■西村智奈美委員
民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。竹中大臣、総務委員会でお目にかかるのは初めてでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは1時間の時間をいただいて質疑をさせていただきますけれども、もう国会が始まりまして1カ月以上たちました。この国会の冒頭の論戦を振り返ってみますと、格差社会、これが1つのキーワードで進んできたのではないかと今振り返っております。つまり、ジニ係数などという耳なれない言葉が登場いたしまして、これが大きくなっているのかどうか。総務省のデータ、厚生労働省のデータ、いろいろありますけれども、総務省のデータは1999年までのものしか出ていないんですね。非常にデータの出方が遅いというふうに思いますが、それはさておいても、この格差の拡大の有無、そしてその是非、これが問われたのではないかなと思っています。
私は、もちろん、この格差社会、これは今の日本の中での大変大きなテーマであるとは思っておりますけれども、むしろそれよりも、既にあるシステムそのものがいろいろなものをはじき飛ばしていることに問題があるのではないか。つまり、社会保障制度などを見てもそうですけれども、今や国民年金は若い人たちから保険料を払っていただけないような状況にございますし、また、今回の医療制度の抜本改革においても、高齢者の医療費負担がどうなるのかということで大変懸念をされております。既に手直しだけでは本当にもう間に合わなくなって、ありようそのものを変えていかないと間に合わない時代に入ったのではないかというふうに考えています。
これを地方自治の方に目を向けてみますと、やはり同様のことが言えるのではないかなと思います。今、市町村合併が随分進んでまいりまして、規模の大きい自治体もふえてまいりました。こういうところではコストカットも可能ですけれども、しかし、何らかの事情で小さいままで存続するということを選択した、そういうところもあるわけでございまして、そういう多様な自治体がこの日本の中には存在する、それを包括するように地方行財政の仕組みを考えていかなければいけない、こういう段階に入ったのではないかなと思っております。
いただいた1時間の中では、そういったことにも触れながら大臣のお考えを伺っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
私たち民主党はこの国会は安全国会と名前をつけまして論議を進めておりますが、まさに安全、安心の町づくりという点から、耐震強度の偽装問題に関連して1点伺いたいと思っております。
今回、分譲マンションの耐震強度偽装問題が発生いたしましたときに、その責任はどこにあるのかということが問われたわけでございます。まだこれは決着はついていないというふうに思っておりますけれども、そもそも自治体にも建築行政があるわけでございますので、そこの責任は追及されてしかるべきであろうと。
しかし、建築確認ということになりますと、もともと国と自治体の責務だったんですけれども、建築主事が足りないとか、あるいは阪神・淡路大震災後などの要請などもありまして、民間開放されたところでございます。建築行政に関して、都道府県でも段階補正が適用されている、市町村でも普通態容補正が適用されているということなんですけれども、最近、都市部を中心にマンションの建設ラッシュが進んでおります。基本的には業者の申請手数料によって賄われているということなんですけれども、これは自治体の一般財源の持ち出しなどもあるやに伺っております。
こういったとりわけマンションの建設ラッシュが進んでいる都市部では、自治体の建築確認行政、これが立ちおくれているという指摘もございますけれども、この建築確認申請手数料の水準が低いために自治体の負担が生じて、建築主事の不足につながっているという指摘もございますが、国が建築基準法で自治体に建築確認等の事務を義務づけているわけでありますので、不足する財源などについては、交付税の基準財政需要額に必要な一般財源を計上して、確実な財源保障の措置を講ずる必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
■竹中平蔵総務大臣
まず、西村委員が冒頭御指摘されました、システムそのものが部分的な修正では済まないような段階に至っているのではないだろうか、さまざまな問題について根幹からの議論が必要ではないかという点に関しましては、私もまさしくそのように思っております。そういう問題意識を持ちながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
お尋ねの、耐震偽装問題を契機とした建築確認制度の見直しでございます。それに関して手数料についてのお尋ねが今あったわけでございますけれども、建築確認制度そのものについては、委員も御承知のように、今、国土交通大臣の諮問機関でございますところの社会資本整備審議会において多角的に議論をされているというふうに承知をしております。
その中で、手数料の水準と建築確認業務、例えば建築主事の数との関係とか、そういったようなことを含めてどのような議論が行われているかということについて詳細はちょっと承知をしておりませんけれども、今後、国土交通省におけるさまざまな検討がなされていくと思いますので、そうした検討を踏まえまして、財源問題等々についても、必要な御相談に総務省としてはやはり乗ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
確認の経費を手数料で賄うべきなのか、違う考え方もあるのか、これにはいろいろな考え方があるというふうに承知をしております。いずれにしましても、国土交通省での検討を踏まえまして、財源問題等についても今後相談に乗ってまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
