民主党の西村智奈美でございます。
きょうは、午後一番の質問者として一時間ほど時間をいただきましたけれども、まず冒頭、法案の審議に入ります前に、昨日、NHKの「日曜討論」の番組におきまして、極めて怒り心頭、まさに髪の毛が逆立つような思いがいたしましたけれども、自民党の筆頭理事の極めて不適切な発言に対して、断固として抗議を申し上げたいと思っております。
筆頭理事は以下のようにおっしゃいました。会期は鉄道でいえばレールみたいな話であって、レールの上に石を置くようなことはやるな、投身自殺なら男らしいが、こういうふうにおっしゃいまして、前半部分を発言したあたりで中井筆頭らの方から抗議の声が上がった、これは私の理解でございますけれども、そしてその後、不適切であったら取り消すがというふうにおっしゃいました。
しかし、そういった流れから見ますと、後半の部分、投身自殺なら男らしいということについて、山崎筆頭は撤回をしていないのではないかというふうに考えております。これについて、官房長官、どういった御見解をお持ちでしょうか。
前半の部分は、これはJRの事件が起こった直後であって極めて不適切であるということは皆さんからも御理解をいただけると思いますけれども、後半部分については、これは二重、三重の意味で人権を侵害しております。一つには、男らしいがと言ったこと、これは特定の固定的な価値観であって、その中に押し込めて、投身自殺を美化するようなことはあってはいけないことだと思います。投身自殺の悲劇に襲われた方々の気持ちもまた踏みにじる、そういう発言であると思いますけれども、いかがですか。
■細田博之内閣官房長官(男女共同参画担当)
山崎筆頭理事の御発言につきましては、私も詳細にはよくわかりません。また、真意もわかりません。これは現に現場において各党の理事がお出かけいただいていたというふうにも理解しておりますので、ぜひ理事会等で御議論をいただきたいと思います。(発言する者あり)
これは、政府の問題としては、今の問題は、山崎筆頭理事の政治家としての御発言の問題だと思っております。
延長の問題等につきましては、もちろん政府としては、ぜひこの問題の重要性にかんがみ、これを含みまして、今後とも成立に向けてよろしくお願いしたいという立場でございます。
■西村(智)委員
私がなぜ官房長官にお伺いをしたかと申しますと、官房長官は男女共同参画担当でもいらっしゃいます。そういったお立場から見識のある御発言がいただけるのではないかと思っておりましたけれども、もう一度伺います。いかがですか。
■細田長官
私も男女共同参画担当大臣でございます。ジェンダーの問題等、いろいろな問題が今社会の中でも提起されております。いろいろな例示の、古い発言とか古来の発言等もございますが、男だからとか女だからとか、あるいは女のくせにとか男だてらにとか、いろいろな言葉があるわけですが、こういうことはぜひ控えていただきますようにお願い申し上げます。
■西村(智)委員
私は、だてらにという言葉については伺っておりませんので、聞いたことだけについてお答えをしていただきたいと思います。
委員長、このことについては、この委員会全体の品位と品格にかかわることでございますので、ぜひとも理事会の方でしかるべき対応をとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
■二階俊博委員長
後刻、理事会において協議をいたします。
■西村(智)委員
それでは、法案についての質問に入らせていただきます。
今回の法案ですけれども、竹中担当大臣のリピート効果、サブリミナル効果がきいたのかと思いますけれども、民営化できるものはすべて民営にすればよろしい、それはある部分正しいことではありますけれども、日本国全体がそれを信じ込まされているように考えております。
中央省庁等改革基本法の問題については、この後、同僚の委員が質問するということでございますので、それについては譲っていきたいというふうに思いますけれども、私は、この法案によって日本が、今まさに人と人との関係、これから人口減少社会の中で極めて大切になってくると思われる公共、公の部分、パブリックの部分、これを壊す法案になるのではないかというふうに極めて懸念しております。
アメリカに滞在をしておりました私の友人が先日帰ってまいりまして、私のところに来て話してくれました。アメリカは、確かに民がそれぞれの力を発揮しあれほどの経済成長を支えてきた、しかし、最近は何が起きているかと申しますと、貧富の格差が固定化されてしまって、サクセスストーリーも奪われて、将来に向けて希望を失っている人たちがあふれている、こういう話でございました。これは近未来の日本の姿に重なってくるのではないかということを極めて憂慮しております。
かつ、年金そして医療、社会保障制度、日本には重要な課題が山積しておりますけれども、それらの問題を先送りして、この民営化の問題を何が何でもということでやるのは順序が違うのではないかというふうに考えております。
さて、郵政民営化法案でございますけれども、審議に入ります前にもう一点確認をさせていただきたいと思います。
延長問題に関連してですけれども、正式に発言されるというのはどういうことでしょうか。官房長官、お願いいたします。
■細田長官
先ほど、答弁中に、これは延長問題について聞いているんだと言われましたから、最後のおさまりのところが大事なのでございます。
それはもちろん国会でお決めになることであり、我々政府としては、何とかこの民営化法案を成立させていただきたいということでございますので、早期成立をお願いしたいという趣旨でございます。
■西村(智)委員
きっちりと理事会での合意に基づいて十分な質疑が行われることを閣僚の方から妨げられることはないと思いますので、ぜひその点御留意をいただきたいと思います。
