■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は新潟県選出、新潟1区選出の衆議院議員でございます。おととしからの、新潟県中越地震、それに引き続いて豪雪、その前は水害と、まさにトリプルパンチでございました。
豪雪の視察に伺ったときに、7戸しかない集落で、あるお宅へ声をかけさせていただいたんですけれども、90歳を超える女性がひとり暮らしでいらっしゃいました。なかなか屋根の雪がおろせないものですから、やはり夜中にミシミシと音がするんだそうです。年もとったから、このまま屋根の雪が重みになって家がつぶれても、まあ、しようがないと思って寝ていたと言うんですよ。
私はこのお話を聞いたときに、日本というのは先進国のはずなのに、本当に先進国たり得る政治が行われているのかということを痛切に感じました。本当に恥ずかしくて申しわけない思いでいっぱいでございました。
きょうは、大臣のお考えを伺って、ぜひ、新潟の被災地の皆さんを励ますような、勇気づけられるような答弁をお聞きできることを期待して、幾つか質問をさせていただきます。
まず、被災者生活再建支援法についてでございます。
もう私たち民主党の方から改正案、前回も提出をさせていただいておりますけれども、やはり使いにくいという基本的な問題がございます。額は、引き上げになりまして多少多くはなりました。ただ、年収要件あるいは家族構成、こういったことが大変厳しい。そして、使い道、使途も決められているということで、自治体の方が見るに見かねて独自の施策をつくり出して、それで何とか被災者の皆さんへのお手伝いになっているということでございます。
大臣、被災者生活再建支援法は議員立法でございました。ですので、私はやはり議員みずからの力でこれを改正するのが適切だというふうに考えておりますけれども、なかなか与党の皆さんからの賛同がいただけません。
2008年4月に改正の時期を迎えることになっておりますけれども、私は、この法律に関するいろいろな地域からの声を聞くにつけ、やはり早期に前倒しをして改正する必要があるのではないかと思います。そのときには、全壊とか半壊、こういう被害の程度ではなくて、例えば修理をする、建てかえをする、そういう行為そのものに対して支援を行う、こういう仕組みの方がより適切ではないかというふうに考えますが、与党議員の一員たる大臣にお考えを伺います。
■沓掛哲男防災担当大臣
私は、この被災者生活支援法というのができたということは本当に画期的なことだったというふうに思います。
私は、建設省におりましたから、長年災害にかかわってきました。自民党に参りましてからも、平成4年から10年まで災害対策委員長代行ということで、何か事故があれば一番先に現地へ行ってこの問題へ対応してきました。
この中で非常につらかったことは、公共的なものについてはある程度のいろいろな支援はできるんですけれども、個人個人の方々については何一つできないのでございまして、これをどうするかということで、いろいろ自治省にお願いして、特交でお願いしていろいろしたり、いろいろなことをやってきたんです。
それが、私がちょうど平成10年に落選しておりましたら、平成11年からちょうどこの制度がスタートしたので、わあ、これはよかったなというふうに思いました。当時100万円だったんですね、最初100万円。私も復帰してから、2年で復帰いたしましたので、すぐまた災害でいろいろやっていたとき、当時の扇千景大臣が非常に胸を張って、こういう制度ができましたと言っておられたんですが、それが100万円でございました。
それが一昨年、300万円になったので、わあ、よかったな。そして、その幅もいろいろな面で広がってきたりしたので、ああ、それは非常によいことができたというふうに、私自身はこの制度ができたということは大変感動いたしました。
もちろん、平成10年まで私は何もしなかったわけではなくて、何とかしようと思って一生懸命したんですが、これは我が国の伝統的意識なんですね。それは、やはり自分の財産、いつでも自由に売れる、自分の資産になる、そういう資産のものには税金を入れないというのが、これが日本国ができて以来の伝統的考え方なんです。自分でつくったらそれがいつでも売れる、そういうことになったところに税金を入れるというのは難しいと言われて、私ども非常に苦しんできたんですけれども、こういう形でできたというのはまず第一歩だったというふうに思っています。
この運用についても、16年にできてから去年に至る間、最初は全壊というのを半壊でもよく、その半壊の定義についても運用上いろいろなことをお願いしながら、かなりやってこれたと思います。