これは、国の役割は何か、そして地方の役割は何か、まさに地方分権を議論するときにかかってくる根本的なテーマでもあると思っておりまして、また後ほど関連で1点、大臣のお考えを伺いたいと思っております。
次に、同じく住宅の関係でございますけれども、私は新潟1区選出の議員でございます。おととしになります新潟県中越地震では大変な被害をこうむりまして、今なお8,000人近い方々が仮設住宅でお住まいでいらっしゃいます。
今回、地方税法の改正において、住宅耐震改修に伴う税制上の特例措置、これが講じられたということでございます。特に新潟県中越地震に関しては、被災して家屋が滅失、損壊したときに、住民の皆さんがこれにかわる家屋をつくられると、最初の4年間は固定資産税と都市計画税が半額になるというふうに伺っております。住宅でありましたら、今回延長される新築住宅の特例措置と相まって、4分の1の負担になるということでございます。
今、地域では本当に復興に向けて取り組みが進められているところでございますけれども、被災地からの人口流出を食いとめることになるのではないか、そしてまた復興の後押しになるのではないかということで大変期待しておるところでございます。
一方で、目を転じてみますと、この間ずっと、耐震改修の必要性、これが言われてまいりました。私は、また午後の、これからの災害特でも質問いたしますけれども、被災者生活再建支援法、これをぜひ条件緩和をして、使いやすいものにしていただきたいというふうに考えているところでございますけれども、その議論の中でも、いや、耐震改修が進まないからこの法律は改正しちゃいけないんだというような、理屈に合わない理屈が時々聞かれるわけでございますが、いずれにいたしましても、耐震改修というのは必要であるということは間違いがない。
現在、古い、旧耐震基準のもとでつくられて、現在の基準を満たす耐震強度が確保されていない住宅は、これは国土交通省の推計ですと1,150万戸存在するというふうに伺っております。地震に対して脆弱な住宅、これをなるべく早く減らしていくことが必要だと思いまして、今回の税制改正はその要請を受けて行われたものであると思っております。
ですけれども、ちょっとお伺いしたいのは、国税では所得税で耐震改修費用の税額控除制度が設けられております。これに対応する地方税といいますと住民税でありますけれども、今回はこれは住民税ではなくて固定資産税の減額措置となっております。住民税ではなくて固定資産税で措置することにした理由、これをお聞かせいただきたいと思います。
■小室裕一政府参考人(総務省自治税務局長)
お答え申し上げます。
住宅の安心、安全についてのお尋ねで、委員の方から、中越地震の特例について引用されながら、旧、古い方の住宅の耐震改修について、なぜ固定資産税で行うのかという御質問でございます。
この既存住宅の耐震改修の促進税制については、一昨年来、お話がありましたように、所得税、個人住民税における税額控除の創設、こういったことが議論されてまいりました。
その中で、個人住民税について申し上げますと、地域社会の会費として住民がその能力に応じ広く負担する、こういった性格を有するものでございますので、政策的な税額控除については、これまでもその性格になじまないと位置づけられてきたわけでございます。また、個人住民税の場合、税額控除制度を導入しても、税金、個人住民税を納めていない所得の低い方々にはその効果が及ばないといった点がございます。
それに対しまして、固定資産税の方では、これまで既存住宅に係る特例措置はなかったわけでございます。ただ、住宅の耐震化というのは、住民の生命身体に対する危険を防止するという意味で、地方公共団体にとっても大変重要な課題でございますので、今回、国民の安心、安全、こういった点から、既存住宅を課税対象に含めている固定資産税、この固定資産税の減額措置というものを創設したものでございます。
お話にもありましたように、この耐震改修を必要とする昭和56年以前の住宅の居住者は、一般的に高齢世帯が多いことを念頭に置きますと、所有者の所得状況、これにかかわらず支援策が適当ではないかなと。そういう中で、所得の多寡にかかわらず資産に対して課税する固定資産税、これはこの要請にも合致するものと思います。
また、持ち家、貸し家の別を問わず、地域全体の耐震度を高める支援策が望ましいわけで、こうした点からも、固定資産税はこれにこたえられるものとして、今回、固定資産税の方でこういった制度を創設させて、御提案申し上げているところでございます。
■西村(智)委員
ぜひ、この制度を活用した住宅の耐震改修が進むこと、そして地震で倒壊する家屋を1つでも少なくすることができるように、引き続き周知などに努めていただきたいと要望いたします。
それでは、引き続きまして、大臣、先ほどの国と地方の役割分担に関連して、生活保護費について伺いたいと思っております。
この生活保護費、随分議論がございました。地域の皆さんもかなり勢いを持っていろいろな議論に加わってこられたんだと思いますが、結果として、今回、生活保護費負担金の削減、これは行われませんでした。ところが、ちょっと気になりますのが、この生活保護費の国庫負担率削減の動きが非常に活発になってきておりました中で、自治体がこの生活保護費の手続に関する事務を返上する、生活保護事務の返上をするというような動きが各地で起こったというふうに承知をしております。
そもそも、生活保護は法定受託事務だと承知をしております。法定受託事務である生活保護費について、国と地方の役割分担はいかにあるべきだと大臣はお考えなのか、その負担のあり方も含めて大臣のお考えをお聞かせください。
■竹中大臣
ただいまの御質問は、まさに地方自治の本質、国と地方の役割分担の極めて本質的な議論だろうと思います。これは、本質的な議論に関しては、幾つかの、専門家の間でもいろいろ議論があるところだというふうに承知をしております。
