■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
四十分時間をいただきました。十月の二十三日に新潟県中越地方で発生いたしました中越地震、これに関して総務委員会の中で質問させていただきたいと存じております。
ことしは本当に災害の多い年でございまして、新潟県内では、七・一三水害、ここからようやく復旧の見通しが立ち始めた、そういうときに襲った地震でございました。非常に強い震度の地震がたび重なって襲っておりまして、死者既に三十七名、今もなお五万人を超える皆さんが避難生活をされているということでございます。
本当に、余震が続いておりまして、これは水害や阪神大震災とも少しばかり違う点だと思いますけれども、住民の皆さん、非常に大きなストレスを抱え始めております。これは小さなお子さんから高齢者の皆さんまで例外ではございませんで、なおかつ、壊滅的な被害を受けたところ、なお復旧の見通しは立っておりません。孤立した集落、山合いの集落などでは、地域が崩壊する危機に面しているところもあるのではないかと言われております。
倒壊した家屋の修繕、これから始まります仮設住宅への入居、あるいは寸断されたままになっている交通網の修復、あるいは生活の糧を失った人々への長期的支援など、課題は山ほどございますけれども、ぜひとも一人一人の住民の立場に立って、政府としては復旧の支援をしていただきたい、こういうふうに考えております。地域の皆さんも内外からの善意に支えられて何とか頑張っておりますので、御支援をお願いしたく存じます。
さて、被災した新潟県の状況について報道が続いております。地震直後、都内のある駅でしたけれども、新潟県への旅行は差し控えてください、こういうアナウンスがございました。確かに被災した地域、打撃は非常に大きいものがございまして、県外にいる友人からも、私のところに心配する電話やらメールやらたくさんいただいておりましたけれども、決して新潟県全域が大惨事になっているということでもないわけでございまして、実際には元気な観光地もあるんですけれども、そういったところも観光客のキャンセルが実は相次いでいる。やはり情報というのは非常に大きな力を持っているなということを改めてまざまざと見せつけられた思いがいたしました。
それで、今回の地震では、まず災害発生時の情報伝達の流れに問題はなかったのか、そして、今後災害が発生した緊急時にどのような情報通信対応を考えているのか、その点についてお考えを伺っていきたいと思っております。
まず、省庁間での連携ということ、あるいは総務省と地方自治体との連携ということでございますけれども、今回の中越地震の件について、実は、長岡平野というふうに呼ばれまして、文部科学省の方から十月に、そこでやや高い頻度で地震が発生する可能性があるというような調査報告が出されておりまして、これは、伺いましたら関係自治体へも説明があったということでございます。
消防庁の方もその調査会に参加をされていたということでございますので、そのことについては承知しておられたというふうに思いますけれども、地方と国とのパートナーシップ、こういったことを非常に重視してやっておられる政府のこと、この地震発生の予知の調査報告を受けて機敏に対応していただいたというふうに思っておりますけれども、関係自治体あるいは政府、庁内ではどういうふうな連絡、連携をとってこられたのか、伺います。
■林省吾政府参考人(消防庁長官)
お答えを申し上げます。
お触れになりました件は、文部科学省の地震調査研究推進本部が、日本全国に存在します活断層につきまして、九十八ほどあるようでございますが、この活断層の長期評価の一環として実施されたものとお聞きをいたしております。長岡平野西縁断層帯の長期評価という形でおまとめになられたものでありまして、十月十三日に公表されております。
この内容につきましては、私どもそのメンバーになっておりますので、公表以前の九月八日に開催されました推進本部の地震調査委員会で内容をお聞きいたしております。
その後の私どもの対応でありますけれども、この九月八日の後に、十月四日だとお聞きしておりますけれども、文部科学省におかれましては、地元の県、市町村に対しましてこの長期評価結果を御説明される会を開かれておるようでございまして、地方団体には文部科学省の方から連絡がされたとお聞きをしております。
