■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
地方自治法について、一部改正案が今回提出をされておるわけでございますけれども、その質問も後ほどしたいと思いますが、私は、まず竹中大臣に、歳出歳入一体改革及び地方交付税の改革について幾つか伺っていきたいと思っております。
先ほど同僚議員の質問への答弁で竹中大臣は、地方分権、交付税改革、歳出歳入一体改革について大きな方向性を見出していかなければいけない、そのためには各省庁の共通認識というものが必要であって、その共通認識を構築していくためには数年間はかかるのではないか、長い時間がかかるのではないかというふうにおっしゃっていたかと思います。
私は、竹中大臣が総務大臣に就任されて1年たたないですね、まだ数カ月でございます、実際に竹中大臣のもとで分権改革というものが大きく進んでいくのではないかと当初期待をしておりました。ところが、この間の議論の経過を見ておりますと、どうもボールがあっちに飛んだりこっちに飛んだりしているように見受けられまして、本当に、大きい方向性が見出していける、そのような議論のベースができているんだろうか、そういう疑問を持つことも少なくないわけでございます。
私が前回質問させていただいたのは2月の27日でございました。そのときに、三位一体改革の第2期目について、どういう方向で第2期目を行っていくのかと質問をいたしましたところ、大臣は、第1期は数値目標を決めてそれでやってきた、だけれども、それでやるというような限定的な改革ではなかなか前に進まないので、より大きな仕組み、それを見直していきたいんだというふうにおっしゃってくださったわけでございます。
そういう思いで期待を持って見ていたんですけれども、経済財政諮問会議が、月2回ですか、3回ですか、そのペースで進んでくる中で、3月29日に突如として大臣が、地方交付税は最大で6兆円削減可能である、そういう試算を提出されました。仕組みそのものを見直したいということの一つの考え方としてこの地方交付税の6兆円削減可能ということを出されたのか、何のためにあの試算を出されたのかなというふうに私は思っているわけでございます。
地方六団体が設置をしております新地方分権構想検討委員会、これもずっと議論をしていた中でございましたし、自治、分権に対していろいろな議論が、たゆみなく努力が進められている中で、一体あの発言はどういった意味があったのか、そこを伺いたいと思います。
■竹中平蔵総務大臣
冒頭から厳しい御指摘をいただきましたが、私は、大きな仕組み、その方向をつくるという思いは全く変わっておりませんし、在任中にその方向のきっかけづくりはぜひ実現したいというふうに考えているところでございます。
御指摘の3月29日の諮問会議での私の発言は、交付税は何兆円削減可能だとか、そういう意味ではございません。あれは、どのぐらいの収支改善が国、地方において見込まれるかということについての機械的な試算をお出ししたわけでございます。
3月29日のあの発言の真意と、それと大きな仕組みとどうかかわっているのかというのが西村委員の御質問だと思いますが、もし29日の議事録がありましたらぜひ御確認いただければと思うんですが、私は、冒頭で、二つのことを大きく議論しなければいけないと思っておりますと。一つは、やはりマクロの問題で、2010年代初頭に国、地方のプライマリーバランスを回復するというその道筋についてのマクロ経済的な議論が一つ。二つ目は、地方のまさに財政の仕組み、まさに自由と責任と自立が実現できるような仕組みの構造を変えるということについての議論、これをしなければいけません。二つは絡み合っていなくはありません、絡み合っている部分もありますが、それを一体でやると大変ややこしい議論になりますので、私は、あえてその議論を分けてさせていただきたいと。きょうはプライマリーバランスの削減に向けたマクロの議論をいたします、そして仕組みの話は、懇談会等々での議論をまだしておりますので、それを踏まえて後日させていただきます、そういうまくら言葉のもとに報告をさせていただいた、そういう趣旨で申し上げたというふうに記憶をしております。
したがって、そこはあくまでも、歳出の削減をどのようなペースに持っていけるだろうか、そのときに、名目成長率3%、4%のもとで、一定のそういう弾性値のもとでどれぐらいの国税、地方税が上がるだろうか、そのときに国、地方の基礎的財政収支はどのぐらい改善する可能性があるだろうか、その結果として、構造改革をちゃんとやって、経済がちゃんと成長すれば、将来の税負担が求められる場合があるにしても、そんなに大きなものではないはずですよということをお示ししたわけでございます。