生活保護というのは、私は、ある種最も国がやるべき所得再配分政策、非常に純粋な形のそういう所得再配分政策に近いものだと思っておりますので、その意味では国の役割が最も大きい、相対的にですけれども、ものの1つであろうというふうに思っておりまして、三位一体の改革の中でも、であるからこそ、この生活保護というのを地方に、押しつけると言うとちょっと言葉が悪いかもしれませんが、そういうことは絶対に反対するという総務大臣としての立場を閣内では貫かせていただきました。
生活保護というのは、国が本来果たすべき役割に係る法定受託事務である、委員の御指摘のとおりであります。そうした観点からすると、非常に純粋理論的には、国がまさに全額負担するという考え方が非常にわかりやすい考えとしてはあり得る考え方だと思います。制度創設時の考え方として、国を費用の主たる負担者としつつも、地方もその生活保護費の一部を負担するというふうにしたわけでございますけれども、その理由として挙げられていましたのは、地方もその区域内の住民の保護の実施について責任を負っているのではないかという点、それと、実施機関である地方団体に一定の抑制効果が見込まれるのではないか、そういった議論があったものというふうに理解をしております。そこで、制度設計上、一定の地方負担もあり得るという観点で今日の制度ができ上がっているんだと思います。
現行の国庫負担率4分の3については、生活保護が国として責任を持つべき事業であるということから、他の制度の補助率と異なって、最高の水準の補助率を維持すべきという観点から、平成元年度に恒久化されたものというふうに認識をしています。
言うまでもありませんけれども、この生活保護制度は、憲法25条の理念に基づいて、国の責任で行う。生活に困窮するすべての国民に対して、健康で文化的な最低限度の生活を営むことを権利として保障するものであります。そこにおける地方団体の基本的な役割というのは、被保護者の客観的状況を把握するということであって、国が定めた認定基準への当てはめ、つまり事実認定を行うという立場にあるんだと思います。
このような観点を踏まえますと、今後とも、生活保護において、国と地方の役割分担、費用負担等は、今までの経緯を踏まえて、現行のような形を堅持するのが適切ではないか、現時点では私自身もそのように考えております。
■西村(智)委員
これはたった今のニュースなんですけれども、生活保護世帯が月平均で初めて100万世帯の大台に乗る見通しだということでございまして、これは勤労世帯にも増加をしているということでございます。非常に生活保護世帯がこのように急増している中でございますので、引き続きその負担のあり方などについては適時適切な議論を行っていただきますように要望いたします。
引き続きまして、またこれは国と地方との役割分担に関連してということになりますけれども、児童手当のことに関連して1点伺います。
ことし、新年度予算案で、児童手当の支給対象年齢が小学校6年生まで引き上げられるというようなことが出されておりますけれども、ある自治体の方から、事務作業がふえるという懸念の声を私お伺いいたしました。つまり、該当する者が申請する、いわゆる申請主義に立っているわけですけれども、その登録作業などのための事務作業がふえるので、それについての、事務量増に伴う財源措置について国はどのように考えているのかということでございました。このことをどのように措置されるのか、大臣のお考えを伺います。
■瀧野欣彌政府参考人(総務省自治財政局長)
児童手当制度の見直しに伴いまして、事務費の財源措置をどのように考えているかという御質問でございます。
児童手当の給付に要します事務費につきましては、平成16年度に大幅な見直しがございまして、その段階で、それまでは国の方からの交付金制度であったものを交付税上の措置へ移しておりまして、その段階で大幅な見直しをし、拡充をしてございます。そういった中で、いろいろな、システム改良費でありますとか、今おっしゃいましたような申請に対する審査事務費というようなものを大枠として交付税の中で措置したところでございます。
今回も大きく変わるわけでございますけれども、我々といたしましては、毎年一定の見直しをかけてございますが、今回も、そういった全体の措置をした中で、全体の行政改革というような問題もございますけれども、既に措置している中で地方団体の方で対応していただけるものというふうに考えておるところでございます。もちろん、なかなか難しい面があるという御意見もあろうかと思いますので、順次また地方団体の御意見をよく聞きながら対応してまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員
言いたいことはたくさんあるんですけれども、きょうはそのテーマではございませんので、この程度でとどめておきます。
続きまして、ちょっと話題は変わるんですが、国勢調査について何点か伺いたいと思っております。
2005年は簡易国勢調査が行われた年でございました。私、地元の自宅と、気がついてみましたら宿舎の方にも調査票が入っておりまして、あいにく失念しておったものですからそちらの方は回答できなかったんですが、まあ、基準日があるということでございますので、それはそれでよろしいといたしますが、去年の国勢調査は大変問題が多うございましたね、局長。恐らく統計局、総務省の方にも、あるいは各自治体の方にもたくさん苦情の電話が行ったんだろうというふうに思いますし、民間でそういった相談を受け付けているホットラインを設置したところなどは、1日じゅう電話が鳴りやまなかったそうでございます。
調査員の方々が足を棒にしてお宅を何度も何度も訪ねたけれども会えない、結局、とうとう回答してもらえなかったというようなケースも非常に多いということでございますし、ついにはにせ調査員などというのがあらわれて、お金を取り上げようとしたり、個人情報を聞き出そうとしたりというようなことで、大変多くの問題が浮き彫りになったと思います。
