■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美でございます。
私の選出は、新潟一区、新潟県でございまして、今回、七月十三日に発生した集中豪雨に伴う水害の惨状のさまを、まさに近くで見させていただきました。
民主党は、大畠ネクスト大臣を団長として現地調査団を派遣していただきましたし、その後に私も現地を見て回り、そして、政府への各種要望活動を一通り終わったと思う段階で、泥掘りや畳出しのボランティア活動に二日ばかり参加をさせていただきました。
井上大臣も現地へお越しいただきましたので、その状況はおわかりだというふうに思いますけれども、本当に大変な状況です。一体いつになったらあの地域が本当に復旧するのか、またもとの生活に戻れるのか、全くめどが立っていない。このことについて私は、先ほど菊田委員が生活支援ですとか復旧を中心に質問されましたので、私の方は、なぜそもそもこういった水害が発生したのかという点からまずお伺いをしたいというふうに思います。
河川管理についてでございます。
今回破堤した五十嵐川、刈谷田川、これは直轄河川ではございませんけれども、一級河川でございまして、その二つの川の破堤は非常に甚大な被害を生んでいるということでございます。
そこで、堤防の管理等についてまずお伺いしたいと思うんですけれども、その前に一言申し上げたいことがございます。
昨日、実は、質問のレクに担当の方から来ていただきまして、大臣あるいは副大臣を答弁にお越しいただきたいということで御要望を申し上げました。そのときには、ルールだからそれはできないという御返答でございました。これほどまでに大きな災害であるのに、ルールだからという一言で大臣の出席答弁が得られないということであるならば、水害に対する国土交通省の取り組みの姿勢がなっていない、そういうことをあらわすのではないでしょうか。そういう態度では、また再び同じような水害を防ぐことができない。責任逃れともとれるこのような発言、このような姿勢は直ちに改めていただきたい。このことをまず申し上げたいと思います。
それでは質問をさせていただきます。
今回の破堤では、もう見ていただくとわかりますけれども、アウトライン、川がカーブしておりますアウト側の方ではなくて、インの方が破堤をしていたりする部分がございます。同時に、アウトの方が破堤していても、直接川の水の流れが当たると思われる部分ではなくて、その少し手前で破堤が起こったりしている。そういう地点が見受けられるということで、やはりこれは、堤防の強度に大きな問題があったのではないかというふうに考えております。
そこで、まず第一のお伺いなんですけれども、これまで河川改修の中で、堤防管理について一体国土交通省は何をなさってきたのでしょうか、伺います。
■清治真人政府参考人(国土交通省河川局長)
堤防の管理につきましては、これは堤防をつくっていくということも含めて申し上げますと、過去の出水に対して堤防をだんだんだんだん大きくしていく、これは長い施設でございますので、一カ所だけ何か対応して済むというわけでございませんので、徐々に徐々にその堤防をしっかりさせていくというふうに整備してきている川が多いわけでございます。
短期間で堤防がなかったところに堤防をつくるというようなところもございますが、一般的には堤防を拡築という形で整備をしてきておりまして、それに加えて、堤防の漏水なんかの危険性のあるところにつきましては漏水が生じないような対策を講じていくとか、それから、今、アウトサイド、インサイドといいますか、川表とか川裏とかそういうふうに呼んでおりますが、水当たりの激しいところ、侵食のおそれのあるようなところにつきましては護岸を施すとか、それから根固めというようなことも対策として講じながら、堤防を守って、堤防が壊れないようにして河川の整備を進めてきているという状況にあるわけでございます。
そういう中で、そのつくった堤防が十全の機能を果たすことができるかどうかというようなことにつきましては、毎年、その堤防、川の様子を巡視しまして、それに対して緊急的に対応すべきところについては維持補修等を行っているというのが、現在の管理の実態でございます。
■西村(智)委員
現地調査に行きましたら、とにかく破堤による被害が大きいわけでございます。堤防の欠壊、これが百四十八カ所、越水、溢水、漏水、これが百十八カ所、こういうふうになっているわけでございますけれども、それらによる被害と比べますと、破堤による被害はもうけた違いに大きい。
