■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美です。
先日の本会議ではありがとうございました。しかし、本会議の質問に対して十分に答弁をいただけなかったというふうに感じておりますので、そのあたりを中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、基本的なところからなんですけれども、合併を推進する目的について伺いたいというふうに考えています。
これは、小泉マニフェストの中でも掲げられていることでありまして、いわば政府の重要政策であるというふうに受けとめています。そうであるならば、合併を何のために進めるのか、そういったことについて私は本会議でお尋ねをしたんですけれども、きちんとした、聞き手にとって納得のできる、わかりやすい答弁をいただけるものだというふうに思っておったんですけれども、答弁は以下のようでございまして、読ま上げさせていただきます。
第二十七次地方制度調査会の答申では、地方分権の推進の観点から、市町村の規模、能力の充実を図ることが必要であり、合併新法で都道府県が策定する市町村合併の推進に関する構想の対象となる小規模な市町村として、人口おおむね一万未満を目安とし、その際地理的条件等も考慮すべきこととされております。
この答申を踏まえて、今後とも、自主的な市町村の合併を推進してまいります。
ということでございました。
何のための合併なのか、今まで何度も何度も恐らく質問があったと思いますし、そのたびに麻生大臣も答えられてはいるんだと思うんですけれども、いま一つ私たちの気持ちの中には入ってくるものがないんですね。
恐らく財政的な事柄と地方分権の推進の点からというようなお答えをされるんだと思いますけれども、いま一度お伺いをしたいと思うんです。何のための合併でしょうか。
■麻生太郎総務大臣
基本的には、新潟は何割か知りませんけれども、三割自治という言葉があります。収入が三割ということだと思いますが、そういう状態にありますので、残りの分をいろいろな形で、国からの補助に頼る、交付税に頼る、補助金に頼る、その他いろいろありますけれども、そういったものに頼るという形で、基本的には自立という気持ちがなくなる。
今までは中央集権という大きな流れ、明治四年以来の流れがありますので、それはそれでよかったんだと思います。事実、成功して、これだけ豊かになったんですから。間違いなく、官僚主導、業界協調型で戦後これだけ経済的に反映したことも確かですから、私はそれはそれなりに当たった制度だったと思います。
ところが、ほとんどのところに物が行き渡り、公民館もそこそこ皆でき、いろいろな形で一わたりしてみたときに、改めて、もう一回、その地域にはその地域の特色ある発展、いわゆる特色ある地方というものがあってもいいのではないか。金太郎あめという言葉がさっき出ていましたが、金太郎あめみたいにみんなミニ東京を目指す必要はないのではないか、新潟は新潟の文化があって当たり前じゃないかという話が出てきて、これは当然のこと。
しかし、それをやるに当たりましては、新潟というところが独立できるようなものにするためには、財政基盤がきちんとしていないと、やっぱり一家を構えても収入がきちんとしていないと家庭はなかなか難しいというのと同じように、財政基盤をきちんとするというのが大きな理由の一つです。
同時に、新潟市のように、北陸で最初に近々政令都市になろうかというような大きところと違って、小さな市町村も世の中にはいっぱい存在します。そういったところにおきましては、財政基盤というものは新潟市に比べてさらに弱い。そういうところは、行政サービスというものを最低限維持するというのに当たっては、それだけの、行政サービスを維持できるだけの人材はいますか、財政基盤はありますか、これからは全部書類で来ませんよ、オンラインで来るんですよ、そのオンラインにこたえられて、オンラインできちんと対応できる人材は育っていますかと言われれば、私の選挙区内にある町でできていないところ、幾つもあります。
そういったところを含めて考えますと、基本的には、きちんと行政サービスができるようにするためには、ある程度の規模を持っておかないと行政サービスはなかなか難しい。
加えて、人口が少ないところでは、先ほど申し上げましたように、五千人以下では約百三万円かかることになります。五千から一万でも約五十万。そういった形で、ある程度の人口規模というものを持っていないと、一人頭にかかります行政経費が高い、しかも三倍ぐらい高い、三十万ぐらいになりますから。そういった意味からいきますと、これはある程度きちんとしておいていただかないといかぬのではないか。