こういった中、国勢調査の実施に関する有識者懇談会というのが設置をされまして、5年後に行われることになっております本格的な国勢調査、これに向けて議論が行われているということでございますが、1点お伺いしたいのは、この国勢調査を昨年総務省が市場化テストの対象に含めるということを決めたそうでございます。正確に申しますと、国勢調査などを含む56の統計調査業務を市場化テストの対象に含めるということを決めたそうなんですけれども、これについて大臣の考えを伺いたいと思っております。
大臣は、昨年の12月の13日、市場化テストの対象にこの統計調査業務を含めるということを公表したときに、小さな政府をつくるために極めて重要なツールになるというふうにおっしゃっているそうでございます。市場化テストの導入に際しましては、例えば、有力な文化人が、国立博物館や美術館の運営、これを市場化テストの対象にすることに反対をしたので除外され、あるいは不祥事の続いてきた社会保険庁の事業などは1円で入札されたところもある。こういうふうに、世論の動向いかんで市場化テストの導入の可否、これが決まってきていると見ることもできるんですけれども、その意味において、やはり国勢調査への導入というのは非常に微妙な段階にあるのではないかなと思っております。どうでしょうか、大臣、この点について考えを。
■衞藤英達政府参考人(総務省統計局長)
今お話しの指定統計調査でございますが、政府全体では56本、7本ですか、あと総務省が所管しておりますのは、国勢調査を初めといたしまして、14、5本ということでございます。
ただいま市場化テストのお話でございますが、これにつきましては、指定統計調査全般に関する実施業務、企画等はもちろん国がやらなくちゃいかぬものですから、実施業務についてどうかというようなことにつきまして、昨年末、規制改革それから民間開放の推進会議の方から2次答申がございまして、そこの方で、指定統計調査全般につきまして市場化テスト、民間開放を進めるという形ができ上がってございます。
差し当たり、当方も、かれこれ1年前からこの話がございまして、平成18年度におきましては、専門的な知見をいただきながら、報告者の秘密の保護でありますとか、やはり一番大切なのは統計の正確性ということでございますので、統計の正確性、それから関係者との信頼関係を損なわないように、こういう前提で市場化テスト、それから民間開放を進めるということで、差し当たり2つの指定統計、具体的には個人企業経済調査と科学技術研究調査でございますが、これの試験調査をまず来年度、18年度からやろうと。
それから、残りの指定統計調査全般につきましても、また順次速やかにやろうということでございまして、これもまた計画を立てた上、試験調査の実施状況、まずこれを検証しなくちゃいけませんから、18年度前半までにこういった全般の計画策定を図ることといたしております。
いずれにいたしましても、個人情報保護でありますとか、それから先ほどの正確性、関係者との信頼関係等々、統計づくりの基本を損なわないように、まず1つずつ着実にやるということが大事だと考えてございますので、こういうことを積み重ねながら、検証しながら、市場化テストを着実に実施してまいりたい、そういうふうに考えてございます。
以上でございます。
■竹中大臣
統計業務の市場化テストについては、私が総務大臣に就任してから統計局長の方に、できるだけむしろ市場化テストそのものは積極的にやろうじゃないかということを申し上げた経緯がございます。
これは、市場化テストというと、一部のマスコミでは何かすぐ市場化するように思っている方もいらっしゃるんですけれども、そうじゃないわけですよね、委員御承知のように。市場化していいかどうかをテストするわけですから、テストを受けないで、入り口から拒むということはやめようではないかと。だから、そこはやはりテストを受けて、私は、統計の質の問題、まさに個人情報の管理の問題、いろいろありますから、これはやはり政府でやる方がいいという結論が出てくるものもたくさんあるんだというふうに思います。ただ、テストそのものを拒むこと、それはやめようではないかというのが基本的な方針でございます。
同時に、テストのやはりやり方が問題なわけですね。変に何か価格だけでテストをされると、委員も御懸念のような質の問題とかプライバシーの問題、個人情報の問題が出てきますから、そういうテストのやり方そのものを育てていかなきゃいけないという意味で、対応は慎重に行って、そして試験調査をまず新年度2つやろうというような形にしているわけでございます。
決して最初から否定はしない、しかしやり方は慎重にやっていく、そういう方向をぜひ目指したいと思っております。
■西村(智)委員
国勢調査は5年に1度でございます。市場化ということになりますと、これはどこか民間にお任せをする、市場化するということになりますけれども、5年に1度の事業のために人を雇って、5年に1度の事業のためにトレーニングをして、それでペイをするというようなことというのは現実にあり得るのかなと私は率直に疑問に思います。
また、全国で今回は85万人、調査員の方が活動された、調査に本当に奔走されたわけですけれども、85万人が必要とされる国勢調査で果たして民間開放が本当に可能かどうかという疑問を私は持っております。
そこで、引き続いてなんですけれども、そもそも国勢調査のあり方についてやはり抜本的な見直しが必要なのではないかと私は考えております。
調査項目も、ことしは簡易調査でしたけれども、見ましたら、なぜこのようなことを書かなければいけないのかという項目、そんな疑問を持つ項目は決して少なくない。5年前の本格的な調査のことを思い出してもそうです。果たしてこの項目で何がわかるのか。そして、本当に国の政策にどういうふうに活用されているのか。目的と合致しているのかどうかわかりませんし、また、対面調査という調査方法にもそろそろ限界が見受けられるのではないかと思います。
