■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
私の選挙区は新潟県第一区でございまして、今回、災害報道では、大きな国民の関心を呼ぶのにNHKの公共放送の役割が果たしてくださったものは本当に大きかったと心から感謝を申し上げたいと思います。
が、しかしでございます。今回の続く不祥事には、本当に私も失望をいたしましたし、国民の皆さんからは受信料の支払い拒否ということで、本当に大きな影響を生み出しております。このことを踏まえて、今回をきっかけにNHKが生まれ変わるという姿勢をぜひとも見せていただきたいと思っております。
さて、最初の質問なんですけれども、少し通告の順序とは違うんですが、先ほど山花委員が言及しておられたことについて、一点お伺いをしたいと思っております。
先ほど、答弁の中で、番組基準ハンドブックですとか放送ガイドラインというようなお話がございました。これ、実は私も見せていただけませんかというふうにお願いをいたしましたら、公表していないんだそうでございますね。情報開示の請求によっては開示をしないということで、見せていただくことはできなかったわけでございますけれども、実は、そのハンドブックあるいはガイドラインの中に、例えば今ほど山花委員が言及された放送と商業主義との関係ですとか、午前中、野田委員が言及された子供向けの番組はいかにあるべきかということが事細かに書かれているのではないかというふうに想像いたしておりますけれども、これは公開できないんでしょうか。
私、この間、ずっとBBCを調査研究の対象として見させていただきました。BBCのホームページを見ますと、プロデューサーズ・ガイドラインといいまして、数百ページにも上るガイドラインが全部、丸々公開されております。時代とともに変遷していくものであればあるほど公開をして、一般視聴者の皆さんの目で見ていただいて、そうしてまたNHKの自律につなげていくということが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
■出田幸彦参考人(日本放送協会理事)
お答えいたします。
まず、私どもNHKといたしましては、公共放送としてのいわば客観性とか公平性、これを確保するためのよりどころとして、国内番組基準あるいは国際番組基準というのを自主的に制定しております。これにつきましては公表をいたしております。
それから、先生お尋ねの番組基準ハンドブックでございますけれども、これは実はあくまでも部内用の資料ということで編集しております。と申しますのは、このハンドブックに書かれています内容は、非常に個別事例が書かれております。過去の事例、特に具体的な事例を例示しながら、取材上あるいは放送上の諸注意を書いてございますけれども、編集の自由にかかわる内容も含まれておりますものですから、そういう意味ではNHKのノウハウというところもありまして、NHKの情報公開規程でも、放送番組の全般または一分野について、内容、制作工程等を規律する目的で作成した文書、これにつきましては開示の求めの対象外とさせていただいていますので、この番組基準ハンドブックについても部内用の資料という形で編集しております。
■西村(智)委員
個人が特定されるという理由で公開されないのであれば、その事例の部分だけ除いて公開するということは考えられないんでしょうか。
今回、夏の不正支出の後に、NHK倫理・行動憲章、それから行動指針が策定されました。これがNHKのホームページには公開されておるわけですけれども、これもまた職員の皆さんがみんなそれにサインをしたということだそうですけれども、内容を見てみましたら本当に精神論に終始している、具体的な事柄というのはほとんど見られないわけでございますね。
どうですか、公開について。
■出田参考人
この番組基準ハンドブックの内容、先ほど申し上げましたとおり、非常に具体例を書いてございまして、これを外すとほとんど内容がなくなってしまうぐらい、具体例がすべてでございます。
ただ、申し上げましたとおり、番組基準そのものは私ども自主的に制定したものがございますし、これは公表しておりますので、そういう意味では、基準という考え方でいえば、既に公表してあるというふうに御理解いただきたいと思います。
■西村(智)委員
私もその実物を見せていただいたことがないわけですから、よくわからないんですけれども、実際にBBCのホームページを見ていただきたいと思うんです。恐らくそこに書かれている程度のものなのではないでしょうか。NHKは、公共放送のあり方をつくり上げるときに、BBCのあり方を非常に参考にしたというふうに聞いております。
いろいろな政治的な関係があって、今回、BBCも随分揺れているそうでございますけれども、それでも高い独立性と公平性を今まで維持してこれたのは、そういうふうにBBCが番組制作のときに、一般ユーザー、視聴者の方をしっかりと見続けてきたからだ、こういうふうに思うわけでございまして、内部のことだけではなくて、視聴者の目に番組制作のガイドラインなどを明らかにすること、これはぜひともやっていただきたいと思います。さらに伺います。
〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕
■出田参考人
BBCの例を御指摘になりました。私も詳細は承知しておりませんけれども、BBCの場合、プロデューサーズ・ガイドラインというのを公表しております。ただ、これは私どもが持っております放送ガイドライン、もう一つございますが、そちらに近いものだというふうに受けとめております。
そういう意味では、先ほどからあります番組基準ハンドブックは、非常に詳細な、具体例でございますので、現段階では公表するという考えではございません。
■西村(智)委員
それでは、次の質問に移りつつ、先ほどの関連なんですけれども、今回の不祥事の後にコンプライアンス推進室というものが新しく設置されたというふうに伺っております。政治的圧力があったかどうかということについて調査をしてまとめた調査結果報告書、これがことしの一月十九日に出されたそうでございまして、報道資料でございますので見せていただきましたけれども、これを見て私は実は大変驚きました。
先ほどの話を蒸し返すようで大変恐縮なんですが、一点確認をさせていただきたいと思っております。
二枚目、(三)でございます。黒丸の三つ目、こういうふうに書かれておるんです。「事業計画の説明等に付随して今後放送される放送番組についての説明を行うことも通常行われていること」。「通常行われている」、つまりNHKの新年度の事業計画の説明に合わせて今後放送される放送番組の説明を行うことは通常行われていることだ、こういうふうに記載されておりまして、私、これは実は大変驚いたんです。
先ほどの質問の中で、事前説明はやらない方がよろしいんだというふうな答弁で理解したけれども、では、一体これはどういうふうに理解したらよろしいんでしょうか。また、事前に説明を行うということは通常本当に行われているんでしょうか。私は一期生だからかもしれませんが、一度も受けたことはありません。どうでしょうか。
■宮下宣裕参考人(日本放送協会理事)
その調査報告書をまとめたのは私でございますので、私がお答えいたします。
まず、通常という意味の中には二つございますが、予算、事業計画を国会議員に事前に説明するということは通常行われているわけですね。そのときに、番組に関して、私ども実は、番組の趣旨とかねらいなどは、番組が放送される前に、国会議員だけではなくて視聴者の皆さんに、大体一週間ぐらい前になりますとほとんど公開しているんですね。それは、そういう広報資料をつくりまして、新聞社とか雑誌社に配りまして、問い合わせがあればお答えしております。つまり、番組の事前の説明というのは、一般視聴者に対して通常行われていることなんですね。それで、そういう事業計画とか予算の説明のときに、その範囲の説明をすることは、あったとしてもそれは通常のことだということをそこでは申し上げていることでございます。
■西村(智)委員
そのことは放送ガイドラインあるいは番組基準ハンドブックなどに記載されておりますでしょうか。
つまり、いろいろな疑問を生んでおるとおり、この番組の事前説明ということは、事前検閲につながりかねない非常にセンシティブなことだというふうに思うんですね。ですから、私は、つまり、編集権の独立というものをしっかりと確保するために、ここまではやる、ここから先はやらないというふうな明確な基準、ガイドラインをはっきりと示して、こういう基準でNHKは事前の説明を行っていくんだということをやるべきではないかというふうに思って、それで先ほどからガイドラインの公表ですとか事前説明のことについてお伺いをしているんですけれども、いかがでしょうか。
あわせて、つけ加えてもう一点、これは提案も兼ねて質問させていただきます。
そういう事前の説明をするというとき、あるいは政治家にそういった番組の事前の説明をするというときに、報告を必ず義務づけるということはいかがですか。上司、理事会あるいは経営委員会、こういったところにきちんと報告をする、それもまたその説明を受ける政治家の方にはきっちりと伝える。これはルール化していただきたいと思いますが、いかがですか。
■宮下参考人
先ほどから申し上げておりますが、事前説明というのは番組を事前に説明することなんですが、それは国会議員の皆様方だけではなくて、視聴者の皆様にもやっていることなんですね。その範囲の中のことを国会議員に説明することもあるということを申し上げているのであって、もちろん、おっしゃるように、編集の自主自律とか、そういうものにかかわるような説明の仕方があってはならないと思いますし、そういうことが今まであったということはございません。
それで、今のようなことはもともと放送法にも定められておりますし、それから、我々の倫理・行動憲章にも定められておりますので、何人にも影響されずに放送の、編集の自主自律を守るということは基本でございますので、それは倫理・行動憲章などにもきっちり書いてございます。
それで、報告ということでございますが、それは、先ほど申し上げましたように、事前説明というのは広報範囲の、こういうねらいのこういう番組ですということは、もう既に、言ってみれば周知のことでございますので、その範囲の事前説明ということについて、一々それを何かルールを決めて報告するというようなことは今考えておりません。
■西村(智)委員
