■西村智奈美委員
おはようございます。民主党の西村智奈美でございます。
富田委員が列車事故で少しおくれるということで、急遽時間が早まりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
住民基本台帳法の一部改正案につきまして質問させていただきますけれども、ようやく改正案が出てきて、そしてこの委員会の中で審議することがようやくできたかという思いがございます。
私たち民主党で、実は、もう一昨年の通常国会で住民基本台帳法の一部改正案を提案させていただいておりました。愛知県での母子家庭をねらって少女へのわいせつ事件を起こしたあの事件から、これはもう急ぎ対応しなければいけないということで、党でそういった提案をしたわけでありますけれども、それに比べて、やはり政府の対応は遅きに失したのではないか、率直に言って、このような感想を持っております。
恐らく政府の方といたしましては、検討会の報告を待っていたのでこういう時期になりましたということなんだと思うんですけれども、しかし、基本4情報、これを公開していることについての危険性はこれまでずっと指摘されてきたことでもありますので、やはりここはしっかりと、対応にスピードが欠けていたということをお認めいただいて、そして、ぜひ今後の対応についても、その反省を踏まえて取り組んでいただきたいと思うものであります。
まず最初にお聞きしたいのは、今回の一連の、住民基本台帳法の公開、大量閲覧にまつわって、いろいろな事件が発生してまいりましたけれども、これに対しての総務省としての見解を伺いたいと思います。
先ほど申し上げました事件だけではなくて、これは総務省の方でも調査されてきたことだと思いますが、全国で大体1年間に、これは2004年度の数字ですけれども、150万件の閲覧請求件数があった。このうち実に約6割がダイレクトメールなどの営利目的のものであって、そうした請求業者の実態を法人登記などで確認していた自治体は、何と驚くべきことに4割弱であったということであります。
こういった状況を見ますと、閲覧したい側の権利は保障されているけれども、閲覧されたくない側の権利はやはりなおざりにされてきた、何ら保障されてこなかった実態はあると思います。これについて総務省の見解を伺います。
■高部政府参考人
何点か御指摘をいただきました。私どもといたしましても、こういう制度改正の対応というのは、今委員御指摘いただいたような点も真摯に受けとめまして、対応しなければいけないというふうに考えているところでございます。
この住民基本台帳の閲覧制度というのは、委員厳しい御指摘をいただきましたけれども、いろいろな経緯と社会経済状況の変化というものがあるんだろうなというふうに感じております。
この制度は、昭和20年代の住民登録法の仕組みから始まりまして、昭和40年代の住民基本台帳法、それから住民基本台帳法についても、順次、何人でも請求できるという形をとりながらも、閲覧の内容でございますとか、不当な目的の場合には拒むことができるというような改正をしてきたところでございます。
制度発足時におきましては、こういう営業目的の請求というのも広い意味での公証の一環という形で認められてきたというような経緯もあるわけでございます。そういう中で今までの仕組みができてきたということでございます。それで、いろいろな環境の変化の中で、今回、制度改正をさせていただいたということでございます。
これも御指摘ございましたように、閲覧制度を悪用した事件の発生というのはまことに遺憾なことだというふうに思っているところでございまして、今回は、閲覧することができる場合を制限いたしますとともに、閲覧の手続等の整備を図りまして、あるいは制裁措置の強化といったこともさせていただきまして、悪徳事案といいますか、こういう事案に対しても効果を上げていくものではないかというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
各市町村で、閲覧請求があったときにかなりこれまで対応にばらつきがあったということを御承知だと思います。ある自治体は、営利目的だ、ダイレクトメールを発送する目的だというときには大量閲覧を拒否していた自治体もあるようでありますけれども、また一方で、申請書の申請目的のところに何か書いてあればよろしい、そういう自治体もどうもあったようであります。
そういたしますと、現行法の第50条では、偽りその他不正の手段により閲覧した者は10万円以下の過料に処するというふうにありますが、実際に法人登記などで確認していた自治体が4割弱しかない。実際に追いかけていってみたところが架空の業者であったというケースも多数報告されているわけですけれども、実際にこの現行法の第50条の適用ケースというのは今までにあったんでしょうか。
■高部政府参考人
御指摘いただきましたように、市町村の対応についてかなり差があったということは現実だろうと思います。
