■西村智奈美議員
民主党の西村智奈美でございます。
ただいま議題となりました民主党提出の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して趣旨を説明いたします。
今や、パート労働者は1,200万人を超え、企業において基幹的、恒常的な労働力として重要な役割を果たしています。しかし、その処遇については、労働時間や仕事の内容が正社員とほとんど同じでも、賃金や労働条件において均等な待遇を受けていないことが問題であり、格差拡大の一因となっています。処遇の格差については、国際的にも批判を受けているところです。パート労働法は、1993年に制定されて以来、大きな改正が行われていません。労働条件の格差の是正、ワークライフバランスの実現といった社会の要請にこたえていないのは明らかです。
政府は、再チャレンジ政策の一環としてパート労働法の改正案を提出していますが、パート労働者と通常の労働者の労働条件について差別的取り扱いを禁止する対象が極めて限定的であること、パート労働者から正社員への転換の促進に関する措置が弱いことなどが問題です。これでは、とても格差の是正に資する内容とは言えないことから、民主党は、同一価値労働同一賃金の理念のもとに、パート労働者と通常の労働者との均等な待遇の確保を図るために実質的な法改正を提案いたします。
以下、本法案の概要について説明いたします。
第一に、均等待遇の確保について、同一の価値の労働に対しては同一の待遇を確保すべきとの観点から、短時間労働者の就業の実態に応じ、賃金の支払い等につき、通常の労働者とできる限り同等の待遇を確保することを法律に明記します。
第二に、事業主は、短時間労働者について、均等待遇の確保等を図るために必要な措置を講ずることとします。その措置を講ずるに当たっては、通常の労働者の労働条件を合理的な理由なく低下させることがないように努めることを定めます。
第三に、事業主は、賃金その他の労働条件について、労働者が短時間労働者であることを理由として、通常の労働者と差別的取り扱いをしてはならないこととします。
第四に、事業主は、通常の労働者と同種の業務に従事する短時間労働者であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに、同種の業務に従事する短時間労働者に対し、応募の機会の優先的な付与とともに、優先的な雇い入れ等の措置を講ずるよう努めなければならないこととします。
第五に、事業主は、雇用する短時間労働者から求めがあったときには、その待遇の決定に当たって考慮した事項について説明しなければならないとともに、その雇用する通常の労働者の労働条件の一般的水準について説明するよう努めることとします。
第六に、事業所内の均等待遇を確保するために、事業主は、事業主を代表する者並びに当該事業所の短時間労働者を代表する者及び通常の労働者を代表する者を構成員とした均等待遇等検討委員会を設置するよう努めるものとします。この検討委員会は、短時間労働者の均等待遇の確保等を図るための措置について調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とします。また、事業主は、一定以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに均等待遇等推進者を選任しなければならないこととします。
私たちは、パート労働者と通常の労働者との均等待遇の実現のために、これまで2回、同じ趣旨の法案を提出してまいりました。格差是正が喫緊の課題となっている今、法案の重要性を御理解いただき、本法案への御賛同をお願い申し上げて、趣旨説明を終わります。(拍手)