あわせて、自治体の負担も連動して大きくなってくるということでございますし、有識者懇談会での議論の進み方も含めまして、このあり方を抜本的に見直す必要があるのではないかと思いますが、お考えを伺います。
■衞藤参考人(総務省統計局長)
今、先生おっしゃるとおり、かなり国勢調査は曲がり角に来ているという認識でございます。ということでございまして、アメリカなどもそうですけれども、5年に一遍そのときだけ頑張ればいいということではなくて、通年的にこれからそのシステムを考えておかなければ、そういう姿勢でございます。
先ほど先生からお話ございましたけれども、昨年10月の国勢調査は、不在世帯の増加、それから世帯のプライバシー問題等ございまして、かなり苦労いたしたところでございます。ただ、統計サイドからいきますと、やはり対面調査が一番本当はベストかなと。調査員の方が世帯を回って、調査の中身であるとか記入を助けるということが一番間違いないので、かれこれ日本は1920年以来、これでうまくいってきたわけですけれども、国際的に見ると、やはりアメリカでもイギリスでもどこでも今苦労しているところでございまして、そういう中で、我が国もこういう状況でございますから、抜本的に見直そうということでございます。
そういう中で、全調査項目につきまして全数調査が必要であるかとか、そういうことも問題になるわけでございますけれども、基本的に、この人口減少社会の中で、なるべく全国的なトータルの数字、それからあわせて市町村、それから小地域の統計データということもかなり重要でございますので、そういう意味で、できる限りの情報はとりたい。
ただ、先生がおっしゃっておりますように、さまざまなコスト、調査員のコスト、それから市町村の指導員の方々の御苦労等がございますので、それはまさに、これから有識者の会議で議論しながら適切に対応してまいりたい、かように考えてございます。
以上でございます。
■西村(智)委員
1回国勢調査をやると600億円かかるんだそうでございますね。私は、調査の方法もそうなんですけれども、まず、この調査の目的をはっきりさせていただきたいと思っています。調査員の方々が対面で一番お困りになるのはそこではないでしょうか。つまり、なぜこの調査が必要なのかと聞かれたときに答えられないわけですね。答えられる正当な法的根拠、そして目的がきちんとしていれば、それはそれで対面調査もやってやれないことはないと思います。ですので、そのあたり、根本的なところの見直しから含めてやっていただきたいというふうに要望をいたします。
それでは、引き続いて、本題に戻りまして、三位一体改革の今後の第2期改革をどういうふうに行っていくのか、そのことについて伺いたいと思います。
三位一体改革の第1期分、これは評価はいろいろございます。地方6団体の方は、筆が走ったのでしょう、画期的ななどという評価がされておりましたけれども、実際に自治体の方々とお話をしますと、とても画期的などという評価は聞こえてまいりません。むしろ地方6団体が望んでいたのはほかのことであって、今回補助金廃止が行われたというのは、そもそも地方6団体が望んでこなかった部分のみ行われたというふうに私は見ております。
この三位一体改革の第2期分、これがどういうふうに行われるかということなんですけれども、冒頭申し上げましたとおり、自治体も非常に多種多様でございます。規模の小さいところ、それから個性のあるところ、規模が大きいところ、本当にいろいろな自治体がございますので、ぜひ国と地方の協議の場をしっかりつくっていただきたい。できればこれを制度化していただきたいというふうに考えております。
大臣、この点については、今までも前向きな御答弁をいただいておるわけでございますけれども、改めて決意のほどをお聞かせいただきたい。特に地財計画、交付税の算定ルールについては、これはやはり不透明だという批判がずっとあるわけでございますし、地方財政中期ビジョンですか、これについてもやはり地域からも意見をしっかりと聞き取る、そして事実は何かということを見詰める、そのことが必要であると思いますけれども、いかがですか。
■竹中大臣
今般の三位一体の改革を受けまして、これをさらにどのよう発展させていくかということは、この国の形をつくっていく上で本当に重要な作業だと思いますし、その意味では我々は大変重要な段階に今置かれているというふうに思っています。三位一体の第1期の改革についてはいろいろな御評価はあろうかと思いますけれども、この成果を踏まえて私たちとしてはさらに前に行きたい、その思いは変わらないと思います。
その際に、国と地方の協議の場は、現実にこれまでの改革の中でも本当に重要な役割を果たしたというふうに思います。国と地方の協議の場がなければ、こういう形でまとまることは私はできなかったと思うんですね。それだけ重要であったと思います。理由はもちろんいろいろありますけれども、こういう改革は国と地方の信頼関係に基づいて共同して改革していくというのが重要だということ。その意味で、地方は非常に多様ではあるわけですけれども、その多様な声を何らかの形で取りまとめて地方団体の方に表明をしていただく、そしてそういう声に国が真摯に耳を傾けていく、そういう形が今後とも大変必要かと思います。
こういう場は、私は非常に多元的なというか多様にある方がいいと思うんですね。今既に、国と地方の協議の場、関係閣僚が全員出るような場がございます。これは引き続き積極的に活用してまいります。同時に、総務大臣と6団体との間でもう少し実務に近いところで議論するものもあるし、さらには、部長さんクラスのものもございます。そういうものを多元的に私としては活用してまいりたい。
