■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
第163国会で質問させていただいて以降、2回目の質問になります。
後に引かない態度でこの拉致問題に臨んでいただきたい、一歩も引かない、そういう強い姿勢で問題解決に当たっていただきたい、そしてそのための対策を国民の前に、そして何よりも御家族の心情を思うときに、御家族の前に対策を明確に示していただきたい、そのことを私は前回申し上げました。
今回、日朝並行協議が初めて行われたわけでございます。この間、前回私が質問いたしました件で、北朝鮮の人権にかかわる高官を設置してはどうかというようなことについて取り上げていただいたこと、評価をいたします。今後、それが実際的に実効あるものとして活動していってくれるように、本当に心から望んでおります。
今回の並行協議に関する報告、先ほど麻生外務大臣から御報告をいただきました。率直に言って、残念だという思いでございます。2月の4日から8日、約1週間にわたって行われた協議でございますが、まずお伺いいたしたいのは、この協議でいわゆる懸案事項、拉致問題を含めた懸案事項の解決に向けて、何がどこまで達成できたというふうに政府はお考えでしょうか。お願いいたします。
■麻生太郎外務大臣
先ほど御報告を申し上げましたとおりに、日朝包括並行協議におきましては、3つに分けまして、拉致の問題と、いわゆる核、ミサイルを含みます安保、安全保障の問題と、国交正常化の問題、3つ同時にやるということで向こうはテーブルに着いたという背景だと存じます。
その間、約1年3カ月か、とまっておりますので、いわゆる国交正常化が向こうの目的ですけれども、私どもとそこの点は、国交正常化に至るまでのところに解決せねばならぬ問題があるという我々と、かなり立場に差がございますので、その意味におきましては、今回具体的な進展が得られなかったというのは甚だ遺憾と思っておりますが、少なくとも、この間、私どもとしては、問題を分けまして、かなり時間をかけて意見を、この問題、この問題という問題点をきちんと向こうに直接伝えられたということは、一定の成果として認めているところでもあります。
この問題解決というのは、先ほど松木先生にもお話し申し上げましたとおり、3つの問題を解決するという目的でやっておるわけですから、その目的を達成するためにはどうするかというものとして、手段として、対話を継続しながら、しかし対話だけでは誠意ある回答を得られないのであれば、その対応を引き出すために圧力はかかるということを向こうに、これ以上そちらから誠意ある回答がなければ我々はさらに厳しい態度にならざるを得ませんよということをきちんと伝えていったというところだけは確かであって、向こうもこれに対して回答を出すという態度でしていただかない限りは、こちらとしてはさらに圧力が高まっていく以外方法がないということだけはきちんと伝えてあるところが、私どもとしてはメッセージとして伝えられた、中国を通してじゃなく、間接的じゃなく、直接伝えられたというところが一番よかったところだと思っております。
■西村(智)委員
直接伝えることはできたというのは、それは1つの意味は存在すると私も思います。ですけれども、率直な答弁もあったと思いますけれども、報告でも目に見える具体的な進展が得られなかったということでございます。
そういたしますと、今後この包括協議の枠組み、これを継続していくのかどうか、判断が求められるところかと思いますけれども、今後もこの方式を継続されるでしょうか。
■麻生外務大臣
今申し上げましたように、具体的進展が得られなかったということに関しましては、おっしゃるとおり、甚だ我々も残念であったし、遺憾だったと思っておりますが、次回の協議について見通しが立っているわけではありません。ただ、私どもとしては、対話というものを継続していかない限りは全く通じ合いませんので、日朝包括並行協議を私の方から打ち切るというつもりはありません。なぜならば、対話が全くなくなりますので。
しかし、御存じのように、過去の清算問題等々を取り上げて、向こう側も国交正常化の問題を持ち出そうとしておりますので、並行して行うというやり方は正しいと思っております。そこが向こうが一番乗っていきたい点だと思いますので。