したがって、今回のいろいろな意味での目的は、行政サービスというものを考えた場合に、やはり基本的には、そこに住んでいる地方の人の自由、その自由度を上げるためのいわゆる財政というものの基盤の確立、そしていろいろ規制がかかっておりますものは少なくともその規制の緩和、そういったものが結果としてその地域住民を幸せにする、順番からいくとそういうことになろうかと思いますが、本来の目的は、地方の活性化、地域主権、そういったようなものを確立していくという目的であって、そのための手段の一つと思います。
■西村(智)委員
長い答弁をありがとうございました。
伺っておりまして、私の耳にはこう聞こえてまいります。結局、お金がなくなったから、済みませんけれども、今までどおり、国は地方の面倒を見ることができなくなりました、ですので、申しわけないけれども、合併をして、それなりのスケールメリットを図っていただいて、行政サービスの維持を図ってくださいというふうに私の耳には聞こえるんですね。
ですけれども、その最初の部分がなかなか聞かれない。もう今までとは違うんです、お金がなくなったのでこれまでどおりとは違うんです、これまでの国のやり方は、ある意味では、自治の本旨、これを育成することとは少し違って面倒を見てきたんですけれども、もうこれからはだめですよというようなところがなかなか聞こえないものですから、たびたびこうやって質問させていただいているということでございます。
ちょっと時間がございませんので、済みません、先に進ませていただきたいと思います。
合併関連法案の方に今度は移らせていただきますけれども、基本指針の策定につきまして、総務大臣が法律の中に書くよりは指針として書いたほうがよろしいのではないか、こういう御判断でつくられるというふうに承知をしておりますけれども、一昨日の委員会の中での質疑で、平成十七年度早々に策定をしたいというような御答弁だったかというふうに思います。そして、どのようにお答えをいただいているかと申しますと、合併の状況をよく見きわめないと、その内容というのはどのようであるか言えない、基本指針の中身についてですね。
私も本会議の中で質問をさせていただきましたけれども、では、一体何を見きわめるのか、基本指針の策定までに何を見きわめて、そしてどういった内容のものを策定しようとお考えになっているのか、その点について伺いたいと思います。
■麻生大臣
第一問のお答えも、素直に受け取られるか、ひねて受け取られるかで考え方が全然、反応が違うのと同じように、今回の話も、素直にとられるか、ひねてとられるかで全然違います。素直に聞いていただくと、何回も質問されずに済むんだと存じます。平成十七年の三月までの市町村合併の進捗状況を踏まえということを答えておりますので、第二十七次地方制度調査会の答申を踏まえてそれを申し上げておるところなんです。
一万人未満の話が出ましたけれども、一万人未満というのを法律で書けというお話ではなくて、こういった形で一つの目安の方が望ましいというのは、これは町村会長等々からの意見を踏まえた上で、法律には書かずにこういった形にしたという経緯がありますので、いろいろ関係しておられる市町村長さん方の御意見をある程度伺ってみないと、これはなかなか答えが出せないところなのです。
離島に限らず、できないという山の中もあろうかと思います。山の中だからおれのところは逆に独立するんだというところもありますし、県を越えて、長野県が嫌だからといって岐阜県に合併したところもあるわけですから。
そういった意味で、いろいろな形で地理的条件等々は考慮すべきものだと思っておりますので、基本指針につきましては地方の事情を踏まえたものにしなければということを申し上げております。
■西村(智)委員
最近の合併推進のための国の姿勢を見ておりますと、とにかくやはり合併は進めたい、何が何でも進めたいということで、合併の推進のための現行法を延長したり、あるいは合併新法の制定をしたりというふうに映るんですけれども、私が考えておりますのは、この基本指針というものは、結局合併が進まなかったときに、より厳しいものになるのではないか、あるいは合併の進捗状況によってその中身が、あるいは、一回策定をされた先で見直しをされるようなことが出てくるのかどうかという疑問なんです。
とにかく、この一連の流れを見ておりますと、本当に次から次へと指針やら、そして、今回の新法の中ではあっせんやらというようなことがございますから、その基本指針の策定について、その見直し、中身、そういったものについてもう一度お答えをいただきたいと思っております。
■大野慎一政府参考人(総務省大臣官房総括審議官)
この新法でございますけれども、新法の施行は、現行の合併特例法が十七年の三月末で失効する、今、経過措置についてはお願いいたしておりますけれども、そういうことでありますので、十七年の四月一日から施行するということで新法を出させていただいているわけでございます。当然、基本指針はその新法に基づく指針でありますので、それ以降に総務大臣が策定をしてこれを都道府県にお示しするということになるわけでございますね。そこで、都道府県は構想というものをお考えになるということになるわけです。