しかし、いずれの場合も、その中心といいますかコアになるのは国と地方の協議の場でありますので、この場を積極的に活用して地方の声を聞き、また前向きな議論をともにしてまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
聞きっ放しにならないようにその後の制度化もぜひきちんとお願いしたいというふうに思います。
続いて、交付税改革に関連してなんですけれども、今回、行政改革のインセンティブを盛り込むということで、これは何ですかとお伺いいたしましたら、行政改革のインセンティブですということで御説明はいただいたんですけれども、私、これはちょっといかがなものかなというふうに思っております。
そもそも、交付税は地方固有の財源であるということはもう確定をしている考え方でございますので、ここに行政改革のインセンティブを盛り込むというのはその概念を超えるのではないかというふうに思いますが、大臣の基本的なお考えを伺います。
節約した分が生じればその余分は使い回せる仕組み、そもそも交付税はそういうことになっているんだと思いますし、ここにインセンティブを新たに盛り込む理由は何なのか、伺います。
■竹中大臣
交付税は地方固有の財源として大変重要な役割を果たすわけでございますけれども、これはいろいろな声の中で、やはり今の交付税の制度に対する御批判の声も現実には存在しているんだと思います。その批判の声は、誤解に基づく面も多いんですけれども、1つのわかりやすい例として言うと、今やはり財源不足が生じています。その財源不足を何らかの形で国が補う形になっているわけでありますけれども、その財源不足との関係もあって、やはり一生懸命節約した地方とそうじゃない地方がともに交付税で手当てをされるような仕組みに結果的になっているのではないだろうか。そういう意味では、むしろインセンティブではなくて、地方は頑張っているところはたくさんあるわけですけれども、一部に逆のディスインセンティブが働いているのではないかという御批判は私はやはりあるのだと思います。
そういう観点から、財政需要の算定に当たって、例えばアウトソーシング等々の地方歳出の見直しに即して財政需要を算定する等々の仕組み等々を持っているわけでございますけれども、これは18年度から始まったわけではなくて17年度からそういう仕組みになっていたわけですけれども、18年度においてはさらに、積極的に行革を進めている団体は、単に経費の削減のみを目的としているのではなくて、それにより捻出した財源も活用しながら、住民サービスの向上を図るため地域振興施策の展開に努めているという状況を踏まえて、このような団体について、地域振興関係経費の財政需要を割り増しして算定する、そういうインセンティブをさらに半歩進めるような措置をとらせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
これは決して固有の財源というのを否定しているわけではなくて、しかし現実問題として、財源不足が非常に大きくなる中で一部にそういう逆のディスインセンティブが働いてはいけない、そういう批判にこたえるために、俗に言うと、しっかりと頑張って節約したところにはっきりとその恩恵が行くようなシステムにしたい、そういう思いでこのような制度の提案をさせていただいているわけでございます。
■西村(智)委員
行政改革のインセンティブを付加するということになると、理屈で言うと、ほかのインセンティブも盛り込むことはできるようになるんだと思いますね。
大臣のおっしゃること、1つの御意見、お考えだというふうには思いますけれども、私は、交付税のその基本的な性質からして、やはり疑問の念はぬぐい去れないところでございます。この点については、また機会がありましたら、引き続き質問させていただきたいと思います。
次に、三位一体改革の第1期分、また改めて振り返ってみますけれども、補助金の改革については、一部施設整備費の補助金廃止以外はすべて交付金化しただけで終わってしまった。例えば、地方再生交付金が昨年の通常国会で創設をされた。これはもう補助金官庁を取り巻く構造はそのままそっくり残ったということからいたしますと、やはり公共事業補助金の改革はもっと大胆にやっていただきたいという思いが非常に強くございます。
私の住んでおります新潟県は、やはり災害続きだったということもあるんでしょう、全国に比べて投資的経費のウエートが極めて高くなっております。義務的経費のウエートは、これは平成15年から16年で見ますと、約10ポイントも激減をしているわけです。いわゆる公共事業が突出した歳出構造の姿となっておりますけれども、こういった中で、ハードからソフトへの構造転換というのはなかなか容易ではありません。
このハードからソフトへの転換を図るために、三位一体改革の第2期は、大臣は、第1期の延長線で補助金の削減と税源移譲と交付金改革、この3点セットを続けるということはなかなか難しいというふうに答弁されていらっしゃいますが、第2期についてはどんなイメージを持っておられるんでしょうか。
■竹中大臣
まず、公共事業関係の補助金の改革を大胆にさらに進めたいという思いは私自身も非常に強く持っております。
その上で、第2期の考え方でございますけれども、ちょっと誤解があるといけませんのですけれども、私は、補助金の改革と税源移譲と交付税の改革、これは引き続きやらなきゃいけないと思います。ただ、第1期のように、1つについて数値目標を決めてそれでやるというような、その点だけにフォーカスした、限定的な改革ではなかなか前に進まないので、より大きな、仕組みそのものの見直しをしたいんだということを申し上げているつもりでございます。
実は、ちょっと先ほどの質問に戻りますけれども、交付金というのは、そもそもそういうインセンティブなんかを全くなくして、非常に無味といいますか透明なものにした方がよいのではないかという考え方はあり得るわけで、先般もたしか逢坂議員から同じような御質問をいただいて、その考え方はその考え方で、私たちもしっかりと検討しなきゃいけない課題だというふうに思っているわけでございます。
