■西村智奈美委員
民主党の西村智奈美と申します。
今回、一期生でございまして、総務委員会で初めて質問をさせていただきます。麻生大臣との質疑を楽しみにしておりました。地方の声を本当に国でみずからの口から述べることができるということを非常に楽しみにしておりましたし、地方自治の推進のために力を尽くしていきたいというふうに考えております。
既に多くの方々が関連法案については質疑をされておりますけれども、私も、やはり問題意識は皆さんと共通するものもありますけれども、また、独自のものもあるということで私の言葉でさせていただきたいと思っています。
もう既に何人もの方が御指摘されていますけれども、やはり今回の三位一体改革、平成における改革は明治維新以来の大改革であろうというふうに思っております。ある意味でいえば地方の蜂起、蜂起というのは草莽崛起のことでございますけれども、しかしその胎動は、やはり依然としてまだ勢いが弱いんではないかというふうに感じております。ここはやはり、国が制度的に地方分権を推進する仕組みをつくって、そうした地方の動きを後押しするようなことが必要なんだろうというふうに考えております。
第二次地方分権推進会議、報告書にもございましたけれども、これからは分権をして地方がより大きな力を持っていくのだということがうたわれております。私は、中央政府が、大きな政府から小さな政府へという、この流れに反対をする者では全くございません。同時に、地方自治体の政府が大きな権限を手に入れて、大きな地方政府であり続けていいのかどうか、まだなっていないんですけれども。その先にどういう地方政府をつくるかということを考えたときには、やはり地方政府は、分権していただいた先には小さくなることを考えなければいけない。つまり、NPOですとか住民参加のもとに、本当の意味での市民一人一人の幸せが実現されるような、そんな地方分権の先にある日本の国の姿を見ていかなければいけないんだろうというふうに考えております。演説が長くなっても仕方ありませんが。
ところで、大臣が時々、この委員会の質疑、答弁の中でこんなふうにおっしゃっておられます。地方の首長もしっかりした人ばかりではない、あるいは、地方の議会も十分にチェック機能が働いているかどうか危うい、あるいは、行政のIT化が進んでいったときに、パソコンの一台も使えないような役人がいては困るではないかというようなお話をされるんですね。これは私は、大臣のお考えがあろうというふうには思いますけれども、恐らく役所の方々がそういうふうに日ごろおっしゃっておられるんではないか。恐らく、自分たちは大丈夫だけれども、地方はまだまだ手がかかるので、もう少し面倒見なければいけませんよというふうにきっと言い続けてきたんではないかと思うんです。
ただ、それは、地方の側からいたしますと、子供の意向を無視して子離れを拒み続けてきた親の小言のように聞こえるわけでございます。やはりここは一度、地方はまだまだだと言わずに思い切って任せてみてはどうかというふうに強く思う次第です。地方分権を推進する、地方自治を推進する総務省の皆さんからは、ぜひそういうことを声を大にして言っていただきたいと思いますし、また、これから人の地方分権ということが始まったときには、優秀な総務省の皆さんから、ぜひ地方に行っていただいてその能力を発揮していただきたいと思っています。
済みません、長くなってしまいました。質問に移ります。
三位一体改革についてでございます。
午前中にも論議がございました、二月二十三日に全国知事会と全国市長会の方から出されております緊急提言でございます。お伺いしましたところによると、年末には政令市の市長会の方からも出されたとか。
つまり、その内容は、今ちょうど全国市長会から出されております緊急要望が手元にございましたので、抜粋してその中身を改めて見てみたいと思います。
改革内容の決定が遅かった。そしてまた、不明な部分も多く、市町村の予算編成に大きな支障が生じたことから、今後は、市町村の意向を十分に反映した上で、できる限り早い段階で内容を明らかにされたい。平成十八年度に向けた三位一体改革の全体像、年度別内容・規模など改革の工程表を早急に提示されたいというふうに書かれてございます。
やはり、三位一体改革の主役は何といっても地方団体であると思うんです。その主役の声がこのように出ておりますけれども、この要望にどういうふうにこたえていくおつもりか、まずそこからお聞かせください。
■麻生太郎総務大臣
まず最初の、見識に対する考え方から。
地方分権ということは、県が焼け太りするのを意味しないということは、焼け太りなんて品のない表現じゃなかったですね、もうちょっとまともな表現を使っておりましたが。地方に権限が移った分だけ権力が増すのではない、地方の県、町というものも、小さな県、町の方がより望ましいというお考えだったように思いますが、私も基本的にはそうだと思っております。
これは、政令都市などという例を引くとわかりやすいと思います。今、新潟も政令都市を目指しておられますが、国から県を飛び越していきなり市という部分がふえてくるということになります。そういった意味では、流れとしては、県と市町村の話、対国とかいう話じゃなくて、市町村にしてみれば対県もありますので、その部分が、早い話、今まで国で話がついたところが、県で全部やるんだということになると、何だ、手間は大して変わらぬじゃないかということになったりする例も、これは決してなきにしもあらずだと思います。県の部分も市に渡す、町に渡すというところは、大変大事なことだと思っておりますので、基本的に、最初の見識について、自分で述べておられました点に対しまして、流れとしては正しいと思っております。
