■河野洋平議長
日程第三、電波法及び放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。総務委員長実川幸夫君。
■実川幸夫総務委員長
ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、電波の有効利用を推進するため、電波利用料の負担のあり方及び電波利用共益費用の使途の範囲の見直しを行うとともに、地上放送に係る外資規制の実効性を確保するため、間接出資規制を導入しようとするものであります。
本案は、去る十月五日本委員会に付託され、十三日麻生総務大臣から提案理由の説明を聴取いたしました。十八日質疑を行い、討論、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
■河野議長
討論の通告があります。これを許します。西村智奈美君。
■西村智奈美議員
民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。
私は、ただいま議題となりました電波法及び放送法の一部を改正する法律案に対し、民主党・無所属クラブを代表し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
以下、反対の理由を申し述べます。
まず、本法案では、電波利用料の算定に当たり、電波の経済的価値を反映させるために、周波数や出力等の要素を勘案するとうたっていますが、これが羊頭狗肉であります。つまり、総務省が恣意的に電波利用料を算定するという基本構造を温存したまま、部分的に利用料を上げ下げし、それをもって経済的価値が反映されたと自画自賛しているにすぎません。
限られた資源である電波の有効利用を促進するためには、現在のように総務省が電波行政を管理し、電波利用料を決定するという仕組みを改め、電波利用料決定に市場原理を導入するとともに、独立した組織に電波行政をゆだねるなど、抜本的改革を断行する必要があります。
また、電波利用料の使途を拡充するとしている本法案でありますが、電波資源拡大のための研究資金が有効に使われているか否か、外部評価機関である評価会によるチェックの実態は、総務省のお手盛りとなるおそれがあります。評価会が総務省のお手盛りを追認する機関となる可能性を考えれば、研究開発とは名ばかりで、総務省と密接な関係にある団体を維持することなどに電波利用料が使われるのではないかという懸念を払拭できません。
次に、放送局に対する外資の間接出資規制についても、中途半端な議論しか行われず、泥縄で提出されたという問題点が指摘されます。
放送の社会的影響力などを考えると、放送局に対する外資の間接出資規制を導入すること自体は必要な措置かもしれません。しかし、通信と放送の融合が急速に進展する今日、外資規制の対象は放送局だけでよいのか、また、今後デジタル化に伴って多額の設備投資が必要となることなどを考えたとき、今回の規制によって放送各社の資金調達にどのような影響が出るかなど、数多くの重要な問題について本法案が対応できているとは到底思えません。国会での審議も不十分の一言でありました。
そもそも、本法案は、第百六十二通常国会に提出された電波利用料の見直しと、外資の間接出資規制という、中身の全く異なる二つの改正案を一本の法律にまとめて本特別国会に提出されたものであります。政府は、問題を抱えた電波利用料の見直しに関する法律を、比較的理解が得られやすい間接出資規制の法案と抱き合わせにして国会に提出しておりますが、このような手法及び提出経緯には大きな問題があると言わなければなりません。
以上、電波利用料についての見直し、外資の間接出資規制の導入ともに問題点を抱える電波法及び放送法の一部改正案に反対することを最後に申し上げ、私の討論を終わります。どうか皆さんの御賛同をいただきますように、最後にお願いをし、終わります。
ありがとうございました。(拍手)
■河野議長
これにて討論は終局いたしました。