この結果として、今回の集中豪雨で亡くなった方が新潟県内で十五名おられますけれども、そのうちの十三人は溺死でございます。そして、住宅の全壊、半壊、一部損壊、床上、床下浸水含めて合計二万六千棟を上回る世帯が被害を受けている。これらは、やはりすべて破堤による被害であると言ってもよろしいというふうに思います。
そこで、第二にお伺いなんですけれども、土木行政に携わる皆さん方の側として、今回の惨状が起きました河川管理のありようそのものをどのように自己評価されていらっしゃるのか、お伺いをしたいと思います。自己評価を伺います。
■清治政府参考人
河川に関することでございますので、私からお答えさせていただきたいと思いますが、施設の調査とか評価、こういうものについては、その機能を維持していく上で重要なものであるというふうに考えておりますので、点検、評価、こういうものをセットで実施していくべきだと思っております。
ただし、これは言いわけではございませんが、非常に長大な区間を管理しているということがございますのと、それから、国が直接管理しているものと、法定受託事務で県に管理していただいているものがあるということでございまして、それらについて、管理の水準といいますか、程度をどのくらいに維持していかなければならないかということが、今回一つ提起された大きな課題ではないかというふうに考えております。
■西村(智)委員
課題がいつまで繰り返されればこういった災害がなくなるのかということを、本当に大きな怒りを持って申し上げたいと思います。今回は、破堤そのものが大変に急激でございました。住民が逃げる余地もなくて命を落としたということを忘れないでいただきたい、こういうふうに思います。
壊滅的な被害です。絶対に守るべき箇所、本当に下にすぐ民家がある、お寺がある、そういったところが破堤してしまって住民が亡くなっているんですから、行政側の取り組みとしては零点であると私は思います。
そして、オーバーフローしているところ、越水だけしているところもございました。そういったところは、泥も少なくて、水も案外すぐ引いたというふうに聞いております。ですから、こういった災害を通して私が感じますのは、オーバーフローはしても破堤だけは絶対にさせない、たとえ最後は破堤するとしても、越水でできる限り時間を引き延ばす。一気に崩れるのではなくて、ぐずぐずと崩れていく。そうして住民が避難する余地を少し残しておく。そういう設計とする、それが重要ではないかと思います。樹林帯も効果的じゃないかということを、刈谷田川の破堤箇所を見て思いました。
今後、治水対策を、堤防の質を高めるという点から、堤防を強化する点から見直す必要があるのではないかと思います。そうしないと、豪雨が続いている昨今の気象です。再び豪雨になった場合に、同じような災害、また繰り返されてしまうのではないでしょうか。今後の堤防の強化について対策を伺いたいと思います。
■清治政府参考人
今回の堤防の被災を受けまして、日常の監視であるとか管理に加えまして、今回、緊急点検ということを実施するようにいたしました。これは、国直轄の堤防も、それから県管理の堤防も、全体を網羅しようと思っておりますが、国の管理している堤防につきましては、堤防強化策につきまして少し前から取り組んでいるわけでございますが、そういう意味では、調査だとか評価とかのガイドライン、それから、技術的にどういう強化策があるかというような基準を持って進めているわけでございますが、県管理の区間につきましても、今回、八月中の目視による点検というのをまず第一優先に考えておりますが、それ以降、国の直轄管理しております堤防に準じた形で堤防強化に取り組んでいく必要があろうかと思っております。
ただ、申し上げておきたいわけでありますが、現在の堤防というのは、堤防の高さから構造上必要な分の高さを引いたぐらいの高さのところまでしか、これは堤防が安全に河川の流量を流すという形になっていないわけでございますので、今、委員から御指摘のあったような視点も重要な視点だと思っておりますので、これは、河川が十分にまだその洪水を流すだけの断面がないところとか、それから、今まで計画で持っておりました流量を超えるようなことがもしかして起こったときにも、その堤防が簡単に壊れたりしないようなそういう策ということは非常に重要な視点だと思っておりますので、そのことも含めて今後に生かしてまいりたいというふうに思います。