さて、郵政民営化法案の第一条でございますけれども、大変に不思議な法案でございました。どういうことかと申しますと、閣議決定に則して、閣議決定された方針に則して行われる改革である、こういうことになっております。
ちょっと読み上げさせていただきます。第一条です。
「この法律は、民間にゆだねることが可能なものはできる限りこれにゆだねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資することにかんがみ、平成十六年九月十日に閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して行われる改革(以下「郵政民営化」という。)について、その基本的な理念及び方針並びに国等の責務を定めるとともに、」こういうふうに書いてあるわけでございます。
つまり、閣議決定された基本方針がこの第一条、民営化法案の目的条項に引用されております。私は、寡聞にして、閣議決定された方針というものが目的条項に入っているという法律をほかに知らないんですけれども、ほかにはこういう法律はございますか、竹中大臣。
■竹中平蔵郵政民営化担当大臣
この民営化法、基本法の第一章総則、その目的第一条についてのお尋ねでございます。
これはそもそも、法律におきまして郵政民営化はどうしてこういう形になっているかということでございますが、郵政民営化を定義するに当たりまして、このため他の用例を参考にしまして、例えば、持ち株会社のもとで四機能のそれぞれを分社化、株式会社化すること、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式については売却し、民有民営を実現すること、さらには、民営化は二〇〇七年四月に実施し、最終的な民営化の姿は遅くとも二〇一七年四月に実現すること、そういった基本的な考え方を示しておりますところの郵政民営化の基本方針を引用しているわけでございます。
西村委員お尋ねの、こういう閣議決定を引用している法律の前例があるのかというのが直接のお尋ねでございますが、戦没者の遺族等に対する援護関係の法律というのがございますが、この法律では、その対象者等を特定するに当たりまして、閣議決定に基づいて組織された○○の隊員というような規定例が複数見られるところでございます。
また、中央省庁等改革基本法では、中央省庁等改革について、これは閣議決定ではないんです、閣議決定よりも下の審議会の意見を引用する形で、行政改革会議の最終報告の趣旨にのっとって行われる何々の改革というような形で規定をしているというふうに承知をしております。
■西村(智)委員
戦没者のこと、あるいは中央省庁等改革基本法のこと、それらの法文については私も承知をしております。閣議決定などが引用されている法律というのは、調べてみましたらこれだけあるんですね。
ただ、この郵政民営化法案と決定的に違いますのは、中央省庁等改革基本法、それから実は司法制度改革推進法、これもそうなんです。こういったものの中では、審議会の意見を引用する例は確かにございます。ですが、それらは国家行政組織法に基づく合議制の審議機関の報告書を引用しているのであって、しかも、趣旨にのっとってというふうに書かれております。
今回の、「閣議において決定された郵政民営化の基本方針に則して」、そういう書きぶりとは圧倒的に違いがあるのではないかというふうに考えますが、改めていかがでしょうか。
■竹中大臣
趣旨にのっとってというような書き方もあると思いますが、この閣議決定された、これはもちろん文書でございます。閣議決定されたのは文書として閣議決定されているわけでございますが、その基本方針に則して行われるということでございますから、厳密には違うという御指摘でございましたら、厳密に全く同じじゃないということかもしれませんが、基本的な考え方としては、いろいろな、冒頭申し上げましたように、私たちは、法律におきまして郵政民営化を定義する、その必要に当たりまして、この基本方針にありますような分社化、さらには銀行、保険の売却、民有民営、そして時期等々の基本的な考え方を示しているところの基本方針を引用したものでございますので、その法律に目的を書く、定義するに当たっての一つの手法であるというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
基本方針に則して今回の法案が出されたというふうに今の竹中大臣の答弁からは理解することもできます、私は賛同いたしませんけれども。
そこで、仮にこの郵政民営化法案が基本方針に則した法案である、これはちゃんと文言で書かれておりますから、則した法案であるという前提に立ってこの法案全体を見てみますと、細かいところで食い違っているところが幾つか出てまいります。
例えば、基本方針では、3の(1)の(イ)、窓口ネットワーク会社について、「窓口の配置についての法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定」とする、努力義務規定とはっきり書いてございます。ところが、これが郵政民営化法案、郵便局株式会社法案に落とし込まれますと、その第五条で、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」これはどう見たって義務規定でございます。
そういう法案の流れの中で、委員会、本会議での答弁はまさに迷走しております。特に六月三日の小泉総理の答弁でございますけれども、総理は郵便局のふえる、減るということについてこういうふうに答弁をしています。「リストラする、統合再編する、減らす点、これはやはり経営者の判断を尊重しなきゃいけないと思う。」と。