そういった意味では、私どもはこの3つの枠組みが立っておりますのはかなり有効な枠組みだと思っております。こういった基本的な枠組みは、今申し上げた3つは、今後とも使える、話の枠組みとしては成り立つ枠組みだと思っておりますので、私どもとしては粘り強くこの方向で持続をさせていきたいと思っております。
■西村(智)委員
さて、安倍官房長官にお伺いしたいと思います。
総理はこの間、先ほどもどなたかの委員の方から発言があったと思いますけれども、対話と圧力、慎重姿勢を保ち続けておるということが報道からうかがい知ることができるわけでございますが、一方、また報道から、安倍官房長官は、2月、日朝包括並行協議が終わって以降の記者会見ですとかいろいろなところでの御講演で、どちらかというと圧力を強めていく考えをお話しになっているという報道がございます。
これについて伺いたいと思っておるんですけれども、総理の姿勢と官房長官の姿勢、これは違いがあるのかないのか。安倍官房長官は、両者の間に違いはない、官房長官でもありますし、ないとおっしゃっておりますけれども、本当にそうなんでしょうか。その点について伺います。
■安倍晋三内閣官房長官
私も総理も、ただいま麻生大臣が答弁されましたように、北朝鮮に対しては対話と圧力の姿勢で臨んでいく、対話をしていかなければ物事は解決をしない、しかし、残念ながら北朝鮮は対話だけではなかなかしっかりと誠意ある対応をしない、ですから、対話の場において誠意ある対応をするように我々は圧力をかけていかざるを得ないというふうに考えています。
先般の包括並行協議の場において、残念ながら北朝鮮のこの拉致問題に対する姿勢は誠意ある姿勢であったとは言えないわけであります。次回の協議の場において彼らがしっかりと誠意ある対応を示すように我々は促していかなければいけない、そのためには圧力をかけなければいけない、こう考えています。
そして、そのために、特命チームにおきまして法執行班を編成いたしまして、圧力をかけていくということにしているわけでありますが、当然これは総理と考え方は同じでございまして、要するに、総理も私もこの拉致問題を対話と圧力の姿勢によって解決をしていくという方向については全く変わりはないということでございます。
■西村(智)委員
ちょっと順序をかえまして、先ほど特命チームという言葉が出てまいりましたので、そちらの方の質問をしたいと思います。
今回、日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議専門幹事会、これが拉致問題特命チームというふうに呼び名を変えられた。そしてまた、法執行班と情報収集会議を設置したということのようでございます。先ほど塩崎副大臣でしたでしょうか、御答弁で、パンフレットをつくられて、それを多言語に翻訳するというようなお話もあったようではありますけれども、一体この特命チームが拉致問題の解決に向けて何をしていくのだろうかということを示していただきたいと思っております。
会議の名称が変わるということは、中身も変わるということに必然的になってくるでありましょうし、また、それぞれ専門の班、会議、こういったものも出てきているということのようなんですけれども、これでどのように解決に向けて取り組んでいくのか、それを伺いたいと思います。
■安倍晋三内閣官房長官
法執行班につきましては、警察庁の外事情報部長、金融庁の総務企画局特定金融情報管理官、法務省大臣官房審議官、これは入国管理担当でありますが、財務省の大臣官房審議官関税局担当、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長、そして海上保安庁の次長によって構成されているわけでありますが、厳格な法執行を行っていくチームでございます。そしてまた、こうした厳格な法執行を行っていく上において、北朝鮮のいわゆる非合法な活動については、これは多角的な情報収集と集約が必要であるという観点からこの執行班を編成したわけであります。
このチームにおいて何をやっていくかということにつきましては、これはインテリジェンス、また捜査に係ることでございますのでお答えは控えさせていただきたいというふうに思うわけでありますが、現在取り組んでいる厳格な法執行におきまして極めて重要な役割を担っているということは申し上げておきたい、このように思います。