そして、この改正について今先生いろいろおっしゃられますが、平成16年にできるとき附帯決議で4年後に見直す、2008年に見直すということになっておりますので、その時期にひとつ皆さんの英知もいただきながら、私も長年、一生をこれにかけてきた人間ですから、また大いに頑張ってみたいというふうに思っています。
■西村(智)委員
ただいまの大臣の答弁の途中に、私の左側の席の方から、耐震強度の偽装はどうなんだというような声が飛びました。この点について次にお伺いをしたいと思います。
先ほど大臣は、日本の伝統的な考え方として、私有財産たる家には公的資金は投入しないという考え方があるとおっしゃいました。しかし、どうでしょう。この考え方は今変わりつつあるというふうに言わなければいけないのではないでしょうか。
つまり、ここのところ問題になっております耐震強度偽装問題は、いまだにその責任の所在は明確にはなっておりません。裁判の判例などは自治体の責任というようなことも言ってはおりますけれども、まだこれは報道的にも、そして私たちの感覚からいたしましても、責任の所在というのは明確になっていない。
むしろ、見るところ、民間業者の瑕疵担保責任が問われるべきではないかというふうに考えております。こういうときに、政府が今回、耐震強度偽装の行われた分譲マンションを所有する居住者の皆さんへの公的支援を行うというようなことを決定したわけでございます。
私は、政府からの公的支援というようなことを考えるときに、やはり今まで責任の所在が明確になっていなかったことから国は逃げてきたではないかということを指摘したいと思います。例えば数あまたある公害、新潟も関係してまいりました水俣病もそうでありますけれども、これは責任の所在が明確でないからということで政府はこの問題から、いわば逃げてまいりました。
そういったことからいたしますと、自然災害にせよ、いろいろな犯罪にせよ、政府が一定の被災者支援をするという方向に傾いてきつつあるのかなというふうに考えておりまして、それはそれでまた別の議論になってまいりますので、ここでは深くは問わないつもりでございます。
一点伺いたいのは、この分譲マンションを所有する居住者への公的資金、公的支援を行うこととした法的な基準というのは一体何だろうかということでございます。これは国交省の方からお答えいただきたいと思います。
■後藤茂之国土交通大臣政務官
今回、耐震強度偽装の関係で公的資金をというお話は御指摘のとおりであります。
この考え方について御説明をいたしますと、分譲住宅の居住者の安全それから居住の安定の確保ということは、これは非常に重要な問題である。そして、転居の問題、あるいは周りで心配をしておられる、この危険なマンションが倒れるのではないかと、そういう皆さんの安心、安全を確保するということも非常に重要で、緊急性、公益性が高い。しかしながら、一方で、今御指摘のあったように瑕疵担保責任がいかに果たされていくか、そうしたことについて十分な見通しというものが立たない。
そういう中におきまして、従来の財政措置とのバランスを図りながら、いわゆる既存の地域住宅特別措置法に基づく地域住宅交付金を活用する、そして類似の財政措置との均衡にも十分配慮した上で相談、移転、除却、建てかえまでの総合的な、公的な支援措置のスキームを御用意したということでございます。
なお、今委員の御指摘されております行政の法的責任とかという問題もあろうかと思いますが、その法的責任については、現時点では法的責任があるというふうに考えているわけではありませんけれども、その問題については具体的に司法の場等において今後十分な判断がなされていくだろうというふうに考えております。
■西村(智)委員
ちょっと聞き逃してしまったんですけれども、従来の公的支援に倣ってとおっしゃいましたか、あるいは類似の措置と横並びでというふうにおっしゃいましたか。つまり、既にあるものと横並びにするような根拠でもって今回の公的助成を行ったというふうにちょっと私には聞こえました。従来のあるいは類似の法的措置、公的措置とは一体何ですか。
■後藤政務官
従来、地震等の被災者等に対する公的支援措置はいろいろございますけれども、例えば移転費あるいは家賃ということでありますれば、応急仮設住宅の建設だとか、あるいは今お尋ねの被災者生活再建支援制度の問題だとか、あるいはがけ地近接の住宅移転事業だとか、そういう事業が用意されておりまして、そういういわゆる財政的な措置との均衡に配慮しつつ、こうした制度を組み立てたということでございます。
■西村(智)委員
地震の際の移転などの費用と均衡を図ってということでございましたが、そうおっしゃいますと、私は申し上げたいことがございます。