これは明確に、経営者の判断にゆだねるという以外のほかの読み方ができないわけでございますけれども、竹中大臣、郵便局は銀行のように整理統合されることはあるということでしょうか。
■竹中大臣
西村委員は、設置基準、郵便局の設置に関しまして、基本方針と法律との関係についてお尋ねでございます。
確認のためでございますけれども、まず、この法律は、閣議決定された「郵政民営化の基本方針に則して行われる改革(以下「郵政民営化」という。)について、その基本的な理念及び方針並びに」云々ということでございますので、枠組みはそういうことでございます。
その上で、基本方針の中で、設置基準についてどのような考え方がとられているかということでございますが、これは、まず国民のアクセスをちゃんと確保しましょう、消費者の利便の観点からアクセスをちゃんと確保しましょうということを述べております。その上で、具体的な設置に関しましては、過疎地については特別の配慮をすることが必要でしょうということを書いております。そしてそれは、過疎地とそれ以外のところでは、基本的な設置の枠組みは違ってくることがあり得るということを示しているわけでございます。
実は、今回の郵政民営化の法案、それに基づく制度設計でございますけれども、御承知のように、第五条で、郵便局の設置について、「会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。」ということで、この利用者の観点からのアクセスについての確保を行っているわけでございます。
その上で、設置基準でありますが、過疎地については、基本方針は、過疎地について配慮するということで、「拠点維持に配慮する」ということを書いているわけでありますけれども、それに関連して、それを具体的な形にするという意味で、会社は、過疎地については、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に掲げる基準により云々ということでありますので、その過疎地の配慮についてこのような形になっている。
一方で、人口の稠密地域については配置を見直すということを基本方針で書いておりますけれども、この法案及び省令では、こうした問題については、住民の需要に適切に対応する、ないしは、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に配置するというふうに規定しているところでありますので、その範囲で郵便局会社の民営化の趣旨を踏まえて、経営の自由度を確保しながら、住民のアクセスが確保されるように、その社会的機能を引き続き果たしてもらえるような仕組みを考えているところでございます。
したがいまして、基本方針の趣旨に沿ったものになっているというふうに考えているところであります。
〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
■西村(智)委員
何をお答えいただいたのか、私よくわからないんですけれども、どういうことなんですか。つまり、総務省令の基準に沿って設置するようにと努めてもらうけれども、最後は経営者の判断にゆだねる。つまり、三つ、私の理解ですと、基本方針と第五条と総理の答弁、すべて食い違っているように思えるんですけれども、その点についてはどうなんですか。どれが正しいんですか。
■竹中大臣
先ほど申し上げましたように、基本方針も法案もまた総理の御答弁も、これは一致をしているわけでございます。
基本的な考え方と申しますのは、まず、これは利用者の利便を考えまして、全国でしっかりとアクセスできる、そのアクセス、局に対するアクセスを確保するというのが重要なポイントでございます。これは、利用者の利便の観点からアクセスを確保すること。
一方で、これは民営化の趣旨でございますけれども、民営化でございますから経営の自由度をできるだけ持っていただきたいわけですけれども、この拠点の重要性にかんがみまして、まず過疎地については、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持するということを旨として設置するということを、これは設置基準に記するわけでございます。これは、基本方針で書いているように、「過疎地の拠点維持に配慮する」ということを具体的な形にしているわけでございます。
それ以外のところにつきましては、その設置基準を三つ掲げるわけでありますが、これは今の公社の設置基準と遜色ないものになるわけですが、地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること、いずれの市町村についても一以上の郵便局が設置されていること、交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること。
私が先ほど申し上げましたような基本方針の考え方というのは、このような形で法律及び省令に具現化されているわけでございます。総理の御答弁も、そのような範囲の中で御答弁をされたものというふうに承知をしております。
■西村(智)委員
非常にあいまいな言葉がたくさん盛り込まれておりまして、国民の目、国会の目を欺こうとしている意図がまさに見え見えなわけでございますけれども。
竹中大臣、もう一回聞きます。郵便局は銀行と同じように整理統合されることはあるんですか。
■竹中大臣
銀行と同じではございません。
まず、設置基準がございます。設置基準を定めまして、その上で、それについては、銀行は商法の一般会社でございますが、この郵便局会社は特殊会社でございますので、特殊会社として総務大臣の一般監督を受けることになります。設置基準を守っているかどうかということも総務大臣の一般監督の権限の中に当然入りますので、それに対しては、場合によっては報告徴求や命令もあり得るということでございます。
