■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。菅大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは、給与法についての質疑ということで、民主党はこの後、もと現場におられた森本委員も質問されますので、2人で何とかうまく役割分担ができればというふうに思っております。しっかりとこの法案の疑問に思われている点などについて明らかにしていただければというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、今回の給与法、やはり一番大きな変化であったのは、官民比較の対象企業を従業員百人以上という規模から50人以上へというふうに変更したことであると承知をしております。このよしあしといいますか、社会経済的に見てといいますか、国民感情から見てということはとりあえず置いておきまして、これが制度としてあるいは経過として合理性が十分だったかどうかということについてまず伺っていきたいと思います。
人事院勧告が、8月の8日でしたか、出されまして、その後にも質疑が行われたわけでありますけれども、その後の経過を踏まえての立法ということでもありますし、改めて、人事院の認識といいますか、それを質問していきたいと思います。
まず、経過の面から申しますと、対象事業規模が常勤の従業員100人以上ということについては、いわゆる池田・太田会談ですか、政労トップ会談で合意したものであるというふうに承知をしております。ところが、今回の変更につきましてはそういったことがなされたという形跡がありません。
まず、人事院に、今回50人以上へと変更した経緯について伺いたいと思います。
■谷公士政府特別補佐人(人事院総裁)
先生御指摘のとおり、昭和39年に、当時の池田総理と太田総評議長の会談を受けまして、3公社5現業の職員について、当時の公共企業体等労働委員会が行った仲裁裁定におきまして、新たに企業規模100人以上の民間給与との比較検討を行うという建前が採用されまして、その仲裁裁定が実施されたところでございます。
当時、非現業国家公務員につきましてはこのことと直接関係はなかったわけでございますけれども、現業職員に対するこういった決定を受けまして、同年における人事院勧告を行います際に、人事院みずからの判断といたしまして、官民給与の比較対象を100人以上の企業規模に改めることと決定いたしました。
自来、官民比較に当たりましては、企業規模100人以上の民間企業を対象としてきたところでございますけれども、最近の国会における御議論や閣議決定による人事院への検討要請などを見ますと、比較対象企業規模を含めたこれまでの官民給与の比較方法については、社会的なコンセンサスが得られているとは必ずしも言いがたい状況にあると判断されたところでございます。
その中で、人事院といたしまして、学識経験者による研究会や各界の有識者によります給与懇話会を設置いたしましてその御意見をお聞きいたしますとともに、各府省人事当局や職員団体の意見も聞きながら慎重に検討いたしまして、比較対象企業規模を見直すこととしたところでございます。
したがいまして、今回のこの規模の見直しにつきましても、昭和39年における見直しと同様に、人事院が、中立第三者の機関として、その責任において判断をいたしたものでございます。
■西村(智)委員
中立な人事院という立場から決定をしたということなんですけれども、ただ、今の経緯を伺っておりますと、国会での議論ですとか閣議決定などもあったということを伺いますと、私は、ここに、人事院の中立性だけではなくて、いわゆる政治性がやはりかかわってきたのではないかというふうに指摘をしなければならないわけであります。
それでは、人事院に重ねてお伺いをいたしますけれども、なぜ50人以上という規模になったのでしょうか。その理由を明確に伺いたいと思います。
勧告には3つのポイントが指摘されておりますけれども、その2つ目には、例えば、民間従業員の給与をより広く把握し反映する、こういうふうに書かれているわけでありますけれども、より広く把握して反映するということであれば、もっと小さい規模であってもこれは論理的にいいわけですよね。例えば30人という規模です。30人という規模については人事院も検討された形跡があるようでありますけれども、なぜ50人ということになったんですか。
■谷特別補佐人
今回の比較対象企業規模の見直しも、従来と同様、同種同等の者同士を比較するということが私どもの比較の大原則でございます。この同種同等の業務を行う民間企業の従業員の給与をできる限り広く把握いたしまして、公務員の給与に反映させていくということが適当であるという基本的な考え方のもとに今回の見直しも行ったわけでございますが、その際に、企業規模百人未満の民間企業のうち企業規模50人以上の民間企業につきましては、多くの民間企業において、公務と同様の役職段階、私どもは同種同等の比較をいたしますので、部長、課長、係長、そういった職制がどのように配置されているかということは非常に重要な要素でございます。そういった役職段階を有しているということから、役職の責任の大きさを基本といたしまして、公務と同種同等の者同士による比較ということが可能であるということが1つございます。