今回の分譲マンションの耐震強度偽装問題で支援のスキームは、地方公共団体がマンションを買い取り、解体、建てかえを行う、国は引っ越し代、仮住まいの公営住宅の家賃、マンションの解体の費用は国と地方で全額負担するということでございます。
事はやはり住宅の問題でございます。私は昨年、一昨年から被災者生活再建支援法の改正が必要だというふうに主張してまいりましたので、この被災者生活再建支援法がどうなっているかということで申し上げなければなりません。
被災者生活再建支援法は、全壊で支給限度額は300万円でございます。半壊以下は支給の対象外となっております。いずれも年収及び年齢の要件が課せられております。本当にこれで横並びと言えるんでしょうか。かつ、今回の分譲マンションに関して投入された公的資金は合計して約80億円であるというふうに伺っております。これは間違いございませんね。
それで、被災者生活再建支援に係る支援金の支給ですけれども、平成11年の6月29日、広島県に適用されました6月末豪雨災害から、これは先月の1月31日の数字まででございますけれども、台風第14号の豪雨災害に伴う、その間、7年間で合計9,149世帯に支給された支援金の合計額は76億円でございます。
本当にこれで均衡がとれていると言えるんでしょうか。もう一度お答えください。
■後藤政務官
今回の措置と申しますのは、地域住宅交付金特別措置法に基づく地域住宅交付金の提案事業としてやらせていただくということになっておりますので、そういう規定の要件を満たして地域住宅計画をつくっていただきましたものに対して対応していくということでございます。
■西村(智)委員
地域住宅交付金は、今制度の概要を御説明いただきましたが、それでは答弁にならない、私は納得がいきません。分譲マンションの居住者の皆さんに公的支援を行うなと言っているのではない、これはおわかりいただけますよね。納得できる説明をしていただきたいということなんです。
■後藤政務官
地域住宅交付金の制度におきましては、ちょっと私の説明が舌足らずだったと思いますけれども、安全上問題のある危険なマンションに対する緊急除却、建てかえ等ということを考えておりますけれども、これにつきましては、対象となる分譲マンションの要件といたしまして、違反建築物が建築されたこと自体について区分所有者に責めがないとか、あるいは非常に重大な偽装が建築確認において行われているとか、あるいは保有水平耐力基準において0.5以下であるとか、そして建築基準法九条に基づく除却命令を受けている、そうしたものに対しまして地域住宅交付金の緊急除却、建てかえ等の事業が適用になるということでございます。ですから、そういう意味では、今御指摘のように補正予算で50億円の計上をいたしておりますけれども、そういう対象に対して行われているということでございます。
■西村(智)委員
地域住宅交付金ですけれども、これは地方公共団体が主体となり、公営住宅の建設や面的な居住環境整備など地域における住宅政策を、自主性と創意工夫を生かしながら総合的かつ計画的に推進するための支援制度と書いてあります。地方公共団体が主体となる場合の支援制度と書いてありますけれども、どうも報道などで見ておりますと、地方公共団体が主体的に今回の支援を決めたというふうには読み取れないんじゃないですか。
御答弁は要りませんけれども、私は、今回の件で、改めて中央と地方との間の格差というものについて考えさせられました。やはり、今回の件が都市部で起こったということは大きな要素だと思います。仮に新潟県中越地震が東京都内で起こっていたら、あるいは首都圏で起こっていたらどうだったんでしょうか。私はこのことを本当に大きな声で訴えたいと思っています。ぜひ、格差のない安全対策そして支援制度、これをやっていただきたい。
まだ実際、仮設住宅には2,600を超える世帯の皆さんがお暮らしになっています。約2,200世帯は再建方法を決めました。新しい家をつくるとか、新たにローンを組むとか、高齢者の方は子供さんのところに身を寄せるとか、そういうふうにいろいろ決めました。しかし、まだ数百世帯は再建方法が決まっておりません。そういう方々にどう言ったらいいのか、どう説明したらいいのか、これはきっちりと心していただきたい。
ですので、私は、今回の政府の姿勢、この件から見える政府の姿勢というのは、やはり地域に冷たい、地方に冷たい、そういうことがはっきりと出てきたというふうに申し上げておきます。またこの件については別のところで議論させていただきたいと思いますが、引き続いて、実際に今、豪雪災害の問題もございますので、豪雪災害のことについても伺いたいと思います。