また、さらに申し上げれば、民営化委員会が三年ごとに郵政の民営化についての検証を行いますが、その中には局の配置等々も含まれますので、それについて民営化委員会が意見を言うことはあり得る。それにまた、その場合に政府としては、しかるべく対応する。その意味では、一般商法会社の銀行の店舗の整理統合とは、これはおのずと違ってくるというふうに思っております。
■西村(智)委員
午前中の質疑にもあったんですけれども、この設置基準が総務省令に定められるということでございました。(発言する者あり)後ろから盛んにやじが飛んでおりますけれども、今の御答弁でだれもが納得できるものではないということだけは強く申し上げておきたいと思います。
総務省令は、国会が関与することのできないものでございます。どなたかも午前中おっしゃっておられました。麻生大臣は地域のことがよくおわかりですので、麻生大臣の間は、地域のニーズに対応できる郵便局を一局も減らさない、そういう方針のもとでやってくださるかもしれませんけれども、この後はどうなるかわからないわけでございます。
とりわけ、経営者の判断ということになってまいりますと、もう何度も繰り返されてきた論点でありますけれども、経営者が最優先に考えるのは何かということをよくお考えいただきたいと思います。やはり利潤追求、そして財務の健全性、こういったことになってくるんではないでしょうか。そういうときに、採算性の悪いところ、不採算の地域があったときに、それを削ってネットワークを構築していくか、そういうことも考えるというのが、これは経営者としては当然の経営判断であろうというふうに考えております。
今の答弁では極めて不十分でございますけれども、竹中大臣のほかの閣僚の皆さんにもぜひ伺いたいと思っております。
先ほど、私、基本方針とそれから法案と小泉総理の答弁が全くばらばらではないかというふうに申し上げました。これについて、各大臣はどのようにお考えでしょうか。一言ずつお聞かせいただければと思います。官房長官から。
■竹中大臣
我々、こうして同じ委員会に同時刻に、内閣の中のそれぞれの担当も考えながら、お呼びいただいて出ておるわけでございます。そして、それぞれが同一の責任を持っておりますので、この問題につきましては竹中大臣がお答えしたとおりでございまして、全く差異はございません。
■石破茂委員長代理
西村君、指名していただけますか。
■西村(智)委員
北側大臣、谷垣大臣、そして伊藤大臣、麻生大臣の順でお願いします。
■北側一雄国土交通大臣
竹中大臣と同様でございます。
■谷垣禎一財務大臣
今まで御答弁がありましたことと同じでございます。
■伊藤達也金融担当大臣
今まで御答弁があったとおりでございます。
■麻生太郎総務大臣
今の御質問ですけれども、何を聞き出したいのか意図がよくわからないんですが、基本的には、努力規定からいろいろな努力をされた結果なのであって、食い違っているというような種類の話ではないと存じます。
■西村(智)委員
これは子供の作文、国語力の問題かというふうに思いますけれども、基本方針と法案と、そして総理の答弁がすべて違う中身であるというのは、常識的に考えてだれもが言えることではないかと思いますけれども、それについて竹中大臣はごまかすような答弁を続け、そして、ほかの閣僚の皆さんもそれと同じ意見であるというような、こういう無責任な閣僚にはぜひともこの法案の審議からおりていただく、まず内閣の総辞職をしていただきたいというふうに強く要望したいと思っております。
さて、私が先ほど言っておりました設置基準の問題は、金融サービスの利便性の維持と深くかかわってくる論点でございます。
これまでにも何度も論議がありましたけれども、本業のない窓口ネットワーク会社が立ち行くわけはないと私も考えております。箱物、郵便局の設置だけを仮に、先ほど竹中大臣以下御答弁くださったように、設置基準で義務づけがあったとしても、その箱に入れる中身、金融サービスが義務づけられていなければ、全く整合性はとれていないというふうに考えております。まさに、箱だけ義務づけて中身は義務づけないというのは矛盾した法律の中身になっているというふうに考えております。これについても法令できちんと書き込むべきであるという観点から、幾つかお伺いをしたいと思っております。
竹中大臣は、五月二十七日の郵政民営化に関する特別委員会で、金融のサービスを確保する仕組みとして四つの方策を考えておられるというふうに答弁いたしました。一つは先ほどの設置基準、二番目は安定的な代理店契約、三つ目はその契約が長期も可能であるということ、そして四つ目は基金の活用ということでございましたけれども、大臣、そのとおりでよろしいですか。
■竹中大臣
基本的には、まず拠点を確保して、その拠点でしっかりとサービスがなされるように代理店契約がある。それが、最低限移行期間をカバーするということがみなし免許の条件でありますけれども、それが長期になることも妨げないということを確かに申し上げました。そして、その上で、基金の、ネットワーク価値の低下があるような場合は地域・社会貢献基金も活用できるような仕組みにしている、そのような趣旨のことを答弁させていただいたと記憶をしております。
■西村(智)委員
安定的な代理店契約についてなんですけれども、竹中大臣、六月九日の郵政特で、以下のように答弁をされております。すべての郵便局を代理店とする旨の契約をみなし免許の条件とする、そのことを個別に条件として求めているわけではありません、そして、同じ日でございますけれども、ビジネスを続けるに当たっては、そういうこと、一括契約するということが当然のことながら想定されるというふうに答弁をされております。