■西村(智)委員
ぜひ、よろしくお願いいたします。
台風十号がまた日本を襲っているようでございまして、次は気象予報についてお伺いをしたいと思います。
今回は、新潟県のいわゆる県央地域と言われるところで降った雨でございましたけれども、今から六年前、一九九八年、新潟市では、百年に一度と言われる豪雨によりまして都市型水害が発生をいたしました。このときの一時間当たり雨量は九十七ミリでございます。今回、栃尾市では日雨量四百二十一ミリ、そして、今回の被害に遭った地域では、二百年、三百年続いた神社や寺が水害に遭っているということでございます。これまでにない異常な気象がどうも起こっているのではないかというふうに言われておりますけれども、まず気象庁長官にお伺いをいたします。
巷間言われておりますように、このところの日本の気象は本当に異常気象なのかどうか、気象庁としての見解を伺いたい、このように思います。
■長坂昴一政府参考人(気象庁長官)
気象庁では、過去三十年間に観測されなかったような態様を観測した場合を異常気象と定義をいたしております。
今も西村委員からもございましたけれども、今回の豪雨では、七月の十三日に、新潟県栃尾市では四百二十一ミリ、三条市で二百八ミリ、長岡市で二百二十五ミリの雨をそれぞれ観測をいたしております。これらの値は、それぞれ観測開始以来初めての値でございまして、冒頭申し上げました定義からまいりまして、我々、異常気象の一つと考えております。
■西村(智)委員
異常気象だということでよろしいですね。
それで、これだけ科学技術がもう既に発達しているわけですから、普通の国民の感覚からいえば、豪雨の予想もできるのではないかというふうに思えてならないわけでございますけれども、現状でそういった豪雨の予報、これはどのように行っているんでしょうか。あわせて伺います。
■長坂政府参考人
集中豪雨の予測方法についての御質問でございますが、気象庁では、地上におきます観測、気球によります上空の観測、さらには衛星観測等のデータに基づき、スーパーコンピューターを用いた数値予報と呼ばれる予報技術を用いますと同時に、全国に展開いたしておりますアメダス、気象レーダー、これらを活用しまして、さらにきめの細かい集中豪雨の解析、予測等を行っているところでございます。
■西村(智)委員
それで、豪雨の予報というのはできるんでしょうか、できないんでしょうか。
■長坂政府参考人
豪雨の予測につきましては、ピンポイントでどこに何時ごろ降るということは、極めて現在の技術をもってしても難しいんじゃないかというふうに考えております。
我々としましては、ポテンシャルといいますか、それを日ごろからモニターをして、まず注意を申し上げる。その後、いろいろな推移を見まして大雨警報等を発令しているというのが現状でございます。
■西村(智)委員
ちょっと資料を持ってきておりませんので、記憶の中であるだけなんですけれども、新潟地方気象台は、大雨警報と申しますか注意報と申しますか、出す時期が少しおくれたという報道がございました。
つまり、私が申し上げたいのはどういうことかと申しますと、豪雨の予報というのは、その後の行政側の防災体制にも極めて大きな影響を与えるというふうに思うんです。例えば、自治体が出す避難勧告や避難指示のタイミング、その後のさまざまな防災体制、こういったものに直接影響を与えるというふうに思うので、極めて重要であり、もし本当に可能であれば非常によろしいし、できないというのであれば、できる限り早く、できる限り正確に精度の高い予報を行っていくべきだ、こういうふうに考えておりますけれども、気象庁の方ではどのような考えで取り組んでおられるのでしょうか。
それからまた、今後の予報の取り組みについてその考え方を伺いたいと思います。
■長坂政府参考人
ただいま委員から御指摘のございました、なるべく早くということは、我々としても、当然その一つの重要な要素と考えております。今回の新潟の場合で申しますと、七月十三日の午前六時二十九分に大雨洪水警報を出しているところでございます。
後半の質問でございますが、今後どのような改善を考えているかということだと思いますが、当庁としましては、先ほど申し上げました、スーパーコンピューターによります数値予報技術のさらなる改善、それから、レーダーによります観測データの有効利用、それから、気象庁の観測データに加えまして都道府県等の観測データを収集する、こういったことをさらに推進する、こういったものを一体的に取り組みまして、集中豪雨を含めた予報の改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
