■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、地方自治及び地方税財政に関する件ということで質問をさせていただきたいと思います。
まず冒頭、石川県の能登半島での地震災害に関連してお伺いいたしたいんですけれども、私は新潟県の議員でありますので、2年半前のあの新潟県中越大地震のときに、地元の自治体の一人として本当に大変な思いをいたしました。そのときに特別交付税を配分していただいた。実は、私たち民主党の方からは、被災者生活再建支援法の改正及び再建支援の拡充ということについて、随分国会の中でも議論をさせていただいてまいりました。ところが、これは政府・与党の方から賛同が得られませんで、私たちが求めております内容にはまだなっておりません。
何を申し上げたいかと申しますと、結局、被災した方々の生活復旧というのは、お金の出どころがどこであれ、それはしっかりとしていかなければならないわけですから、自治体が別の形で持ち出して再建支援をしているということは今までにも何度もあったわけです。新潟県でも基金をつくりまして、そこから生活再建への支援というのを行ってきたということがございました。
今回の能登半島の地震で、特別交付税の扱いはどんな見込みになるのか。通常でいいますと12月の交付ということになるのかと思うんですけれども、繰り上げ交付というのがあり得るのかどうか。また、生活再建支援法の改正が十分でないという現状を踏まえて、そこに配慮して行うべきではないかと考えますけれども、御見解を伺います。
■菅義偉総務大臣
災害によって生じた特別な財政需要に係る特別交付税についてでありますけれども、被害の状況や復興事業に要する経費などを基礎として算定し、交付をすることにいたしております。
今回の能登半島地震につきましては、3月25日に発生しているため、今後、このような算定の基礎となる数値を確定した上で、19年度の12月分で対応するということになっています。
しかし、被災をした地方公共団体においては、応急対策だとかあるいは復旧対策など、相当の財政負担が生じるものと考えております。特別交付税のみならず、地方債やあるいは普通交付税を含め適切に地方財政措置を講じ、その財政運営に支障が生ずることのないように、これは私どもとしては対処していきたいというふうに思います。
なお、当面の資金需要でありますけれども、被災団体においての資金繰りの状況などを十分お聞きし、これは前向きに取り組んでいきたい。
■西村(智)委員
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、本題の法案関連の方に移っていきたいと思うんですけれども、本会議で代表質問をさせていただきました。非常に紋切り型の答弁で、とても私としては不満な点が多かったんですけれども、審議が十分なされないうちに法案がこの衆議院を通過していってしまい、また参議院で成立したということは大変残念です。この審議は本来法案成立前にここでしっかりと行いたかったということをまず申し上げたいと思います。
その上で、お伺いしたいんですけれども、先ほど逢坂委員の質問にもありました「頑張る地方応援プログラム」についてであります。
これは何度説明を伺っても、私もよくわかりません。何がわからないかといいますと、地方交付税の本来の性質とかけ離れたところでこれが運用されようとしているのではないかということです。あるいは、交付税の割り増し算定の基準が極めてあいまいで、お話をお伺いいたしますと、これは答弁の中でもありましたが、七月の普通交付税の決定までに検討していきたいということだそうでありますけれども、実際にもういろいろなところで、政務官なり副大臣なり大臣が頑張る地方応援懇談会というのをやられて、恐らく自治体では検討に入っているというふうに思うんですね。
検討に入っているこの時期においてまだ算定基準がはっきりしないということでは、なおさら地方行財政というのが混乱してくるのではないか、そういう思いがあります。頑張りたくても頑張れない、どういう頑張り方をしたらいいのかわからない、こういった懸念があると思いますので、できる限りそれを払拭するような御答弁をきょうはいただきたいと思いまして、幾つか質問させていただきたいと思っております。
まず、本会議での代表質問の答弁から振り返りますと、算定基準について菅大臣からこのように答弁をいただいております。「頑張る地方応援プログラムの交付税の支援措置として、全国的かつ客観的な指標が全国標準以上に向上した地方公共団体に対して、その程度に応じ、交付税の割り増し算定を行います。」こういうことであります。
まず一点目、この辺は先ほどの逢坂委員の質問と重なってしまう部分かもしれませんが、特定分野の頑張りを地方に求めるということは、これはやはり地方交付税ではなくて、補助金という性格が非常に強くなっているのではないか、こういうふうに考えるんですけれども、大臣、この点についてはいかがお考えですか。