したがって、そういうことも含めて、第2期の改革というのは、そもそも国と地方はどういう役割分担をして、地方にもっと自由度を持ってもらいたい、先ほどおっしゃった公共事業の補助金の改革ももっと地方に自由度が持てるようにしたいという思いでありますから、自由度を持てるためにはどのようにしたらよいのか。それは決して補助金の改革だけではなくて、ある法律で決めた範囲内で条例でさらに細かく決めることができるような仕組みがつくれないかとか、そういう広い土俵で自由度を考えたい。自由度の裏返しとしての責任も同時に考えたい。そして、結果的に財政がより健全化していく方向は健全化していく方向として目指したい。そういうことをまず総括的に議論をしていただいて、これは当然非常に先の長い話になりますから、そこから逆算して、ここ1、2年、2、3年でどのようなことから手をつけたらいいのかということを考えたい。そういう形で第2期の分権改革のメニューを、ぜひ議論を深めたいというふうに私は思っているところでございます。
ここは非常にスケールの大きな話になると思いますし、専門家と言われる評論家、学者の方も、現状の批判はするんですけれども、ではどうしたらいいかという議論は、気がついてみるとほとんどないわけですね。つまり、トータルとしての案というのがないわけでございます。
そういう点を踏まえて、ぜひ建設的な方向性を示したいと思っているところでございます。
■西村(智)委員
民主主義の基本はやはり情報公開だと私は固く信じておりまして、望ましい仕組みを提案されていないということについては、私も、まあそうかなというふうに思います。私に、では具体的にどうしますかと聞かれてもなかなかすぐ答えは出てまいりません。ですけれども、最低限、情報公開はきちんとする、交付税の透明度を高める、これはどうしても必要なことだと思いますし、むしろ言ってみれば、そこからしか始まらないのではないかというふうに考えています。
大臣、地方分権にかける熱い思いがおありでしょうから、そのことをぜひ取り組んでいただきたい、強く要望いたします。
続いて、地方分権21世紀ビジョン懇談会について伺いますが、私は、冒頭申し上げたように、やはりここのところ、自治体間の格差、格差というと戻ってしまいますが、自治体間の多様性というのはさらに増しているというふうに考えております。市町村合併はあめとむちをうまく使われて進んでまいりましたし、交付税の段階補正もここのところ見直されて、小さい自治体はあっぷあっぷということで、どうもやはり、概観いたしますと、国の方針は行政コストを追い求める、しかし小規模自治体はそれには合わないから、今の地方行財政システムの中から小規模自治体がはじき出される、締め出されるおそれがあるのではないか。おそれはなしというふうには私は考えておりません。
そういった小さい自治体も含めて包括し得るような行財政システムが必要なのではないかというふうに考えておりますが、今回の地方分権21世紀ビジョン懇談会は自由と責任を中心に議論をされております。この発想だけでは、過疎地域などこれから人口が減少していく小規模自治体は成り立っていかないのではないかというふうに考えますが、大臣の考えを伺います。
■竹中大臣
実は、今の御指摘の点というのは、本当に非常に慎重に議論しなければいけない重要な点を含んでいると私も思います。なぜならば、地方自治ですから、自分でやりなさい、自分でやれるはずですというのが前提になるわけでございますけれども、自分でやれるということと小規模団体でやれるかということの間には、実は現実問題としてはなかなか難しい問題があるということなんだと思うんです。
そもそも、なぜ自治体の合併について我々がやはり必要だというふうに考えたかというと、自分で自立してやっていただきたい、そのためには現実問題としてある程度の財政基盤が必要なのではないのか。これは専門家の間でもいろいろな研究があります。ある専門家は、やはり最低人口10万ぐらいなければいけないと言うし、ある専門家は、いや、30万なければいけないのではないかと言う。これは、統計的な一般法則としては、やはりある程度の規模がないと自立が難しいという経済的現実がございます。だから、自立を言うんであるならばやはりある程度の経済的な基盤を持とうではないかということで、合併というのが1つの政策の方向になってきた。しかし同時に、私たちはいろいろな多様性を認めるということでありますから、もしも小規模なところでも十分な財務基盤が自分で持てて、それで持続可能な形でやっていけるんだったら、それはそれで大変結構なことであるというふうに思いますし、むしろそういうところが本当に出ていただきたいなというふうにも思うわけです。
そういう意味では、やはりある程度の財政基盤、自立のための財政基盤を持っていただくということは方向として認めながら、同時に、しかし改革は現実的にやらなければいけませんから、現実問題としてそういう規模に満たない小さな自治体が特に過疎地に存在しているという事実はあるわけですから、それについては一律に画一的な基準をもたらすのではなくて、何らかの実際的な考慮をしていくということが必要になってくるのではないかと思います。
したがって、この議論はそんなに1つの解ですぱっと割り切れる議論ではないんですが、原則として、強い財政基盤を持っていただく、一方で、多様性を認めるための実際的な仕組みは考えていきましょう、そういうことで現実の政策はやっていく必要があるというふうに思っております。
■西村(智)委員
このビジョン懇、地方分権21世紀ビジョン懇談会において消費税がどういうふうに取り扱われるのか、地方消費税の扱いについて伺いたいと思います。