また同時に、気象予報の精度向上に加えまして、気象庁の発表する予報のより有効な利用を目指して、ふだんから、集中豪雨や気象情報に関する解説等を通じて情報利用者との間の理解を一層促進してまいりたいというふうに思っております。同時に、関係機関とも連携をしまして、中小河川の洪水についても、より的確な情報の提供に向けての技術的な検討を行ってまいります。
以上でございます。
■西村(智)委員
科学というのは、やはり自然科学の分野において発達は速いと私は信じている者でございまして、スケジュールをきっちり組んでこれはもう早くやっていただきたい。今、長官からは改善に向けて取り組みたいという御答弁をいただきましたし、しっかりとやっていただけるということを確信いたしまして、この質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、ところで、井上防災担当大臣、御質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど、気象庁長官の見解におきまして、異常気象であるというような御答弁がございました。気象が変化している、これはもうオーソライズされたわけでございまして、気象が変化しているとすれば、今まで私たちの国の中で蓄積をされてきた防災体制というもの、これは本当に新しい事態に対応できるものなのかどうか、改めて見直しをする必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、そのあたりについてはどのようにお考えでしょうか。
■井上喜一防災担当大臣
これまでの防災体制といいますのは、現実に災害が起こりますまでに一定の時間の間隔がある、そういう前提にして防災対策というのは組まれてきたんじゃないかとも思うんでありますけれども、今回のような異常気象で局地的に集中豪雨があります場合は、それはやはりその様相が違うわけでございます。
私は、ですから、観測体制につきましても、できる限り局地の観測ができますような体制、それをやはり組んでいく必要があると思います。今日までの体制、箇所数は例えば今のままでいいといたしましても、その観測の中身ですね。中身につきまして、局地的に予測ができるようなそういうやはり観測体制をつくる必要があると思いますし、それからもう一つは、結果を関係のところにきっちりと早く送っていくということだと思うんであります。
この間、NHKの会長さんのお話なんかでも、具体的に細かくは発言されなかったんでありますけれども、やはりおくれているとか、あるいは十分でないというような発言がありましたので、関係機関の方への連絡、これも、例えば気象庁の発表だけではなしに、地方気象台の発表でありますとか、あるいは県とか市町村、こういったいろいろな情報が報道機関に集まるようなそういった体制も必要だというふうに思いますし、また、いろいろな社会事情の変化によりまして、高齢者の誘導の問題なんかがございます。
それで、茨城県のある町では、中学校が対象だと思うんでありますけれども、一種の社会教育といいますか、そういう一環としまして、独居の高齢者住宅を訪問させているんですね。これは、ヘルパーがついて訪問さす場合もありますし、あるいは、二人が一組になりましてそういった訪問をさせているわけでありますが、これは、独居老人の生活がどうなっているのかというようなこと、あるいはヘルパーとしてはどんな仕事があるのかというようなことだと思うんでありますが、こういったことも、災害のときに高齢者を例えばしょって避難をするということに役立っていくわけでありまして、そういうような避難の方法なんかもいろいろな社会状況の変化の中でやはり考えていくべきだと思いますし、さらには、今までずうっとこの質問がございましたけれども、やはり、絶えざる点検ですね。施設の点検なんかも必要だというふうに思います。
総じて、今回の災害はいろいろな意味で教訓的なところが多かったと思うんでありますけれども、こういったことを念頭に置きながら、やはり全体を見直していく。余り油断をしないでそこはよく検討していくべき、そういった課題が多かった災害だったというふうに考えております。