重ねてになりますが、この経営判断、ネットワークの価値がいかにして高まるかという経営判断は、当然ながら経営者が行うわけでございます。委託の範囲を見直した方が価値が高まるというふうに経営者が判断すれば、委託の範囲を見直されるということになるのではないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
■竹中大臣
まず、先ほど西村委員が箱という表現を使われたと思いますが、局の設置があってもその箱が空っぽであっては何もならないではないか、もたないではないか、そういう御指摘があったかと思います。
念のために金融の御説明をいたしますが、まず、局に関しては、まずもって郵便の業務については提供義務を課すわけでございますので、ここは一つのコアビジネスとしては郵便としてある。その上で、西村委員は金融のお尋ねをしておられるということであろうかと思います。
まず、みなし免許。これは、銀行、保険、二〇〇七年の三月三十一日まで通常に営業をしております。それが四月一日以降も滞りなく業務を続けるというためには、いわゆるみなし免許を付与する必要がございます。改めて銀行業を開くことを申請して、それを審査するという時間がございませんので、みなし付与する。そのときに、この移行期間中は安定的な代理店契約そして保険募集委託契約があることを免許の条件として付すこととしている。私が以前申し上げましたのは、その条件となりますのは、安定的な代理店契約そして保険募集契約ということでございますので、個々の云々とかそういう細かいことを法律上の条件にしているわけではないということを申し上げたわけでございます。
しかし、業務が円滑に行われて、銀行としての健全性が保たれるために安定的な代理店契約は必要だ。その中身は何かということをやはり考えていきますと、これは、三月三十一日まで全国津々浦々のネットワークを活用して地域密着型の営業を行ってきた、そういうビジネスを行ってきたところが引き続き、みなし免許を受けるに当たってはそういうビジネスを続けるというふうに当然のことながら想定をされるわけでございます。
これを、例えばその一部を切り捨てて、あるいはかなりの部分を切り捨ててということになりますと、やはり円滑な業務、安定的な経営というのはできないわけでございますので、その意味では、全国津々浦々でひとしくサービスが受けられることを最大の強みとするビジネスモデルを基本的に支店を有さない郵貯銀行等が事実上継承するという点を踏まえまして、この円滑な業務運営や経営の健全性の観点から代理店契約を義務づけるというものでございます。
この契約状況は、したがって、両社で単に契約を締結すればよいというものではなくて、過疎地を含めまして、これは広く、郵便局窓口でひとしくサービスが提供されることを想定したものと解すべきでありまして、かつ、この契約の移行期間中の継続義務というのはその後の金融当局の検査、監督できっちりとフォローされることになるという仕組みでございます。
■西村(智)委員
いつも思うんですけれども、当然のことながら想定される、しかも安定的な契約というようなことで、非常にこのあたりがわかりにくいなと思っております。安定的な契約という中身は一体何なのか。
そしてまた、当然のことながら想定されるということですけれども、想定されないこともあるわけですよね。そうしますと、これは安定的な代理店契約にはならないわけです。そのことの危険性と申しますか可能性については、大臣は少しは思いをいたしたことがありますか。
■竹中大臣
民営化するというのは、経営者が当然のことながら適切な判断をするということを前提にして、その上でさらに、これは特殊会社でありますから、総務大臣の監督権限、金融の部分に関しましては金融庁の監督ということをさらにつけ加える形で、しっかりとして制度が実効性を持つ、実効性を担保するという仕組みをつくっているつもりでございます。
だから、代理店契約と保険募集契約の中身についてということの御懸念、西村委員は御指摘だと思いますけれども、具体的な内容については、これは確かに契約当事者でございます銀行、保険会社と郵便局会社において定められることになる。また、代理店契約の内容は、これは公社の業務等の継承に係る実施計画に織り込まれることになります。つまり、代理店契約がどうなるかというのは業務継承のときの実施計画に織り込まれますので、実施計画を策定する準備企画会社の経営委員会におきましてグループ全体の経営戦略を考える中で決められていくことになります。
いずれにせよ、その代理店契約が安定的なものとして免許条件をクリアしなければなりません。この免許条件をクリアするためには、例えば契約期間については、最低限移行期間をカバーするものであるということも重要でありますし、当事者のいずれかから一方的な契約解除ができないものであるということなどが求められると思います。そして、この点につきましては、この実施計画の中に代理店契約等に係る事項を記載させます。そして、主務大臣である内閣総理大臣、金融庁及び総務大臣が審査の上、認可するということで、そこで担保することができるという仕組みにしてございます。
■西村(智)委員
聞いておりますと、監督ですとか認可ですとか、民間会社とはいいながら非常に規制の多い民間会社だなというふうに感じます。こんな民間会社、ほかに、まああるんでしょうけれども、ここまでいろいろな縛りをかけてわざわざ郵政公社を民営化させる必要があるのだろうかと、改めてこのことは強く感じさせていただきました。
金融サービスの利便性の維持について、竹中大臣の御答弁の中での三点目に質問を移したいと思います。
その契約が長期も可能であるということについてでございますけれども、今度は伊藤大臣の御答弁です。
五月三十一日の郵政特で大臣は以下のように御答弁されています。「移行期間を上回る長期の契約を締結することも制度上は妨げられていないですが、かかる契約を締結するかどうかは、民営化後の会社の企業価値の最大化を追求する経営陣の経営判断によるところとなります。」と。