■菅大臣
先ほども申し上げましたけれども、交付税というのは、義務教育だとか福祉だとか、そういうもともと義務的な経費と、過疎地だとかあるいは行政改革のインセンティブな算定、これも政策課題、私は二つあるというふうに思っていますので、そういう意味で、この「頑張る地方応援プログラム」というのは、全国の魅力ある町をつくってもらう、全国的なそうした政策課題ということで考えていますし、また交付税も、その使途というのを特定されないものでありますから、私は補助金ではないと思いますし、ぜひ政策課題であるというふうに御理解いただきたいと思います。
■西村(智)委員
そこの辺は私は納得できない、何度説明をお伺いしても理解できない点であることを申し上げたいと思います。
そこで、先ほどの本会議での答弁に戻りますが、大臣が、全国標準以上に向上した地方公共団体に対して割り増し算定を行う、こういうふうに答弁をされておりますが、全国標準以上に向上するというのはどういう状況を意味するのでしょうか。これは読解力の問題なのかもしれませんけれども、つまりは、「頑張る地方応援プログラム」を開始したときの全国標準よりも向上した、そういう意味なのか、あるいは、全国的に変化したときの向上率が他の自治体と比べて高い、こういうことを意味しているのか、この点について具体的に御説明いただけませんか。
■岡本保政府参考人(総務省自治財政局長)
今委員御指摘のものにつきまして、これも先ほど答弁させていただきましたが、具体的な算定は7月の算定までにやるわけでございますが、これまで、17年から行革インセンティブでやっておりますものが一つの参考になると思いますので、そこの例を具体的にお示しをさせていただきたいと思います。
例えば、行革インセンティブ等では、人件費、物件費等、そういう経費のいわば増減率といったものに着目をいたしまして、インセンティブ算定、その努力の算定の反映をさせていただいております。
その場合のやり方といたしましては、人件費、物件費等の特定の経費の過去3年間の歳出削減率が、全国平均ですと、例えば18年の場合は0.406%ということでございましたので、この率と当該団体の過去3年間の平均の削減率を比べるという形でその割り増しをするという形をやらせていただいております。
■西村(智)委員
ということは、プログラム開始時の全国標準よりも向上したということだというふうに理解してよろしいんでしょうか。もう一回御答弁いただければと思います。
■岡本参考人
全国の平均した、例えば人件費なら人件費を削減した率が、仮に、今0.4と申し上げましたが、0.4%減らしたということで、例えばある団体は3カ年平均で0.5%減らしたという場合に、その0.5%減らしたということに着目して、それを反映する。0.4%の削減率を上回っているということに着目するということでございます。
■西村(智)委員
今の行革インセンティブの話で、3年前の数値と比較してというお話がありました。そういたしますと、これは、その程度に応じて交付税の割り増し算定を行うというふうに御答弁いただいているわけですけれども、いつの時点のものといつの時点のものを比較するかということについてはどういう見解でいらっしゃいますか。
■岡本参考人
今回の頑張る算定で、いつの時点といつの時点とを比べるかということが、まさにいろいろな議論の一つとしてあるわけでございます。
ただ、いろいろな努力が各地方団体、例えば行革の努力もそうでございましょうし、それからいろいろな環境対策、ごみの削減等のいろいろな対策を講じていらっしゃいますけれども、その成果といったものを比較するという場合に、行革の場合は、3年ぐらいの努力が、3年がたったときやっと反映されてくるのではないかということから、3年という変化率を一定着目したわけでございますので、これから19年度にやるものが必ず皆3年ということではございませんが、3年というのは一つの基準であろうかと思います。
■西村(智)委員
そうしますと、例えばごみ処理量などというのも3年を一つの基準として判断することになるんでしょうか。ごみの処理量だけ10年前とか20年前と比較するとかいうことはないということでよろしいんでしょうか。
■岡本参考人
ごみの処理量の比較を何年前とするかということについてはまだ決めておりませんので、10年前とするかしないかというようなお答えはできませんが、今申し上げましたように、それぞれの指標に応じて、一定の努力といったものが出てくる一定の期間があろうと思いますし、また、そういうことについて、各地方団体にもいろいろ御意見があろうと思いますので、現在、各県単位でやっております地方との意見交換会等を踏まえながら、今の委員御指摘の期間といった問題についても検討してまいりたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