そういう枠組みの中での御説明でございますので、西村委員が大変関心を持って、またいろいろ御議論いただいております大きな仕組みの話につきましては、先般ようやく中間取りまとめを行いましたけれども、それを踏まえてさらに今後議論していきたいというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
名目成長率と金利の話は、諮問会議の中でも神学論争と呼ばれまして随分長い時間を費やしてこられたようですけれども、同じく3月29日の諮問会議で竹中大臣は、人口20万人以上の都市の団体数で50%を交付税の不交付団体にしたらどうか、できるのではないか、そういう考え方を示されたそうなんですけれども、これに対して小泉総理が、今のやり方を変えるという発想はないのか、交付税交付団体と不交付団体というのがあるのであれば、本来はそれが半々であるべきだというようなことを発言されておられます。私は、そういった小泉総理の半々というのも極めて機械的で深慮遠謀に欠けるのではないかと思いますけれども、総理の意向としてはそういうようなことでございます。竹中大臣はそれに対して、そのための、そういう枠組みを4月、5月にかけて諮問会議の中で報告したいと語っておられました。
いよいよ、あす、また諮問会議が開催されるということでございますけれども、ここでそういったことを報告される予定はあるのでしょうか。
■竹中大臣
まだ調整中でございますけれども、明日、諮問会議で地方財政の話をしたいという内閣府からの申し出がありますので、その方向で私も検討しているところでございます。
先ほどの総理の発言について、よい機会でありますのでぜひちょっとコメントさせていただきたいんですが、あのときの私の報告は、今、団体数でいうと、不交付団体というのは6%ぐらいしかございません。しかし、名古屋市ですら交付団体というのはおかしいのではないだろうか。それで、人口一定以上の、20万人以上ぐらいのところの半分を不交付団体にするのであるならば、たしか五兆円程度の税源移譲をしなければそうなりませんと。私が申し上げたかったのは、やはり不交付団体をふやす仕組みをつくることが必要でしょう、そのためには税源移譲がどうしても必要ですよということ、ごく当たり前のことでございますけれども、そのことを申し上げたわけでございます。
それを実は、税源移譲したくない人たちがいまして、その人たちが、総理が税源移譲に否定的であったというようなニュアンスで語ったような報道をしているんですね。これは違います。もちろんこれは、今の仕組みだけを前提にして税源移譲するということではありません。歳出のスリム化を行います、そして仕組みも変えます。しかし、その上でも、これは皆さんは必ず御理解いただけると思いますけれども、それだけの努力をしても、不交付団体をある程度、2分の1とかふやそうと思ったら、税源移譲というのは不可欠なわけです。そういう問題が出てきますよということを申し上げているわけなんですけれども、税源移譲したくない人たちは、総理の発言を少し形を変えて引用しながら、税源移譲は後だ、仕組みの変更が先だというような議論をしているように私には思えておりますので、その辺も含めまして、真意を先生方にはぜひ御理解いただきたいと思っております。
■西村(智)委員
その税源移譲したくない人たち、繰り返してしまいましたけれども、私も、しっかりと地域の力を信じていただいて、税源の移譲を行うというのは分権の基本、権限も移譲するというのは基本だと思っておりますので、ぜひ竹中大臣には、その方針、方向で、ぶれずに、そういった反対している方々をも巻き込むようなと申しますか、説得性のある議論の仕方で取り組んでいっていただきたいと強く要望するところであります。
2月の27日に、私はまた、三位一体改革第2期分として、地方消費税の2.5%への引き上げが地方六団体から主張されているということについても質問をいたしました。大臣はこのときにも、地方の税源充実の話を骨太の取りまとめに向けてぜひ織り込ませたいというふうに答弁をされておられますけれども、地方の税源充実、一体これはどういうことを意味しているのか、またそれについてどういう取り組みをされているのか、伺いたいと思います。地方の意見が黙殺されないように自分としてもビジョン懇でしっかりと議論してほしいというふうにおっしゃっておられるんですけれども、具体的にどういうことを発言し、行動してこられましたか。
■竹中大臣
