■西村智奈美委員
おはようございます。この地共済に関する質疑、トップを切らせていただくことになりました民主党の西村智奈美です。
年金制度法案の本体の方は衆議院で成立をいたしました。今参議院の方に論戦の場が移っておりまして、私たちもその経緯を注意深く見守っているところであります。
年金制度を私も勉強してまいりまして、非常に複雑でわかりにくい制度になっていること、このことを改めてつくづくと感じました。そもそも、スタートしたときの考え方、そして改正のたびにつけ加えられてきた考え方、これが本当にモザイクのように入り乱れて、若い人たちはどこをどう切り取って見ていったらいいのかわからないという状況にあります。
年金制度に対する不信、不公平感、これはもうピークに達しておりますので、一日も早く抜本的な改革をしっかりと行って、国民の皆さんから安心していただけるような制度に再編成をしていかなければいけない、そういう立場できょうの地共済の質問もさせていただきたいと思っております。
まず、一元化に関連してお伺いをしたいと思っております。
今回の法案、幾つかポイントが出されておりますけれども、まずその重要な柱の一つは、言うなれば地共済と国共済との一元化だというふうに説明がされているわけでございます。この点については私も賛成の立場でおります。
昭和五十九年、このときの閣議決定では、公的年金制度全体の一元化を平成七年を目途に完了させるというふうにあります。これは、前後の文脈からいいまして、被用者年金のことを言っているんだと思いますけれども、その後の平成十三年の閣議決定では、「被用者年金制度の統一的な枠組みの形成を図るために」ということで、共済年金の一元化について言及をされております。
こういった中で言われております公的年金制度の一元化、これと今回の改正において言われております財政単位の一元化、この二つがどういうふうに結びついているのか。今回この財政単位の一元化を行う意義は何かということについてお伺いをいたします。
■須田和博政府参考人(総務省自治行政局公務員部長)
御質問の趣旨でございますけれども、今回の共済の一元化と公的年金全体の一元化との違いということでございましょうか。それとも、両共済の一元化の仕組みについてでございましょうか。恐縮でございます。
(■西村(智)委員「前者です」と呼ぶ)
前者でございますか。
今回の地共済と国共済との財政単位の一元化につきましては、御指摘の平成十三年三月の閣議決定におきまして、被用者年金制度の一元化ということがございますので、これを受けた内容となっております。
また、一般的に言われております公的年金制度の一元化につきましては、平成十三年の閣議決定におきましては、「被用者年金制度が成熟化していく二十一世紀初頭の間に結論が得られるよう検討を急ぐ。」ということになっておりますが、今回の両共済の年金制度の一元化は、あくまで閣議決定におきます「両制度の財政単位の一元化を図る。このため、速やかに具体的な枠組みについて検討を進め、次期財政再計算はこの財政単位の一元化を前提として実施する。」という考え方に基づくものでございます。
■西村(智)委員
財政単位の一元化が行われるということでありますけれども、国共済と地共済、制度上も公務員ということで非常によく似ている、こういうふうに見受けられるわけであります。この際、制度や組織として一元化するということはお考えになっていらっしゃいますか。
■須田政府参考人
お答え申し上げます。
今回の改正案における地共済と国共済の一元化は、ただいま申し上げましたように平成十三年の閣議決定に基づくものでございますけれども、これは、両共済の組織、制度としては独立にしたままで、両制度間で財政調整を行いつつ、最終的に保険料を一本にするということにしているものでございます。
この理由でございますけれども、両共済とも、年金事業とあわせまして、医療保険及び福祉事業を一体的に運営しております。また、年金事業につきましても、それぞれの制度の成り立ちや特色、あるいは、これまでそれぞれの制度において自助努力による運営がなされた経緯などがございますので、こうしたことを踏まえまして、両制度の組織に新たな変更を加えないで財政調整をする方法が適当かつ現実的であることという判断によるものと考えております。
■西村(智)委員
私は、一元化は国共済と地共済の間でできないのかということもあわせて聞いたつもりでございます。今の御答弁ですと、そのことについてのお答えはいただけなかったというふうに思うのですけれども、一元化についてもう一度お考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
■須田政府参考人
恐縮でございます。両共済の一元化と公的年金全体の一元化の違いということ……
(■西村(智)委員「いえ、二つ目に聞いたのは、国共済と地共済の一元化はできないのかと聞いているんです」と呼ぶ)
はい。