伊藤大臣、代理店契約の長期化、これはあくまでも経営判断ということになりますか。
■伊藤大臣
移行期間中をカバーする安定的な代理店契約を結ぶことを、みなし免許を付与するに当たっての条件といたしているところでありますし、また、移行期間を超えて代理店契約を結ぶことは妨げないといたしているところでございます。
五十年とか百年とか、ある意味では経営の条件というものを固定してしまう、そうしたことになると、これは経営の健全性の確保という観点から、必要な範囲というものを超えているのかどうかということで、全体のビジネスモデルとして検証していくことが必要だというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、ビジネスモデルに照らして、そして経営の健全性というものを確保していく、そうした観点から適切な契約がなされていくものと考えております。
〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
■西村(智)委員
二つ、関連してお伺いがあります。
何年まではよろしいんでしょうか、五十年がだめということでしたら。
もう一つは、十年を超えない計画であるという場合には認可を拒否されるのですか。認可を拒否するための法的な根拠というものはどこにあるんでしょうか。
■伊藤大臣
まず、後段の方になりますけれども、これは、みなし免許を付与する条件として安定的な代理店契約を結ぶことを求めているわけであります。そうしたことが実施計画、承継計画の中にしっかり記載されているかどうか、そのことを主務大臣が確認をする、そして銀行法上の観点からも問題がないかどうか審査をするということになります。
それから、どれぐらいであればいいのかということでありますけれども、具体的に、移行期間を超えてどの程度の期間の契約が望ましいか、そのことを一概に言うことはこれは困難であるというふうに思っております。ビジネスモデルに応じて健全な経営がなされるよう適切な契約が締結されるものと考えております。
■西村(智)委員
どうもはっきりしたお答えがいただけないようで、このままこの法案が通ったときに一体どうなるんだろうかという不安を改めて強めるところでございます。
四点目の、基金の活用について最後に伺いたいと思っています。
政府・与党の議論の中で、一兆円を超えて二兆円まで積み立てることも可能、こういうふうに全く意味のない合意がなされております。
これまでの議論の中では二兆円でも足りないのではないかということがありましたけれども、経営者の立場に立ってこの二兆円という額を考えてみれば、やりたくない、どちらかというとそういうふうに考えるのではないでしょうか。つまり、自分の経営資源の使い道をみずから縛るような利益処分になるということですから、そういうことを果たして喜んでやる経営者というのがいるのだろうか、利益追求に不熱心な経営者をどこかから探してくるということなんでしょうか。この点について伺います。
■竹中大臣
まず、基金でございますけれども、これは、基本的には地域、社会への貢献、特に、地域貢献としては金融のサービス等々を想定しているわけでございます。
私たちは幾つかの段階で金融サービスが安定的に提供されるような仕組みをつくっておりますが、それでもネットワーク価値が低下して過疎地等々でそういうサービスが提供されない、にもかかわらず、やはり地域でそのようなニーズが非常に強い場合にこういうものを活用しよう、社会貢献基金に関しては、第三種、第四種の郵便物の一部についてそれを使用できるようにしようという趣旨でございますけれども、基本的に、私たちの積算、これは、積算の根拠はまた必要がございましたら後でお話しさせていただきますが、年間百八十億円程度ということを想定しておりまして、この一兆円の積み立てを行うということで、これは十分にカバーし得るというふうに私たちは想定をしております。
しかしながら、これはさらにそれを上回って上限を設ける必要はないというふうに考えております。いろいろな事態も想定されますので、一兆円の積み立てを行うということを義務づけるわけですけれども、それが完了した後においても、それまでと同様の規律のある配当のもとで利益の留保と運用益の確保に努めまして、そしてそれらを基金に組み入れることによって、総額二兆円に達するまで積み立てを継続できるというふうに政府・与党の間で合意をしているところでございます。
繰り返しますが、積み立てに上限を設定する必要はない。これはさまざまの状況で判断をされるわけでございますけれども、基本的には、私たちは、今申し上げました地域、社会の貢献事業、想定している限り一兆円、これまでのある程度の低金利を想定しても十分足るというふうに思っておりますけれども、上限を設定する必要はないということで、政府・与党の合意で、二兆円に達するまで積み立てを継続できるものとするというふうにしたところでございます。
■西村(智)委員
二兆円まで積み立てることができるというこの合意に、何か意味があるのでしょうか。私には何も意味がないように思えます。この二兆円まで積み立てることができるとしたその根拠について、御答弁ください。
■竹中大臣
この持ち株会社でございますけれども、地域貢献・社会貢献業務の安定的な財源を確保するために一兆円積み立てるということが義務づけられている、求められております。一兆円あれば、この運用益で資金交付に充てることができる、不足することはないと基本的に私たちは考えるわけですが、法律上、一兆円を超える金額について積み立てを義務づけることまでは適当ではないというふうに考える。