ただ、私どもといたしましては、九月八日にこの調査委員会で内容を承知いたしましてから、関係職員はその内容の分析に入っておりまして、具体的には、文部科学省が関係地方団体にその調査結果を報告されますと、地方団体は県、市町村におきまして地域防災計画の見直しをすることになるわけでありますけれども、その御相談を受ける立場にもありますので、その際は、私ども、今後の防災対策に対しまして指導助言ができるよう、この分野につきましても準備をいたしていたところでございます。
いずれにいたしましても、防災につきましては、関係省庁また関係機関が連携を密にして対応する必要があると考えておりますので、情報の入手等については意を用いてまいらなければならないと考えているところでございます。
■西村(智)委員
そのときの文部科学省からの調査報告、新潟の長岡平野のほかにも、私の記憶ですと三十数カ所あったやに思いますけれども、十月十三日にこの報告が出て、地震が十月の二十三日なんですね。
要するに、申し上げたいのは、ほかの地域もいつあのような地震が発生するかわからない、このことは強く申し上げつつ、防災計画の見直しを鋭意迅速に進めていただきたいと思います。それぞれの自治体、得意、不得意分野はおありでしょう。首長さんはたくさんいらっしゃるけれども、すべての首長さんが災害に特に強いということは言えないところもあると思います。そこのところは消防庁の方でリードをしていただいて、ぜひとも、空白地域にまさに寝耳に水といったようなことにならないように、そこは強くお願いをしておきたいと思います。
そこで、実際に地震が起こったときの情報、通信のことなんですけれども、自治体間での連絡、あるいは消防や警察への出動要請、省庁への連絡、今回の中越地震が発生したときにどのような手段で行われたのか。これは検証をされてみましたでしょうか。
■林政府参考人
お答えを申し上げます。
発災直後の情報収集につきましては、私自身も災害対策本部で直接当たっておりましたので、その経験を踏まえてお答えを申し上げるわけであります。
消防庁におきましては、二十三日午後五時五十六分、発災直後に、まず気象庁からの震度情報が入電されました。直ちに災害対策本部を設置いたしまして、まず行いましたことは、全都道府県に一斉ファクスによりまして地震緊急連絡を流しました。そのうち、特に震度が大きかった県、新潟県等でありますが、これらの県、市町村及び地域を所管する消防本部とは電話等によりまして情報を聞き取ったわけでありますけれども、主にNTT回線、または市町村に設置されております消防防災行政無線によりまして、具体的には、一一九番通報がどうなっているか、庁舎内や周辺の被害状況はどうか、また応急体制はとれているか等々につきまして報告を求めたところでございます。
地震発生直後でもありまして、特に震度が大きかった町村の一部、例えば山古志村であるとか川口町であるとか、このようなところではNTT回線が不通になっておりましたし、また防災行政無線も建物の損壊等によりまして一時不通であった。あるいは、市町村の区域内でも、道路の損壊等により直ちに被害の全容を把握するには限界があるというような状況でありましたけれども、先ほど申し上げましたようなNTT回線、防災行政無線によりまして、所管の消防本部を通じて可能な限りの情報収集に努めたところでございます。
また、消防庁といたしましては、そのような各県担当を通じた情報収集に加えまして、具体的な情報をとる必要もございましたので、当日のうちに消防庁から現地に職員を派遣させましたし、また、緊急消防援助隊のヘリを現地に派遣いたしまして、状況把握に努めたところでございます。
■西村(智)委員
今回、孤立した集落からの情報収集がおくれたというような指摘がございますね。こういったところからの情報収集はどんなふうに行ったんでしょうか。
■林政府参考人
御指摘がございましたように、確かに、今回の災害では、一部、孤立した地域からの情報収集に苦労をいたしました。
具体的には、当日の記憶をたどりますと、例えば小千谷市の塩谷集落であるとか、あるいは山古志村、あるいは川口町における集落におきましては孤立した地域が多く、県からの情報によりましても被災状況が把握できないというのが当日の状況でございました。特に山古志村におきましては、NTT回線が不通となりましたし、また、非常時の非常電源装置を持っておられたわけでありますけれども、防災行政無線も建物損壊により不通となって外部と連絡がとれない、こういうこともございまして、孤立した集落の情報確保が大変困難な状況にございました。
