縮でございますが、先ほども申し上げましたが、この事務量というのは、大体手続というのは、物理的な受け渡し、それから形式審査、実質審査で決定、判断、こういう流れになるんですが、一番重要で、また時間がかかるのはやはり実質審査のところでございます。そういった実質審査の面で、まさに今回の法改正というのは、どちらかというと根拠とか基準を明確にするというものでございます。
私どもとしては、実際結果を見てみなきゃわからないといえばそれまでですが、私どもの期待としては、こういう改正によって、実質審査、こういったものが合理化、効率化されるということは十分期待していいというふうに考えているということでございます。
■西村(智)委員
同じように効果は期待したいというふうに思いますけれども、運用後、これはしばらく状況を見守りつつ、また必要があれば法改正につなげていく必要があるというふうに考えております。
引き続きまして、先ほど寺田委員への答弁の中で、大臣の方から利便性の確保というお話がありました。これは住基カードのことについてでありましたけれども、私も、例えば今回の住民基本台帳法だけではなくて、個人情報に関するさまざまな法律というものを考えたり見たりするときに、結局、保護法益というのは、いろいろなサービスを受けたり提供したりする側の利便性、それから、言ってみれば情報がきちんと守られるという安全性、この2つがあるんだろうというふうに考えています。
例えば、いろいろな法律をつくったり、そしてまた運用したりする側というのは、どちらかというと情報を使っていろいろなことをやりたいサイドだと思うんですね。情報を持っていて、情報の持ち主として、この情報がどうやって守られていくのか、そういう安全性により重きを置いたサイドではないということからすると、国会での審議というのは、むしろ、より安全性を求めるサイドに立っての議論が必要なのではないかというふうに考えています。
今回の住民基本台帳法の改正は、請求を行ったり申し出を行ったりしたときに、より厳格な審査を行うことによって個人情報を保護しましょう、住民票の写し、これを保護しましょうという考え方。これ自体は非常に私も重要だというふうに思っておりますし、それについては異論はないんですけれども、やはり、そのほかの仕組みによって守っていく、そういう検討も必要なのではないかというふうに考えております。
大臣、これは通告していないで大変恐縮なんですけれども、個人情報を保護するという観点から、一体どういう手だてで例えば行政などが保有する個人情報を保護していくことができるというふうにお考えでしょうか。今回の住民基本台帳法の改正に照らしてもお答えいただければと思います。
■菅義偉総務大臣
それは、個人情報を保護するということのために組織内でそうした仕組みというのをつくっていくことということも大事なことだというふうに思います。
■西村(智)委員
請求や申し出のときに厳格な審査を行う、それは大変結構なことだと思います。
ただ、情報がその先に出ていったときに、きちんとそれが請求事由、つまり目的のとおりに正しく使われているかどうか、そして、横流し、この間も本当にいろいろな事件もありました、戸籍データの漏えいですとか住基データの漏えい事件などもありましたけれども、そのようにデータが不正に利用されていないかどうかという事後のチェックをしっかりと行うことが必要なのではないかというふうに私は考えております。
そこで質問なんですけれども、昨年の住民基本台帳法の一部改正、閲覧制度の件につきましては、市町村長が住民基本台帳の一部の写しの閲覧に関して申し出者に対して必要な報告をさせることができる、こういう規定が設けられております。ですけれども、今回、住民票の写しなどの交付制度の改正においては、このように申し出者に対して市町村長が必要な報告をさせることができるという規定はありません。そういう措置は講じられておりません。
例えば請求や申し出どおりの使用がなされているかどうか、やはりこれは確認する機会をどこかで設ける必要があるのではないかというふうに考えているんです。今回そういった措置はないということなんですけれども、今回、住民票の写しの交付制度の見直しに当たって昨年と同じような措置を講じなかった理由について局長に伺いたいと思います。
■藤井参考人
お答えします。
昨年の住民票の写しの制度に関する改正については、もともと写しの閲覧というものの利用者というのは主としてダイレクトメール業者のようなものが多いわけでございまして、大量の個人データを閲覧によって収集して、それで他の人に転々流通させる、そういうことに対する非常な危惧みたいなものがそもそも制度改正の背景にはあったということで、今御指摘のような仕組みというのが設けられているということでございます。