他方で、この基金の積み立ての上限を設定する必要はないと考えられますけれども、これは与党との合意におきまして、持ち株会社は、社会貢献・地域貢献業務をよりしっかり行うため、必要に応じて基金を積み増すことが経営判断により可能であるという趣旨を明らかにすることが適当であるというふうに考えましたことから、総額二兆円に達するまで積み立てが継続できる旨を定めたものでございます。
それで、先ほど、過去十年の平均の国債の利回りが一・八%ということで、一兆円あれば一・八%、百八十億、それで資金交付ができるというふうに考えているわけでございますけれども、これは、例えば短期的とはいえ、この運用利回りが過去最低水準になったような場合、実は二〇〇三年の十年国債平均金利というのが〇・九八%なのでございますけれども、そういうふうに、短期的とはいえ運用利回りが過去最低水準になった場合等、不測の事態を考慮して、仮にこの運用利回りが一%を切った場合であっても、百八十億程度は確保できる等を勘案しまして二兆円としたものでございます。
■西村(智)委員
運用利回りが一%を切ったときのために、では二兆円まで積み立てることも可能というふうにしたということですか。
これは条文のどこにも書いていないわけでございます。政府・与党の合意でこうなったということでありますけれども、担保されていないものを私たちは信用するわけにはいきません。
これまでも大臣は、政府としての見解であると答弁をされたり、あるいは中央省庁等改革基本法のときには個人的な政治家の信条であるとおっしゃったりいたしまして、この委員会での審議の中でもたびたび、私は、これは政府見解なのか個人的な信条なのか確認したい思いに駆られることがあります。
担保されていないものを私たちは信用することができないわけでございまして、つまりは、金融サービスの利便性の維持ということについても、すべてこれは経営者の判断による。法的には全く措置されていないものを、あたかも措置されているがごとくこの委員会の中で答弁をされるのはやめていただきたいと思います。
経営者が株主あるいは潜在的な株主である投資家の意向に左右されるということを考えたときに、この委員会の中で質疑をされていた中身が担保されるという保証はどこにもないわけでございまして、今後、国民と国会をだますような発言、金融の利便性はこれまでどおり維持されるというようなことは、私に言わせればうそです。そういったことはこの中ではもう言わないでいただきたい、そういうふうに約束していただきたいと思いますが、どうですか。
■竹中大臣
私どもは、金融の利便性、消費者の利便を考えまして、そういうサービスを確保していくことが極めて重要であるという認識のもとに制度をつくっておりまして、そして、それが十分に担保されていくものというふうに考えましてこの法案を提出させていただいております。
確認のため申し上げますけれども、この基金の積み立ての上限を設定する必要はないと考えられますけれども、与党合意におきまして、この持ち株会社は、社会貢献・地域貢献業務をよりしっかり行うため、必要に応じて基金を積み増すことが経営判断により可能であるとの趣旨を明らかにすることが適当であると考えております。
そして、これは、会社の定款において総額二兆円に達するまで積み立てを継続できるものとする旨を定めさせるという考えでおります。これは定款でございますから、定款変更が可能であるためには三分の二以上の株主の特別決議が必要でございます。持ち株会社は政府が三分の一超の議決権株式を保有する会社でございますので、これは政府の意向を無視して定款を変更することもできないわけでございますから、その意味も含めまして、サービスの確保に関しては万全を期した制度設計にしていくつもりでございます。
■西村(智)委員
これはおわかりですよね、法案の中には一兆円としか書いていないわけでございます。(発言する者あり)一兆円まで。このことは、大臣御存じないわけないと思いますけれども、それでどうしてこういう答弁になるのかわかりません。
何年かけて一兆円積むことになるんですか。
■竹中大臣
年限について定めてはおりません。
ただ、これは基本的に、今の骨格経営試算等々で想定されております枠組みの中で、この一兆円を確実に積み立てることは十分に可能であると考えております。基金の原資としましては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の売却益、配当収入等を充てることとしておりますけれども、これは企業一般の配当の動向を考慮して積み立てたとしても、骨格経営試算や同業他社の株式時価等を考慮すれば、移行期間が終了するまでには一兆円の基金を積み立てることは現実には可能であるというふうに考えております。
幾つかの例を申し上げますと、骨格経営試算におけます資本の額でありますけれども、郵便貯金銀行が二・五兆円、郵便保険会社が一・四兆円、合計三・九兆円でございます。これは資本の額であります。株式を売り出したときにこれがどのぐらいになるか、これはマーケットの中ではいろいろな見方があろうかと思いますが、資本の額、いわゆる簿価でございますけれども、それが三・九兆円ございます。
それと、骨格経営試算におけます事業会社の十年間の税引き後利益の額でございますけれども、郵貯銀行が二・六兆円、保険会社が〇・二兆円、郵便事業会社が〇・二兆円、郵便局会社が一・〇兆円で、これは合計四兆円ということになります。
さらに加えて申し上げますと、郵便貯金銀行から持ち株会社に支払われる交付金がございます。この交付金、政府保証を受けている分に対応する預金保険料をみなしとして交付するという仕組みでございますけれども、これも基金の原資となり得るものでございますけれども、その額は十年間で、これは金利フラットのケースで最大約六千億円程度と想定されております。