■西村(智)委員
災害は忘れたころにやってくるというのは世の常なのかもしれませんけれども、それにしても、やはり、備える側の方がどうもこの間怠りがあるのではないかというふうに感じてならないわけでございます。
災害時の情報の提供についてお伺いしたいと思うんですけれども、地元の方では、今回、自治体からの避難勧告や避難指示が、連絡網を通じて、あるいは街宣車を回して行われたそうでございますけれども、それが徹底しなかったという声が出ております。
私が感じましたのはこういうことなんです。ユビキタス社会の到来だと言われている。ユビキタス、双方向で、あらゆる家電製品に情報発信源が取りつけられたりいたしまして、私たちは、いつでも、どこでも、だれでも、どんな情報でも入手できるような社会になりつつあると言われているこの社会の中で、なぜ緊急災害情報だけが旧態依然とした情報ルートしか持てていなかったのかということについては非常に大きな疑問を持っておるわけでございます。
基本的にはこれは自治体の課題だというふうには承知をしておりますけれども、国の緊急災害情報の提供に係る姿勢もこれは問われていることだと思っておりまして、質問をさせていただきます。
災害時の情報提供について、例えば携帯電話、ファクス、電話、テレビ、ラジオ、あるいは電光掲示板、こういったふうに選択肢がいろいろあるわけでございますので、それを行政は可能な限り広げる、そして、情報を受け取る地域住民の側が、そのさまざまな媒体を通じて提供されるものを選択して入手することができるようにする、しかもその情報というのは、だれにでもわかりやすいそういう言葉で行われる、これが必要だ、望まれるというふうに思います。
多角的な情報提供の体制、これを整える必要があるというふうに考えておりますけれども、大臣のお考えはいかがでしょうか。
■井上大臣
それはそのとおりだと思います。いろいろな通信手段が今発達しておりますから、そういうものの利用も含めまして考えていくべきだと思うんでありますが、しかし、基本的には、やはり防災の関係はきちっと住民に伝わるような、そこのところはもう最低限必要だと私は思います。
ただ、機器なんかを実際問題として使えない人だっているわけでありますから、耳で聞くとか、そういったどんな人間だって理解できるような方法で、やはり今だったらそれは防災無線だろうと思うんでありまして、そういったことをきっちりしていく必要があると。
それから、同時に言われますのは、住民の方も、言われましても、いや、災害というのはすぐには来ないよ、水はすぐには来ないよというようなそういう油断もあったんじゃないかというようなことを言われる方もありまして、これは一般論でありますが、そういうやはり、住民自身にも災害についての何か心構えみたいなものをいま一度よくリマインドしなくちゃいけない、そんな感じもいたします。
■西村(智)委員
私と大臣が話している論点は同じだと思っておりますけれども、見るどうも角度が違うようでございまして、私も大臣と同じことを言っています。だれもが入手できるものでなければいけない。ただ、それは、その人によっていろいろな媒体が、ふさわしい、適当な媒体というのは人それぞれだというふうに思うんですね。
また、その情報の伝え方というのも、大臣は、いや、まだ水は来ないだろうというふうに考える住民が多かったとおっしゃいますけれども、それだったら、そうではないということをわかりやすく伝える必要があるんじゃないでしょうか。情報はそうあるべきだというふうに思います。ですので、住民の防災意識はもちろん大事ですけれども、防災担当大臣の口から、住民の意識がまだそこまでいっていないとおっしゃったことについては、私はいささか疑問を持つわけでございます。
できるだけいろいろな形での情報提供のあり方をこれからも考え、そして早急に対応をとっていただきたい。防災無線は有効だと思いますけれども、それを唯一の解とするべきかどうかということについても私はいささかの疑問を持っております。つけ加えたいと思います。
そして、避難所の関係でございますけれども、避難所指定などは学校などの公的施設が多いわけでございますが、いざ避難所となったときに、実はかなり使い勝手が悪い。トイレが少ない。入り口が狭い。身障者用のトイレも確認することができませんでした。