国共済と地共済という別個の共済制度でございますけれども、その別個の共済制度の制度あるいは共済組合という組織がございますけれども、その別個の組織あるいは制度はひとまずそのままとしておきまして、それぞれの制度の財政単位といいますか、年金の給付の計算をする単位を一つにまとめていこうというものがここで申し上げております財政単位の一元化でございます。よろしゅうございましょうか。
■西村(智)委員
国共済と地共済の一元化はどうなんですかというふうにお伺いをしたつもりなんです、二点目につきましては。そのことについては、もう一度、重ねて財政単位の一元化の中身を御説明いただいただけでした。これ以上やっていても時間が過ぎていくばかりだと思いますので、先に進みたいと思います。
今の御答弁は、別個で存在していくことが現実的であるというような御答弁であったかというふうに思います。では、これは別個で存在していて共済制度そのものを本当に将来維持することができるのかどうか、このことについての見通しはどうでしょうか。
地方公務員共済は、共済年金の中でも比較的財政状況がよいというふうに伺っておりますけれども、公務員人口そのものもここのところ微減傾向だというふうに思います。今後も制度そのものが維持できるということについて楽観できる状況なのかどうか、そして、あわせて、職員の減少ということについて、市町村合併がこれからもっともっと進んでいくと思いますけれども、そういったことなどは考慮に入れられているのかどうか、この点についてお伺いいたします。
■須田政府参考人
お答え申し上げます。
今回の両共済の財政単位の一元化でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、両方の財政単位をまとめることによりましてより安定的な運営を可能とするということを基本としているものでございます。従前以上に安定的な運営を可能とするものでございますが、そうした財政単位を行う中で、基本的には、サステーナブルな、維持可能な制度ということを念頭に置いているわけでございます。
今後の見通しといたしましては、現在、この財政再計算をきちっとするというのを本年十月に想定しておりまして、この十月の段階で共済組合連合会が財政再計算をすることとなっておりますので、確定的なことを申し上げることはできませんけれども、基本的には、給付水準を厚生年金の給付水準と同じくしております。
また、両共済におきましては、これまでの経緯もありまして、一定の積立金というのがございます。したがいまして、現在の推定的なものでございますけれども、厚生年金の加入者よりも共済年金の加入者の減少傾向がより早かったとしても、将来的にも安定的な運営が可能と見込んでいるところでございます。
■西村(智)委員
大臣にお伺いをしたいと思っておりますけれども、これから、小泉首相がおっしゃっておられますとおり、年金制度の一元化については議論が進んでいくというふうに私は期待をしております。そこで、先日サインをされました三党合意を受けて、この一元化の問題についてお伺いをしたいと思っております。
民主党は、多様な働き方、そして、世代間の不公平感をなくす、持続可能な制度をつくる、こういった考え方から、職業による格差をなくすことを中心といたしまして、全国民共通のいわゆる一元化された年金制度を提案してまいりました。このことについては、もう最初から最後まで、昨年十一月の総選挙のときのマニフェストからきょう現在も、そしてこれから参議院での審議の中でも変わっていくことはないというふうに思っておりますけれども、大臣は、この三党合意を受けまして、どういう考え方で一元化を進めていくつもりでしょうか。あるいは、どういうふうに進んでいくことが望ましいというふうにお考えですか。お聞かせください。
■麻生太郎総務大臣
西村先生の御質問の最初のところと後の部分と、二つあるんだと思うのです。
先ほど答弁がありましたように、平成十三年三月十六日の閣議決定で、国家公務員共済及び地方公務員共済は、財政単位の一元化を前提として実施するとされております。それに基づいて、今回、地共と国家公務員共済と一緒にする話をしているんですが、その第二のところに、厚生年金保険等との財政単位の一元化も含め、検討を急ぐというのが上がってきているところなんです。
今回の五月六日の三党合意のときは、国民年金を含む一元化問題が検討の対象となっているということは私ども承知をしておりますが、私ども総務省としては、御存じのように、国家公務員共済の保険料率は一四・三八%、地方公務員は一三・〇三%、差額は一・三五%あるという現実が今もうそこにありますから、そういったものでいきますと、地方公務員と国家公務員とは率が違っておるというのが一つ、これは、一元化するためにはこれを平準化しなきゃいかぬというのをいきなりあしたからというわけにいきませんから、時間をかけて、一応五年をめどにして、まずこの財政単位の一元化を図っているというのが今回お願いをしている第一点なんです。