これも先ほどちょっとお答え申し上げましたけれども、この4情報というものに対する考え方が随分変わってきたということだろうと思っております。今回、選挙人名簿の抄本の閲覧制度もあわせて改正されているところでございますけれども、かつては、正確性を期するという意味で、かなり広くこういうのが配られて、確認することによって正確性を期することができるというような考え方で対処されてきたような状況もあったわけでございますが、今回改正させていただくわけでございます。
ただいまお尋ねの、現実にあったかということでございますが、今確認しましたところ、平成16年で、内訳をちょっと詳細把握しておりませんが、閲覧の場合とそれから写しの交付の仕組みと両方合わせてでございますが、17件の事例があったというふうに把握しているところでございます。
■西村(智)委員
17件でありますか。
実は民主党の中でも、対策を検討していたときに、この住民基本台帳法の閲覧請求が自治事務であったということが非常に悩ましい、難しい点でありました。原則閲覧禁止だというところまでは私たちも合意はした。その先に例外的に閲覧を認めるケースもあるだろうというときに、自治事務ということからすると、これは法律的に縛りをかけるのではなくて、条例で、自治体で検討してもらうということも考えたりはしたわけです。
しかし、この住民基本台帳法というのは、正直申し上げて、1つの自治体の中でおさまる話ではなくて、広域的な問題であるわけです。名簿が売買されるときというのは全国的に行われるわけでありますし、市町村の行政区画というのは余り意味をなさないということからすると、これはむしろ国で対応すべき事柄なのではないかというふうに考えますけれども、これについてはいかがでしょうか。
■高部政府参考人
お答えを申し上げます。
先般の分権一括法による改正の中で、機関委任事務が廃止されまして、事務の区分についても、今御指摘いただきましたように自治事務と法定受託事務という区分になったわけでございます。
法定受託事務につきましては、自治法の規定からいたしますと、国が本来果たすべき役割に係る事務であって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものというのが法定受託事務の考え方でございます。
機関委任事務の整理に当たりましては、当時いろいろ議論をしまして、できるだけ自治事務の方に位置づけるような形で、できるだけ地方公共団体の自主性が増すようにというような形で整理させていただいているところでございます。
御指摘ございましたように、先般の地方制度調査会の答申等でも指摘されているところでございますが、できるだけ国の法令は地方の自律性を高める内容とすべきだという一般論は当然ございます。その中で、特に自治事務につきましては、地方公共団体ができる限り条例等により行うことができるようにするという考え方は基本的な考え方だろうというふうに思っているところでございます。
ただ、市町村の窓口の事務の中で、戸籍の事務と住民基本台帳の事務というのは一番すぐ住民の方に思い浮かぶ事務でございますけれども、戸籍については、法定受託事務ということで国が全体として管理をする体系で考えておるところでございますし、それから住民基本台帳による事務というのは、住民を把握といいますか、公証したり記録を管理する仕組みということで、自治事務というふうに考えているところでございます。
そういうものの中で、方向性としては先ほど一般論として申し上げたようなことにはなるわけでございますが、基礎的にデータをそろえていくというような部分もございまして、一定の全国的な統一性というような事情もあるわけでございます。特に、今回の改正につきましては、閲覧できる場合を法律で規定いたしまして、さらに閲覧の手続等の整備を行うというような形にさせていただきましたので、法律で規定するといったことは個人情報の保護の観点といったことも含めまして必要だと考えた次第でございます。
■西村(智)委員
ちょっとよくわからない部分もあるんですけれども、住民基本台帳は市町村で管理をするということ、これは今の法体系ではそういうことになっているわけです。しかし、もう既に全国的に境界線はないですね、今の住民基本台帳が置かれている状況というのは。ですので、ここはやはり広域的な課題だというふうにとらえて、もう一度仕切り直しをしていただく必要があるのではないかと思いますけれども、ちょっとここから先は大臣に伺いたいと思います。
■竹中平蔵総務大臣
いろいろ御議論を賜りまして、ありがとうございます。
一番最初に委員がおっしゃった、もう少し早く対応できなかったのか云々のことも含めて、我々はしっかりと重く受けとめなければいけないと思っております。
その上で、国と地方の役割の分担をどのようにしていくかという非常に大きな議論の中で、今委員御指摘の、この法律に関連して個別の問題もある、私もそのように認識をしております。
これを根本的に見直す必要があるのではないかという御質問に対しては、私は、これも含めてですけれども、国の関与のあり方、さらには、そもそも国の責任、地方の責任をどのように考えるのか、区切るのかということについては不断に見直さなければいけませんが、とりわけ今の時点で抜本的に見直す必要があるというふうな認識を持っております。