私どもといたしましては、消防救急無線等を通じて情報把握に努めたわけでありますけれども、当夜のことを申しますと、これらの集落につきましては、夜飛びました県警ヘリからの情報で、山古志村におきまして一部火災が起こっている、こういうような情報は確保しておりましたけれども、基本的には、夜が明けてからのヘリコプター等による活動によりまして初めてこれら集落の被災状況の全容が明らかになったところが多かったのが事実でございます。
■西村(智)委員
防災通信ネットワーク、現状はどうなっているか、今のお話を聞きましておぼろげにわかったような気はいたしますけれども、その中で、防災無線システムが一体どうなっているのかということがいま一つよくわからない。
今回の地震では、やはり孤立した集落が非常に多かったということ、そしてまた、それらの集落がなぜ孤立したかといいますと、土砂崩れですとか道路の損傷などで道路が分断されて情報がとりに行けなかったというようなこともございます。つまり、今まで防災体制と申しますと、例えば車を走らせていくことも考えられたと思うのですけれども、もう道路に頼ったような防災体制というのはこれからはなかなか考えにくい。市町村合併が進んできて、役場もだんだんそれぞれの集落から遠くなっていくということになってまいりますと、市町村防災無線の重要度が上がってくるのではないかというふうに考えております。市町村防災無線の設置に向けた消防庁のお考えをお伺いしたいと思います。
同時に、そういう市町村防災無線の設置が必要と思われる孤立地域、全国に数多くあると思うのですけれども、これについては、例えば何カ所ぐらいあるというふうに把握していらっしゃるんでしょうか。
同時に、防災行政無線のアナログ化からデジタル化ということが言われております。午前中の質疑でもございました。双方向の防災通信ネットワークをつくるためにデジタル化が進められているようでございますけれども、そうしたデジタル化された防災行政無線を、数値目標なり設定して、総務省はどの程度まで整備していくおつもりなんでしょうか。現状の把握と、目標としているところ、そこを伺いたいと思います。
■林政府参考人
防災行政無線についてのお尋ねでございますが、防災行政無線には、都道府県と市町村をつなぐ県防災行政無線と、市町村と市町村内の施設とを結ぶ市町村防災行政無線があるわけでございます。
都道府県の防災行政無線は、現在、整備率は一〇〇%となっておりまして、県と市町村は無線によって結ばれている状況にございます。ただ、これにつきましても、今回の災害等のように、無線の施設が地震等によって損壊されますと使えないというようなこともございますので、私どもは、停電に備えての非常電源装置の設置、あるいは堅固な建物への設置、あるいはそういう災害時に操作が十分できるような訓練等をお願いいたしているところであります。
それで、お尋ねになりました市町村防災行政無線の方でございますが、これは、今年夏の集中豪雨以来、数次にわたる台風の襲来もございましたが、それぞれの被災地を見てまいりますと、市町村の防災行政無線の整備はまだまだおくれていると私ども思っております。ちなみに申し上げますと、全国平均ではまだ六七・八%にとどまっております。都道府県別に見ますと、整備率が一〇〇%になっている県もございますけれども、三〇%台にとどまっている県もある状態にあります。
私ども、防災を担当する立場といたしましては、いざ災害発生あるいは有事の際は、できるだけ早く一斉に住民の皆さん方に状況を伝達していただく市町村防災行政無線の整備は何よりも重要な緊急の課題であると思っておりますので、市町村にできるだけ早くこの整備をお願いしたい、こういうふうにお願いをしているところでございます。
特に、お触れになりました孤立した集落につきましては、市町村から情報を伝える、それから逆に集落から市町村に情報をいただくということも重要になってまいりますので、今後、整備に当たっては、双方向通信機能やデータ伝送装置を有するデジタル方式をお勧めしてまいりたいと考えているところであります。
なお、お尋ねがございましたデジタル方式でありますが、今年度も補助対象といたしまして採択をし、整備をされている団体がございます。現在、デジタル化を踏まえてそのような計画をお持ちの団体が数多くあると想像いたしておりますが、具体的な整備目標等を持ち合わせておりませんので、御理解いただきたいと思います。
■西村(智)委員
整備目標を持っていないというのはちょっと驚きなんですけれども、なぜできないんでしょうか。その整備目標すら持てない、これは国民生活の安全、安心を預かっている立場としてはちょっと信じがたいことなんです。ちょっと基本的なところでして、防災通信システム、あるいは防災無線システムと読みかえてもいいんですけれども、国か地方か、一体だれの責任で整備すべきものなんでしょうか。