今、いろいろなところでこの合併協議が進んでおりますので、先ほど大臣も申し上げましたけれども、この合併協議がどのような結果になるか、例えば、合併協議会があるものがすべて合併に至るのか、現実に離脱したり協議会が解散をするというふうなことになっている場合もあるわけでございますが、いずれにしても、その推移は十七年の三月末には一応わかる。
なぜかといいますと、現行特例法、経過措置をつくったとしましても、それまでの間にそれぞれの市町村の議決をしていただきまして申請までいきませんと、現行合併特例法のいろいろな特例規定が使えませんものですから、それで、あと一年足らずの間にその帰趨がわかります。
そこで、その結果を踏まえませんと、先ほど大臣の方からお話しいたしましたように、なぜ合併しないで残ったのか、これもわからないわけですね。ですから、合併しなかったにはしなかった事情があるわけですから、そういったことも勘案して、今度、都道府県には構想をつくっていただかなければならないということになるんだろうと思いますね。
それから、もう一つ大事なことは、合併協議が順調に進みまして、都道府県の中でほとんど合併が終わってしまった、こうなった場合には、新しく合併構想なるものを都道府県がつくる必要はないわけでございますので、そういったことも含めまして基本指針の中で考えていかなければならないということであります。
したがって、もうしばらくその基本指針についての具体的な検討は先になるということでございます。
■西村(智)委員
合併の進捗状況を見きわめてその基本指針の中身を決めるんだというようなことで御答弁をいただいたというふうに思っています。
合併特例債についても本会議の中で質問をいたしましたけれども、これについては答弁をいただけませんでした。仮にという条件を置いてもよろしいので、合併特例債の発行額が幾らになるのか、その総額の見通しをいただきたいというふうにお伺いをしたんですけれども、平成十一年度からこれまでに約九百十億円という御答弁をいただいただけだったんですね。これでは済まないと思っています。それでは済まないというのは、本会議の答弁では済まないというのと、これまでの九百十億円ではとても済まないだろうと。
ある知事は、合併特例債の総額が何十兆円になるのかわからないというふうにおっしゃっておりましたけれども、非常に大事な数字であるというふうに思っております。しかし、法律のこの審議の前に改めてその数字の見通しが示されることはありませんでした。極めて審議の前提になるものだというふうに思っておりますけれども、明確にお答えをいただきたいと思っております。
政府が言うところの千自治体くらいまで合併が進んだとき、あるいは現時点で法定協が存在しているところがすべてゴールインをしたとき、そして千七百程度ということが見込まれているそうでございますけれども、いずれの条件でも結構でございますが、合併特例債、総額で幾らになると見通していますか。
■麻生大臣
合併が幾ら、どれだけ進むかというのがわからぬうちに合併特例債の額が逆算できるはずはありませんから、まず基本的に、正確に言うのは無理です。これはまず頭に入れておいていただかぬと。今ありますものが全部できる可能性はほぼありませんから、いろいろごちゃごちゃして分かれるところもいっぱい出ると思います。
そういった意味では、全部が全部できる前提ですべてというのはちょっといかがなものかと思いますが、大まかにいって、時間的に言えば今から約十年間ぐらいになりますので、その額からいくと、七、八兆円ぐらいになりはせぬかなと思っております。
■西村(智)委員
七、八兆円。現時点での見通しということで初めて数字を出していただいたと思っています。
この合併特例債は、後年度にも非常に大きな影響を及ぼすものになるだろうと私は考えております。七、八兆円ということになりますと、単純に計算をして、国の措置分が五兆円程度ということになりますでしょうか。地方の措置分、負担分が残りの部分ということでございますので、今後必要に応じて、合併特例債など合併にかかる費用がどのくらいかということを適時国会にお示しいただきたいというふうに考えております。その点についてはいかがでしょうか。
■大野政府参考人
大臣が申し上げましたように、どういう数の市町村が合併をするかというのが不確定でありますので、そういった試算をお出しすることはできないわけでございます。
ただ、合併をしまして、市町村建設計画にある事業につきまして合併特例債というものを認めるわけでございますので、これまでは、先ほどお話あったことでございますし、そういった許可額ベースのもの、これは当然お出しをすることができます。
現在のところ、どの額まで発行したかということにつきましては、御質問にもございましたように、適時適切な折に御報告を申し上げたいと思います。
■西村(智)委員