そうしたことで、先般諮問会議においても、分権一括法の見直しをしてはどうかということで私はお示しをしているわけですが、実は昨日、地方六団体からもそのようなお申し出をいただいております。地方六団体の方は地方分権推進法という言い方をしておりますが、前回も推進法を定めた後で分権一括法の見直しをしているわけでございますけれども、そういうプロセスが必要であるというような認識は私自身は持っております。
しかし、これは非常に大きな問題でございますので、今後、各省庁で賛成、反対、いろいろな意見が出てくると思いますけれども、先般の私の懇談会でもまた同じ方向が示され、また地方六団体の検討委員会でも同じような議論がなされている。そういう時代の流れの中で、ぜひ前向きに私としては判断をしていきたいと思っております。
■西村(智)委員
私は、今回の法改正が自治事務という性格に照らして適当かどうかということも含めて質問したつもりでございますので、どうぞその辺は理解をいただきたいと思います。
それで、今までにもうずっと議論になっております、いわゆる公益性という判断基準であります。
公益性というのは、公益法人改革のときにもずっと議論になる言葉でありますけれども、だれが判断するかというのは私は非常に重要だというふうに思います。今回は市町村長が判断するということになりまして、これは私は現時点では適切な判断だろうというふうに受けとめておりますが、しかし、何をもって公益性の有を判断するのか。そこのところは立法者の意思としてきちんと示すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
■竹中大臣
公益性の基準についてのお尋ねでございます。
公益性の基準としましては、その調査や研究の成果がまず公表されなければいけないと思います。そして、国の施策の検討や学術研究、まさに公的に利用されることによりまして、それが社会に還元されることが必要だと思います。そういうこと等を告示で定めたいというふうに考えているところでございます。
いずれにしましても、公益性は、最終的には市町村長に適切に判断していただくべきものであると思います。市町村における事例の積み上げがその意味では重要でございます。総務省としては、閲覧が認められた具体的な事例等をしっかりと収集して、各市町村に提供するなどの支援を行ってまいりたいと思います。
また、これとあわせまして、市町村において適切な運用がなされますように、総務省としましても、市町村の担当者向けに説明会を開催するなど十分な周知に努めてまいる所存でございます。
■西村(智)委員
その告示の内容ですとか、市町村への説明の中身、ここのところを実は本当はぜひ具体的に伺いたいわけなんです。
具体的に申し上げますと、例えば、新法の第11条のいわゆる公用閲覧の部分に関してでありますけれども、行政機関による閲覧については、その他特別の事情により請求事由を明らかにすることが事務の性質上困難であるものについては明らかにしなくてよろしいですよということになっておりますけれども、私は、ここのところ、使い方によっては非常に難しい規定になると思っています。
実際にこれまでもたくさんの事例が報告されておりますし、御存じだと思いますけれども、例えば警察が閲覧をするときに、申請書とそれから警察手帳の明示だけで住民基本台帳を閲覧していたというような事例もありました。これが事務の性質上困難であるものだということでもうブラックボックスに入れられてしまうと、外部からの統制というのはできないわけですね。市町村長も判断はできません。ここのところをどういうふうにお考えなのか。
つまり、事務の性質上請求事由を明らかにすることができないというのは具体的にどういうことを指すのか。また、その請求事由を明らかにできない場合には、何らかの内部統制の仕組み、これが絶対に必要だというふうに思いますけれども、いかがですか。
■高部政府参考人
まず、性質上請求事由を明らかにすることが困難なものとは何かという点でございますが、「犯罪捜査に関するものその他特別の事情により請求事由を明らかにすることが事務の性質上困難であるもの」というのが条文の規定でございます。犯罪捜査をするためのもの、あるいは類似のものでございますけれども、税務調査でございますとか、具体的にどういう形で出るかはっきりわからないところがありますが、公正取引委員会等々がやるような場合といったようなものが想定されるところでございます。
それから、どういう形で統制するかということでございますが、今回は、こういう公的な閲覧請求につきましても、こういう請求をするということを公文書を持ってきていただくというような形にさせていただこうかというふうに考えているところでございますので、そういう形で適正を確保したいというふうには考えているところでございます。
ただ、いずれにいたしましても、犯罪捜査等々の場合で理由がこうだと明らかにしにくいというものでございますので、すぱっと割り切ってどうこうというところはなかなか難しい面はあろうかと思いますけれども、制度の趣旨等々も御理解いただいて、なおかつ、先ほど申し上げましたような公文書を持ってきていただくというような形で適正な運用を確保していきたいと考えているところでございます。