それからもう1つは、きちっとした調査を、正確な調査を行えなければならないという問題があるわけでございますが、企業規模50人以上の民間企業であれば、これまで私どもが100人以上について行ってきましたものとほぼ同等の精緻な実地調査による対応が可能である、調査の正確性を維持することができるということがもう1つございます。
それからまた、本年の職種別の民間給与実態調査におきまして、企業規模50人以上の民間事業所を含めて調査いたしました結果、企業規模50人以上100人未満の民間事業所におきましても84.3%の事業所において調査を完了することができまして、官民の給与比較の対象となります役職段階別の調査の実人員も十分に確保することができました。
そういうことがございましたので、この企業規模の見直しを行った次第でございます。
■西村(智)委員
私は、なぜ50人という規模になったのか、このことを明確にお答えいただきたいということで質問をいたしたわけでありますけれども、これでいいんです、これで実際の把握はできますというような漠とした御答弁でした。同等の役職段階を有しているのが50人以上だ、そういう御答弁もありましたけれども、私はこれは説得性はさほどないのではないかと思っています。
つまり、どういうことかと申しますと、例えば50人以上の規模、50人以上100人未満の事業所規模では、例えば部長、課長、このあたりは100人以上と占める比率は余り変わりないんですけれども、係長、主任クラスになりますと50%前後ということになってしまうわけです。では、50%前後の数字でいいんだということになりますと、部長、課長のレベルでいうと、30人以上50人未満の企業でも50%以上の数字は確保されているわけですね。ですので、これをもってして50人以上が説得的なものであるというふうには私は言えないのではないかと思います。
また、50人以上の企業が対象になるとしても、実際に調査の対象になるのは役職段階の調査実人員ということです。これは、全体に占める割合でいいますと、6.2%。これでしたら、2番目におっしゃった理由のように調査の正確性は恐らく確保されるでしょう。逆に言いますと、6.2%しかないということなんですね。
つまり、何かと申しますと、100人から50人に変えるということは、これはやはり政治がリードしてきた1つの数字であって、それを説得的に裏づけるために人事院の方が御苦労なさっていろいろな理由をこうやってつけられたんではないかな、こういうふうに考えるわけなんです。
総務大臣、今回の人事院勧告を受けての法制化は、このように合理性が余りないものだったんじゃないかという懸念は私はぬぐい去れませんけれども、いずれにいたしましても、先ほど人事院総裁が述べられたように、いわゆる労働団体との会談がこれまで行われたということはありません。今まで100人以上の企業規模がこれまで長きにわたって維持され、熟成されてきたのは、やはり政労トップ会談でみんなが合意したということで続いてきたんだと思うんですね。法案化をされたわけでありますけれども、政労トップ会談を改めて行う、そういうお考えはありませんでしょうか。
■菅義偉総務大臣
政府としては、人事院勧告制度を尊重するという基本的姿勢に立って、国の財政状況や民間の経済情勢など国政全般と関連を考慮しつつ、国民の理解を得られる適切な結論を出すべく検討してきた結果、勧告どおり実施することを決定し、去る27日に法案を国会に提出したところであります。
そして、先ほど来御指摘のございます池田元総理と太田総評議長との会談、これは、公共企業体組合によるストライキを回避するために実施をされ、その会談の結果、公労委の決定を尊重することが確認されたものであって、人事院勧告制度について行われたものではない、このように理解をしています。
■西村(智)委員
今の御答弁は、トップ会談はされるおつもりはないという御答弁でしょうか。
■菅大臣
そうでございます。
■西村(智)委員
そこは強く要請をさせていただきたいと思います。
人事院の方からは、どうもことしになって急に50人という提案が出されてきた。昨年までは、これは仄聞でありますけれども、100人以上の企業規模が、従業員のおよそ55%、半数を確保しているので、これは十分に民間の実態を把握していると人事院は見ている、そういうふうに発言をされてきたというふうにも聞いております。
そういう経過からいたしましても、今回の変更は余りに唐突で、やはりきちんと議論を踏まえていく必要があるというふうに思っておりますので、改めてそこは会談を行ってくださるように強く要請をしたいと思います。