まず、地方の税源充実の意味でございますけれども、やはり基本的な自立の考え方というのは、一番近いところで行政を行って、その近いところで税金をいただくということなのだと思います。今の制度というのは、遠い国に税金を払って、それが地方に国を経由して回ってくるということですから、納税者との、やはり身近な行政執行をしている市町村と近い納税の関係というのが非常に希薄になるわけですね。だからこそ、地方の自主的な財源、とりわけ地方税というのを充実させるということが地方自治の基本であるというふうに私は思います。
その中身について、どのような税制の制度設計をするかというのは、私は、これは少し時間をかけて議論した方がよいのだと思うんです。これから地方の財政が、地方の努力と経済の上昇そして税収の回復によって地方の収支が少しよくなってくると、これは一方で、早くも意見が財政審あたりから出ておりますけれども、法定税率をどうこうしろとかという逆の議論も出てくるわけですね。
しかし一方で、私が先ほどから申し上げていますように、しっかりと自主的な財源を持っていただいて、不交付団体を、ある一定規模のところはやはり半分ぐらいにするように持っていかなければいけないと私は思うんです。そのためには税源の充実が当然のことながら必要になります。そういう非常に大きな流れの中での制度設計をしっかりと行っていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう制度設計の部分的な議論だけが先に先に出てくる、皆さん、利害があるところはみんなそれを先に出すんですけれども、そうすると議論が大混乱するわけです。
私は、だからこそ大きな方向、まず、やはり国と地方を合わせたプライマリーバランス、そして国と地方のどれだけの努力、改革の方向、そういう大きな方向をまずこの骨太にかけて議論して、そしてその後で、これは歳出歳入一体改革とも絡みますけれども、そのために税をどうしなければいけないのかというマクロ的な議論が出てきます、それにあわせてその制度設計を議論していく、私はそういう手順が必要であろうかというふうに思っています。
では、私はどういう努力をしているかということに関しては、そういうことを諮問会議でも主張してまいっておりますし、懇談会におきましても、制度設計にとらわれることなく大きな方向を議論していただきたいということを申し上げてきております。
■西村(智)委員
あしたの経済財政諮問会議で報告される内容ですけれども、これから詰めるという話ですが、もうあしたです。これから詰めるということはどういうことなんでしょうか。まだ詰まっていないんですか。
■竹中大臣
最終的に詰まっておりません。当然のことながら、先般、中間報告を懇談会からいただいておりますので、それに基づきまして、そのポイントをどのような形で御報告するか、そこをぜひ、わかりやすい資料の作成も含めて詰めたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
今、質問しなければよかったとちょっと後悔をいたしました。あしたの会議に提出するものがまだ詰まっていないということになりますと、これは、率直に言って、自治分権論議にとっては余りいい影響を与えないのではないかと私は思っています。
それで、ちょっとまた重ねて聞きたいと思うのは、竹中大臣の御発言で、消費税に関する発言がありました。4月1日、和歌山で、竹中大臣の御地元でしょうか、そこで講演されたときに、2010年代初頭にプライマリーバランスを黒字化するということを目指して改革を続行すれば消費税率は3%引き上げるだけでいいというふうに試算していると発言をされたそうですけれども、これの真意、この発言の真意は一体何なのでしょうか。
つまり、今ほど竹中大臣は、国と地方がどっちがどうということではないと。これまでプライマリーバランスを改善してきたのは、国も頑張ったし地方も頑張ったというような一定の中間報告も出ておりますけれども、やはりそういうことなんだろうと私も思うんです。そういった議論の中で、3%を引き上げるだけでいいと試算した、その発言の真意をお聞かせいただきたいと思います。
■竹中大臣
これはまさに、先ほど委員が御紹介してくださいました、3月29日の諮問会議での例の機械試算の紹介をしたわけでございます。
繰り返して言いますが、あのときは、成長率が3%ないし4%、そうすると租税弾性値が国税1.1、地方税が1.06ぐらいだったと思いますけれども、そうすると5年間でどのぐらいの税収が出てくるかというトレンドが出てまいります。一方で、社会保障費、人件費、公共事業、その他、支出についてそれなりの前提を置きます。4つのケースについてそれぞれ前提としています。したがって、成長率が3%と4%、ケースが4つでありますから、2掛ける4で8のケース、マトリックスを出している。それで、国、地方でどれだけの収支改善が行われるかということを見ているわけでございます。