それで、この合併特例債ですけれども、やはり後年度どういうふうに、私たちの子供の代ですとか孫の代ですとかに影響が及んでくるのか、それは考えれば想像にかたくない部分がございます。
何でも、平成十六年度末、予算ベースですけれども、国と地方合わせての長期債務残高が七百十九兆円という非常に天文学的な数字だそうでございますけれども、これは対GDP比にいたしますと一四三・六%、これはちょうど十年前と比べますと倍になっているという現実がございます。
合併特例債、本当に後年度の負担になるということを考えると、できるだけ私はこれは抑制的にすべきだというふうに考えておりますけれども、この見通し額を国の方でどのように受けとめていらっしゃるのか、それを聞かせてください。
■大野政府参考人
大ざっぱな見通し額は先ほど大臣がお答えをしたようなことでございますけれども、現行の合併特例債というのは、先ほど申し上げましたように、合併をいたします場合に、協議の中で、これからの、合併後の市町村の一体化を図るため、あるいは均衡ある発展を図るためにさまざまな事業をやるわけですから、それに必要な財源措置をするということで特例法で書いてあるわけでございますので、私どもとすれば、そういう意味を持ったものだというふうに考えております。
〔委員長退席、佐藤(勉)委員長代理着席〕
■西村(智)委員
七兆円、八兆円という額についてどう評価しているのかということについてお伺いをしたかったんですけれども、いかがですか。短くお答えいただけますか。
■大野政府参考人
大変大きな額だと思いますけれども、合併がそこまで進むようになってきたのかなという思いもいたします。
■西村(智)委員
次に移ります。
地域自治区と合併特例区、もうきょうまでに随分と議論がありましたけれども、私も勉強してまいりまして、すればするほどわからなく、こんがらがってくるというのが率直な感想でございます。やはり、役所の机の上で考えるとこういうふうになるのかなと改めて思わせていただいたんですけれども。
この地域自治区のもとになっているのは、恐らく第二十七次地方制度調査会の報告であろうというふうに考えています。地制調のその報告の中でも、この地域自治区などの考え方は、自治体の関係者からは割と評価がよかったものだというふうに記憶をしております。
しかし、こうやって法案になってまいりますと、先日からも議論がありました、地域自治区などに対する中途半端とも言える設定の仕方から、本当にこれが地域の自立性や独立性を高めるものにつながっていくのか、そういう疑問が生じている。やはり地域自治区の設定の仕方について制約だらけのものになっておりますので、本当にこれが地域の責任を増し、また自主性を増すものになっているのかという点は、私も懸念をしているところでございます。
地域の実態はそれぞれでございまして、こちらの机の上の方で把握できるものではございませんから、こういった地域自治区や合併特例区などについては、いわば地域の自主的な選択の幅を大きくした方がいいんではないかという考えであります。それによって、地域の責任も恐らく増してくるんだろうということで伺いたいと思うんですけれども、まず、大変細かい話になりますが、合併特例区の期限、期間がこれは五年以内というふうになっております。この理由について伺いたい。
一昨日の委員会の質疑の中で、この合併特例区は、いわば合併への入り口であると山口副大臣はお答えをくださいました。いわば、そういうふうに合併のインセンティブを高めるものであるというふうに考えたときに、この五年という年数は、私は短いのではないかというふうに考えているんです。どうでしょうか。
■大野政府参考人
これもいろいろ地域の実情によって見方も変わってくるのではないかという感じもいたしますけれども、新しい合併特例法、新法でございますけれども、この期間が五年というふうなことにいたしておりますので、そのことを勘案して、一体性を図るための合併でありますので、余り長いこと法人格を持った特例区が存在するのはいかがかということで、五年以内でそれぞれの合併協議の中で決めていただくというふうにいたしたわけでございます。
■西村(智)委員
新法が五年なので合併特例区の期限も五年以内という、大変にわかりやす過ぎる御答弁でございました。
続いて伺います。合併特例区における協議会の構成員の任期、これが二年以内となっておりました。これはどうなんでしょうか。
先ほど、法律は五年ですので特例区の期限も五年だとおっしゃった。いわば、そこで整合性というものに配慮したと思うんですね。であるとすると、この二年という数字は何と整合性をとったんですか。議会の任期は四年です。あるいは地域協議会の構成員の任期はこれもまた四年です。こうなった理由について聞かせてください。
■大野政府参考人
この五年以内でありますとか二年以内でありますとかいうのは、いずれもアッパーでありまして、協議会の構成員につきましても、二年以内で、規約で定めるということでありますので、一年ということもあり得るわけでございます。