災害対策基本法第八条を読ませていただきました。国及び地方公共団体は、ともに、「その施策が、直接的なものであると間接的なものであるとを問わず、一体として国土並びに国民の生命、身体及び財産の災害をなくすることに寄与することとなるように意を用いなければならない。」その第二項で、「国及び地方公共団体は、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するため、特に次に掲げる事項の実施に努めなければならない。」というところで、「被災者に対する的確な情報提供に関する事項」というふうにございます。それで、防災基本計画を読みますと、こういった情報伝達の仕組みは地方公共団体が整備するべきだというふうに解されるところもあるんですけれども、ただ、国とか地方公共団体、公共機関の方も確実な情報伝達のための体制整備はしなさいというふうに書いてありますから、これは国にも責任はある、むしろ国にこそ責任があるというふうに私は申し上げたいんですけれども、これはだれの責任で整備すべきものなんですか。
■林政府参考人
基本的に、私どもが関心を持っている消防防災通信ネットワークについての役割分担について申し上げますが、私どもは、国、消防庁と県との間で消防防災無線というのを設置しております。これはもう国も直接責任を持って整備すべき分野でありまして、これは現在設置されております。
それから、都道府県におきましては、先ほど申し上げました都道府県と市町村との間を結ぶ都道府県防災行政無線というのを設置していただく必要があるわけでありまして、これは県の責任でやっていただきたい。先ほど申し上げましたように、一〇〇%一応設置されております。
それから、さらに今度は、市町村の中で市町村と地域内の施設あるいは住民の方々とを結ぶ市町村防災行政無線というのがございますが、これはまた市町村の責任で設置をしていただきたいということをお願いしているわけでありまして、それぞれ、国、県、市町村の防災計画の中に位置づけて、全体としてこのような通信ネットワークを築き上げていきたいと思っております。
国におきましては、県、市町村におかれまして防災行政無線を設置する際の財政的な支援を含め、また技術的な御助言を含めて御相談に乗らなければならない立場にあることはもちろんでございます。
■西村(智)委員
市町村防災行政無線も、これは補助金が出ているわけですよね。確認ですけれども、よろしいですよね。
■林政府参考人
市町村が防災無線を設置される場合、ある基準に該当されました場合は補助対象といたしておりますし、また単独事業におきましても、地方債と交付税をあわせた制度で財政的な支援をさせていただきたくことになっております。
■西村(智)委員
では、今後の防災行政無線整備のための補助金のあり方等について考え方を伺います。
消防用の無線局における百五十メガヘルツ帯の使用期限は平成二十八年五月三十一日までとし、平成二十三年六月以降は、現に指定を受けている周波数を除き、新たに百五十メガヘルツ帯の周波数の指定は行わないものとする、こういうふうになっているとお聞きをしておりますけれども、それはよろしいですね。これは平成十五年の十月に出された電波法関係審査基準の一部を改正する総務省訓令八十二号によるものというふうに私は理解をしておるんですけれども、それで御確認をいただいたと思っております。
防災無線は、やはり重層的になければならない災害時の通信ネットワークの最後の命綱だというふうに思っています。後でまた時間があればお伺いをしたいと思いますけれども、固定電話も携帯電話も、災害時優先電話や公衆電話を除いて相当にこれは通信規制がかかる、こういうことになりますと、そちらの方で、例えば一般の住民、孤立した地域の住民の方が被災状況を伝えようとしても現状で災害時優先電話などがなければできないわけですね。そういったところの手当てはどうするのか。
衛星携帯電話ですとか、ほかの、メール機能を持ったものの利用とか、いろいろ考えられはしますけれども、それもやはり一つの細い線にしかならないわけでございまして、もう一つやはり重層的にネットワークというのはなきゃいけない。最後の通信網として防災行政無線の設置、これはやはりやっていっていただきたい。消防庁も考えていらっしゃるとおっしゃいました。でしたら、厳しい地方財政を熟知している立場の皆さん方としては、こういった周波数帯の変更やデジタル化に伴って新たな予算措置が必要になってくる、これは想像の範囲内だと思いますけれども、将来発生する財政的措置なども勘案していらっしゃることと思いますけれども、これはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