次に、三位一体の話が出ておりましたけれども、この点につきましては、市町村の意見を取り入れなければいけないということで、結構市町村の意見は、この九月以降、大臣に就任をしてからも、少なくともこれまでの間、例えば、地方の税制につきましては、たばこではだめ、いわゆる基幹税ということの話も、知事会、市町村長会等々六団体の意見を踏まえてああなりましたし、また、国民保護法制というのを今御審議いただくことになるんですが、この問題につきましても、市町村長から国民保護法制について知事会の意見を尊重せいという御意見を受けて、総理に出席していただいてやると、結構耳を傾ける姿勢はきちんとしておると思っております。
ただ、地方についての知らせ方が遅いということですが、これは、市町村の方で御存じの方はよくわかっておられるところなんですが、税金が幾ら入るであろうかというのは、十二月にならないと、これは国税の収入に見合って地方税ということになりますので、税収見積もりというものが十二月にならぬとわからぬというのに基づいて来ますので、どうしても遅くなるというのが毎年のことでもあります。ことしだけ急になったというのではないという点だけはぜひ御理解をいただければと思います。
■西村(智)委員
毎年のことであったという御答弁でしたけれども、それでも、やはりことしは余りに地方にとっては大きな衝撃であった。あちこちでいろいろな話を伺いますけれども、特に、私の地元でも、例えば補助金の削減ですけれども、十二月になって、税収見込みがこのとおりである、国からのお金はこの枠でしか来ないというようなことが示されて初めて、予算編成の困難に急に直面するということがあったわけでございます。
例えば、特養の設置計画を三つ進めていた。もう事業者との話し合いも済んでいて、年度改まってすぐスタートすることが決まっていたんだけれども、そのうちの二つまでが切り捨てられるというようなことも実際に起こっております。これは、国と地方との関係だけではなくて、市とそれから民間業者との間の信頼関係の問題でもあるということなんですね。
多くの自治体が、急激にこのような補助金の削減を打ち出されたということについては、非常に大きな憤りを持っているのではないかというふうに考えています。とにかく、ことしは初年度の一兆円ということですけれども、残り、平成十八年度までの年数で合計四兆円という補助金の削減を一体どのように進めるのか。そのことについて見解を伺いたいと思います。
■麻生大臣
最初の御質問のところで、計画しておった事業が十二月の通達であったがためにできなくなったという例を引かれました。新潟市の例かどうか存じませんが、そういった例はほかにもあると存じます。
したがいまして、どうしてもそれはできない、もう既に発注しちゃってどうにもならぬというような例のために、地域再生事業債というのを新たに八千億認めて、かつそれの拡張、延長というのも緩やかに、あるいは、これ以外出たらだめというような言い方ではないようにしております。その点は、言っていただいたら、今の話でどうしてもという点につきましては、地域再生事業債というものがあるということを、御存じないとは思わぬけれども、もし御存じだったら、それがありながらもやめるというのは、逆に不要不急でもうちょっと待ってもいいかなということにもなるので、そういった意味では、どうしてもこれは今やらねばならぬというものである、もう仕掛かり品であるとかというのでしたら、いわば使えるということだと存じます。
もう一点の残り三兆というのにつきましては、十五年度は改革の芽出しということで、約五千六百億でしたかというのをさせていただき、平成十六年度で約一兆ということになったんですけれども、確実にそういった補助金が昨年、今年と続いて改革が、少なくとも補助金というのはいろいろ御批判のあるところでもありましたので、そういったものは確実にやらせていただいているところなんです。
これをさらにどうやっていくかというのは、それこそ地方公共団体から過日、先ほど、大出先生だったか稲見先生だったか、地方からもいろいろ発案があるではないかという御意見もあっておりましたので、そういったものをいろいろ踏まえまして、二〇〇三の中にも出ておりますように、国庫補助負担金の改革というものについて、いろいろな地方の意見というのをそれこそよく聞かせていただいて、そういった中から選択をしていかねばならぬものだと思っております。
■西村(智)委員
ぜひ、地方の声を大切にという今の御答弁どおりに進めていただきたいと思います。同時に、地方の方では、さらに四兆円を超える補助金の改革というものを主張しております。
全国知事会、午前中にもお話がございました、対象事業をすべて精査いたしまして、八兆九千億円の国庫補助負担金の廃止と、税源移譲については七兆九千億円の提言をいたしておる。同時に、全国市長会では、市町村向けの補助金、これも重なっていると思いますけれども、十五・三兆円のうちの五・九兆円を廃止して、そのうち約五兆円の税源移譲を提言しているということでございます。