それで、公的年金の全体の一元化につきましては、これは三党合意も得て、やっていかないかぬところですが、今回のNHKの世論調査を見ても、とにかくわかりにくいというのに対する不満が八三%か四%かだったと記憶しますが、そういうものを仮に一元化しようとしますと、これは、一番多分問題なのは、自営業という方々の所得が幾らかというのが捕捉できるかというところが一番問題。
それから、働き方もいろいろあるので、勤めてやめて、また勤めてというようなことになっていったときに、そこがきちんと追えるか、きちんとフォローできるかといいますと、各会社がきちんとしていただいているかどうかも、また本人がそれだけちゃんと申告しているかどうかもということになりますと、これは多分、個人一人当たりの背番号制か何かを個人個人で持たせないと、なかなか全体をきっちり捕捉することは不可能ということになろうと思います。
傍ら、サラリーマンのはきちんと取られていて、きちんと取られている方がいきなり一緒にされて、足りていない分も払えと言われたら、それはきちんと払っている方は、何でおれたちがそれを払わないかぬのかということになります。
そういったいろいろな難しい問題がありますので、これは三党いろいろ御検討をいただいて、私も一元化するのにこしたことはないと正直思いますけれども、いきなり、払っていた人と払っていない人とみんな一緒と言われたら、それはなかなか難しいので、どこか一定の区切りにおいて、ここからは一緒にします、これから上は違うとか、いろいろなことを考えないと、なかなか御納得をいただけるところにもならぬ。
また、個人の年金ということになりますと、その部分につきましては、プライバシーのどうたらという話がまた出てくると、これは、総背番号制という名前もいただけませんけれども、そういったようなきちんとした個人にしないと、この種の話は全体で捕捉する、公平を得て納得を得るというのはなかなか難しいんじゃないかな、そこが一番問題かなというのが、大臣個人としてどうかと聞かれれば、その点だと存じます。
■西村(智)委員
なかなか難しいのではないか、それは私たちも全く同感です。一朝一夕にできるというふうには思いません。
だけれども、このままほっておいていいのかどうかと聞かれれば、やはりそうではないだろうというふうに思うのです。一定の経過期間、措置期間を経てしっかりとした共通の年金制度をつくっていくということについては、これからも私たちは積極的にいろいろな提案をさせていただきながらやっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次なんですけれども、今度は法案の中身についてお伺いをしたいというふうに思います。
厚生年金の制度に準じて今回の地共済の改正が行われる、同様の改正を行うというふうに書かれている部分がありますけれども、そもそも、条件が一致していない、異なる厚生年金とどういうふうに合わせていくのかということについて、いささかお伺いをしたいことがございます。
まずお聞かせいただきたいのが、厚生年金と同様の改正を行った点はどこでしょうか。そしてまた、その理由をお聞かせください。同時に、厚生年金と異なる改正を行った部分、それはどこかということと、その理由をお聞かせいただきたい。つまり、共済年金を今回も厚生年金に準じて改正した理由は何かということなんですけれども、お聞かせください。
■須田政府参考人
お答え申し上げます。
今回の改正におきましては、地共済年金の給付面につきまして、現在厚生年金と同様の仕組みであるものにつきましては厚生年金と同様の改正を行うこととしております。これは、地共済年金の給付の設計、給付の仕組みでございますけれども、これは昭和六十年の年金制度改正以降、基本的には厚生年金と同じ内容としていることによるものでございます。
一方、負担の面、すなわち保険料率でございますけれども、この点につきましては、厚生年金がいわゆる保険料水準固定方式を採用するのに対しまして、地共済年金では、給付水準について厚生年金と同様の調整を行った上で財政計算を行い、保険料率を決定することとしてございます。この理由でございますけれども、地共済年金は財政状況や成熟度が厚生年金と異なるものでございますから、保険料水準を厚生年金と同様にすることは困難と考えております。
また、このほかの点でございますけれども、厚生年金の改正とは異なっている、今回の法律の中での非常に大きな点でございますけれども、一つは、地共済と国共済の先ほどの財政単位の一元化という点がございます。これは国共済と同様に行っているものでございます。また、さらに、地共済独自の大きな柱としましては、市町村の共済組合の長期給付事業の一元的処理という内容を盛り込んでいるものでございます。
■西村(智)委員