そして、情報収集会議でございますが、情報収集会議は、鈴木官房副長官と内閣情報官、警察庁長官、公安調査庁長官、外務事務次官から構成されているわけでございまして、拉致問題を解決するために、拉致問題にかかわる、これは北朝鮮全般にかかわることと言ってもいいと思いますが、情報についてここで分析を行い、また情報を共有していく、そしてそれをしっかりと外交においても、また捜査の分野においても、法の執行においても生かしていくということでございます。
こうしたチームを作成することによって、圧力をかけていく上においても、また問題を解決していく上においても極めて有意義である、私はこのように思っております。
■西村(智)委員
インテリジェンスを扱う部分なので公開できないものも多々あるというふうには思います。しかし、できる限りそれらの情報を、ぜひ御家族の皆さんには、これはどういう対策をとっていくかということと密接にかかわってくるものであるというふうに思っておりますので、そこはしっかりと説明なりしていただきますようにお願いいたします。
それでは、これは前回私が質問した部分でもあるんですけれども、いわゆる特定失踪者と呼ばれる方々について伺いたいと思っております。
これは2月10日の報道でしたけれども、こういうふうに書いてあるわけです。昨年11月の政府間協議で34人分のリストを北朝鮮側に手渡して情報提供を要請していた、特定失踪者について、日本からの関連情報の提供、これを条件に調査するということを北朝鮮側が答えていたということなんですけれども、これは事実でしょうか。ここから伺います。
■梅田邦夫参考人(外務省大臣官房参事官)
お答えいたします。
今まさしく委員が言われたとおりでございます。
■西村(智)委員
そうしますと、私が質問したときの答弁がきちんと生かされた形であるというふうに理解をいたしますけれども、今後の取り組み、それから見通しについて伺いたいと思います。
関連情報の提供を条件にということで、その提供が今どういう状況であるのか、その点について伺いたいと思います。
■梅田参考人
お答えいたします。
今まさしく、特定失踪者調査会と協議をしながら、どういう資料を北朝鮮側に提供するのかという調整の最終段階に来ておりますので、近々北朝鮮側に提示できることになるのではないかと考えております。
■西村(智)委員
近々というのはどのくらいのスパンでしょうか。一日でしょうか、一週間でしょうか、一カ月でしょうか。
■梅田参考人
お答えいたします。
ちょっと今の時点で、申しわけございませんが、一日か二日であるかということはお答えできる状況にありません。先方といろいろ調整事項がまだ残っております。
以上でございます。
■西村(智)委員
ぜひしっかりと形にあらわれるようにお取り組みをお願いしたいと思います。
それで、ちょっと話はかわるんですけれども、今月、先月、いわゆる強制捜査あるいは逮捕状の請求等々行われてきたようでございますけれども、1つお伺いいたしたいのは、公訴時効に関して1点、警察庁の方に伺いたいと思っております。
先週、原敕晁さんの拉致容疑事件に関連して国内を捜索されました。国内に居住しているとされる共犯者にかかる公訴時効については、これはどういうふうにお考えになっておられますか。将来問題となるおそれがあると思いまして伺います。新潟での少女監禁事件との関連もあるやに伺っておりますが、このあたりについてはどのようにお考えでしょうか。
■小林武仁参考人(警察庁警備局長)
お答えいたします。
各事件で公訴時効はケース・バイ・ケースでございますので、本件についての、3月23日、警視庁公安部が捜索を行った件についてのお答えをしたい、こう考えております。
警視庁公安部が捜索した罪名でありますが、国外移送目的拐取、国外移送及び監禁の容疑で捜索・差し押さえ状の発付を受け、国内関係先6カ所の捜索を行ったということ、この件に関しましては、現在、その拉致被害者が北朝鮮に置かれていた状況がかなり鮮明になってきたということがあります。それで、本件の罪数について検討した結果、その行為全体が、国外移送目的拐取罪及び国外移送罪とあわせまして、監禁罪というものが評価される行為が行われている疑いが濃厚となった、こういうことがあります。