近年、三位一体改革の議論の中で補助金の削減が至上命題となっております。総務省の補助金の中でもとりわけ消防防災施設等整備費補助金などは、これはどうも私が調べた範囲では、平成十六年度当初予算は前年度比でマイナス、減額になっているというふうに思いますけれども、今後どういう考えでこれをやっていかれるのか、お伺いします。
■林政府参考人
繰り返して申し上げますが、私ども消防庁にとりましても、地方における防災行政無線のネットワークの構築は緊急の課題だと考えております。このため、私としても、機会を見まして地方団体の方々にその整備、しかもその整備をするだけではなくて、災害時に使えるように堅固な建物への設置、あるいは停電した際の非常用電源装置の準備、さらにはその際に十分操作できるような訓練を重ねてやっていただきたいということもあわせてお願いをいたしているところでございます。
御指摘になりましたように、災害の要諦でございますので、すべての地方団体におきましてこのネットワークができるだけ早く完成されるよう私どもとしても御助言をしていきたいと思っております。
なお、そのためでありますけれども、私ども、県別の防災無線の整備率を公表して、まだまだ平均に満たないような団体については急いでいただきたいというようなこともお願いをいたしておりますし、また予算面でも、この行政無線の整備につきましてはできるだけの御支援をしていかなければならないと考えております。
確かに財政厳しく、全体の消防の設備補助金は十六年度の場合、前年度に比して減となっているところでございますけれども、防災行政無線に係る補助金につきましては、御要望のあった団体に対しましてはすべて採択をさせていただいておりますし、また、単独事業で実施を御希望になられる場合は防災基盤整備事業という枠を用意させていただいておりまして、本年度におきましても御希望のところはすべてこの単独事業も許可をさせていただいているところでございます。
今後とも、地域におきます防災行政無線は、単に災害時のみならず、さきの通常国会で御審議いただきました国民保護法に基づく地域住民の方々の安全を守るためにも基本的な設備であると考えておりますので、明年度予算におきましても必要な枠を確保するよう頑張ってまいりたいと考えているところでございます。
■西村(智)委員
麻生大臣、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
総務省の補助金の中で、この消防施設等に関するものというのは非常に大きいわけですね。今、三位一体、総務省と財務省とまさに一体となって進めていただいている中で、総務省はどこをどういうふうに考えているのかということは、事国民生活の安全、国民の生命と財産を守るというのは政府の基本的な立場でしょうから、そういった点から、この消防施設等の補助金について、地方にお任せをするというのでしたら、それはまた一つの考え方だというふうに私は思いますけれども、果たしてそういうふうに言ってしまうことが今この時点でいいのかどうか。これは本当に悩むところだと私は思いますけれども、大臣はこの点についてどのようにお考えですか。
■麻生太郎総務大臣
先ほど同僚の田嶋議員からは隗より始めろというお話で、この部分も例外ではないと聞こえるような発言もあっておりました。これはなかなか難しいところなんですが、西村先生、基本的には、これは全国で今同報系の無線というのは六七%ぐらいできている。多分東海地震やら何やらを考えられたせいだと思いますが、やはり静岡県が一〇〇%。一〇〇%に近い九八%、七%いっているところは東京都周辺地域だと思っております。ちなみに新潟県はたしか五一%ぐらいですか。福岡県はもっと悪くて三十何%だと記憶するんですが。地域によってすごく差があるというのは、これは多分上にいる人たちの意識の差もあるでしょう。
御存じのように、石炭の出たところ、石炭地域は地震はありません、地震が三度以上あったらもう炭鉱は全部つぶれますから。ですから、基本的には地震がないところだから炭が掘れたということでもありましょうけれども、そういったところもありますので、地域によって意識の差が、少なくとも地震については非常に差がある、私どももそう思っております。