今回、写しの交付については、これも実態が重要なのでございますが、写しの交付制度が利用される場合というのは、むしろ背景に特定の債権債務関係があって、例えば銀行からお金を借りている人、債務のある人が住所を届け出ずにどこかへ行っちゃった、そういうような使われ方が多いわけでございまして、写しの交付を得たからといって、だれかにその情報を渡すということは、閲覧とは違ってそんなに想定する必要はない。仮にあるとすれば、多分、銀行なんかの場合は、顧客台帳みたいなものが別途ありまして、顧客台帳に転記するというような形で、むしろ顧客台帳の保護みたいなものが重要になるんだろうと思いますが、これは御承知のようにむしろ個人情報保護法のところの規律になるということで、今回の改正では、主として、写しの交付、その直接の当人、それについての規律なりを決めるということで対応をしているというところでございます。
■西村(智)委員
次に、情報の横流し、流出をどうやって防止するかということについて伺いたいと思います。
今回は、行政罰に加えて新たに刑罰が適用されることになった。非常に重たい措置だと思うんですけれども、実際に、これは直接住民票の写しなどの交付を受けた者に限られておりまして、そこから先、仮にその情報が外部に流出した場合にはこれは及ばないということになるんだろうと思います。
しかし、この間、戸籍それから住基漏えい事件なども起きておりますし、また、それを売買するなどということも起こっておりますので、こういった被害を防止するという点から、住民票の写しなどの交付を受けた者から先の情報流出の防止策を講じる必要があったのではないかというふうに考えておりますけれども、これは一体どこで、どういう歯どめをかけることができるんでしょうか。
■藤井参考人
罰則の関係ですが、今回の改正案では第47条の第2項で定めようとしているところでございますが、その構成要件というのは、偽りその他不正の手段により写しの交付を受けた者ということになっていまして、まさにどの点をこの罰則で処罰しようとしているかというと、不正な手段によって交付を受けた、そういう行為でございます。
なぜそういうものだけを限定するのかというと、まさに住基法の裏には信頼性もありますし、住基法という住民の貴重な個人情報、そういったものを保護する、そういう保護法益はあると思っていますが、いずれにしても、その構成要件としては、やはり不正な手段によって入手したということに着目しているということです。
その不正な手段で入手した人からさらに受けた人はどうかということになるんですが、これは、住基法の守備範囲というよりはむしろ一般の個人情報保護法の守備範囲ということで、現行の制度では規律されているということで、現行の個人情報保護法の規律対象というふうに整理しているところでございます。
■西村(智)委員
個人情報保護法の世界できっちりと規律がされているということで理解をいたしたいと思います。
次に、交付請求書の本人開示、そして交付の事実の本人通知についてなんですけれども、罰則の強化も私は一定程度評価をいたしたいと思いますが、罰則に加えて、それを未然に防止するという点から、やはり情報の流出などの監視を強化するということがむしろ重要なのではないかというふうに考えております。つまり、自分の住民票の写しなどが請求された事実を本人が知らされるということなどについてなんですけれども、住民票の写しの交付制度等のあり方に関する検討会、ここでもこの点について議論がなされたようであります。
報告書の中では、例えば「交付請求書の開示については、自らの情報がどのように取り扱われたかを知り得るという観点から重要な論点である。」というふうに言われておるんですけれども、交付請求書の開示制度を将来の課題と認識して、動向を注視していくべきであるというような書き方にとどまっておりますし、また、本人通知につきましても、さまざまな意見が存在するということでまとめがされているところなんです。私は、この開示制度、本人開示そして本人通知、これらが不正に住民票の写しなどが取得、利用されるといった事件を防止することに本当に貢献するのではないかというふうに考えておりますけれども、これが今回の住民基本台帳法の改正の中で位置づけられなかった理由について伺いたいと思います。
■藤井参考人
お答えします。