その中の中心的なものについて、ある程度の改革を行うものについては、改革つまり歳出削減を続けていきますと、たしか、ちょっと今その表は持ってきておりませんけれども、そのときの要調整額といいますか、それでもまだ赤字が残る額というのが数兆円から多いもので6兆円ぐらいであったと思います。6兆円であるとすれば、これは消費税引き上げにもしそのまま換算するならば3%の引き上げ。要するに、ちゃんとした改革をすれば、ゼロになる可能性もあります、それ以内でおさまるはずである、だから改革を続けていくことが重要なのである、将来消費税の負担を重くしないためにはやはりしっかりと改革を続けていきましょうと。
そのときの数字を引用して、6兆円程度。6兆円程度であるならば、消費税1%が2兆円ぐらいでありますから、3%程度、そのような御紹介をさせていただきました。
■西村(智)委員
この項目の最後に、地方交付税を、竹中大臣は実際のところどのような改革を行っていきたいと考えておられるのか、それを伺いたいと思います。
2月に議論、審議されました地方交付税法の改正では、地方交付税に行政改革のインセンティブが盛り込まれておりました。私は、地方自治の本旨ですとか地方交付税の性格づけがあいまいなこと、これがやはり大きな問題だろうと思っておりますし、まずはきっちりと交付税の性格づけをすることが重要なのではないかと考えています。
今回、ビジョン懇で交付税の改革の方向性も挙がっておりました。簡素化するとか透明度を高める、国の規制、関与を廃止、縮小するというようなことであるのですけれども、大臣はこの交付税をどのようなものにしたいというふうにお考えでしょうか。やはり政治の役割は、地域間の格差をなくすといいますか、市場経済原理だけではどうしようもないところを政治の力でカバーするということだと思っておりますけれども、その辺についてのお考えを伺いたいと思います。
あわせて、大変率直な言い方をさせていただければ、もう大臣としての残り任期も短くなってまいりました。残り任期で地方分権に向けてどういった方向づけをされていくのか、それを伺いたいと思います。
■竹中大臣
交付税の基本的性格ということになりますと、まさに通り一遍の言い方をすると地方固有の財源だとかそういう言い方になると思いますので、委員のお尋ねはむしろどういう思想のもとに制度設計をしたいのかというお尋ねだと思いますので、そういう観点から申し上げますと、まさに地域には資源の賦存状況の決定的な差がございます。東京にはいろいろな資源があります。私の地元の和歌山は、特に山間部に行きますとそういう資源そのものがございません。しかし、そこに生活している人たちの最低限の行政ニーズに対してそれを満たしていかなければいけない、それがまさに政治の役割であると思います。それを満たすものとして交付税というのが極めて重要である、それに尽きるんだと思います。
しかし、その交付税が今どうして批判されているかというと、結局、本当に多くの自治体は大変努力をしているわけですけれども、一部の自治体で交付税に頼って十分な地方行革をしていないのではないか、そういう典型的な例が残念だけれども見られるからだと思います。したがって、その重要な交付税の中にしっかりと各地域に自律をしてもらえるようなメカニズムを織り込んでいかなければいけない。それが今求められている交付税の制度設計であろうというふうに私は思います。
そういう観点から、では具体的にどのようにしたらよいのか。交付税は必要であります。しかし同時に、自律のメカニズムも入っていなければいけない。それに対するいろいろな工夫をしながら、ぜひ大きな方向性を見出したいというふうに考えているところでございます。
二つ目の御質問。小泉総理は9月でおやめになる。当然のことながら、私は、総務大臣としてそれまでの間にできることを目いっぱい私もやりたいというふうに思っております。
そういう観点から申し上げると、私は、この地方の制度の話というのは、これはもう何十年もかかってつくってきたものですから、ガラガラポンで、すぐにそんなふうに簡単にできるものだとは全く思っておりません。だから、先ほども申し上げましたように、税制の制度設計なんかもやはり何年がかりの話になるであろうというふうに考えているわけです。
しかし、そういう方向づけを私の任期中にぜひできないだろうか。こういう方向に向かって、今私が申し上げたような交付税の制度設計に向かって進み始める。その意味で、すぐできることがあれば、来年度予算の設計の中でできることがもしあるならばそれはやっていくように、概算要求もありますから、その中で取り入れられるものがもしあれば取り込みたいというふうに思いますし、必要なものについては、先ほどから議論になっている地制調等々で審議していただくものがあればそれは審議をお願いしたいというふうに思いますし、私ができることというのはその意味では限られておりますけれども、方向づけをできる範囲で何とか行いたい、そのようなつもりで仕事をしております。