私が思いましたのは、今ある施設についてハードを変えることはできませんが、ソフトを少しいじることはできるかもしれない。そしてまた、これから新しく公的施設などの社会資本を整備するときに、避難所としての機能を考え合わせて設計する必要がある。そのときには、先ほど大臣がおっしゃった住民の危機管理意識を高めるという意味でも、住民参加を促して、住民参加によって、この避難所にはこういう機能をつけたらどうでしょうかというようなことを話し合っていただいて、そうやってつくり上げていく。そのことによって、いやあ、うちの地域で災害があったときにはここが避難所になってね、こういうふうに使えるんだというふうに感じれば、それは地域の安心感にもつながるわけですから、避難施設の整備については、こういったこと、住民参加あるいは避難所としての機能、これを十分含め合わせて考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
■井上大臣
避難場所につきましては、例えば小学校でありますとか公民館等ありますけれども、そういうところにつきましては、避難がスムーズにいきますような、あるいは、避難をした人たちが余り不便を感じないような形で避難ができるような施設を整備していく、そういうことが必要である、こういうことでかなり市町村のレベルでは進んできていると思うんでありますけれども、これは市町村によって区々でありまして、まだ、全体としてそういうことが整備をされているかといったら、必ずしもそうだとは思いません。
照明でありますとかエアコンでありますとか、あるいは仮設のトイレとかマットだとか、いろいろなものが必要でありますけれども、まだまだこれから、避難がきっちりとできる、そこで生活できるようなそういう設備をしていく必要があるということは、私どもとしてはそれは十分に考えておりますし、また、防災基本計画の中にもそういうことを規定しておるんでありますけれども、まだ全体としてそういうレベルまで達しているということは言えない段階でありまして、今後さらにそういったことの整備につきまして努めていかなくちゃいけないと、こんなふうに考えます。
■西村(智)委員
住民参加という点についてはいかがでしょうか。お答えいただきましたか。
■井上大臣
これは市町村が責任を持ってやることでありますから、国がそこまでとやかく手とり足とりというんじゃなしに、市町村として、やはりどういう設備がいいのかとか、どういう設備をつくるのかというようなことは、市町村自身がもう考える段階に来ているんじゃないんでしょうか。
■西村(智)委員
自治体にはもちろん考えていただきたいというふうに思います。
ですけれども、国の姿勢もまた問われるんではないですか。国がほうっておいていいんでしょうか、この問題を。自治体にお任せだと言って国がほっぽり出してよろしいんでしょうか。ですので、そういった姿勢を見せていただきたいということを私は申し上げているんです。
■井上大臣
国としましては、そういう避難の場所の設備の整備に努める、こういうことを言っているわけでありまして、具体的にどう整備していくかというのは市町村自身が検討するんですね。いろいろな人の意見を聞いて進める場合もありましょうし、あるいは専門家の意見を聞いてやる場合もありましょうし、そういうことは、市町村の判断に任せてその整備を進めていったらよろしいんじゃないかということを申し上げているわけであります。
■西村(智)委員
大臣、ユニバーサルデザインという言葉を御存じと思いますけれども、私は、危機管理、防災、こういった中で、このユニバーサルデザインというキーワードが非常に大事だというふうに思っております。だれにでも適合する仕組み、年齢、性別、国籍、話す言語、障害があるなしにかかわらず、だれもがアクセスしやすいものとして言われるわけでございますけれども、まさに危機管理のときこそ、このユニバーサルデザインということが大事になってくるのではないか。ですので、考え方をぜひ示していただきたいというふうに思うんです。
防災は、弱者に配慮し、ユニバーサルデザインに配慮して行うべきであるというその考え方をぜひ示していただければ、自治体は、そのことによってヒントを得て、いろいろな形で知恵、アイデアを出してくるでしょうから、ぜひともそういうことを考えていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
■井上大臣
