■西村智奈美委員
民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。
私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました放送法第37条第2項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、承認の立場より討論を行います。
総務大臣は、来年度、テレビも含めたNHKの国際放送において個別的事項にかかわる命令放送を行おうとしていることが報道されていますが、放送法第3条の放送番組編集の自由に抵触するおそれがあり、到底認められません。本予算案には国際放送のための政府からの交付金が盛り込まれていますが、命令放送が個別的事項にかかわっている限り、問題があると考えます。
NHKの一連の不祥事以降、再三にわたってNHKに徹底した改革を求めてきたにもかかわらず、NHKの努力は認めるものの、いまだそれが不十分な状況で、NHK経営陣が安易に受信料の支払い義務化に頼ろうとしていることは、公共放送としてはあってはならないことと考えます。NHKはあくまで公共放送であって、国営放送ではありません。公共放送の役割は、視聴者の受信料に支えられていることで政府から独立した法人として報道の自由を守り、視聴率は視野に置きながらも、視聴率やスポンサー企業の意向に左右されず、国民多数に幅広く放送文化と呼ぶべきものを提供することです。支払い義務化は、これまでのNHKの取り組みと国民の支持を無にするものであると考えます。
そもそも、19年度1年間で受信契約件数を20万件ふやすという楽観的な見通しを立てていることに、NHK経営陣の危機意識のなさがあらわれています。18年度は、当初10万件ふやすと見込んだにもかかわらず、結果的に1万件程度の増加にとどまったことを考えれば、楽観的な数字であると言わざるを得ません。
また、契約収納コストの削減が喫緊の課題になっているにもかかわらず、本予算案でも受信料収入に占める収納コストの割合は12.4%と依然として高い比率となっていること、また、番組制作を除く3千万円超の全契約に占める随意契約の比率が平成17年度時点で40%を占めることなど、削減努力がまだ不十分です。
一方、18年度に引き続いてNHKが設備経費等の削減に取り組んでいる点や、支払い拒否件数の増加に歯どめをかけることができた点については一定程度評価したいと思います。
以上申し述べた点を総合的に勘案し、NHK経営陣がみずからの取り組みの甘さを省みた上で、NHKが公共放送としての使命を果たすことができるよう、受信料支払い義務化という手法に頼る前に、今後も継続的に徹底的な改革に取り組むことを条件に、本予算案を承認することを申し述べ、私の討論を終わります。(拍手)