■西村(智)委員
今、住民基本台帳法、基本4情報を保有しているのは市町村、自治体なわけであります。そこのところが保有している情報について、やはり閲覧のプロセスもぜひできる限り透明化していただくようにお願いをしたいと思います。
行政機関が情報を持っているがゆえに閉鎖的になってしまうということも指摘をされているようでありますけれども、そこのところは、ぜひきっちりと心して明確なルールづくりに今後とも取り組んでいっていただきたいと思っております。
次に、個人または法人の申し出による閲覧であります。
営利目的の大量閲覧が非常に件数が多かったということから問題になり、今回の改正につながっているわけなんですけれども、実際に、現行の住民基本台帳法でも、これはと思うような申請目的が幾つかあるわけなんです。
どういうことかと申しますと、例えば、幼児、小中学校向け学校教材の案内。案内ですので、これは営利目的とは恐らく言えないんだろうと思います。あるいは結婚観に関する意識調査と申しますと、したいという人にはそういうDMが多分送られるということを前提にしている意識調査なんだろうと思います。あるいは世帯主の子供の何とかさんが当社に就職を希望しているので、家族構成及び家族の生年月日を確認したい、これは非常にプライバシーにかかわる重大な請求だと思います。あるいは兄弟の住所確認、家族に関することですと、これはそもそも何らかの問題のあるケースだろうかなというふうには想像はできるわけです。
こういった事例に対して、法改正によって、どういったものが閲覧がだめだということになって、どういうことが閲覧が可能だということになるんでしょうか。
■高部正男政府参考人(総務省自治行政局長)
包括的なお尋ねでございますのでなかなかすべて答え切れませんが、11条の2の中で、1号から3号まで閲覧を認めるものについて規定しているところでございます。
委員御指摘いただいたのは、抄本の交付請求の部分も一部あったようにも思えますが、閲覧についていいますと、多分、問題意識でいいますと、1号の世論調査等々に係るものを主に考えておられるのかなと思います。その中で、例えば教材の案内というのはわかりにくいということでございますけれども、一般的に言うと、教材の案内というのは営業のために使うということに私なんかはとれるわけでございます。そういうようなものについては、現実に何に使うんですかということを市町村の窓口で審査がなされると思いますので、そういう中で公益性が判断されるということはあると思います。
先ほど大臣がお答え申し上げましたけれども、公益性の判断がなかなか難しいということの中で、公益性というのは、分野ごとにその公益というのはいろいろな態様があると思いますので、それを一つにまとめてこういうことですと言うのは難しい中で、それで今回、公益性の判断をするもの、判断材料として、調査結果が公表されて、それが社会に還元されるということを1つの要素にしたらどうかというのが検討会の報告の内容だったわけでございます。
そういう観点からいたしますと、ただいまの教材の案内というようなものは、その結果が社会に還元されてというような基準に照らしたときにどう見えるのかなというようなことになって、一定の判断がつくんだろうと思います。
それから、もう1つお示しになられました、今度、結婚観についての調査ということになってきますと、もう少し判断が、現実にいろいろな要素を加味しないと難しくなってくるのかもしれませんが、この結婚観の調査をして、どういう研究なり調査目的なんでしょうか、どういうふうに成果を扱うんでしょうかといったような点で、そういう観点からしたときに、どこまで閲覧が必要であるか、あるいは事後の管理がどうなっていくかというようなことを総合的に加味した上で市町村で判断されるというふうに考えております。
そういう意味で、事例の積み重ねが非常に大事になってくるのではないか。だから、そういう情報交換についてしっかりやっていきたい、かように考えているところでございます。
■西村(智)委員
公益性を判断するときに、例えば意識調査なり世論調査なりの成果が社会に還元されていくというのを1つの指標にされるということでありましたが、やはり私は、自分の情報は自分でコントロールしたい、そういう自己情報コントロール権と言われる流れでありますけれども、そこのところの認識もぜひきっちりと持っていただきたいというふうに思うんです。
それとあわせて1点伺いたいのは、取得された個人情報というのは、一たん手を離れますと、どういうふうに使われるのか、大変コントロールの難しい状況になっていってしまいます。閲覧して得た情報を適切に管理してもらう、そのために閲覧者がそうだということがわかるように管理をすべき、そういうことを求めていくべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
■竹中大臣
今の御質問の点は、これは閲覧の申し出の際に、閲覧した事項の管理の方法、保管とか廃棄の方法を明らかにすることとしておりまして、市町村長は、管理の方法が適切かどうかも含めて閲覧を認めるか否かを判断する、こういう仕組みに法律上はなっております。