まだ何も決まっていないということですね。そういたしますと、地方自治体は何を判断基準にこのプログラムの検討に入ったらいいか、これは雲をつかむような話だと思います。
続いて、またこの「頑張る地方応援プログラム」の関係でお伺いいたしたいんですが、仮に算定基準ができ上がって割り増し算定が行われた、ところが、自分たちの自治体は、本当に総務省の算定基準を見ながら頑張った、努力したのに、交付税の割り増し分が余りにも少なくて、頑張りに対して見合っていないじゃないか、こういう声が出てきたとき、どういうふうに対処をされるんでしょうか。これは、交付税の割り増し算定分をまたふやすということになるんでしょうか。
■岡本参考人
ぜひ御理解いただきたいのは、地方団体は、先ほど来お答えさせていただきましたように、各種の施策に取り組んでいるわけでございます。そういうもののいわば平均的な算定といったものはやっておりますが、それを従来の平均的な算定から、やはりいわば頑張り度合いというものを交付税の算定に反映させてはどうかという中から、今回の算定に変更するというものでございます。
その場合にどのような指標を使うかといったことについては、今やっております懇談会において、御意見、御提案を踏まえて、現在検討いたしております。
19年度の普通交付税の決定後に、今委員御指摘のような、算定方法に関して、当然、どういう方式でやるか、それから具体的な額といったものは幾らかといったことはすべて公表してやってまいりたいと思っておりますが、その後、いろいろな御意見等も踏まえながら、20年度に向けてその算定法を見直す際に、そういう御意見も参考にしながら検討してまいりたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
随分しつこく聞いているような気がしますけれども、ここは大事なところだと思うんです。
それで、例えば条件不利地域と言われているところですね。これは「頑張る地方応援プログラム」の説明資料の中でいただいたんですけれども、条件不利地域など地域の状況に配慮して、その成果指標の算定に当たる、こういうふうに書かれているわけなんですけれども、この条件不利地域というのは、どういう地域を指すのでしょうか。
つまり、容易に想像できるのは、この9個挙がっている指標が、それほど頑張らなくても結果が出る自治体がある一方で、頑張ってもなかなかこういった数値にあらわれてこずに成果が出せない、結果が出せない、そういう自治体が恐らく出てくるということは想像できるわけなんです。
ここで、成果指標の算定に当たっては、条件不利地域など地域の事情に配慮するということなんですけれども、この条件不利地域というのはどういう地域か、またその地域の状況というのはどういった要素を含むのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
例えば交通機関の整備状況などは含まれるのか、あるいは気候、雪が降る地域、降らない地域、こういったところがこの地域の状況という要素に含まれてくるのか、このあたりについてはどういうことになるのでしょうか。
■岡本参考人
それぞれ地域の置かれた状況はさまざまでございますので、そのすべてを個別に反映するということはできないわけでございますが、一般的に申し上げれば、地方団体の規模や財政力、それから今委員御指摘のような地理的な条件、社会資本の整備水準、あるいは産業構造等によって、成果を上げるといったような、いわばそのベースの条件がそれぞれ異なるということになろうかと思います。
例えば、今回の九つの指標の中にあります転入者人口でありますが、そういうようなものを、今申し上げましたような条件で、例えば幾つかのグルーピングをした中で平均をとって区別をするといったようなやり方もあろうかと思いますし、また、先ほど来引用させていただいておりますが、これまでやってまいりました行革インセンティブ算定では、例えば、財政力指数が全国平均未満、あるいは一次産業就業者比率が全国平均を超えるような市町村といったものにつきましては、一般的な算定と別に、条件不利の地域の市町村として算定を行っているという実績はございます。
■西村(智)委員
今の御答弁ですと、9つの指標ごとに条件不利地域というのを、地域の状況の要素として設定するよう考えるという御答弁であるというふうに受けとめました。
大臣、御感想も含めて、大臣御自身のお考えを伺いたいと思うんですけれども、この9つの指標の中で、例えば農業産出額ですとか製造品の出荷額、こういったところは、いわゆる過疎地域の自治体はどれだけ頑張っても恐らく非常に厳しいんだろうというふうに思います。
ただ、最近は、例えば団塊の世代が退職した後に中山間地の方に行って農業なりなんなりやってみたい、炭焼きをやってみたいという人たちも少しずつではありますけれども出ています。ですので、そういった転入者人口がふえるということは、これは過疎地域などにおいても恐らく可能なことなんだと思うんですね。