■西村(智)委員
できる範囲は限られておると大臣おっしゃいましたし、先ほど田嶋委員への答弁で、思ったより総務大臣というのは力がなかったでしたか権限がなかったでしたか、そんなふうにおっしゃいましたけれども、地方の行財政は総務大臣のその肩にかかっているわけでございます。そこのところをぜひ忘れていただきたくないですし、残り任期は短くなってまいりまして、焦る気持ちもわからなくはございませんが、そこは着実に、できることからやっていっていただきたいと思います。あしたの諮問会議に報告をする中身もまだ詰まっていないというのは、これはやるべきことをやっていないというふうに私は言わなきゃいけないと思っています。そこはぜひしっかりとお願いをしたいと思います。
ちょっと移りまして、昨日、地方六団体が設置しております新地方分権構想検討委員会が、分権型社会のビジョン、中間報告をいたしました。これをどう受けとめて、今後どういうふうに生かしていくのか。私は個別で三つについて伺いたいと思っておりましたが、少し削ります。
地方交付税を地方共有税に変更するという提案がこの中で出ておりました。これについてどういうふうに受けとめ、生かしていくのか。そして、国と地方の代表者によって地方行財政会議を設置するということについても提案がありました。通告していたのは三つですけれども、この二つに絞りまして、今後の取り組みを伺いたいと思います。
■竹中大臣
共有税、それと行財政会議ですね。
共有税は、まず、国の一般会計を通さないで、直接特別会計にいわゆる直入するというのが一つの内容。そして、財源不足を解消するために法定率の引き上げを行う、そして地方税法に定める税率の変更も行えるようにする。そして、特例加算や特別会計による借り入れは行わないこと。そういう内容が一括されているというふうに理解をしております。
この直入の問題については、かねてから地方制度調査会の答申等々においても指摘があるところでございますけれども、一方で、主要税目の状況を一覧性ある形で国の一般会計において示せなくなるのではないかという財政当局の意見もあって、これまでは合意がなかなか困難であったところだというふうに思います。これは、恐らくそういう議論が今後もしばらく続くんだというふうに思っております。
また、法定率の引き上げ等々についても、これも基本的には、財源不足を抱える状況においては交付税率を引き上げることが望ましいというのが基本的な我々総務省の立場ではありますが、一方で、財政当局としては、多額の赤字国債の中でそういうことができるのかということで、ずっと綱引きの状態になっているということだというふうに理解をしています。
そういう観点から申し上げますと、これはまさに制度設計の問題でありますので、先ほど申し上げたような形で、理念の共有できるところをしっかり共有させて、少し時間をかけて制度設計を今後考えていく、そういうたぐいの問題であろうというふうに認識をしております。
あと、二つ目の地方行財政会議ですが、これは、地方との協議の場というのは極めて重要であるというふうに思っております。私が総務大臣になってから、その意味で、ほぼ毎月そのような場を総務大臣と六団体の長の間では持っているわけでございます。また、三位一体の改革の場合には、国と地方の協議の場という、官房長官も出席される、関係大臣も出席される、そのような場も何度か持たせていただきました。
検討委員会は、それを法律に基づく新たな組織という形で提言しておられるんだというふうに思います。国、行政府、国会、政府機関との関係をどのように整理するのかということも含めて、これは多面的な検討が必要だと思います。
ただ、協議の場をしっかり持とうということは私も大賛成でありますので、その方向について、ないしは共通認識は私はあるのであろうというふうに思っております。いずれにしても、そういう議論も含めて、まさに地方としっかりと協議をしていくつもりでおります。
■西村(智)委員
行財政会議、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。やはり地方の声がダイレクトに国政に反映されるという仕組み、これは分権自治改革を進めていく上で非常に重要だと思っておりますし、今、共有認識はあるんだ、認識は共有しているんだということでもございましたので、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
