■西村智奈美委員
民主党・無所属クラブの西村智奈美でございます。大臣、ぜひ名前をお間違えのないように、冒頭お願いをしておきたいと思います。
きょう、電波法及び放送法の一部改正ということでございまして、質問をさせていただきますけれども、先ほどの田嶋委員の質問に引き続いて、私も幾つか、外資規制、これについて、冒頭お伺いをしたいと思っております。
私は、やはり放送というのは、受け手のリテラシーが高まることと同時並行的に多様化してくるべきだ、こういうふうに考えておりまして、一概に、放送の担い手、発信者を規制するということについては、多少否定的な考え方を持つ者です。ですので、最近は、青少年の健全育成の観点から、例えば放送の内容についても規制をかけようというような動きがあるやに聞いておりますし、この特別国会あるいは通常国会でもそのような法案が準備されているということも聞いておりますけれども、できる限りそれは、放送の発信者による自主規制ですとか、あるいは外部の第三者機関が、公平性、公共性をもとに判断するということであるべきだろう、できる限りそうあるべきだろうというふうに思っておりまして、そういう観点から今回の一部改正法を見ますと、やはり外資規制がなぜそもそも必要なのかという純粋な疑問に立ち返るわけでございます。
どうなのでしょうか。外資規制が、この日本の放送にどういうことをもたらすものだというふうに期待をしてなされているのか。そしてまた、今回の間接外資規制によって期待されている効果、間接規制を導入する必要性について、冒頭、伺いたいと思います。
■麻生太郎総務大臣
これは先ほどの田嶋議員に対する御答弁に少しダブるところが出てくるかと思いますけれども、外資規制が行われております。これは直接はもう既に行われているのですが、間接に関しましても規制をということになってきた背景というのは、直接には、先ほどホリエモン、堀江貴文の話から出てきたんだと思います。
電波の周波数というのは、これは御存じのように、国際的に見ていれば、周波数の分配によって各国に割り当てられているという部分がありますので、これは有限でありますし、極めて希少な国家財産、資源ということにもなろうと思いますので、そういった意味では、やはり基本的には、与えられておりますその国、自国民の利益を優先するというようなことは当然確保しておく必要があろうというのがまず一点だと思っております。
二つ目は、言論とか報道機関というものを考えますと、これは社会的影響力は極めて大きいので、偏った放送等々というものは非常に大きな影響力を与えることになりますので、これはある程度制限をする必要があるというのは当然のことだと思っております。
今般のいわゆる間接出資の規制というのは、先ほどMSCBと申し上げましたけれども、転換社債型新株予約権つき社債、たしかそういうぐあいに言う、ムービング・ストライク・コンバーティブル・ボンド、通称MSCBというのが出てきたわけです。こんなのをわかっている国会議員なんてほとんどいやしないと思いますが、なかなか証券業界でもこれを直ちに理解したというのはほんの一部の人たちであって、普通の国内の株をやっている人だったら、まず、この新しい制度というか、債券のやり方を知っている人は私を含めてもちろんいなかったんだと思いますが、これが急遽出てきた。そういった意味では、新たな資金調達の手段という形でこれが出てきたんだと思います。
そういった意味では、やはり近年において、いろいろな意味での、出資を受ける、投資を受けるという意味においては、電波法は、先ほど田嶋先生が言われたように、できましたのは昭和二十五年、今から五十五年前の話ですけれども、そういった時代とは全然違った形の事態が出現したんだと思います。
そういった意味では、地上波につきましては、いろいろな意味において、これはいろいろ問題があるのではないかという御意見というのは、私どもも多々寄せられたところなんです。そういった意味で、むしろ積極的だった私の方はかなりばかすかやられた方なんですけれども、いろいろな意味で、こういったような状況というのは、少なくとも、何となく外資の規制、外資がばっと入ってくるというのは、一時、自動車のときも結構騒ぎになりましたけれども、結果的に見ればということもあったではないかとか、いろいろなことはありますけれども。
ただ、放送ということになると、ちょっと他の事業とは少し違うのではないかという先ほどの御意見がありましたけれども、私も、放送というものは、電波を含めまして、他の事業とは少し異なる種類の業種なんだと理解をしておりますので、ある程度の規制というのは、他国を見ましても同じような規制をかけておられるという状況を考えましても、今回のような措置というのは少々遅かったのかもしれぬと言われる御意見もわからないではない、そのように思っております。
■西村(智)委員