さて、そこで、これは比較の問題なんですけれども、大臣御自身は、直観としてどんなふうにお考えでしょうか。
私が考えたのは、例えば人口1,000人の村が1人だけ転入者が入ってきた、これは1,000分の1ですので、非常に比率としては大きいことになると思うんですね。本当に村が頑張って、インターネットなどでホームページを公開して、アドバイザーもつけて一生懸命やった、そして1人確保した、これはすばらしい。一方、例えば人口100万人の都市、ここは、どちらかというと集積はもう黙っていてもできる、雇用も多いということも想像できますので、人口100万人の都市で100人の人口の転入があったというのは、これはそんなに苦労しなくても恐らくできることなんだろうと思うんです。
大臣のお考えとしては、これはどちらの自治体の方がより大きな成果があったというふうにお考えになりますか。
■菅大臣
多分西村委員と同じだと思いますけれども、私は最初の方ですね。私どもがいわゆるプログラムを行おうとした一つのきっかけというのは、全国どこに行ってもそこの地域の特徴というのは必ずあるわけですから、そうしたものを生かし魅力ある地方をつくってほしい、活力がある地方になってほしい、そういう観点からこのプログラムというものを私どもは作成したわけであります。そういう意味では、今、私どもは9つの指標というのを考えていますけれども、しかし、いざ、これは現場に行って地方自治体の皆さんからさまざまな意見交換をする中で、今の農村と都市との交流ですか、定住しなくても、例えば去年は1,000人だけれどもことしは1,500人来たとか、いろいろな指標がある、そういう実は意見も言われたんです。
ですけれども、それを何でとらまえるかということもなかなかこれは難しいものでありますけれども、少なくとも、できる限りそうしたものを私どもとすれば指標として採用したい。先ほどまだ決まっていないのかなという話がありましたけれども、地方の皆さんの声というものもできるだけ反映をさせたい。そういうことで、今、私どもが、副大臣や政務官と私がそれぞれ出向いていく中で、要望をできる限りということで、7月ぐらいになるという話をさせていただきました。
でも、基本はその9つでありますけれども、そういう皆さんの強い声があれば、それは当然そこの中に入れていきたいというふうに思っています。そしてそれは、逆に言えば客観的な指標でなきゃならないと思うんですね。総務省が恣意的にやったということだけは、これは避けたい、こういうふうに思っていますので、そこは公表し、すべての自治体に理解をされるような形にそれはぜひしたいというふうに思っています。
そういうことでも、先ほどの場合は、自然増ということでなくて、やはり頑張るということの方が大事だというふうに思います。
■西村(智)委員
今、大臣からはとても明快な考えを示していただいたと思っております。
「頑張る地方応援プログラム」の懇談会の中で、土屋政務官はどんなお話を聞いておられるのかわかりませんが、自治体の間での格差がこれによって助長されるのではないか、こういう声が恐らくあるのではないかというふうに考えております。ですので、今、大臣が示してくださった考え、つまり、人口1,000人のところに1人の転入の方が、人口100万人の都市に100人の転入があるよりもそれは重いんだ、成果としてあったんだ、そういうお考えを示していただいたことは、非常に意味のあった御答弁をいただいたなと思っております。
いずれにいたしましても、この算定基準がやはり7月まで待たなくてはならないというのは、今3月の末ですから、あと4カ月あるわけですね。恐らく自治体はもう検討を始めていると思います。早急に示すべきではないか、また、その算定方法を明確に透明化していくべきではないかというふうに考えておりますけれども、どのような御見解でしょうか。
■菅大臣
できるだけ早くというのは私も同じでありますけれども、ただ、地方に行って、そうした私どもが予期しないような地方の要望もあるものですから、できる限り、私どもが決めてこれだということでなくて、そうした声を反映することがいいのかなというふうに思っております。
そして、透明的なものにする、これは約束をさせていただきたいというふうに思います。例えば、具体的な算定方法については、普通交付税に関する省令で規定するものはすべて対外的にも公表したいというふうに思っています。そして、各地方公共団体において成果指標を用いた算定結果の全体を容易に把握できるように工夫もしていきたいと思います。
■西村(智)委員
これでこの項は終わりますけれども、念のため申し上げますと、私たち民主党は、「頑張る地方応援プログラム」そのものには、交付税でやるということには反対なんです。ですが、やられる以上はしっかりといいものとして機能していっていただきたいと思っておりますので、これも機会があればまた後ほど質問させていただきたいと思っております。