ただ、今おっしゃるように、あの一連の補助金の削減の中にこれも一つの例として入ってきておると思います。御存じのように、今年、国民保護法という法律ができ上がっております。この防災無線というのは、何も災害に限ったわけではありませんので、同報系の無線、有線、使える範囲が極めて広い要素を持っておると思います。
私どもとしては、国民保護の観点から、いろいろな意味でこの種の防災に対する対応を考えねばならぬと思っておりますので、災害に特に限らず、デジタルになれば双方向も使えますので、防災のデジタル化を含めていろいろな形できちんと対応してまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
例えば、そういった防災行政無線と並行して、被災者からの災害情報の発信というところもぜひとも念頭に置いていただきたいというふうに思います。
同報系は、私のイメージですとラッパです。一方的にアナウンスが出されるだけであって、被災地の状況がどうかということについては収集できない。そういう双方向でどうできるかということをぜひ念頭に置いていただいて、衛星携帯電話、そういったことについてもぜひとも検討していただきたい。これは要望しておきたいと思います。
戻りまして、消防庁長官、先ほど非常用発電装置のことについてお話しいただきました。今回も、県からの防災無線でヘルスチェックをかけていったら、十九カ所の設備で異常が見つかったということでございますね。どうもその多くは非常用電源がないために不通になったというような話がございますけれども、実はもう既に一年前にこの非常用電源の課題というのは明らかになっていたんじゃないですか。宮城県沖地震における市町村防災行政無線の使用状況等に関するアンケート調査、これは総務省の東北総合通信局が行っております。このまとめの中で、設備の保守管理というところの項目で、停電時などの電源確保はもう既に改善すべきこととして挙がっていたわけです。
一年以上たっていて、また今回の地震で非常電源の不備などということが言われた。昨年のこの結果というのは全くむだになったんじゃないか。一年間という時間をむだに過ごして、そして防災無線の非常用電源の問題が依然としてまた全く一年前と変わらず残っているということは、これは一体どういうことなんでしょうか。せっかく総務省になりまして一体となったわけでございますから、もっと機動的に、教訓を生かすように対応すべきではなかったかと思いますけれども、どうでしょうか。
■林政府参考人
その点につきましては、私も、二十六日に被災地、現地に入りました際に、そのような問題を抱えられました市町村長さんに対して、今後は気をつけていただきたいということを強く申し上げてきたわけであります。
ちょっと御参考までに申し上げておきますが、今回のこの中越地震におきましても、新潟県、九十八市町村おありでございますけれども、そのうち二十九の市町村役場が停電となりました。ただ、長岡市や十日町市等の十市、この二十九のうちの十の市町村では、自家発電設備によりまして防災行政無線が作動いたしておりました。そのような訓練もされておられたとお聞きしております。
しかしながら、停電となりましたこの二十九市町村役場のうちで、私ども、以前からお願いをしておったわけでありますけれども、残念ながらこの自家発電設備を備えておられなかった役場が一カ所ございました。それからまた、自家発電設備がありながら、今回の地震の際にそれを作動させることのできなかった市町村が十八市町村ございました。合わせて十九の市町村で県防災行政無線が不通となったわけであります。
私どもとしては、以前から、その設置に加えて、災害時に作動できるような訓練もあわせてお願いをしたいというようなことも重ねてお願いをしておったわけでありますが、今回、新潟県の関係市町村におきましては、残念ながらそのような状況がございましたので、私どもは、文書をもちまして、その設置促進に加えまして、耐震性のある施設への設置、非常用電源設備の設置、さらには操作をするための訓練を平常時からお願いしたいということを全国の市町村に改めてお願いさせていただいたところでございます。
■西村(智)委員
どうも、消防庁の熱意が果たして本当に自治体の方に伝わっているのかどうか、私は全く疑問に思うわけでございます。