大変にたくさんのことをお答えいただきましたので整理が難しいんですけれども、他国を見ても、間接外資規制を含めた外資規制がなされておるということですが、大臣御承知のとおり、それぞれの国において放送の歴史というのはさまざまでございます。電波の歴史も新聞の歴史もそれぞれの国であるわけでございまして、ですから、その国において外資規制が必要な理由、根拠というのもこれまた恐らくそれぞれだろうというふうに思うんですね。例えばフランスなどは、もうこれははっきりと明確に、他国の文化をできるだけというようなことになっておりますし、日本ですとかイギリス、アメリカ、それぞれまたいろいろな事情があります。
この外資規制、そして今回、間接外資規制を入れることのタイミングなんですけれども、先ほど、三十年くらい議論してきて、ずっと議論してきて、今回のタイミングでようやく議論がまとまったので出しましたよというような御説明だったかというふうに思いますけれども、ただ、やはり客観的に見て、余りにタイミングがよ過ぎるのではないか。つまり、昨年度からのライブドア、ニッポン放送、この事案、これをきっかけとして、間接外資規制の導入が必要だという論調がにわかに生まれてきたのではないかというふうに思うんです。
そういたしますと、その論調はどこから出てきたか。今、記憶の糸をたどってみますと、この部屋にいらっしゃる中でも幾つかそういう声は聞かれたかなというふうに思いますが、主にやはりマスメディア、マスコミの方からそういう論調が出てきたというふうに私は記憶しておるんです。仮にそうであるとすれば、メディアが自分たちの声をそういう論調として上げた、そして政府がその声を受けとめて、いわば日本のマスメディアを、こういう言い方は非常に雑で私は余り好まないんですけれども、外資からメディアを守るために間接規制を導入しましょうというようなことだったのではないかというふうに邪推をいたしておるんですが、この点についてはどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
■麻生大臣
基本的には、既存のメディア、民放五社含めまして、既存のメディアを守るために外資を規制すべきというようなのは本末転倒だと思っております。
基本的には、メディアというものはきちんと維持されておるというために、いろいろな形での資金調達の方法というものが考えられる中の一つとして、MSCBを初めいろいろなものが出てきたし、外資も出てきたんだと思っております。そういった意味では、私どもの想定をしていなかった事態が起きたというのは確かですけれども、それに対して、既存のメディアを守るためにというのは、確かにメディア側にしてみれば、今でも経営者側が株主を選べるかのごときに錯覚しておられる方もいっぱいいらっしゃるのは事実だとは思いますけれども、私どもは、メディアを守るという意味においては、メディアを通して入ってくる情報によっていろいろなことが懸念される国民を守るというのが我々の立場というように御理解いただいておければと存じます。
それで、もう一つは、外資が入ってきたことによって、それによって多様性が本当に増すかということに関しましては、私、ちょっとそれはそんな単純な話ではないのではないかという感じがいたしておりますので、そういった意味では、経営上のメリットとしては資金の調達の多様性が上がることは認めますけれども、かといって、そのメディアを見る国民、視聴者にとって果たしてそれで多様性がふえるであろうかということに関しては、いま一つ私どもとしては疑問のあるところであります。
■西村(智)委員
それでは、少し次に移りまして、外資規制の条項の方についてお伺いしたいと思うんです。
つまり、今回の外資規制は、直接出資が二〇%以下という現行制度を、直接出資と間接出資を合わせて五分の一以下、二〇%に満たないものでなければ放送局の議決権、これは認められないというようなことになっておりますけれども、実際に、二〇%、五分の一というこの制限枠ですけれども、果たしてこれがどの程度の意味を持っているのかということは改めて考えてみる必要があるのではないかと思っております。
電波法第五条でございますけれども、既にここで五分の一以下というふうに定められておりまして、今回ここに間接出資が加わるということになりますけれども、この二〇%の意味、なぜ二〇%であるのかですね。つまり、外資を規制する枠として既に電波法には二〇%というようなものがありますが、それが、例えば大臣が今おっしゃったような自国民の利益を守ることですとか、社会的影響力が大きいからそれに配慮して決めた数字であるとかいうようなことにどれほど役に立っているのかということについては、ぜひその具体的な根拠を教えていただきたいと思うんです。これについてはいかがでしょうか。
■清水英雄政府参考人(総務省政策統括官)
先生御指摘の出資比率というのは、例えば証券取引法だとか商法上でもいろいろな数字としての例がございます、例えば十分の一以上ですと少数株主権の行使が可能だとか。このときの数字の中で、例えば五分の一というのは一つの少数株主権の行使が可能というところの数字でございますし、また三分の一超というのは、株主総会での特別決議事項の決議を阻止することができるか否かという数字でもある一方でございますが、実際上、五分の一という数字が従前放送法の中にございましたのは、やはりワールドワイド的なものでございます。