ちょっと飛ばすことにいたします。次に、広域異動手当について伺いたいと思います。
今回の広域異動手当というのも、初めて創設をされたものだそうであります。俸給表が5年間で見直しをされる、ことしから4.8%段階的に減るということ、それを原資にして、地域手当もここからということらしいんですけれども、広域異動手当が創設をされたということです。
実際にどのくらいの国家公務員の方がいわゆる広域に異動されるのかとちょっとお伺いをいたしましたら、年間で大体、推計で3万人ぐらいですと。3万人ぐらいの方で、ざっと概算、これも推計ですけれども、おおよそ月2.7億円の広域異動手当が必要になるということでございました。地域手当と合わせて俸給表の見直し分は大体カバーできるということなんだそうですけれども、問題は、また細かい話で恐縮なんですが、広域異動手当が、異動距離といいますか、異動前後の官署間の距離区分に応じて、60キロ以上300キロ未満、このように異動した人が俸給などの3%、300キロ以上の人が俸給などの6%の異動手当を支給されるということなんです。
まず、3%と6%、このようになっているその根拠は何か、お伺いをしたいと思います。公務員の給与というのは、民間準拠と申しますか、ラスパイレス方式によって算定をされているものでありますので、官民比較ということになりますけれども、この3%や6%という数字は官民比較の結果によるものなのでしょうか。それともほかの方法なのか。具体的な比較の方法について、人事院にお伺いいたします。
■谷特別補佐人
この支給区分につきましては、公務員の異動のパターンを考慮いたしまして、ブロックをまたぐ全国的な異動、それから、県は越えましてもブロック内の異動、こういうことを念頭に置きまして2つの区分を設けました。
この距離につきましては、60キロと申しますのは、おおむね転居を伴っての異動というのが通例でございまして、単身赴任手当についてもこのような基準を設けております。また、300キロと申しますのは、管区機関所在都市間の距離が大体300キロということでございます。
そこで、パーセンテージの3%、6%の問題でございますけれども、基本的には、昨年の勧告、報告で、給与構造の見直しを行います際に、地域別の給与水準の差を反映させるということを基本といたしまして全体の給与を引き下げたわけでございますので、それに伴いましていろいろな給与間の調整が必要となります。
公務員の中には、平均給与の高い地域で勤務する者もおりますし、また、全国的に異動する者もおれば、ブロック内の異動をする者、あるいはほとんど異動しない者等さまざまあるわけでございます。それらについて、どのような給与の種類を設けて、組み合わせて、できる限り合理的な給与の制度をつくっていくかということが基本にあるわけでございますが、その中で、参考として民間の調査もいたします。
しかし、民間におきまして公務と全く同じようなものが存在するわけではございませんので、配分につきましては部分的な参考ということでございますが、例えば私どもの調査によりますと、広域的に転勤のある民間企業、つまり他県に支店のあるような企業における賃金水準が、それ以外の民間企業の賃金水準と比較いたしますと3.5%上回っているという事実がございまして、やはり、異動を行うような、全国的に展開しているような企業の賃金水準は高いということがございました。しかし、この数字そのものをということではございません。
こういったことも考え、それからまた、地域手当につきましては、最低の支給割合が、制度が完成いたしました際には3%となりますし、その上の段階が6%でございます。こういったことも考慮し、先ほど申し上げましたように、今回の構造改革全体の中でできる限り合理的な給与制度をつくろうということで設けた次第でございます。
■西村(智)委員
民間の賃金水準などは参考程度にという御答弁でしたけれども、実際、この人事院勧告のポイントのところでは、公務員給与の広域異動手当について説明する表のところで、ちゃんと民間の賃金水準というものが横に並んで出ているわけでございます。
参考程度に見てくれというふうに言われましても、実際にはやはり人事院としてはこの数字を決めるときの大きな参考にしたんだろうというふうに思わなければいけないわけでありまして、この表を見ますと、実際のところは官民比較にはなっていないわけです。それは人事院総裁もおっしゃいました。広域に展開している民間企業の賃金水準と、それをしていない民間の賃金水準をまず比較している。これは、いわゆる官民比較でなくて民民比較ですよね。公務員給与の中で、広域異動しない公務員、広域異動する公務員、それも60キロ、300キロというふうに区分を分けて、官官比較ですよね。こういうやり方が、ラスパイレス方式をとっている今の給与決定のあり方に本当になじむのかどうかということは、私はやはり大きな疑問だと受けとめております。