地方自治法の一部改正について伺います。
今回、地制調の答申をもとに改正が行われたということであります。答申の中でいろいろな項目が提案をされておりますが、盛り込まれたのは、今やっても差しさわりのないことが改正に盛り込まれたんだというふうに承知をしておりますけれども、やはり私は、地方議会の役割をもっと強化していかなければいけないんじゃないかと思っております。これからお話しすることは、多少揺れはしますけれども、ぜひ一本筋が通っていると思って聞いていただきたいと思うんです。
今回、出納長とかそれから収入役が廃止されて、副知事、副市町村長というふうに一元化された。そういう形では、いわゆる行政執行側のマネジメント機能というのは強化が図られていくわけでございます。ところが、議会のあり方について、地制調の答申で随分いろいろな提案がされているんですけれども、ほとんど具体化されていない。この理由をお伺いしながら、この後の取り組みについて伺っていきたいと思います。
例えば、幅広い層からの人材確保、これを議会に図っていくために、女性や勤労者が議員として活動する上で便宜に資するように休日、夜間等に議会を開催するなど運用上の工夫をすべき、あるいは勤労者が議員に立候補できるようにするというようなことが検討すべき課題であるというふうに答申ではあるわけです。今回、法改正に盛り込まれなかった最大の理由は何かと聞きますと、他省庁との協議がまだ詰まっていないからだというような答えが返ってくるわけでありますけれども、こんなことはほかの省庁との協議は必要ないんじゃないかと思うわけであります。これは今後検討するというふうに理解をしておいてよろしいんでしょうか。
■高部正男参考人(総務省自治行政局長)
ただいま御指摘いただいた点、幅広い層からの人材確保等ということで、検討課題をいろいろ御指摘いただいたものと認識しております。我々としては、これを重く受けとめまして、しっかり検討してまいりたいと考えているところでございます。
■西村(智)委員
それから、地方議会で議員発案による条例が制度上できることになっているにもかかわらず、議員発案の条例数というのは全国的にまだ極めて低調であるというふうに理解をしております。
昨日資料を持ってきていただきまして、一議会当たり平均してどのくらい議員提案の条例が制定されているかという表を見たんですけれども、大体、都道府県で、平成十六年度の数字ですが、一団体当たり四・八、町村で、平成十六年度、一団体当たり〇・七ということになっております。
これは累積していくとかなりの数にはなるわけでありますけれども、この間、例えば、それぞれの自治体で、財政の悪化という理由から歳費を自主的にカットするために議員発案で条例をつくりましたということがあったり、あるいは合併して定数を特例で決めるための条例改正があったりというようなことで、いわゆる政策的な条例というのが少ないんじゃないかというふうに思うわけであります。
実際に政策的な条例がこの中でどのくらいあるのかと見てみましたら、ちょっと正確な数字ではないかもしれませんのでざっとした印象で申し上げますと、全部の議員発案とされる条例の中で、約一割しか政策的な条例はないというふうに私は言っていいのではないかと思います。これは全国的な数字でございます。
地方議会の活性化は、やはり分権自治は行政側と議会側が車の両輪で進んでいくと言われておりますので、分権を進めていく上で極めて大事だと思いますけれども、大臣、まずこの議員発案の条例、これについてどのようにお考えになっておられるでしょうか。
あわせて、私は、この議員発案の条例、しかも政策的な中身がもう少しふえていってもらいたいと思うので伺っているんですけれども、やはり議会事務局の機能の強化というのは欠かせないテーマだと思います。今回、法案では「議会の庶務」を「議会に関する事務」に改めただけなんですけれども、これで果たして本当に議会事務局の機能は強化できますでしょうか。
■高部参考人
ただいま議員提案の条例について御指摘ございましたけれども、この辺はいろいろな要因が絡んでいる部分もあろうかと思います。
ただいま数字的なものを持ち合わせておりませんけれども、私ども自治体勤務の経験などから考えますと、広く言いますと、例えば、長の提案する議案について言いましても、全く独自に提案する条例がどれだけあるのか。例えば国で大きな枠組みが決まっているとかというような形のものが多くて、そういうようなものにつきましては国の制度と連動して長側で提案するといったような要因もありますので、広い意味では、地方自治のあり方といいますか、国の法制のあり方にも関連する事項ではないか。いわゆる規律密度をどうするのかといったような議論にもかかわる問題だろうと思っております。