今のような状況から考えまして、一兆円を期間内に積み立てるということは十分に可能であるというふうに考えているところでございます。
■西村(智)委員
長々とむだな、必要のない答弁をしていただきましたけれども、私の質問は、何年かけて積むおつもりなのかということでございます。端的にお答えください。
■竹中大臣
法律で義務づけておりますのは、一兆円までを積まなければいけないという、それの義務づけでございます。あとは、利益の動向、さまざまな要因等々を踏まえて、これは経営判断もそれに加わってしっかりと積み立てられていくというふうに考えております。
■西村(智)委員
当初は一兆円ですよね、今は一兆円でございますけれども、百八十億円、これを下回ったらどうするんですか、金利で。百八十億円を下回ったらどうするんですか。積めなかったというときに、下回ったらどうなるんでしょうか。
■竹中大臣
これは、そのときの社会貢献、地域貢献に対するニーズがどれだけあるかということにも関連をいたしますが、基本的な基金のルールについて申し上げますと、基金の運用によって生じた収益は、これは社会・地域貢献資金の交付の財源に充てるほか、当該収益の生じた事業年度中会社の他の支出の財源に充ててはならない。そして、基金は取り崩してはならない。ただし、基金の運用により生じた収益のみによっては社会・地域貢献資金の交付の財源を確保することができない場合であって、社会・地域貢献資金が交付されないことにより郵便事業株式会社または郵便局株式会社の経営努力のみによっては社会貢献業務さらには地域貢献業務の実施が困難となり、地域社会の安定に重大な影響を及ぼすおそれがあると認められるときはこの限りではない。
そのようなルールになっております。
■西村(智)委員
どうも議論がかみ合わないようなんですけれども、こういった会社を果たしてだれが面倒を見てくれるのか、極めて先行き不透明な、おかしな形の会社になるのではないかというふうに心配をしております。
実は、続いて骨格経営試算と採算性に関する試算、それから、私は新潟の衆議院議員でございますので、昨年被災した新潟県中越地震のそのときの対応を見ておりまして、いろいろ疑問のある点がございましたので、そのことについても質問をしたいんですけれども、時間が少し迫ってまいりました。一点だけ質問したいと思います。骨格経営試算と採算性に関する試算。
私たちが判断する材料は、民営化、四分社化したときに国民の資産価値を守りながらそれぞれの会社がやっていけるかどうかという材料は、この試算によるところでございます。ところが、この計算の根拠というものは極めてあいまいですし、説得的ではない。試算の切り分けについても機械的にやっただけの相当乱暴なものでありますし、希望的観測に基づいただけのものであるというふうに考えております。
時間の許す限り、一点お聞かせいただきたいのですが、郵便事業会社で行うとされる国際展開でございますが、国際物流の収益見込みを二百億としております。ただ、この収益率五%、これは国内大手フォワーダーの上位の平均値であって、これをいきなり郵便事業に当てはめるのはいかがなものかというふうに考えます。これは日本通運でも収益率は三%だと聞いておりますし、逆算いたしますと、郵便事業会社、国際物流分野の売上高を四千億程度ということに予測している、そういうことになりますけれども、その根拠は一体何でしょうか。
■竹中大臣
骨格経営試算そのものに関しましては、これは趨勢的な動向の積み上げではなくてマクロ的に把握する、そして枠組みを確認するという目的で行われているものでございます。
直接お尋ねの国際物流の問題でございますが、これは骨格経営試算に追加して行われました収益性に関する試算、新規業務の中で挙げられた数字を委員は御指摘であろうかと思います。この数字、決していきなり挙がっているわけではございませんで、十年後の完全民営化された時点での想定でございますので、これはやはり大変時間のかかる業務展開になろうかと思いますが、生田総裁も大変意欲を持っておられますので、しっかりと十年間で育てていただきたいというふうに我々は思っております。
その業務の想定でございますけれども、十年と申しましたが、中長期的には、主要インテグレーターの例等々を見ましても、売上高の約二割が国際業務に依存しているというような、そういう姿を想定している、そこから二千億という数字が出てまいります。そして、利益率は、これは国内大手のフォワーダー上位の平均値でございますが、これは当然のことながら、本当に努力をいただかなければいけないわけでございますが、十年の期間をかけてそういった国内の大手並みの収益力をしっかりと身につけていただきたい。
ちなみに、公社御自身は、これは国際物流だけではございませんが、この利益水準全体に関して、やはり民営化する以上、目標とすべきものであるというふうな御認識をお示しだと承知しております。
■西村(智)委員
それは十年かけて達成することを期待されている目標数値であって、それが民営化されたらこれだけ黒になりますよということの根拠となる数値として持ってくるのは、国会審議の材料としては余りにずさんであるということを申し上げたいと思います。
保険会社、第三分野の新規契約数二百三十万件、これも全く根拠がありません。コンビニエンスストアの利益率九%、国内一番最大手のセブンイレブンでも七・二%、ほかのチェーンでも、フランチャイズでも二%や三%台です。
本当にずさんな材料しか提出をできない今回の法案審議は、私は、これはやはり廃案にしていただいて、改めて審議をし直す、改めて法案をつくり直して出してくださるというのであれば私たちもまじめに議論をしたいと思いますけれども、こんなひどい数字では、こんなひどい内容の法案では審議にならない、そのことを最後に申し上げて、時間になりましたので終わります。