これは先生が質問の中でおっしゃったとおりでございますが、1つは、今回の交付制度の見直しをするに際して、私ども研究会を設けて、有識者それからヒアリングなんかでいろいろな御意見をちょうだいしていたんですが、交付請求文書を開示する仕組みをつくるとか、あるいは、もう一歩踏み込んで、本人に通知する制度を設けるということについては、いろいろな意見があるということで、今の段階ではまとまらないということで、今後の検討課題になったということでございます。
むしろわかりやすく御説明するという趣旨からは、では、どういう意見が実際あるのかということ、意見の内容を御説明させていただきますならば、制度を認めるべきという積極的な方、これは、今先生がおっしゃったように、住民票の写しをとられた本人にはそのことを知らせることで不当な目的によって請求するということを抑制する効果があるんじゃないかとか、あるいは、むしろ極めて理念的な物の考え方なんですけれども、第三者に住民票の写しを交付するのであるから、写しをとられた本人にもそのことを知らせないのはバランスを失するんじゃないかというような御意見。
他方、制度を認めるべきではないという意見は、交付請求した人、実はこれも個人情報でございます。交付請求書には、請求した人と、いわば請求対象になった住基法の個人情報の両方の個人情報が載っかっているわけでございます。確かに住基法上の個人情報というものも保護に値するんですけれども、請求者である個人情報というものもやはり保護に値するんではないか、その辺のバランスをどうとるんだというような考え方でございます。それから、写しを交付するのは正当な理由がある場合に限定するんだから、不当な理由でいくということだったら問題ですけれども、正当な理由でいくんだから一々知らせなくても、見せなくてもいいんじゃないかと。
長くなりますから省略させていただきますけれども、いろいろそういう意見があって、現段階ではちょっと結論を得るのは無理だということで先送りしているところでございます。
■西村(智)委員
問題点については理解いたしました。
ただ、制度として導入すべきだという御意見と、導入は慎重にすべきだという御意見と両論あったわけなんですけれども、やはり、両論ある以上は、引き続きこの導入について検討を行っていくということにすべきではないか、これで問題の整理を図らずに、やはり検討を続けて行っていくべきではないかと考えていますけれども、この点については、大臣、お願いします。
■菅大臣
交付請求書の本人開示制度だとかあるいは本人通知制度について、今局長が言いましたようにさまざまな意見が存在しました。多くの課題があることから今回は盛り込まなかったところであります。
交付請求書の本人開示制度については、1つの課題であると私どもは認識をいたしておりまして、今後とも、将来の課題として、個人情報保護及び情報公開に関する法制や戸籍法等の状況、また第三者に交付された住民票の写し等の利用状況などについて、その動向というものをこれから注意していきたいというふうに思っています。
また、本人通知制度についてでありますけれども、交付請求書の開示制度をさらに一歩進めたものであって、交付請求書の開示制度以上に多くの課題があることから、その対応については困難なものである、このように考えています。
■西村(智)委員
悪意のある請求というのはやはり法の網目をかいくぐって次々と編み出されてくる。これは住民基本台帳の昨年の閲覧制度のときにもそう感じたんですけれども、悪意のある請求をきちんと抑止できるような、そういう観点からぜひ引き続き検討をお願いできればというふうに考えております。
最後の点は、先ほど申し上げました検討会報告の中でも触れられておりますドメスティック・バイオレンスやストーカー行為の加害者による請求、これについて何点か伺いたいと思います。
この報告書の中で、ドメスティック・バイオレンスやストーカー行為の加害者による請求は、請求事由を明らかにする必要があって、かつ交付を拒否することとしている、今もそういうふうになっているし、今後もそういうふうに取り扱っていくことが必要だという検討会の報告なわけなんですけれども、どういう状況下でドメスティック・バイオレンスやストーカー行為の加害者であると認識することができるのでしょうか。
■藤井参考人