これは、国の方は防災基本計画の中で、ごらんになったと思うんでありますが、かなり詳細に記述をいたしておりまして、県なりあるいは市町村は、それを参考にいたしまして県の防災計画なりあるいは市町村の防災計画の中に取り込んでいっているんじゃないかと、こんなふうに思います。
標準的な考え方がありますから、そういうことにつきましては、国としても、さらによくしていくことがあれば、当然のこととして改定をしていかないといけないと思いますけれども、一度その防災基本計画をごらんいただいて、検討していただきたいと思います。
■西村(智)委員
防災基本計画は私も拝見をいたしました。ぜひともそういった意味では、拡充、これをお願いしたいということを要望申し上げて、この項を終わりたいというふうに思います。
最後に、農業、水産関係の復旧支援について伺いたいと思っております。
先ほどの菊田委員の質問にもございましたけれども、新潟県、農業県でございまして、県内の水稲作付面積の三%が冠水をいたしました。これからその被害はどういうふうに出てくるのか全く想像ができません。大豆、これはもう水をかぶりまして溶けている状況でございます。被害は、県の試算ですと百五十億円を超える、そういうふうに今のところ見込まれておりますけれども、問題は、金額のこともさることながら、農業の持っている多面的機能をこれからも維持していくという面で、中山間地での耕作放棄を何とか思いとどまっていただきたい、こういうことでございます。
今のところ生活復旧が最優先になっておりますけれども、農業についても、先ほどの御答弁の中で、いろいろな形での御支援は検討いただくというふうにお聞きをいたしました。全体的に災害復旧について言えることだというふうに思いますけれども、すべてをしゃくし定規で切ったり捨てたりしないでいただきたいということをお願いしたいと思います。
ちょっと話はそれますけれども、住宅に対する支援についても、これほどまでにいろいろな災害で個人の住宅が破壊されることがもう本当に続いておりますから、個人の財産たる住宅に対して行政、政府はどこまで支援ができるのかということについて、そろそろ根本的な議論をスタートさせるべき時期に来ているのではないかというふうに感じております。
もとに戻りまして、農業に対する支援でございますけれども、復旧支援の考え方、これはできる限り早く示していただきたいという要望が出ておりました。いつごろになるのかお伺いをしたい。
あわせて、天災融資法を、これは新潟県ですと百五十億円超、超える程度の被害ということですので、天災融資法の発動については現時点での考えはどうなのか、それについて伺って終わりたいと思います。
■佐藤正典政府参考人(農林水産省大臣官房政策評価審議官)
新潟県の災害につきましては、委員の方からお話がございましたように、大変な冠水の面積になっておりまして、冠水した期間に大変支配されるものでございますから、二日から四日ぐらいでございますと、一割とか三割とか減収というような感じでございますが、五日あるいは一週間となりますと、相当の被害になるということが見込まれるところでございます。
こうした被害の結果、出来秋まで見ませんと、なかなか共済関係の支払い等どのくらいの感じになるのかよくわからないところもございますが、早期支払いに向けて、被害額の査定等についても急いで対応するように指導しているところでございます。
それから、金融の関係につきましても、先ほど申し上げましたけれども、農林漁業金融公庫の支店に窓口を設けまして、その窓口に御相談いただけますと、金融の融資、それから、今まで借りておられます債務の支払いの猶予等についても、柔軟に対応するように指導をいたしているところでございます。
それから、天災融資法のお話がございましたけれども、天災融資法につきましては、考え方といたしまして、国全体の経済に大きな影響を及ぼす、それから農業被害も深いというようなことでございまして、ここ近年の実例でございますと、平成十年、十一年、それから昨年のあの全国的な冷害、十五年ということで、おおむね一千億円程度の被害額の場合に発動するということになっています。
まだ、現在のこの集中豪雨の農作物被害につきましては全体の数字がまとまっておりませんけれども、少し数字的にはなかなか難しいのかなというふうに思っております。
ただ、ほぼ同様の条件の制度融資を用意しておりまして、これにつきましては柔軟に対応していきたいというふうに思っております。
以上でございます。
■西村(智)委員
終わります。ありがとうございました。