お伺いしたかったんです。厚生年金が保険料水準固定方式をとっているけれども、共済年金の方はそういう方式はとらない。そういうふうにした理由は何かというと、成熟度が違うというようなお話であったかというふうに思うんですけれども、それはすっと受け入れられる理由なのかどうか、果たして妥当な理由と言えるのかどうかということについては疑問があることをちょっと一言つけ加えておきたいというふうに思います。成熟度が違うということで、厚生年金と異なる改正を行った点があるという説明にはいささか納得できないものがございます。
それで、共済年金の議論のときに、やはり厚生年金と同様に、債務超過がどうなっているのかということについてはぜひとも知っておきたいというふうに思うのです。地共済の債務超過は全体でどのくらいの数字になっているんでしょうか。お示しをください。
■須田政府参考人
お尋ねの債務超過という点でございますけれども、これは平成十一年の財政再計算結果に基づきます給付債務と財源構成におきまして、過去期間に対応した給付現価のうちどれだけ将来の保険料でやるか、あるいは将来期間に対応した給付現価のうちどれだけ将来の保険料によって対応するか、そういうふうな趣旨のものを整理したものはございます。
その結果によりますと、まず、過去期間に対応いたしました給付現価のうち将来の保険料の引き上げによって賄う分が六十八兆七千億円、また将来期間に対応した給付現価のうち将来の保険料の引き上げによって賄う分が六兆九千億円となっているところでございます。
ただ、この数字でございますけれども、御案内のように、現在の制度が基本的には世代間扶養というのを基本的な考え方として運営しておりますので、そういうふうな制度をあえて積み立て方式の考え方で算出したものでございますから、これをもちまして、例えば年金制度上の積み立て不足、そういうことを時々言われる方がございますけれども、そういった趣旨のこととはまた違いますし、また、いわゆる企業会計における債務超過とも若干意味合いが異なるというものでございます。
■西村(智)委員
きのうも私、今御説明をいただいたような数字の書かれております資料を実は持ってきていただいておりました。この「地共済の給付現価と財源構成」という資料ですけれども、これは総務省の方でおつくりになった資料ですか。確認します。
■須田政府参考人
総務省の方でつくりました資料です。
■西村(智)委員
先ほど、これは債務超過と言える性質のものではない、あるいは積立金不足というふうな性質のものではないというふうにおっしゃいました。
ここに、いわゆる私たちが一般的に債務超過と呼んでおります分、過去期間に対応した給付現価の中でどうしても足りない部分が出てくる、将来期間に対応した部分についても六・九兆円、全体で見ると、比率としては低いですけれども、そういう部分が出てくる、これは将来の保険料率の引き上げにより賄う分だ、こういうふうに表現をされておりました。
これを私見ましたときに、そちらで持っておられる政策的な意図を示すものであって、客観的な認識を妨げる、そういう表現ではないかというふうに思いました。本当に価値中立的に表現するのであれば、財源手当てのない債務額であるというふうに表現するべきではなかったかと思いますけれども、なぜこのような表現にしたのでしょうか、お聞かせください。
■須田政府参考人
今回のこの資料につきましては、もともと前回の財政再計算の結果を厚生年金あるいはその他の共済年金等がその財政状況を把握するためということでこのような形で作成したものでございますけれども、その段階では私どもまだ十分な計算ができていなかったものを、後ほど厚生年金あるいは他の共済年金と平仄をそろえるような形で、その段階で出ておりました厚生年金の資料のつくり方をもとにしまして、それに合わせて作成したものでございます。
■西村(智)委員
計算の数字がどうのこうのということではなくて、やはりこの部分の表現についても、厚生年金と同様の給付現価及び財源構成の資料に倣ってつくったものであるというふうに理解をいたしますけれども、これは保険料の引き上げですよね、将来の保険料率の引き上げにより賄う分ということでありますから、これは何かというと、保険料の引き上げにつながっていくわけでございます。
こういう簡単な図で、数字のことを言っているのではありません。厚生年金が保険料率を引き上げるということに倣って地共済の方も保険料率を引き上げ、そしてこの部分を賄うのだというふうにこの資料では説明をされている。簡単なこんな図で、しかもこういう短い審議時間の中でこのことを提案し、通そうということについてはどういうふうにお考えですか。
■須田政府参考人
現在の地共済年金の制度でございますけれども、基本的には、現在は段階的に保険料を上げていく、世代間の扶養を前提としまして、保険料は成熟に合わせまして段階的に上げるというような考え方をとっております。したがいまして、どうしても過去の期間に対応しますと、積立金は必ずしも一〇〇%というものではないということで全体の制度をつくっているものでございます。
そういった意味で、どうしても積立金では足りない部分というのがありますから、それは将来段階的に上げる中で、それを徐々に埋めていくといいましょうか、その原資を確保していくというのが基本的な制度の仕組みになっておりますので、そういうことを前提にしまして、今の状況をわかりやすく説明するということで作成したものでございます。