米国でございますと、やはり地上放送の直接出資は五分の一を超えることが不可だとか、例えばフランスも五分の一を超えることは不可だとか、カナダも五分の一というような数字を使ってございます。豪州も同様に五分の一というもので、世界的にはなかなかこの数字が、ある意味では五分の一というのが一つのメルクマールに近づいているのではなかろうかと思います。当然、イギリスのようなないものですとか、イタリアあたりは二分の一というような数字もございますが、ある意味では、この五分の一というのはそういうところから出ているものと承知しております。
■西村(智)委員
それで、このように今回、外資間接規制に係る放送法が、私はそれ自体非常に大きなテーマであると思いますし、これまでにずっと議論があったとおりなんですけれども、もう一つ、電波利用料に係る改正である電波法改正の方、これは前回は、電波法は電波法の改正案として出てきたわけでございますよね。この特別国会でこういうふうに、私たちの目から見ては全く違う中身の法律だというふうに思うんですけれども、一緒に提出されてこられた理由というのは一体何なんでしょうか。
■清水政府参考人
事実関係のところだけ御説明をさせていただきます。
前国会の場合には、電波法の一部を改正する法律案というのが、予算関連法案としまして、ことしの二月九日に提出されてございます。
一方で、電波法及び放送法の一部を改正する法律案というのは、先ほどお話がございましたニッポン放送株の取得、これは二月八日前後のときに、これで本当に外資規制の実効性を高めるべきかどうかというような議論がございまして、現実的には四月十九日に国会提出がされたものでございます。
ただ、両法案はいずれも、放送も無線局でございまして、無線局に対する規律を見直すということを目的とするものとして電波法の改正を行うものでございますので、今国会において一本の法律案として九月三十日に提出させていただいたところでございます。
■西村(智)委員
最近、よくこういうことがあるんだというふうに、私も二期目に入ってようやく気づいたわけでありますけれども、こういう全く中身の違う法律を一本の法案として出してくる。こうしますと、今回の法案についてどういう対応をするかは別といたしましても、例えば、この中身については賛成だ、この中身については反対だ、具体的にこちらからも対案を出す、そういう個別の細かい対応が非常にやりにくくなってしまうわけですね。こうやって一緒くたにして出されてしまうと、そもそも、与党が多数を占めるようになってしまった国会の中で、丁寧な議論というのをしっかりと行っていかなければいけないこの時期に、またさらに議論が雑になるのではないかということを懸念しております。
ぜひとも今後は、一つの法律については一回一本ずつ、閣法として提案をされるときにはぜひともそういうふうなやり方をしていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。この法案、通常国会では別々に出てきていたわけですよね。どうでしょうか。
■麻生大臣
経緯につきましては、今、清水統括官の方から申し上げたとおりなんだと思いますけれども、いずれにいたしましても、これは無線局に対する規律、規則ということでもありますので、一緒に討議をいただくというのは決して間違っているとは思いません。
今言われましたように、私はどっちの方に賛成でどっちの方に反対なんだか、西村先生の場合は、民主党はこうだけれども私は反対とか、いろいろそれは気持ちもわからぬことはありませんよ。ありませんけれども、しかし、基本として、今言われたように余りにも細分化すると、たびたび採決で立つとなると結構これまた大変な話なので、正直なところ、どの程度にするかというのは、これは理事懇とか国対とかいうところで詰めていただかねばいかぬところなんだとは思いますけれども、言っておられる意味を理解しないわけではございません。
■西村(智)委員
ぜひ麻生大臣のリーダーシップの発揮をお願いしたいと思います。ぜひ丁寧な審議ができますようにお願いしたいと思います。
さてそこで、次に、マスメディア集中排除原則についてお伺いをしたいというふうに考えております。
これは報道でございましたけれども、総務省が、BSデジタル局、これは地上波と兼営を認めるというような方向で検討に入ったという報道がございましたが、昨日、レクのときにお伺いをしましたら、そういう報道はあったけれども多少事実と異なっているということで確認をいたしました。
私は、この報道の中で言われております調査研究会、デジタル化の進展と放送政策に関する調査研究会、ここでこれから非常に重要な議論がなされるのであろうというふうに考えているところでございます。この報道のとおりでないとしても、総務大臣の方から、仮に例えば地上波、マスメディア集中排除原則の見直しなどについて検討せよというような指示が出ているのであるとすれば、非常に重要な研究会になってくるんだろうというふうに思います。
ちょっとざっくばらんなお伺いの仕方で非常に恐縮ですが、大臣はマスメディア集中排除原則についてどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。最近のTBSと楽天に関する報道では非常にクールなコメントをなされておるようでございますけれども、いかがでしょうか。これは株のことでしたけれども、マスメディア集中排除原則についての感想を伺います。