要するに、特例区の協議会のメンバーの方々、さまざまな権限を行使できる、そういう具体的な権能を持った形で地域の問題について御意見をおっしゃるというふうなこともありますので、余り長期間にわたって同じ方が構成員であるのはいかがなものかということから、合併特例区そのものが五年以内、こうなっていますので、その半分くらいをもって二年以内の中、こういうことでございます。
■西村(智)委員
半分くらいということで二年になった、非常に安易な数字のはめ込み方かなというふうに思うんですね。
続いて、地域自治区の事務所長、これは事務吏員というふうになっておりますけれども、これについての理由を伺いたいと思っています。
合併関係市町村の区域における地域自治区、こちらの方は特別職を置けるというふうになっておりますけれども、地域自治区の事務所長もいわば特別職とできるような書き方はできなかったんでしょうか。こうなった理由について聞かせてください。
■大野政府参考人
地域自治区でございますけれども、市町村の区域の中で、区域を分けてつくるわけでございます。市町村長の権限に属する事務を処理する、あるいは住民の意見を反映させながらそうした市町村長の行う事務を処理する、こういうことが地域自治区であります。
その事務処理をするための人をどうするかということでありますけれども、実際には、この地域自治区の事務所というのは、例えば、今で考えますと支所とか出張所があるわけでございますが、そういった支所とか出張所を使って事務所機能を果たしていただくというふうになることが想定されますので、市町村長の指揮監督を受けてやるという意味では、特別職の長ではなくて市町村の職員でいいのではないか、このように考えたわけでございます。
■西村(智)委員
やはり、合併後の市町村ですとか、あるいは大臣が先ほどおっしゃったようなこれからの地方分権、地方自治の姿というものを考えますと、マネジメントが必要だ。マネジメントが必要だというときには、それはやはり首長のリーダーシップと、そして、その首長のリーダーシップのもと緊張感を持ってきちんと動く組織というものが必ず必要になってくるんだろうというふうに考えています。
その組織の緊張感をつくるという点からも、この地域自治区の事務所長は特別職にした方がよろしいんではないか、そういうふうにできるとすべきではないかというふうに考えます。果たして、事務吏員でこれからの地方自治に、地域主権たるものを目指す自治体に対応できる機動力のある組織に本当になるんでしょうか。
■大野政府参考人
あえて申し上げますと、この地域自治区の構成要素は、地域協議会とそれから事務所、こういうふうに二つあるわけですけれども、私どもが考えている地域自治区の活動の意味合いは、行政を、単にその地域のことをやるという意味ではなくて、地域協議会の方々がむしろ中心になって、その地域にかかわる問題を自分たちでどうしたらいいかということを考えてもらう場にしたいというのがこの地域自治区でありまして、いわば、この事務所長さんというのは、協議会の庶務担当といいますか、一方で支所、出張所の仕事をやりながら、協議会の庶務も担当する、そういういわば窓口的な機能でありまして、主役はあくまで協議会の構成員なんですね。
ですから、構成員の方々が、自分たちの地域にかかわる一部の、例えばリサイクルをどうするかとか、何でもかんでも行政に頼るんではなくて、自分たちも参加しながらやっていく、その仕組みを地域自治区といっているわけでありまして、主役はむしろ協議会のメンバーであるということでありますので、まあ事務所長さん程度でよろしいんではないかと思います。
■西村(智)委員
事務職員程度でよろしいんではないかと。
続いて、地域自治区の法人格がないことについてお伺いをしたいと思います。
合併特例区の方は法人格を有するということになっておりますけれども、これは恐らく、合併特例区に法人格を与えることによるメリットというのがあるんだと思うんですね。先ほどのお話でいえば、名称と機能と、自立性や独立性が高まるというようなことで合併特例区の方には法人格が付与されるというようなことになったんだというふうに思いますけれども、地域自治区の方には付与されることになっていないということでございます。
私が今までこの合併特例区それから地域自治区に関して一連の質問をしてきた基本的な考え方と申しますのは、やはり、それぞれの地域の実情があるのである、いわゆる住民自治、団体自治、きちんと進んでいるところもあり、また、そうではないところももしかしたらあるかもしれない、そういういわばごちゃまぜになっている状況の中で、一律、この法律によって、合併特例区はこうです、地域自治区はこうですというような決め方をするのは、いかにも画一的に進めることになるんではないかという考えなんですね。