御指摘ございました事務局機能の強化というのは、議会の活性化の観点でも必ず議論することでありますし、今回の地方制度調査会の中でもいろいろな議論がされたところでございます。そういう意味で、議員活動をサポートするあるいは議会活動をサポートする事務局の役割というのは非常に大きいものがあろうかと思います。そういう意味で、充実ということは非常に大事だと思います。
もう一方で、こういう時代でございますので、行革の観点というのはやはりなしにはいかないということになりますので、ある意味ではなかなか厳しい道かもしれませんけれども、そういうなかなか厳しい状況の中で、いろいろ工夫をしながら対応していっていただくということが必要になってくるのではないかというふうに思っております。
もとより、御指摘ございましたように、庶務を事務というふうに変えた、法律の字面を変えたことだけで物が変わっていくというふうには考えておりませんが、位置づけとして庶務となっておったということに関しては、議会関係者からかねてからいろいろな御要望といいますか御意見をいただいたところでありますので、こういう方向性を踏まえての我々の改正だと御理解いただけたらというふうに思っているところでございます。
■竹中大臣
今局長からも答弁させていただきましたが、委員言われるように、私も、当然のことながら、こうした形での議員提案による政策的な条例件数はやはりふえていってほしいと思いますし、現実にそうなるような国の仕組みの改革も必要だと思っています。
今懇談会で、東京大学の小早川先生なんかを中心に、できるだけ条例にいろいろなことをゆだねるような仕組み、そういうことが必要であろうという議論をいただいていますけれども、私も全くそれが将来の方向だと思っておりますし、国はそうなるような制度改革をする、それを受けて、地方議会でそのような変化が今後生じてくるということを非常に強く期待しております。
局長の話にもありましたように、これは行革の視点等々もありますので、さまざまな工夫が必要なんですが、実は、今回お願いしている改正案では、議会が学識経験者等に調査させることができるというような根拠の明確化も含めた、これは小さな工夫かもしれませんが、一つの工夫も織り込まれております。結果的に、委員が言われるように、そうした政策的な議員提案の条例がふえていくことを私も非常に強く期待しております。
■西村(智)委員
最後に、小規模自治体における議会制度のあり方について伺いたいと思います。
今回、現行の会期制度を廃して、フレキシブルに会議を開くことができるようにするなど、その規模に適した新たな制度を選択できるようにすることを検討すべきであると、地方制度調査会のその答申の中で提案をされておるわけでございます。
私は、いろいろな規模の自治体、いろいろな性質の自治体があると思いますので、必ず会期制度に基づく議会はどの自治体にも必要だというものではないというふうに考えております。例えば、自治体ごとの選択によって、議会のない町や村があってもいいのではないか。そういうところは、例えばタウンミーティング的な町村総会、そういったような形も選択できる、そういうことでいいんだろうと思うんです。
もう既に地方自治法の中で、議会にかえて町村に総会を設置できるとなっているのですけれども、今のところ、設置された事例というのはたった一つ、こういった状況で、もう少し自治体、議会の弾力化と申しますか、それを促すような法改正を今後検討されていく予定かどうか、伺いたいと思います。
■高部参考人
若干議論を御紹介させていただきますと、かつての制度は、市制町村制、府県制という格好で、法制度が分かれておりました。今の地方自治法は、数百万の自治体から、小さいところでいいますと数百人の小さいところまで同じ仕組みになっておりまして、その中で部分的に、例えば今御指摘ございましたように、町村総会の規定といったようなものがなされているところでございます。
そういう中で、実情に応じた弾力化というのが検討課題ではないかというような御意見がかねてからございますし、地制調の中では、そういうことを踏まえて、このような、今御指摘いただきました、議会制度のあり方についても今後検討すべきであると、今後の検討課題として取り上げたものだというふうに思っております。
一つ議会制度だけに限りませんけれども、全般として、地方自治法というのが、ちょうど憲法を受けまして、地方公共団体の組織運営の大綱といいますか、基本的事項を定める仕組みになっておりますが、その定め方あるいはその弾力化というのは今後とも検討していかなければならない課題、そういうふうに思っているところでございます。
■西村(智)委員
終わります。