■西村(智)委員
社会保険料の引き上げということについて、どうも税の引き上げと比べると議論は薄いのではないかということを、私、この間ずっと思っております。社会保険料の引き上げのときには、税の引き上げよりも国民の反対の声は生じにくいのではないか、そういう意図もあるんではないか、疑い深い方ですからそういうふうに思ってしまうわけでありますけれども、実際には、国税総額と社会保険料全体で比べますと、社会保険料の方が二〇〇三年度の当初予算で五十五・六兆円、これは国税総額の四十三・九兆円を上回っております。こういう状況の中で、その社会保険料を構成している最大のものは年金保険料である、このことについてもっと真剣に考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに考えています。
どうも今回の年金法案は、国民の皆さんから理解も得られていないし、納得も得られていないようであります。五月の十七日、各マスコミの世論調査を見ますと、年金法案を今国会で成立させるべきではないと答えている方々が六割から七割に上る、こういう数字でございました。今回の改正を提案している総務省の方では、こういった国民の声をどういうふうに受けとめているのか、それを聞かせていただきたいと思います。
■須田政府参考人
私ども行政に携わる者としまして、日ごろ国民の皆様方がどのようなお気持ちでいるかということにつきましては、十分な注意、関心を払っているつもりでございます。
ただ、今回の御審議いただいておりますこの法案につきましては、やはり全体の年金制度改革の中で、厚生年金などとしっかり歩調を合わせたものとして共済年金につきましても必要な見直しをしていきませんと、将来の共済年金の安定的な運営ということがやはり難しくなるんではないかということもございますので、そういった意味で、こういうふうな形での改正案を御審議いただいているものでございます。
■西村(智)委員
多少勘案しなければいけないなと思うのは、総務省の方には国庫負担を決めるという直接的な権限はございませんから、こちらの方での専管事項ということになりますと、給付と負担のあり方を見直す、給付の抑制と保険料の引き上げしかないのではないか、そういう状況の中でこのような法律の提案にならざるを得ないのかということについては、多少思いをめぐらす必要があるのかというふうに思います。
しかし、そういう省庁の枠にとらわれ続けている中でつくられた年金制度、働き方が本当に多様になった今の時代にもう合わなくなっている。はっきり申し上げて時代おくれだと思います。省庁の枠を超えて再編成をする必要があるというふうにはお考えになりませんか。
■須田政府参考人
働き方が多様になったというような御指摘につきましては、私どもも、例えば地方公務員におきましてもだんだん多様な働き方がふえてきておりますし、また、そういうふうな形に対応したような制度というのを少しずつでも導入したいということで取り組んできているところでございます。
ただ、もう一つ御指摘のありました省庁全体を超えたということになりますと、今回の共済法の改正におきましては、まず閣議決定で、指摘されております両共済、これは同じ公務員という共通の職務ということに着目して考えられているものと理解しておりますけれども、そうしたものから着実に実施するのが適当なのではないかと考えております。
■西村(智)委員
年金制度の将来についてどの程度真剣に考えているか、その度合いが十分ではないということが今の御答弁からうかがい知ることができました。
私はやはり、この過去債務と言われる部分、財源手当てのないこの不足部分についてはどういうふうに手当てをするかということについて、基本に立ち返って議論をする必要があるのだというふうに思います。保険料の引き上げなどという数字合わせのことだけでは、年金に対する国民の信頼は回復できない。年金制度を再編成する責務が私は政府・与党にあると思います。そのことを一言つけ加えまして、時間がありませんので質問を続けます。
厚生年金ではポイント制を導入することとしておりますね、年金個人情報通知というんでしょうか。共済年金ではどのようになっておりますか。見たところ、文言が見えないのですけれども、地共済で導入をしないというふうに決めた、導入しないということになっているとすれば、そのようになった理由は何でしょうか、聞かせてください。
■須田政府参考人
ポイント制の関係でございますけれども、確かに、御指摘のように、国民年金及び厚生年金におきましては、年金制度への理解を深めるための仕組みとしていわゆるポイント制の導入を予定していると承知しております。
しかしながら、共済年金におきましては、まず、職種等の区分に応じた七十八の共済組合で具体的な事務処理を行っておりまして、比較的きめ細かく組合員の方からの相談への対応とか情報提供を行える体制となっているというのが一つございます。