最近、ようやく地方での暮らし、中山間地でのライフスタイル、一般的に言いますと認められるようになってきましたけれども、今回の豪雪被害は、豪雪単独ではなくて、過疎と高齢化が相まってさらに問題が深刻化したものだというふうに私は思っております。
国土交通省の方の認識を伺いたいんですけれども、過疎化と高齢化が進展しているこの状況の中で、新しい国土形成のあり方については、本当につぼにはまった、本当に適切な政策が必要だというふうに考えますけれども、その点はいかがでしょうか。また、中山間地での住宅政策、これについて答弁をいただくつもりでしたが、このことについては先ほどの部分と重なるものがあると思いますのでそれには結構ですが、国土形成上の考え方について伺います。
■後藤政務官
御指摘のように、今、中山間は大変大きな問題を抱えていると思っております。私の地元も大変な山の国でありまして、中山間の状況については日ごろ心を痛めているところであります。
国土の約7割を占めます中山間地、地球環境問題への対応とか、あるいは農林業の基礎的な生産機能の維持の問題、農林あるいは森林の多面的機能の保全等、非常に重要な役割を担っているというふうに思っております。
人口減少、あるいは高齢化等によりまして、基礎的な社会的サービスの提供が非常に困難になってきているという現状の中で、今後、2地域居住の推進だとか、あるいは情報化、農林業の活性化等、さまざまな観点から中山間地の活性化、元気の出る中山間地に向けて対応していかなければならない、そういうふうに考えております。
■西村(智)委員
最後に1点、昨年暮れからの豪雪災害で、とうとう人的被害が100名を超えてしまいました。実は、我が新潟県でも、毎年雪の事故で何人かの方がお亡くなりになっていらっしゃいます。これもやはり先進国としては異常なことだと思います。雪で人が亡くなるというのは本当に異常なことだと思います。
来年度以降、雪によります死亡ゼロ、これを何としても目指していきたいというふうに思いますが、この死亡をゼロとするために政府としてはどういう対策をとっていかれるのか、防災大臣にお伺いして終わりたいと思います。
■沓掛大臣
今回の死亡事故、今、本日で138名でしょうか、戦後3番目のたくさんの方が亡くなっておられます。その亡くなっておられる方々の多くは高齢者の方々でございますし、また、その高齢者の方々が亡くなられる原因としては、雪おろし、あるいは屋根から落ちてきた雪の下になるなど、そういう原因がほとんどでございますので、そういう方面の対策をこれから強力にしていかなければならないと思っております。
このことにつきましては、ことしの1月7日、私も新潟へ寄せていただいて、そのとき知事からも強く言われたのは、やはり災害救助法の適用、それから自衛隊の出動、それからやはりライフラインをきちっと守っていく、その1つとして道路関係の除排雪、そういう点をいろいろ言われました。
早速、いろいろ皆さん方の御意向も聞きながら、災害救助法の適用ということで新潟、長野県をやっていただき、それから北海道を含めた6道県で自衛隊の災害派遣をやっていただき、そのほか道路等の補助、助成等についてもいろいろやっていただきました。
そういうことを通じて、高齢者の方々が直接自分で行動しなくても除排雪ができる、そういうことができてきたというふうに思いますが、これからはやはり、今の場合はソフト面の対応ですが、もう少しハード面でそういうことができないのかどうかというのが研究テーマで、国土交通省でそういう会を今つくって、いろいろな人に集まっていただいていろいろ検討していただいておりますが、やはりハード面でもそういう点をいろいろ考えていただきたいなというふうに思います。
私自身は石川県で雪の中で育ったわけですけれども、やはりちゃんとそういうようにできていました、いろいろハード面が。ところが、今そういうことがなくなったものですから、そういう施設がどんどんなくなりました。例えば、屋根がこうあると、屋根の端っこに5センチぐらいの木材がずっと針金できちっと結びつけてあるんです。そうすると、雪がおりるときも全部一緒におりません。必ず、こうしてスコップで横へ掃いても、おろしても、20センチぐらいは残るんです。そういうふうに、滑り落ちないような配慮も昔は各家庭で全部ありました。
今はもう、最近、十数年もそういうことがないものですから、そういう施設のあるところはたまにありまして、この間、新潟へ行っても、たまに、ところどころでありましたけれども、やはりそういういろいろなハード面、ソフト面、そういう面をいろいろ生かしながら、そして対策を立てていくことがぜひ必要だというふうに思っています。
■西村(智)委員
終わります。