また、これにあわせまして、実際に閲覧をした者に対して、閲覧した事項の適切な管理のために必要な措置を講じるということも義務づけを行っているところでございます。
さらに幾つか申し上げますと、閲覧した事項について、本人の事前の同意を得ないでこれを目的外利用、第三者提供するということは禁止されているわけでございまして、これに違反した者については、先ほどから御説明させていただいているように、市町村長は刑罰により担保された勧告、命令を行うことができる、そういう事後的な措置も講じられていると思います。
これらの措置につきましては、閲覧して得た情報が閲覧をして得た情報であるとわかるように管理されていることを担保する、そういうことを促す一つの全体としての仕組みになっているというふうに考えております。
■西村(智)委員
この法律を考えるときにやはり行き当たるのは、情報はだれのものかという、もともとの問題なんですね。情報はだれのものか。それはやはり情報の所持者といいますか、その個人、その人のものであります。住民基本台帳法は、いろいろな戸籍等の関係もあって、それを市町村に預けている。その情報がどういうふうに使われるのかということをやはり保持者は知る権利があるんだと思います。ただ、そのときにぜひ酌み取っていただきたいのは、行政機関が預かっているから行政機関だけのものではないという、その閉鎖性についてもぜひ気を配っていただきたいなと思います。
先ほどどなたか過剰反応というようなお話をされておりましたけれども、例えば、私の地元での災害のときに、NPOが、要援護者がどこかにいないかと障害者団体が対策本部に駆け込んだところが、これは基本台帳法の問題とは少し離れますけれども、それは個人情報なのでだめですというようにはねつけられたというようなケースが実際にありました。そういったことがすべからく行政機関、役所の中に浸透していくということはまた一方で問題でありますので、そこのところのバランスはぜひ留意していただきたいと思うところであります。
せっかくお越しをいただきましたので、国勢調査について1点お聞かせくださいませんでしょうか。
6月5日に、総務省で設置した統計法制度に関する研究会と内閣府で設置した統計制度改革検討委員会がそれぞれ報告書をまとめています。何についての報告書かといいますと、統計業務に係る報告書であります。
この中で、国が行った統計業務によって得たデータを二次利用することについて道が開かれたようなことになっているわけでありますけれども、来年の通常国会で二次利用について改正案が出されるなどという一部報道もございました。具体的なスケジュール、それから二次利用されるデータの対象あるいはその範囲、これが明確にはなっておりません。匿名性が果たして本当に担保されるのかという非常に重要な問題がありますけれども、この匿名性を確実なものにするためにどんな方策を考えておられるのか、それを伺って終わります。
■久布白寛久布白政府参考人(総務省政策統括官)
お答え申し上げます。
統計法制度に関する研究会の報告に関する御質問でございます。
まず、総務省といたしましては、統計法制度に関する研究会の最終報告それから内閣府に置かれました統計制度改革検討委員会の最終報告を踏まえまして、速やかに法律改正のための体制を整え、改正案の立案作業に着手してまいりたいと考えております。
具体的な法律改正のスケジュールにつきましては、現段階ではちょっとまだ確定的なことは申し上げられませんが、今後、関係各方面とよく調整いたしまして、なるべく早く国会に法案を提出させていただきたいというふうに考えております。
また、内容の方でございますが、御指摘いただきました統計法制度に関する研究会の報告書におきましては、二つの制度の導入が提言されているところでございます。一点目は、統計データの利用を希望する者のオーダーに応じまして集計を行い、その集計結果のみを提供するオーダーメード集計の実施でございます。もう一点は、調査票から氏名や住所のほか個体の識別につながる情報を消去いたしまして、匿名性を確保いたしました匿名標本データの作成、提供でございます。
また、報告書では、前者のオーダーメード集計につきましては、集計作業は調査実施府省が行うものでございまして、依頼者自身は調査票を直接使用するものではない。そういうことで、秘密の保護が確実な仕組みであるというふうに考えておられます。
それからまた、後者の匿名標本データにつきましても、作成段階におきまして、他の情報との照合による識別の可能性の観点からの検証なども含めまして、あらかじめ匿名性の確保に十分留意するとともに、匿名性の確保について特に慎重な検討を行うため、第三者機関におきまして専門的、技術的な観点からの審査を行うことが適当であるというふうに提言されておられます。
また、調査対象者の秘密の保護に万全を期すため、匿名標本データを利用する者に対しましては、データの第三者提供を禁止することなどについてもあわせて法制上の措置を講ずることが必要とされているところでございます。
■西村(智)委員
終わります。