地方6団体から、三位一体改革第2期分として、地方消費税の2.5%への引き上げによる税源移譲などが主張されておりますけれども、この提案、どうも政府・与党からは黙殺されていると言っていいのではないでしょうか。ビジョン懇は、1月から半年間開催されて6月ごろビッグピクチャーを取りまとめるということのようでございますけれども、この中で地方消費税をどういうふうに取り扱っていくのか、お伺いしたいと思います。
大臣は、地方6団体の方々ともよく意見交換をしてまいるですとか、あるいは消費税は偏在性のない税であるというふうにおっしゃっておられますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
■竹中大臣
21世紀ビジョン懇談会、これは専門家の方に今議論していただいていますけれども、その方向として私がお願いしているのは、地方の自由度をしっかりと高めたい、権限を高めたい、それに伴った責任も持っていただく。その中で、当然のことながら、地方の税源を拡充するというのは重要な方向として出てまいると思っております。地方の税源の拡充。
そうしますと、今お話のありました地方消費税については、委員もお触れになったように、税源の偏在性が少ない、そして税収が安定した基幹税であるというような点、そうした点でやはり非常に重要な項目に間違いなくなるというふうに私は思います。そうした観点から、地方6団体の方々もそういう御提言をしておられるわけです。
今、委員、残念ながら霞が関では黙殺をされているのではないかという御指摘がありましたけれども、決してそうならないようにするのが私の役割だと思っています。半年かけてこのビジョン懇で議論するというふうにした最大の趣旨は、6月ごろに歳出歳入一体改革についての一つの議論を、議論そのものは年度内続きますけれども、骨太に向けて中間的に議論を取りまとめなきゃいけませんので、その中でそういった地方の税源充実の話もぜひ織り込ませたいというふうに私自身は思っているわけでございます。その意味では、そういった考え方、地方の意見等々が黙殺されないように、私としてもやはりこのビジョン懇でしっかりと議論をしてほしいし、歳出歳入一体改革の中でそういうことを堂々とぜひ議論してまいりたいというふうに思っております。
■西村(智)委員
竹中大臣はこの地方消費税に真っ正面から取り組んでくださっているということが理解できました。
ちょっと順番を変えまして、道州制について1点伺いたいと思います。
あす、地方制度調査会の道州制のあり方について答申が出されるというふうに伺っておりますけれども、そもそも道州制の意義について大臣はどのようにお考えでしょうか。また、あしたの答申を踏まえて今後どのように検討していかれるのか、伺いたいと思います。
■竹中大臣
道州制でございますけれども、先ほども少し御答弁申し上げた市町村合併の急速な展開を踏まえて、やはり広域の自治体制度の改革というのが非常に現実味を今後帯びてくるんだろうというふうに思います。
総理の諮問を受けまして道州制のあり方について調査審議をしております地方制度調査会におかれましても、国、地方を通じた効率的な行政システムを構築する、そして地方分権の推進、地方自治の充実強化、そして自立的で活力ある圏域の実現という方向で検討が進められるものというふうに承知をしております。
政府としては、既に骨太2005で次のように決定しています。将来の道州制の導入に関する検討を進めるということを明示的にも2005骨太方針でも決めておりまして、明日に予定されております地方制度調査会の答申を踏まえて、まさにこの骨太の方針のとおりしっかりと私としては対応してまいりたいと思っています。
■西村(智)委員
小泉総理は、2003年ですのでもう3年前になりますが、北海道の道州制先行構想などを提唱されておりまして、総理のお考えはこういったところから前向きであるなというふうに拝察するわけです。ですけれども、総務大臣のお考えがなかなか見えなかったものですから、質問させていただいたんですけれども、もう既に答申案が報道などで出ておりまして、3つの案がひとり歩きをしております。新潟県などは3案でみんな所在地が違うんです。もう既に地元などでは大きな議論になっておりますので、ぜひ、当事者の意見をまず先に聞く、この姿勢を徹底していただきたい。区割りはどうなるかというのは、これはもう本当に最後の最後のテーマだと思いますので、その点についてはぜひ注意してくださるようにお願いいたします。
最後になりますが、新地方行革指針に関連して伺います。
新地方行革指針は、昨年の3月29日、事務次官によって通知をされたものでございます。見ますと、過去5年間で自治体の職員の総数はもう4.6%減少している。その通知の中では、過去の実績、つまり4.6%ということになりますが、それを上回る総定員の純減を図る必要があるというふうにした上で、それぞれの自治体に明確な数値目標を設定するよう求めているわけですが、この策定状況、各自治体でかなりばらつきも出てきているのではないかなと思いますが、現時点でどのような策定状況になっているのか、それを伺います。
■竹中大臣
新地方行革指針を示して、それに基づいて集中改革プランというのを3月までに策定するということになっている。お尋ねは、その集中改革プランをどの程度やっているか、どう把握しているかというお尋ねだと存じますけれども、全国ほとんどの団体でこの集中改革プランの公表に向けた取り組みが進んでいると承知をしております。
47都道府県のうち97.9%、政令市については100%、その他の市区町村については九九・七%がそのように対応している。これは17年度合併市町村以外でございますけれども、そういう状況になっておりますので、ほとんどのところでしっかりとした取り組みがなされているというふうに承知をしております。
これは提出期限が3月末でございますので、我々としても、早期に把握をして、今のは取りまとめ状況ですけれども、内容についてはできるだけ早く把握をして、早期に取りまとめ、公表したいというふうに思っております。
■西村(智)委員
時間ですので、終わります。ありがとうございました。