次に、地方債の計画について伺いたい。
地方債の問題でありますけれども、今度、公営企業金融公庫が廃止をされまして、地方公営企業等金融機構法案、これが近々に提案をされるんだろうというふうに思っておりますけれども、やはり地方債計画がこの間ずっと減額が続いている。新年度も、退職手当債が3,300億円ふえる中ではあるんですけれども、前年度比で1兆4,000億円の減額となっている。同時に、非常に民間資金へのシフトが進んでいるということなどを踏まえて考えましたり、あるいは郵政民営化で地方債資金の引き受けが廃止されまして、公営企業金融公庫も2008年に廃止される。ますます民間資金へのシフトは進んでいくんだろうというふうに考えております。
ただ、財政力が弱くて財務体質が脆弱な自治体は、やはり起債が難しい、そういう状況に置かれている。こういった状況の中で、今回、全国知事会が、自治体が共同で出資して設立をする地方自治体金融機構を提案いたしまして、立法化されることになるわけなんですけれども、いろいろなところで説明を伺ったり、お話を聞いておるんですけれども、肝心かなめの部分は、やはりこの機構の運営を外部からしっかりチェックする仕組みなのではないかと思っております。
後ほど、その法案の審議がしっかり行われるということでありますので、詳しくはそちらの方に任せたいというふうに思いますけれども、私の方からきょう確認をさせていただきたいのは、その機構の運営を外部からしっかりとチェックする仕組み、これがどんなふうに考えられているのか、このことについて伺いたいというふうに考えております。
つまり、ガバナンスを内部で統制する、これはしっかりとやっていただかなくてはなりませんけれども、言ってみれば、これが自治体が共同運営で共同責任でやるということのテストケースのようなものになると思うんですね。そのときに、きちんとこれが運営されるように、チェックの仕組みについて現時点でどんなふうに考えられているのか、お伺いをいたします。
■菅大臣
今国会に提出しています公営企業等金融機構法案の検討過程において、機構について、貸し手と借り手の同一性が高いことにかんがみて、十分な外部性のチェックが必要である。こういうことの観点から、実は、最高意思決定機関であります代表者会議に地方の代表者と同じ数の学識経験者を加えるとともに、外部性を有する第三者機関として、学識経験者から成る経営審議委員会というものを設置したところであります。また、公認会計士または監査法人による外部監査制度も導入をしたところであります。
このように、十分に外部性を確保した仕組みを構築しているというふうに考えておりますので、適切な運営ができるようになるだろう、こう思っています。
■西村(智)委員
次に、地方自治全般についてお伺いをしていきたいというふうに考えております。
まず、教育委員会制度についてでありますけれども、教育再生会議で一定の結論が出て、教育3法、どうも特別委員会を設置するなどという話が出ているようでありますが、私たちはこれには反対であります。
それはこの質問の趣旨からは少しそれるんですけれども、地方委員会制度については、地方制度調査会が既に答申を出しております。選択制の導入について検討をする、そういう答申でありますけれども、それを踏まえて、総務省の方の教育委員会制度改革に対する現時点での見解を伺いたいというふうに思います。
■菅大臣
今回の教育委員会制度改革でありますけれども、いわゆるいじめ問題への適切な対応だとか、あるいは内閣の重要課題であります教育再生の実現に向けた関係法律の改正の一環として行われているというふうに考えています。
改革の方向につきましては、去る3月12日に総理指示が私にもありました。そこで、内閣の最重要課題であります教育再生と地方分権、こうしたものを両立させ、いずれも強力に推進させる、適切な判断であったというふうに私自身は考えています。
■西村(智)委員
続いていきますけれども、昨年の6月に地方6団体から、地方自治法に基づく地方分権の推進に関する意見書が国会に提出をされました。これは6団体の新地方分権構想検討委員会で議論されてきた中身そのものでありまして、分権改革を、未完の改革をなし遂げたい、そういう意気込み、重みのあったものであったというふうに私は受けとめています。
この中で、やはり私、何度見ても、ポイントになってくるのは地方共有税であるというふうに考えているんです。今回の国会で地方自治体金融機構なるものが創設をされるということの流れで、この地方共有税というものを改めてもう一度導入に向けて検討する非常にいいタイミングではないかというふうに考えているんですが、この点について総務省のお考えはどうでしょうか。
■菅大臣
地方6団体が提案する地方共有税でありますけれども、交付税特別会計への直接の繰り入れ、法定率の引き上げなどを内容といたしております。