ですから、こういったさまざまな、今私が申し上げたような合併特例区の期間が五年以内になっている点についても自由にできないかとか、あるいは協議会構成員の任期が二年以内になっている点についてもどうかというようなことについても、地域の選択に任せるべきではないのかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
■大野政府参考人
全くそのとおりでございまして、地域自治区については、今回法律でいろいろなことを決めますけれども、関係の団体の方からも、できるだけ条例でいろいろなことを決めるようにすべきだ、こういう御指摘もございまして、そういうふうになっています。本当に一定のことしか法律には書いてない。
ですから、地域自治区を、例えばネイバーフッドガバメントというとか、コミュニティー何とかと呼ぶとか、それはもう全く自由自在でありまして、そんなことを法律で決めているわけでも何でもないわけであります。
しかも、一応市町村の区域の中全域に地域自治区をつくるという想定はいたしておりますけれども、そういう意味では、今御指摘のように、熟度の高いところから地域自治区をつくっていくということも、これは市町村がお考えになればそういうことも結構でございますというふうなこともあるわけでございまして、かなり自由にしております。
ただ、合併の際に、これはあくまでも選択肢でありまして、例えば、合併特例区をつくる必要もないわけです。ただ、つくりたいというところがあるわけで、こういう法律案の中に用意はいたしましたけれども、つくるかつくらないかも全くその合併協議の中でお決めいただけばいいですし、それから、合併特例区ではなくて地域自治区というものを合併時に特例で使うというオプションも結構でございましょう。それから、それもやめて、合併してから地域自治区というものにすることもいいわけですし、それから、例えば地域審議会をつくりたいというのもいいわけでして、オプションはたくさんある、それをどのように選ぶか、それ自体まさに合併の協議の中でお決めいただければいい、こういうところまではかなり考えさせていただいたつもりでおります。
■西村(智)委員
先ほど御答弁の中に出てきました地域審議会、これは、先行しているところではもうスタートを切っているところがかなりあると思うんです。そういった、先に地域審議会で走っているところが出ているというところに、この地域自治区と合併特例区なる新しい枠、制度ができたということは、これはどうなんでしょうか。
合併を推進するという点から果たして有益なのかどうか。これはタイミングもよかったのかどうかという問題にもなると思うんですけれども、この法律の中で、そういった合併特例区や地域自治区をこういう形で、まあどれでもいいんです、地域審議会も含めて、というふうに出してきたことが合併に実際に与える影響をどんなふうに考えていらっしゃいますか。
■大野政府参考人
今の御指摘の、地域自治区の合併時の特例でありますとか、あるいは合併特例区制度というものも新法で決めて、規定しておりますけれども、これは現行特例法の中で、またそういうことでさかのぼって、今合併協議をやっているところも合併特例区をつくることができるようにしようという改正案も入っているわけでございます。
これはいずれも、合併協議をしていますけれども、それでは、例えば新法になれば合併特例区ができるから、それまで待とう、こういうようなことになっても困りますので、今合併をしている場合であっても、法律が通れば合併特例区というものを今からつくることもできるというふうにしているわけでございまして、地域審議会だけでは不十分だという声もありましたので、そういうふうな規定を入れて、いろいろな選択肢ができるようにいたしました。
これはむしろ、合併の阻害要因にはならないというふうに思います。
■西村(智)委員
阻害要因にはならないというふうに私も期待をしたいと思いますけれども、ぜひとも地方にわかりやすい合併の道筋を示していただきたいと思っています。
いろいろな自治体の方のお話を聞きますけれども、やはり一番質問が多いのはここなんですね。地域自治区と合併特例区、ここのところの姿がはっきりと見えるということが合併推進ということにつながっていくというふうに思いますので、今申し上げたようなそれぞれの地域によってばらつきのある状況、またこれは大臣の指針の中でもきちんと確認をしていただきたいと思いますけれども、一律人口一万人未満で合併をするというような方向にはしない、小規模の自治体で頑張るというところはそのまま残していただく、そして、加えて交付税の将来像もきちんと示していただく。
こうしないと、とにかく自治体は、本当に合併をすべきかすべきでないか、どの道をたどっていって合併するのがうちの地域にはよいのかという選択になりませんので、そのあたりはぜひとも、国の立場ではなく地域の立場に立って、地方自治体の立場に立ってこれからの合併を推進していっていただきたいと思っております。これは要望いたします。もし何かありましたらいただいて、終わりたいと思います。