加えて言うならば、これは私の中の価値基準としては改善すべきことだと思っていることですけれども、民間の広域異動展開があるとされている企業では、もうそもそも転勤があるということを含めての賃金体系、賃金テーブルになっていることが多いです。採用のときに、転勤できますか、転勤できませんかと聞いて、転勤できませんと言われた人たちは、コース別で自動的に低い賃金テーブルの方にやられてしまいます。転勤できますと言った人は、もうそれだけで賃金テーブルの高いところに入っていくということからいたしましても、なじまない広域異動手当だというふうに思うんです。
質問は、民民比較の方です。民間地場企業の賃金水準と、転勤のある民間企業の賃金水準を比較しているんですけれども、これは、従業員何人以上の企業について比較をしているのでしょうか。
■関戸秀明政府参考人(人事院事務総局給与局長)
お答えいたします。
本年の勧告の資料の中に載っている図であろうかと思いますけれども、17年の調査でございまして、企業規模100人以上の企業について調査をしたものでございます。
■西村(智)委員
100人以上だということなんですね。これは50人ではない。
ことしは、勧告も見直して、100人以上規模から50人以上規模にするということになっているわけなんですけれども、ここでもやはり、まずこういう結果があって、それに合わせて調査をやっているのではないか、そういう疑いを生じかねません。ここは、今回の人事院勧告がそういう意味でも非常に問題のある、そういう一面をあらわしているのではないかというふうに思いますけれども、総務大臣に、ここは通告をしていなかったかもしれませんが、お伺いをいたしたいと思います。
今回の広域異動手当の創設については、ラスパイレス方式、民間準拠という点からしても、制度的になじまないところがあるのではないかと思いますが、この法案化に当たってどういう認識で法案化をされたのか、見解を伺います。
■菅大臣
人事院勧告を基本的に尊重いたしました。
■西村(智)委員
人事院勧告を基本的に尊重いたしましたと。そのとおりだと思います。現在の人事院勧告制度は、その勧告を尊重して法制化するということになっておりますけれども、そういたしますと、ちょっと飛びますが、私はお伺いをしなければならないことがあるわけです。
8月8日の人事院勧告には、今回の比較企業規模の見直し、あるいは私が今言っております広域異動手当のことなども含めて、例えば育児のための短時間勤務の制度の導入等についての意見も出されておりますし、また自己啓発等休業に関する法律の制定についての意見も出されているところであります。
人事院制度、人事院勧告を尊重したということであれば、この2つの取り扱いは一体どういうふうになったんでしょうか。これもやはり早期に法案化してこの臨時国会で同時にしっかりと出すべきだったと思いますけれども、総務大臣、いかがですか。
■戸谷好秀政府参考人総務省人事・恩給局長)
作業の状況につきまして、若干私の方から御説明したいと思います。
人事院からのこの2つの意見の申し出でございますが、私ども、これを踏まえまして今作業を行っています。ただ、人事院の意見の申し出は一般職でございますので、国家公務員の中には特別職もございます。現在、その意見の申し出の対象外となっている防衛庁職員等の特別職の取り扱いの検討、あるいは、これはかなり私どもも人事院と詰めながらやってきておりますけれども、やはり、いただくときにまだ議論し切れなかった、例えば1つの職に2人の方が仕事をされる、その2人の職員の職務の関係とか、その辺のところを今私ども鋭意整理しておりますが、もう少し時間をいただきたいというふうに思っております。
■菅大臣
今の答弁のとおり、事務方で鋭意努力をしておりますので、私は必要なことであるというふうに思っていますので、次期通常国会へ提出をさせていただきたい、このように思っています。
■西村(智)委員
人事院勧告が例えば1から10出されて、人事院勧告を尊重するということであれば、やはり総務省として、法制化の担当者としては、1から10まできっちりと法案化に向けて努力するということは、これは何はなくともとらなければいけない責任だろうと思います。しかし、1から10まで勧告が出ている中で、例えば1から8までは詰めて法案化したけれども9と10は残ってしまった、そうすると、これは痛くない腹を探るということになるのかもしれませんけれども、やはり恣意的な、1から8の部分だけはどうしても急がなければいけない事情があったというふうにそこは指摘をしなければいけないわけでございます。次の通常国会へこの育児時短制度と自己啓発休業についてきちんと法案が早期に出てくることを要望いたします。
それで、ちょっと戻りますけれども、こういうふうに人事院の勧告を受けて法案化するという人事院制度、日本では定着をしてきましたし、私は、一定の成果はあったと思っております。しかし、きょうの議論、質疑を通じても感じるんですけれども、かなり勧告が政治に引っ張られている、そういう感じが強まってきているのではないか、そういうふうにも感じます。そろそろやはりこの人事院制度も見直すべきではないかというふうに感じます。それがいわゆる新しい時代の要請ではないかということなんです。
