■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
おととい十一月十五日は、横田めぐみさんが十三歳で拉致されてからちょうど二十八年の日でございます。部活から帰る途中の中学生が拉致されたということで、大変残酷なことでございます。この拉致された地点は、私の選挙区、新潟一区でございまして、新潟市民の一人としても大変大きな心の痛みを持っているところでございます。
おとといは、地元マスコミの主催によりまして、「忘れるな拉致 一一・一五県民集会」というテーマで、本当に会場がいっぱいになるくらいの市民、県民の皆さんが集まって、横田さん御夫妻の講演を聞き、そして、いわゆる特定失踪者と言われます方の御家族の方、あるいは横田めぐみさんの同級生だった方々からもメッセージが聞かれまして、一日も早くこの問題を解決したい、解決しなければいけない、その決意をまた皆で確認し合ったところでございます。
私も、新潟から選出していただいておる国会議員の一人としても、この問題にしっかりと取り組んでいく決意であることをこの場をかりて表明させていただきたいと思います。
まず、今回の日朝協議についてお伺いをさせていただきますけれども、今回は約一年ぶりの日朝協議の再開となりました。七月に佐々江局長からの呼びかけがあって、それに応じて九月十八日ですか、北朝鮮側から日朝交渉の再開に合意がされたということでございますけれども、たびたび言及されておりますとおり、今回の協議では、日本側から提案がなされた。
つまり、一つは懸案事項に関する協議、二つ目として安全保障に関する協議、三つ目として国交正常化交渉、この三つの協議を並行して進めていくということで提案が行われ、そして日本側の考えとしては一番目と二番目の解決なしに三番目はないんですよと表明したということでございました。北朝鮮側は一たん持ち帰って検討することとしておるということでございますが、今後の協議の見通しについて伺いたいと思います。
この委員会での議論も、私も聞いておりますけれども、かゆいところをかくのに宇宙服の上からかいているような感じがいたしまして、政府がどのような方針でこの協議に臨んでいこうとしているのかがなかなか明確に見えてまいりません。ぜひ国民の前に、とりわけ御家族の一日も早い解決をと願うその心情を思うときには、本当に御家族の前に明確な対案を示してほしいと思うものですけれども、いかがでしょうか。
■齋木昭隆政府参考人(外務省大臣官房審議官)
お答えいたします。
おっしゃいましたとおり、先般の日朝の実務者間の協議の場におきまして、今後どういうことで日朝関係の進展を図るかというやりとりの中で、私どもの方から、三つの場を設けてそれを同時並行で進めていく、また拉致問題、これは日本にとって最重要の案件であるから、この拉致に関する協議、つまり懸案事項の協議というのは拉致を中心とするものでございますけれども、これの進展、決着、これが一番優先する、これの決着がない限りは過去の清算を中心として議論をする正常化交渉の出口も決着しないんだということも、改めて強く先方に対して説明したわけでございます。
そういうボールを向こうに投げて、戻ってまいりまして、先方にとっても恐らく過去の清算の話し合いをする場というものを設けること自体は決して悪い話ではないと思いますが、まだボールは向こうにございまして、我々としては早期に向こうの回答が来ることを期待しておりますし、また要すればこちらから回答の督促を行う考えでございます。
■西村(智)委員
ぜひ、政治的な判断ということで大臣の方からお答えをいただきたいということでお願いをします。
さてそこで、このように三つの議論を並行して行っていきましょうということで提案があったところだそうですけれども、一番目の懸案事項に関する協議、これは括弧して拉致問題等と書かれております。この意味するところ、指し示すところは何なのかということについて伺いたいんです。つまり、政府認定に係る拉致被害者の方々以外にも拉致されたという疑いが極めて濃厚な失踪事案が、三十四件三十四人ですか、あると言われておりますけれども、この1の拉致問題の中にいわゆる特定失踪者の問題も含まれているという認識なのかどうか、そこを伺います。
■齋木政府参考人
お答えいたします。
政府が認定しております拉致事案は十一件十六人でございます。それ以外にも拉致をされた疑いが濃厚な方々というのがおられるであろうということは私どもとしても推測しておりますし、またそういう前提で日朝の協議の場では、今回ももちろんでございますけれども、去年実務者協議をやりましたその場におきましても、具体的な名前も挙げながら、先方に対してこういう方々を捜して日本に戻すようにということも申し入れております。
拉致の認定を行った方々とそうでない方々、これは一義的には、捜査当局、警察当局の方でさまざまな証拠等も集めてそこでしっかりと認定をするということが前提になっていると思いますけれども、私ども外交当局といたしましては、認定が追加的になされたものにつきましては、当然、先方に対して早く帰国を実現するようにということで申し入れてまいります。