私は、これをきっかけにNHKが視聴者の皆さんから信頼をかち得ることができるかどうか、今本当に重要な岐路に立っていると思っているから伺っているんです。本当にやる気があるんですか。NHKが視聴者の方を見ているのか、それともどちらかほかの方を向いているのか、見ていますよ、しっかり皆さんは。だから、その数字が受信料の支払い拒否の数字になってあらわれてきているんじゃないですか。
次の質問に移ります。
コンプライアンス推進室が設置をされました。内部にコンプライアンスの窓口がそこに置かれるということになって、外部にそれを補完する窓口も置かれるということでございますけれども、実は、この外部の窓口としてお願いをした、その窓口となったところは、これまでNHKの法務部が法律案件、訴訟ですとか、そういったことをいろいろ相談してきた、その法律事務所であるというふうにお伺いをいたしましたけれども、これまでNHKが協会としてかかわりがあったところにコンプライアンスの外部の補完窓口を頼むということについては、どういう判断で行ったんでしょうか。
〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕
■宮下参考人
御質問の御趣旨は、NHKと前からつき合いのある法律事務所が外部の通報窓口であっては、通報者にとって必ずしも公正ではないんじゃないかというふうな御質問だというふうに思いますが、この弁護士事務所の通報窓口というのは、通報をただ受けて、それを調査したり、それから何か判断したりするということは一切いたしません。そこで受け付けた内容をそのままコンプライアンス室に伝えるという役目だけを負っているわけでございまして、そういう意味では、NHKが以前からつき合いがあった法律事務所が窓口をしていることで、通報者が不利益になるあるいは公平性を保てないというようなことはございません。
■西村(智)委員
外から見ると、でも、やはり一つの法律事務所の中に二つの役割をお願いしているということですから、これは余計な疑義を招かないために、外部の窓口は別のところにすべきだったのではないかというふうに私は思っております。
監査の関係で一点伺いたいと思います。
現在、内部監査とそれから会計検査院の検査が行われておりますけれども、それでもこの間の不正経理などは見抜けなかったわけでございますね。国内外の支局などは数年に一度の監査であったということですし、やはりこれからは、内部統制がどこまできちんとできているのか、外部からきちんと入ってもらって、その外部監査人もお手盛りにならないように選んで、その結果はきちんと国民に公表されて、さらにその延長線として、NHKに対する信頼を取り戻せる、国際社会の中でも国際報道のNHKここにありと言えるような信用を得られる、そういうふうにならなければいけないと思っておりますけれども、内部統制を確保するための今後の外部監査のあり方についてお伺いします。
これについては、ぜひ総務大臣からも所見を伺いたいと思います。
■和崎信哉参考人(日本放送協会理事)
お答えいたします。
先生の御指摘の監査の問題でございますが、昨年のいわゆる芸能番組のプロデューサーの不正発覚以来、内部監査のあり方について相当見直しを行ってまいりました。
まず、基本的には、予算規模の大きな番組については、随時、機動的に、しかも集中的に監査ができる専任チームを設け、まず内部監査の強化ということを行っております。それとあわせて、十七年度からは、その内部監査に連動させる形で、外部の監査法人との連携をまず強化していきたいというぐあいに考えております。
さらに、こうした監査につきましては、NHKの場合は、今御指摘の国際報道の問題もありますので、海外の総支局についても、これまでの内部の実地監査だけではなく、外部の監査法人にも実地監査をお願いするというような外部の監査法人との連携、それによる監査の強化ということを図っていきたいと思っております。
さらに、海外につきましては、経理のアタッシェ等の配置、増員を含めて、監査の強化ということを行っていきたいと考えております。
■麻生太郎総務大臣
具体的には、昨年七月だったと記憶しますが、業務総点検本部を設置、業務の総点検というものを実施して、不正な経理処理に悪用された例の放送料の代理請求、一人で両方できる、意味はわかりますね、代理請求の制度を昨年九月に廃止することにしておられますので、業務や経理の適正化に向けた措置を実施しておられるという点が一つ。
平成十七年度の収支予算で、不正の再発防止のための、いわゆる今御指摘の審査、監査体制の強化ということが大事ということから、中央審査センターの設置というのを通じた経理審査の指導を強化されたり、今御指摘のあった外部監査法人と連帯した内部監査の強化などの取り組みが盛り込まれていると承知をいたしております。
私としては、会計検査院や監事などの機関がいわゆる期待をされております監視機能というものをきちんと果たすとともに、今般の大臣の意見として示しておりますように、平成十七年度収支予算等に盛り込まれた各種のいわゆる措置にとどまらず、再生・改革に向けてあらゆる取り組みを組織を挙げて全力で推進してもらいたい、信頼回復というのがぜひともここで一番優先順位としては高いところだという点を申し上げております。
■西村(智)委員
時間ですので、終わります。