この点は、総務省としても、地方の固有の財源であります地方交付税の性格の明確化、さらに大幅な財源不足への対応、そういう観点から考えるならば、本来は望ましいというふうに私どもは考えています。しかし、これは、財政当局は違った見解も持っておりまして、合意に至っていないのが現状であります。
きょう、衆議院では地方分権委員会のメンバーを決定していただきました。この4月1日から改革推進委員会が立ち上がり、具体的な調査審議というのが開始されることになると思いますけれども、共有税というのはその中でも当然検討される重要な課題だというふうに私は考えています。
■西村(智)委員
実は推進法についても伺いたいと思っているんですけれども、その前にもう一つ伺いたいことがあります。
いわゆる税源交換の話であります。地方共有税の話とよく一緒に議論されますのは、いわゆる消費税と法人税の税源交換。大臣もこれは答弁の中でお認めになっているとおり、消費税というのは遍在性が少ない、一方で法人税は、大都市、特に東京などのひとり勝ちになりかねない、つながりかねないということでありますけれども、これについて大臣のお考えはどのようなものでしょうか。
■菅大臣
私、前にも申し上げたかもしれませんが、地方の基幹税というのはやはり地方消費税がいいというふうに思っています。現在、法人2税が東京に集中をしている、ここについても、東京問題というのを私初めて諮問会議で指摘をさせていただきました。
いずれにしろ、今委員からも指摘がありましたけれども、地方消費税というのはやはり偏在度が少ないわけでありますので、私はここが基本的には基幹税になることが一番いいのかなというふうに思います。法人2税の取り扱いも含めて総合的に検討していく課題だというふうに思っています。
ただ、基本的な考え方はそのとおりです。
■西村(智)委員
そこで、内閣府の方にお伺いをいたしたいと思います。きょうはお忙しいところを、ありがとうございました。
地方分権改革推進法に基づきまして、推進委員会が内閣府に設置される。大臣先ほどおっしゃったとおり、きょう、衆議院で委員が任命、衆議院では承認ということになりました。
それで、今後ここの委員会でいろいろな議論が進展していくんだろうというふうに考えておりますけれども、この推進法の中で、事務処理の整理合理化についての検討及び国と地方の役割分担に応じた地方税財源の充実確保のため、地方に対する国の負担金、補助金等の支出金、地方交付税、国と地方との税源配分の財政上の措置のあり方について検討して勧告を行う、こういう中身になっているわけであります。
内閣府といたしましては、この推進委員会の議論の方向づけを政府として行うお考えがありやなしや、そこを伺いたいというふうに考えております。つまり、委員会のメンバーの自由な議論に任せて、もう完全にそこはフリーハンドで行うということなのか。あるいは、今総務大臣が答弁されたような、いろいろな財政上の措置のあり方についての検討項目というのはあるわけでありますけれども、そのことについて一定の何か方向づけというのは行うのか。どうでしょうか。
■大村秀章内閣府副大臣
ただいま委員も御指摘のとおり、きょうの衆議院の本会議で、地方分権改革推進委員会の委員につきまして、衆議院の方は御同意をいただきまして、この後、参議院の方でお諮りをするということになるわけでございます。
そこで、今委員御指摘のように、この地方分権改革推進法に基づきまして、さまざまな論点がございます。そうしたものに積極的に私どもは取り組んでまいりたいというふうに思っておりますが、まず趣旨を申し上げますと、地方分権というのは安倍内閣の最重要の課題であるというふうに思っております。安倍総理みずから、地方の活力なくして国の活力はないということを申し上げておるわけでございまして、そういう意味で、やる気のある地方がさまざまな行政分野で自由に独自の施策を展開し、魅力あるそれぞれの地域をつくることが重要であるというふうに考えております。
地方分権改革推進委員会では、地方分権改革推進法に基づきまして、新分権一括法案の3年以内の国会提出に向けまして、国と地方の役割分担でありますとか国の関与のあり方の見直しを行う、その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めていく、こういうことにいたしているわけでございます。
そういう意味で、そういう柱立てはあるということでございまして、今回御同意をいただきますと、委員の先生方でこの柱立ての中でしっかり御議論をいただきまして、あくまでも新分権一括法案の3年以内の国会への提出ということに向けまして取り組みを進めていければというふうに思っております。
■西村(智)委員
柱だけ立っていて、3年たっても柱だけということになりませんか。
方向づけを行わない、今のはそういう答弁ですね。確認します。