そこで、これらの行為がどういう関係にあるかということでございますが、いわゆる1つの実行行為の主要部分が重なり合っていることが認められるということでございます。いわゆる観念的競合という概念でございます。
そういったことで、本件被害者である原敕晁さんが、北朝鮮に連れ去られた後、北朝鮮内のいずれかの場所において監禁状態に置かれている限り、現在も当該犯罪行為は継続しているものと考えられ、本件に関する公訴時効は進行していないものと判断したものでございます。
■西村(智)委員
ありがとうございます。
私は新潟県の選挙区から選出されている議員でございます。一刻も早く御家族のもとへ拉致された方々を帰国させたいと本当に心から願って、この委員会にも所属をさせていただきました。ぜひ、本当に引かない取り組みをお願いしたいと思います。
最後に1点伺いたいと思いますが、麻生外務大臣、先ほど、日本と北朝鮮との貿易量は減っているというお話がございました。他方で、中国、韓国と北朝鮮との貿易量はふえているというようなお話がございました。やはりこの問題解決のためには、周辺国、とりわけ中国や韓国との理解、協力関係が不可欠ではないかというふうに考えます。
国連でもようやく動いてまいりました。しかし、どちらの国とも我が国の首脳同士の対話は今途切れた状態にございます。日韓協議にとってもこれは大きな足かせになっているのではないかというふうに思いますが、両国との関係改善、これがどうしても必要だ、そのように私は考えますけれども、大臣はどのようにお考えか、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
■麻生外務大臣
先ほど松木先生の、今おられませんか。今数字を確認しますけれども、半減と申し上げましたけれども、5年前、2000年、4億6,400万ドルが、今、1億9,500万ドル。ですから約2分の1、もうちょっと減っておりますね、半減以上しております。中国、4億8,800万ドルが15億8,000万ドルまでふえておりますので、こっちは3倍。南北で4億2,500万ドルが10億5,000万ドル、約倍ということになっておりますので、南北で約2倍半ぐらい、中朝ですと約3倍、日本が約2分の1ぐらいになっておるという実態、これが正確な数字です。先ほど半分ぐらいと申し上げましたけれども、これが正確な数字だと存じます。
次の質問で、この問題を解決するのに、日中、日韓の関係の、いわゆるトップ同士の話がこの問題解決を妨げておるのではないかということだと思いますが、直接そんな関係ないと思います。基本的には、両方とも利益はかなり共有しているところがございますので、韓国にいたしましても、中国にいたしましても、問題解決のためということに関しましては、いわゆるミサイルの問題、核の問題含めて、私どもと、抱えております問題点で多くの問題点を共有いたしておりますので、私どもといたしましては、大局的な見地から三極でかなりの話、多くの問題をやっております。
また、韓国の場合は、日本と同じように、日本より何十倍ぐらい多い拉致者を抱えておると思います。僕は、この正確な数字を、双方の発表、それぞれかなりそごがありまして、どれが正確な数字かは私どものわかるところではありませんけれども、韓国から北朝鮮への拉致というのは日本の数よりはるかに多いと思いますので、あちらの問題も、極めて日本より深刻な問題を抱えておられると思いますので、この問題に関する限り、3者間のそごは、大きな違いはなく、共有して頑張っておるところだと理解をいたしております。
■西村(智)委員
ちょっと時間が参りましたので、大変残念ですけれども、そこのところは、私はそうとは思っておりません。それは認識が違うと思います。妨げになっているかどうか、そこのところはしっかりと分析をしなければいけないと思いますし、私は、関係が良好であればもっと拉致問題の解決に向けてタッグが組んでいける、そういうふうに必ずなっていくと思っております。ぜひ大臣、そこのところは、また時間を後でとっていただいて議論させていただきたいと思います。
終わります。