■麻生大臣
これは、できましたときの経緯というのがいろいろございまして、新潟県である放送局を立ち上げるというときに、例えば西村さんなら西村さんがそれをやる、その人がほかのところでもやられる、BSもやります、何もやります、かにもやります、気がついてみたら全部西村さんがやっていましたというようなことを避けたい、いわゆる集中するのを避けたいというのがもともとのスタートだったんだ、法律ができましたときには。
ところが、現実どうなっているかというと、結構事は難しくて、たまたま顔を上げたから北海道を言うわけじゃないけれども、何となく、金持ちがいないんですよ。それは本人の顔を見て、何もあなたが貧しいと言っているわけじゃありませんからね。いないんですよ。そうすると、買ってくれる人がいないんです。そうするとどうなるかというと、やはり頼りに行くところは同じところに行っちゃう、秋田にいたらみんな寺田さんのところへ行っちゃう、こういうことになるわけです。それが現実問題として、今、地方では非常に困っております。東京近郊の場合はそういった資本力のある会社やら何やらがあるんですが、過疎地に行きますとなかなか難しくなってきているというのが正直な実態であります。
私どもとしては、この前この騒ぎになって、二〇%を超えている、三〇%だ、いろいろなことがありまして、県を越えているのはいいとか、歴史を見ますと、いろいろな形で緩和していったところがあることは確かなんですけれども、現実問題として、いろいろな意味での多様性を確保するためにはぜひ資本構成は違った方がいいというのは基本的には正しい、私もそう思っております。
ただ、気がついてみると、そういう人がいないから結果的にほかの人がという形になっておるという現状でもありますので、出資比率の規制の緩和というのはいろいろな形で容認してきましたけれども、もともとの発想がそれだったという点はちょっと頭に入れて、今後慎重に対応していかねばならぬところだと思っております。
■西村(智)委員
例えば、BSデジタルと地上波でございますけれども、仮にこの検討会が検討していった結果としてそれは認めるという方向になるのであれば、私が懸念しておりますのは、つまり、地上波との兼営によってデジタル局の方も系列化される。今でも五〇%ですけれども、兼営ということになりますと、すなわち、即系列化ということになってくる、グループ化ということになってまいります。
恐らく、デジタル化というものが目指されたときには、いわゆる多チャンネル化というものが目指された中でのデジタル化という方針が出てきたんだろうというふうに思うんです。ところが、今大臣がおっしゃるように、新しい局を立ち上げようとしても、そんなに資本が集まるわけではない、お金が集まるわけではない。現状で、仮に地上波の局が持っているデジタルと系列化がさらにこれから進むといたしますと、最初、デジタル化によってもたらされるであろうと期待されていた多チャンネル化というのは、むしろ抑えられてくるのではないか。つまり、もともとデジタル化に期待されていたところの多様な番組制作というのが提供されづらくなってくるのではないか。こういうことを懸念しておりますけれども、これについてはどんなふうにお考えですか。
■麻生大臣
御指摘は御指摘として、正しいと思います。
基本的には、いろいろな意味でデジタル化というのは金がかかる話であって、今ありますテレビ局の地上波をデジタル化すると、平井先生もう前から言っておられるところですけれども、これは多額の投資を要求する部分がありますので、その意味では、確かに波はきれいになりますし、画面もきれいになるんですが、基本的には、デジタル化するという新たな設備投資というものは地方局にとっては結構な負担になるということだと存じますので、その意味では簡単な話ではない、私どももそれはそう思っております。
したがって、いろいろな、多様性とか資本の分散とかいうことをしないと危険だと思っておりますけれども、それに関して、資本を投資する側からいうと、投資した割の見返り、費用対効果の問題からいったら、なかなか、その分だけ返ってくるかなという気持ちを地方ローカル局の方が持っておられる率が高いというのは確かです。そういった意味では、これは確かに慎重に検討しなきゃ、今言われたような点は十分に配慮していかなきゃならぬところだと思っております。
■西村(智)委員
たびたび総務省の方から出てまいりますのは、放送の多元性と多様性と地域性、この三つを確保するために皆さんはお仕事をされているんです、こういうお話なんですね。
今、放送とかマスメディアの世界でいいますと、新聞社と放送局の横の系列があり、そして放送局、キー局とローカル局との縦、縦というのも位置づけ的には余り好みませんが、縦の系列がありということでありますけれども、どうなんでしょうか。少なくとも私が見ている範囲で申し上げると、ローカル局の方で地域番組を一生懸命つくっているところほど実は非常に経営は苦しい、キー局の番組を持