まず、その話の初めに、ことしの公務員の採用試験、この受験者の状況について伺いたいと思います。
実は、きのうちょっとレクの中で雑談をしておりますときに、いい要員を確保することが難しくなってきているなどという、ちょっと本音に近い話もぽろっと出てまいりました。給与制度改革も含めて公務員制度改革が行われているわけでありますけれども、その公務員制度改革が行われている中でよい人材が集まってこないということであれば、やはりそれは大きな問題である。
私は、公務サービスというのは非常に重要だと思っておりますし、OECD諸国の中でも、日本の公務サービスにかける例えば人件費あるいは公務員の人数は決して多くはありません。相対で見ますと、日本はOECDの中では既に小さい政府になっている。この中でよりよい人材をいかに多く登用して、いかに活躍してもらうか、いかにいい仕事をしてもらえる制度にしていくか、ここが公務員制度の根幹であるべきだというふうに考えておりまして、総人件費の抑制が公務員制度改革の幹であるというような発想はやはりそろそろ変えるべきではないかというふうに考えております。
まず受験者の状況と、それから私が後段述べた公務員制度改革についての御認識について、総務大臣それから行革担当の方にそれぞれお伺いをいたします。
■林芳正内閣府副大臣
行革担当の副大臣でございます。
今お話がありました後段の方のお話で、公務員制度改革の方向性ということで、いい人材をもっと採っていくべきではないか、こういう御指摘でございまして、まさにごもっともな御指摘であります。
キャリアと言われる人たちに優秀な人材が集まりにくくなっているのではないかという御指摘は常々あるわけでございますが、一方で、人件費の削減というのは、もう御案内のような財政状況で、何とか削れるところは、節約できるところは節約していこう、こういう方向性があるわけでございまして、公務員の総人件費についても例外にはできない、こういうふうには思うわけでございますが、一方、御指摘がありましたように、だからこそこの限られた財源の中でどうやっていい人材を引き続き確保していくのかということが大変大きな課題になるわけでございます。
そういう観点から、この間通していただきました行政改革推進法にも、職員の意欲と仕事の成果を引き出すような能力・実績主義の人事管理の徹底、また、行政及び公務員への国民の信頼を確保するための退職管理の適正化、また、官民の人事交流を促進することを重要に考えているということを位置づけていただいたわけでございまして、こういう方向性でできるだけ早期に具体化を図るべく調整を進めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
■菅大臣
私も、今林副大臣が答弁されましたけれども、お互いに連携をしながら、このことについてはしっかり取り組んでいきたいと思っています。総務省としては、官民人事交流の推進や新たな人事評価の試行等の取り組みを進めて、皆さんの、国民の期待にこたえられるような取り組みをぜひ行っていきたいと思います。
また、受験者等については事務当局より答えさせていただきます。
■鈴木明裕政府参考人(人事院事務総局人材局長)
お答えいたします。
1種試験で申し上げますと、ことしの申込者が2万6,268人、昨年度が3万1,112人ということで、10数%の減少ということになっております。
■西村(智)委員
10数%の減少とおっしゃいました。
昨年が3万1,112人で、ことしが2万6,268人ですから、ざっと申し上げておよそ5千人、受験者数でいいますと、3万人いたところから5千人減っているわけでありますね。
短絡的に、だからいい人材が集まってこないというふうに私は申し上げるつもりは毛頭ありません。しかし、そういうふうに頑張ろう、1種で頑張りたいという志を持っている人が減る傾向にあるということは、少なくともこのデータからは言えるのではないかと思います。
そこで、制度の見直しというものにもやはり入っていかなければいけない時代じゃないかと私は思っております。
既に、ILOがたびたび勧告をしております。ことしの3月にILOの方から中間報告が出された中でもいろいろ勧告されております。強く督励すると。これは仮の訳ですので英文原典を当たっているわけではないですけれども、強く督励するというその表現の中に、公務員に労働基本権を付与することというのが第1の項目に上がってきております。2番目には、消防職員及び刑務所職員に団結権を付与すること等々と、少し具体的な項目が続くわけでありますけれども、公務員に労働基本権を付与する、これはILOからも強く勧告がされている。これはことしに始まったことではなくて、もう何度も、何回も勧告がされていることであると思います。