■大村副大臣
今申し上げましたように、そういった方針を踏まえまして、3年以内に、これはもう総理が今国会の冒頭の施政方針演説でも、3年以内にこの新分権一括法案を国会提出するんだということを申し上げているわけでございますので、政府を挙げてこれに向けて取り組んでまいりますが、その中身につきまして、地方分権改革推進委員会で委員の皆さんにしっかりと御議論をいただいて、具体的にどういうふうに進めていくかは、この委員会の中での御議論で方向性をつけていただければというふうに思っております。
■西村(智)委員
この分権の特命大臣は菅衆議院議員でありまして、ここで本当は特命大臣としての御見解を伺いたいんですけれども、そこに座っておられるのは、きょうは特命大臣でなくて総務大臣であるということでしたので、総務大臣としての御意見を伺いたいと思っております。
菅総務大臣としてはどうお考えですか。やはりきちんと方向づけをしてほしい、やっていくべきじゃないかと私は思います。先ほど、地方共有税についても推進委員会の中で議論されていくのではないかという御答弁がありましたけれども、大臣はどうお考えですか。
■菅大臣
総務大臣としては、ここでもいろいろな議論がありました、やはり国と地方の役割を明確に分担して、国から地方へ権限と財源と税源を移譲する、そういう形の中でしっかりとした、私ども考えている地方分権というものが議論されるというふうに私は信じています。
■西村(智)委員
信じて3年たって、まだ柱だけだったらどうするのかと、私はそっちの方がちょっと心配なんですけれども、やはり一定の方向づけといいますか、それは必要ではないかというふうに考えております。
ちょっと飛ばしまして、最後に監査委員制度の見直しについて伺いたいと思っております。
昨年の地方自治法の改正で、識見を有する者から選任される監査委員の定数を条例で増加できるということにしたばかりなんですけれども、この間の例えば夕張市などのあの事例を見ておりますと、監査がしっかりと行われていたらあるいは財政破綻も避けられたかもしれないのではないかというふうに考えております。
監査委員の数そのものは20年前と比べてそんなにふえてはいない。しかし、法改正もありまして、業務量そのものはやはりふえてきているわけでありますね。監査委員の定数の増加だけではなくて、ここは、監査のやり方、監査のあり方そのもの、そういったノウハウを含めたあり方について再検討する必要があるのではないかと考えておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。
■藤井昭夫政府参考人(総務省自治行政局長)
まず、委員御指摘のとおり、昨年、制度改正したところでございますので、私どもとしては、やはりまずそういう制度の運営をきちっとやっていただくということがまず大事だと思っております。ただ、近年、ますます監査機能の充実強化ということは方々から指摘されているところでございますし、私どももその重要性は認識しているところでございます。
今後も、必要に応じて、いろいろ制度の見直しが必要であるということであれば見直していく必要があると思っていますが、たまたま今国会に提出中の地方公共団体の財政健全化に関する法律案におきましても、新たに監査委員が、地方公共団体の赤字や出資法人も含めた負債に関する健全化判断比率、こういうものを審査するとかして、その上で首長に意見を述べるというふうに、いろいろ監査委員の活用ということも工夫しているところでございますので、先生の御意見は受けとめながら、今後とも検討してまいりたいと思っております。
■菅大臣
私もこの監査制度というのは極めて重要視いたしておりますので、しっかりとできる体制というものをつくっていきたいと思います。
■西村(智)委員
その点についてはありがとうございます。
先ほどの話に戻りますけれども、分権推進委員会、これは第2期分権改革を進めていく上で極めて重要な位置づけだと思っております。ただ、これが本当に内閣府に設置、内閣府の仕事としてやられるべきことなのかどうかというふうには考えております。
ここのところ、何でもかんでも内閣府、担当特命大臣などというものが随分量産されておるようでありますけれども、やはり分権というのは自治体と深くかかわっている総務大臣のもとでやられるべきだろうというふうに考えておりますので、そういった意見、ここで申し上げても天につばするような意見になるかもしれませんが、私たちといたしましては、やはりここでしっかりと議論をして方向づけをしていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ大臣のリーダーシップで進めていけますようにお願いをいたしまして、時間になりましたので、これで質問を終わります。道州制の担当にはわざわざ来ていただいたのに伺えませんで、申しわけありません。
ありがとうございました。