写しの交付の場合ですので、閲覧とはちょっと違う実態があるのかなと思います。写しの交付の場合は、大体、世帯を同一にしていた夫婦が別居をしまして、別居先をいわば加害者である人にないしょにして、ただし、いろいろ住民サービスを受ける必要があるものですから、やはり住民票の転居届はしなければいけないようなケースということを想定していただければと思うんですが、この場合には、先ほど先生御指摘のとおり、市町村の職員がみずからそういう状況を把握するというのはなかなか困難なものですから、これは、今までも通知でもって、やはりできるだけ被害者の方に申し出てほしいと。申し出ていただくとそういう状況がわかるものですから。
そういう申し出があった場合は、従来も不当な理由での利用が明白ということで断れたんですが、今回はもうちょっと緩い判断基準ですね。積極的に、そういう加害者が正当な目的で使うんですよとかにする、あるいはいろいろな周囲の状況から見て何かあやしいなというような場合、むしろ市町村の職員が相当と認めるというようなぐらいまでは判断できる。そういうような基準になっておりますので、基本的にはそんなに大きく変わるというものでもないものの、制度的には拒否できるそういう仕組みが整備されたというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
ことし、DV防止法の改正の年度に当たっておりまして、今、そちらの方も議論が進んでいるところなんですけれども、被害者の方に申し出てほしいと、先ほど局長の御答弁の中にありました。
被害者の方が申し出て初めて、支援措置申出書で、例えば私の住民基本台帳の閲覧ができないように支援措置を求めるもの、住民票の写し等の交付についてその支援措置を求めるもの、チェックをするようになっております。これは被害者本人からの申し出ということになりますと、こちらはDV防止法の世界になってくるのかもしれないんですけれども、きちんとそれが遺漏なく行われているのかどうかというのは非常に気になるところなんであります。
これは、年間大体何件くらいこの支援制度の申し出というものがありますでしょうか。そしてまた、すべて被害者の方から遺漏なく申し出が今までなされているというふうに言ってよろしいのかどうか。そのあたりを伺いたいんですが、いかがでしょうか。
■藤井参考人
恐縮ですけれども、数字的には把握しておりません。事例的には聞くことはあるということです。
ただ、今先生から御指摘ありましたけれども、むしろDV法とかストーカー防止法の方で、そういう関係行政機関で情報共有がなされるというふうな形にでもなればそれはまたそれで、何も本人からの申し出だけじゃなくても正確な情報の把握はできるというようなことで、今のはちょっと思いつき的な考え方ですけれども、連携の可能性はあるんじゃないかなと思ってはおります。
■西村(智)委員
そこのところは、関係機関の連携ということになりますので、非常にしっかりやっていただきたいなというふうに考えております。
局長がお話しになられたように、例えば被害者の方が加害者のもとを離れて家を出たとしても、住民票が移っていないとさまざまな行政サービスを受けることができないわけなんです。ただ、そこのところが悪用されて、加害者の方が被害者の居場所、居住地を知るというようなことになってしまって、またそこで新たな被害が起こる、そういう可能性、危険性もありますので、そういったことが生じないように、ぜひ関係機関の連携がきちんととれるように、そこは総務省の方からも一定の働きかけをしていただきたいと強く願うところであります。
最後に1点伺いたいんです。
冒頭申し上げたとおり、私は、今回の法改正は基本的には望ましいというふうに考えておりますけれども、やはり現場の市町村の判断によって多少ばらつきが出てくるんだろうなということも考えております。
現在、本人などの請求による交付請求であっても請求事由を明らかにすることを求めている市町村も数多くあるというふうに承知をしておりますけれども、この法改正がなされたときに、多少でこぼこになっている、進んでいる市町村は進んでいる、請求事由が必要でないというところはそのままだった、そういったところがみんな横並びに、同じ条件で審査が行われるようになるのかどうか。その点について総務省の考えを伺いまして、質問を終わりたいと思います。
■藤井参考人
基準については先ほども省令で定めるということを申し上げましたけれども、あくまでも省令というのはやはり全国的に見て基準となるようなレベルということでございまして、地域の実情あるいは地域の工夫でよりいい方法があるとそれは当該市町村で自律的にできる、そういうようなやり方で持っていきたいというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
終わります。ありがとうございました。