この勧告を踏まえて、それにこたえるためにも、この労働基本権の付与については早急に議論を深めて結論を出すべきと思いますけれども、総務大臣に見解を伺います。
■菅大臣
公務員の労働基本権につきましては、公務員の地位の特殊性と職務の公共性にかんがみて、国民全体の共同利益の見地から一定の制約を免れないものと認識しており、そのあり方については、国民意識を踏まえつつ、幅広い観点からの検討が必要であるというふうに思っています。
現在、この問題につきましては、専門調査会でさまざまな角度から検討を始めており、その方向性というものを見きわめてまいりたいと思います。
■西村(智)委員
いや、しかし、勧告は出されているわけですよね。ILOから勧告、しかも強くその勧告が出されていて、議論の行方を見ていきたいというのでは、いかにものんびりしているんではないか。
行革担当の方にお伺いをいたします。骨太方針2006、ここに「人事院・人事委員会制度の在り方を含む公務員制度全体の改革の検討を早期に開始する。」とあります。それを受けて、今、菅大臣が答弁された専門調査会ですか、それも設置をされて議論がされていることと思いますけれども、その議論はどういう状況になっておりますか。
■林副大臣
先生御指摘がありましたように、骨太には「早期に開始する。」ということが入っておりまして、それを受ける形で、行革推進法に基づきまして、政令で、行革推進本部というのが政府にございますが、その下に専門調査会を設置しまして、7月より検討を開始したところであります。
大まかに申しますと、まず3つのことをやろうと。簡素で効率的な政府における公務の範囲、21世紀の公務員とはどういうことをカバーするのか。そして2番目が、それを担う従事者の類型化とそれぞれのあり方。そして、その2つを踏まえた労働基本権を含む労使関係のあり方ということで、三本柱を立てて議論をスタートしていただいているところでございます。
既に、公務の範囲や公務員の法制などにつきましては事務局より説明を行っていただきまして、委員の皆様方で、何を中心に議論をしていくべきか、重要と思われるテーマは何か等についてフリートーキングを行っておりまして、今後の本格的な議論の進め方や論点について年内に整理ができるというめどで、今進めておるところでございます。
■西村(智)委員
年内に論点がまとめられるということでしょうか。それは、公務の範囲ですとか、今大臣が、行革担当副大臣が御説明くださった中身も含めてということなんだろうと思うんですけれども、労働基本権のあり方についてその議論が結びついていくような、そういう整理が年内になされるということですか。
■林副大臣
そのうち大臣にもなりたいと思っておりますが、今お話がありましたように、順序立てて、公務の範囲というのが今までどおりでいいのかということをまずやって、先ほどキャリアのお話がありましたけれども、キャリアとかノンキャリとかそういう分類をした上で、キャリアにいる人やノンキャリの人、また、現場でいわゆる現業的なお仕事をされておられる方で、公務の労使関係については違ったことがあり得るだろう、こういうことを考えましてこういう論点立てにしております。
そういう3つの大きな柱の中で、ではどこを具体的に議論していけばより早く委員がおっしゃるように答えに到達できるのか、そういうことで今やっていただいていまして、より詳しい論点整理をこの年末には出したいということで、実は第3回の会議で、10月でございましたが、私も出席しておりましたけれども、座長からは、次回の会議、11月に予定しておりますが、論点の柱立てのたたき台について議論していきたいと。このたたき台を議論していただいて、12月には論点整理ということでまとめたい、こういうことになっておるわけでございます。
■西村(智)委員
ぜひ早急に議論をしてくださるように、また、そのときにはぜひ関係者の意見をより多く聞いて、しっかりとそれを取り入れるということをぜひ確認させていただきたいと思います。それはよろしいですね。
■林副大臣
関係者で、特に委員が御興味のある方だと思いますけれども、労働組合の関係の方も実はこのメンバーに入っております。古賀さんが連合の事務局長であられますが、それから、ずっと公務労協の委員長をされておられました丸山さんという方ももう委員に入っていただいて、この場で議論をしようと。
この専門調査会がそもそも立ち上がったのは、御指摘のあった政労協議というのをやりまして、それぞれの方に入っていただいてここで議論をしようということで、最初からこの委員に入っていただいて議論をしておるということでございます。
■西村(智)委員
ほかにも、育児休業の短時間勤務の話ですとか、まだ質問したかったんですが、時間になりましたので終わります。厚労の政務官、済みません、また次回、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。