これは集中豪雨のときにも思ったことでございますけれども、新潟県と福井県でのあの集中豪雨による水害の後、高齢者などの避難支援に関する検討会が立ち上がったというふうに聞いています。ここで、私の方の要望としては、災害弱者の避難あるいは情報伝達の仕方、これはぜひとも総務省一体となって、地域がとにかく頑張っていますから、今、例えば地域防災コミュニティーですとか、NPOやボランティアとの協働、あるいは、要援護者というふうに呼んでおりますけれども、要援護者登録制度などなど、本当に地域が頑張っておりますから、これは国も一緒に頑張って、そういった仕組みを支えていかなきゃいけない。
総務省の方にも、あるいは消防庁の方にもぜひどうぞというふうに要望しておりましたら、昨日レクに来ていただいた方は、それは内閣府の仕事でございましてというふうにおっしゃった。事災害については、そういう言い逃れはしていただきたくないと思うのです。これは責任の所在を明らかにせよということと表裏一体ですけれども、縦割りでは防災はできないと思うのです。そのことをぜひ肝に銘じて、これから被災者支援ということになってまいりますと、まさに省庁をまたがった支援体制をとっていただかなければいけませんので、そのことを要望しておきたいというふうに思います。
時間が参りましたので、最後、一点お伺いしたいことがございます。
今回いろいろ注文はつけましたけれども、消防庁の皆さんには、迅速に駆けつけていただいて、本当に救援活動、広域的な対応も含めて御努力をいただいたことを、最後になりましたけれども、お礼を申し上げたいと存じます。現地で本当に献身的にやってくださっている皆さん、頭が下がる思いでいっぱいです。
こうした活動を見させていただいて、改めてやはり女性の消防職員が少ないなということを感じました。一体どのくらいの数がいるのか、これはわかりませんけれども、避難されていらっしゃる皆さんは非常に精神的なストレスも身体的なストレスもため込んでいる中で、やはり女性消防職員の存在というのは大きいんじゃないか。これは、実際私がもう十近く避難所を回らせていただきましたけれども、そういうところを回りながら感じたことでもあるんですね。ぜひとも女性の消防職員をふやしていただく御努力をいただきたい。
ことし十月に、ちょっと消防庁のホームページを拝見しておりましたらおもしろい通知を発見しまして、「女性消防職員の採用に係る留意事項について」というものでございました。
女性に対する平等な受験機会の提供に努めなさいよとか、採用試験の認定と評価に当たっての留意事項はこうですよとか、体力試験の判定基準はこうしなさいというような、本当に、実際に不平等が採用時にあったのではないかと思わせるような通知を、私、発見してしまいました。
ぜひ、ふやしていただきたいということなんですけれども、数値目標を設定して、それに向けて御努力をいただくというようなお考えまでお持ちかどうか、これをお伺いして終わりたいと思います。
■林政府参考人
せっかくの機会でありますので一言、先ほど防災行政無線の設置促進、内閣府というようなことをうちの職員がお話ししたということをお聞きしました。私ども、それは政府を挙げて地方団体における整備を促進してまいらなければならないと考えておりますことを、まずお伝えをさせていただきたいと思います。
ただ、地方団体、県、市町村におかれましても、昨今の災害のことを考えますと、安心、安全がやはり行政の基本でありますので、危機意識を持っていただきまして、何よりもそのときに必要と考えられる防災行政無線の設置、運用につきまして、いま一度点検の上、その整備を図っていただきたいということを、私ども強くお願いをしてまいりたいと思っていることをお伝えさせていただきました。
御質問の女性消防吏員の件でありますが、現在、消防吏員数十五万三千二百九十五人のうち、女性の方々は千七百七十六人ということでありまして、毎年度増加の傾向にはございますけれども、確かに、全体の一・一六%というまだまだ低い状況になっております。
しかし、私ども、消防の業務の中で、警防だけではなくて、救急だとか予防だとか、女性の方々に活躍していただける分野が多いと考えておりますので、ことしに入りましてからは、既にもう三度にわたりまして、全国の消防本部に先ほどお触れになりましたような通知をさせていただきまして、女性消防吏員、また団員の拡大について御協力をいただくようお願いをいたしているところでございます。
消防吏員につきまして、具体的な数値目標を現在のところ持っておりませんが、御指摘いただきましたようなそのようなものを持ちながら、女性吏員の拡大に努力する必要もあるのかなと思っておりますので、参考にさせていただきたいと思います。
■西村(智)委員
時間ですので終わります。ありがとうございました。