また、先ほど来の繰り返しでございますけれども、そういう認定がなされていない方々につきましても、我々としましては、もしそういう人たちがまだそちらにいるのであれば早急にこちらに帰すべきであるということも続けて申し入れていく、そういう方針でございます。
■西村(智)委員
認定が追加されてということが非常に気になるんですけれども、大臣、いかがですか。ここに、拉致問題等の中に、拉致されたという疑いが濃厚な失踪事案、この方々三十四人も含まれるという認識という理解でよろしいんでしょうか。
■麻生太郎外務大臣
今、齋木の方から答弁がありましたように、田中実という名前がその中の一つに挙がっていると思いますけれども、証拠として私どもは確たるものがありましたので、それを新たに拉致被害者として認定をしております。その他の方々に関しまして、残り三十数名につきましては、まだ証拠が確たるものができ上がっているわけではありませんので、私どもとして拉致被害者として確たる認定をしている段階ではございません。
しかし、この拉致被害者等の懸案事項に関する協議という中で、私どもとしては、疑いが特に強いと言われる方々が多いと存じますので、そういった方々については情報を引き続き求めていくのは当然のこととして、今後の交渉の中にその問題が含まれていくものだと存じます。
■西村(智)委員
時間が極めて短いので少し飛ばしてまいりますけれども、改めて私、日朝平壌宣言を読み返してみました。そこで、この宣言主体と申しますか、この宣言の中にはたびたび双方という言葉が出てまいりますけれども、これが一体何を指しているんだろうかと改めて疑問に思ったところでございます。
日朝平壌宣言にサインをされておるのは、日本側は小泉総理大臣。仄聞するところですと、大臣は、後、任期延長はしないというふうな報道でございます。
仮の話でお答えになりにくいということはもう百も承知でお伺いするんですけれども、仮に次の総理になった場合、次の総理はこの問題を引き継ぐのかどうか。本当に、前に進めるための具体的な方針が聞きたい、そういう意味でお伺いをしておるんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
■麻生大臣
ここに言う双方とは、基本的に日本国と北朝鮮ということを指しておると存じます。
■西村(智)委員
次の質問ですけれども、今回また、先ほどの松原委員の質問にも出てまいりましたが、拉致問題に対応する専門担当セクションの必要性ということについては、たびたび議論がこの委員会でもされたというふうに承知をしております。
それとは別なんですけれども、アメリカのレフコウィッツ北朝鮮人権問題担当特使がこのたび、自分の仕事のカウンターパートナーとして、日本にも人権問題を担当する高位の、位の比較的高い人権担当官がいた方がよろしいという発言をされたという報道がございました。
これから恐らく、きょうちょうど採決が行われているそうでございますけれども、国連の動きも非常に活発になってきておりますし、また韓国、こちらでも、認定されている拉致被害者はもう五百人近い、四百八十六人ですか。そしてまた、今回は新たに、タイでの拉致被害者がいるのではないか、いたということが拉致被害者の手記などから明らかになっておりますけれども、そのようなところとの対応を含めて考えますと、やはり日本にもこういう高位の人権担当官の設置が必要ではないかと思いますけれども、この点について今どのようになっているんでしょうか。
■安倍晋三内閣官房長官
我が国といたしましても、北朝鮮における人権状況には多大な関心を払ってきたところであります。今後とも、国連人権委員会、また多国間及び二国間の協議の場においてこの問題を提起していきたい、こう考えております。
政府としては、引き続き、拉致問題の解決を含む北朝鮮の人権状況の改善に向け、効果的な方策を検討していく予定でありますが、北朝鮮の人権問題を専門的に所掌する高官を、また大使を任命するということについては、米国で新たに任命された北朝鮮人権問題担当特使の活動状況を参考にしながら検討していきたいというふうに考えています。
■西村(智)委員
検討するというときには、大抵、期限をある程度頭の中で決めてやられることだというふうに思いますけれども、どの程度検討されて結論を出されるんでしょうか。
■安倍長官
期限を決めるかどうかということについてはその事柄によるんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、今御答弁いたしましたように、米国の特使がどのような活動をしているかということをよく検討する必要があるんだろう、そして我々もそのカウンターパートをつくる必要があるかどうかということを考えなければならない、このように思っているところであります。
■西村(智)委員
何といいますか、時間が区切られないもどかしさ、非常に遅々として前に進まない、そんな感じをきょうの質疑を通じて改めて私は持ちました。
とにかく、私たち国民の目の前に、そして一日も早いこの問題の解決を願っている人たちの前に具体的な方針をきちんと示していただき、もう絶対に後戻りはしない、この問題を少しでも前に進めるという決意で取り組んでいかれることを強く要望いたしまして、残念ですが時間が参りましたので私の質問を終わります。
ありがとうございました。