また、もう一つ、地共済の組合員の給料体系でございますが、基本的には地方公務員の給料が国公準拠となっておりますし、また、常勤職員を原則として対象としているということもありますので、雇用形態も基本的には組合員の方全体が非常に類似したものとなっております。したがいまして、保険料の納付実績などにつきましても、同年代では大きく変わることはないということもございます。
こういったことから、保険料納付実績や年金額の見込みなどの情報提供を行った上で、さらに点数化した表示を通知するということは、地共済年金に関しましては必ずしも必須なものではないのではないかということを考えたところでございます。
なお、年金制度に対する理解と信頼を高める必要性につきましては我々も重々承知しているところでございますので、被保険者の方に対する年金の情報提供につきましては、その内容や提供方法などの一層の充実が図られるよう、関係の共済組合に対しましてその周知徹底に努めてまいりたいと考えております。
■西村(智)委員
私は、厚生年金でポイント制が導入されるということを伺ったときに、果たしてそれは効果をもたらすだろうかということを逆に心配した方なんです。
非常にコストがかかる、時間もかかる。だけれども、実際にそのことによって本当に国民にわかりやすい年金情報の提供になるのかどうか。これはいまだに実は判然としておりません。技術的な問題があること、あるいは、平均年金ポイントは毎年一・〇だそうでありますけれども、その一・〇という数字を毎回毎回受け取ることのできる人は極めて少数だろう、圧倒的な多数は恐らく一・〇以下なんだろうというふうに思うのです。そういうものを受け取った人が本当に年金制度を信頼しようと思うか、将来の給付がこれで安心だというふうに思うかどうか、そのことには決してつながっていかないというふうに考えているんですね。
ですから、むしろ私は、これはもう問題が非常に多いので、導入は安易にすべきではないというふうに思っております。
済みません、最後、どうしてもお伺いをしたいことがあります。雑駁で結構ですけれども、厚生労働省の方からお聞かせをいただきたいと思うのです。
社会保障全体の中での年金制度のあり方、これはやはりきちんと検討すべきときではないか。私たちの世代は、そろそろ親が年金受給世代に入りまして、これから体がだんだんきかなくなり、八十以上になると恐らく多くの方々で痴呆があらわれるということになってまいりますから、そのときにどこまで個人で面倒を見るべきなのか、そういうことについては非常に見えにくいところであります。
私たちが最も心配なのは、家族が倒れたときに子供がどこまで面倒を見なければいけないのか、そのことをぜひとも明確に示していただきたいと思うのです。ですから、こうした年金制度の設計に当たりましては、医療と介護とそして税制のあり方を含めて、総合的な検討が必要だというふうに思います。そういう指摘も恐らく各所でなされているというふうに思いますけれども、厚生労働省のお考えをお伺いします。
■佐田玄一郎委員長
簡潔にお願いします。
■渡辺芳樹政府参考人(厚生労働省大臣官房審議官)
大変大きな御質問でございましたので、足らざるところあるかとは思いますけれども、御承知のように、社会保障全体を見る中で、例えば二〇〇四年度、八十六兆円の給付費のうち、約五割、四十六兆円が年金ということでございまして、社会保障制度の大宗を占めている大きな屋台骨であると考えております。
こうした年金制度が世代間扶養の考え方によって行われており、今簡単に白地に絵をかくような議論がなかなかできない、四十兆円以上の給付を出している、こういう世界であるということを踏まえ、また、今世代間のお話がございましたけれども、長男、長女時代と言われる昨今において、お二人のカップルに四人の親御さんがいらっしゃる中で、公的年金制度というものが果たすべき基本的な役割というものを大切にしていかなければいけないという点と、国民経済との調和、支える側は本当に支え切れるかということを十分考えていかなければならないと思います。
また社会保障制度、先ほどの五割のそのほかは医療あるいは介護を中心とした福祉、こういうことになるわけでございますが、高齢期における医療や介護というものは、年金収入というものをきちっと前提とした高齢者自身による御負担ということも基礎に入っているものでございますので、全体に連関した、一体的な見直しというものをしていくというのが基本的な姿勢であろうかと思っております。今般衆議院で修正されました点も、その点の御指摘があると思います。
来年に予定された介護、それからその先の医療改革におきましても、さまざまな議論がありますが、その大前提として、今般の年金改革というものが先送りのできない課題であるということで、一日も早い成立を望んでおるところでございます。
■西村(智)委員
時間ですので終わります。ありがとうございました。