地方の声をよく聞くということからいたしますれば、この二つの団体が出している提言にこそ耳を傾けなければいけないのではないかというふうに考えております。ここまでの気力を持って補助金の改革を行っていただきたいと地方みずからが発言をしているということを、ぜひとも重く受けとめていただきたいと思います。
民主党の方で、十八兆円の補助金、国庫補助負担金廃止をマニフェストとして打ち出させていただきました。大臣はどのようにお考えでしょうか。平成十九年度以降の国庫補助負担金の改革についての所見を聞かせてください。
■麻生大臣
先ほども御答弁申し上げましたが、全国知事会八兆九千三百五十七億、政令都市の方で廃止・縮減額七兆九千九百八十七億、同じく全国市長会五兆八千五百五十二億円の、いわゆる補助金の削減という案が出されております。
その内容の中には義務教育国庫負担金の二兆六千億を初めいろいろ出ておりますことは、もう先生よく御存じのところでありますので、そういった意味では、こういったものを参考にしながらやらせていただいて、要らぬと言うておるわけですから、私どもとしては、この点は真剣に検討されるべき問題だと思っております。
ただ、一挙にやっちゃうということになりますと、これはなかなか問題も多いかなと思って、無責任なこともできませんので、私どもといたしましても四兆円というのを目標にしておりますけれども、これが最終目標というわけではありません。今後とも、こういった提案をいただいておりますので、こういったものを参考にしながら、平成十九年度以降も補助金の削減、税源移譲というものについては考えてまいりたいと思っております。
■西村(智)委員
今回の三位一体改革というのは、ずっと伺っておりまして、かけ声は勇ましかったんですけれども、結局のところは、総務省と財務省の構図の中でやや押し切られてしまったのかなという印象を持っております。ぜひとも、今おっしゃったような趣旨で、十九年度以降の改革、これはしっかりとやっていただきたいというふうに御要望させていただきたいと思います。
さて、次なんですけれども、少し話は飛びますが、今度、地域間格差の問題について少し伺いたいと思っています。
今回、所得譲与税という形で四千二百四十九億円、これについては人口規模に応じて配分をするということだそうでございますね。こういうふうに税源移譲が進んでくる、進んでいただきたいと思うんですけれども、進んでいったときに、必然的にやはり大規模自治体の方に配分額が多くなるのではないか、そういうことが問題視をされておりますけれども、こういったことについてはどういうふうに対応をお考えなのでしょうか。さまざま、いろいろ言われているようでございますけれども、具体的にお答えをいただきたいと思います。
■麻生大臣
パネルを使っていいですか。
■佐田玄一郎委員長
はい、結構です。
■麻生大臣
委員長の許可をいただきましたので。普通、こういうのは共産党の方やら野党の方がなさるんですが、私の方は与党の方で大変恐縮ですけれども、与党も結構手間かけてやるという実例を、一年生だからサービスするというような、そんなつもりは全くありませんし、女性だからというつもりもさらさらないんですが。
今の中で、これはよく質問されるところなので、図で配っていたんですけれども、余りあちこちから言われるものですから、市町村長さんに説明するとき用につくったものなんです。
一番左側がいわゆる改革前、今こうなっておるということです。それが、今回、財源力が乏しいところ、新潟はどうなっているか知りませんけれども、六日町は六日町、あそこのあたりで足りないというところは、国庫補助負担金というものがごそっと減って、地方税でいったということになりますと、地方税でこれだけしか来ませんと。そうすると、その減らされた分だけとてももたぬと。従来は二千万円切っていたものが、簡単なことを言えば、地方税になった途端に千万しか来ぬという場合は、交付税の額をふやします。
したがいまして、受取総額、受取総額というのは民間用語ですが、地方団体が受け取ります交付税はふえますので、改革後は従来と同じような形になりますということです。
右側の、こちら側の図の方は、これは逆に人口の多いところです。いわゆる地方に税源移譲されることによって、人口も多い、法人も多いということで、交付税の方が、従来千万切っていたものが一挙に千五百万来ましたというのであれば、従来出しておりました交付税は千万円を五百万円に減らします。そして、トータルとしては同じということにするということを意味しております。
いわゆる地方によって差が、人口比によって大きく差が出るというようなことは、こういうようなやり方をさせていただきますので、地方、人口が少ないがゆえに割を食う、割を食うというのは余り言い方がよくないですね、人口が少ないがゆえに不利をこうむることがないというように御理解をいただければと存じます。
■西村(智)委員
そういった交付税制度のあり方について、恐らくこの後、寺田委員が集中的に質疑をされると思いますので、そちらの方にもお譲りをしたいと思いますけれども、やはり、そういった将来像をきちんと早く地方の方に示していただきたい。どのくらいになるのか、交付税制度、これからどういう形で維持をされるのか、大体、地方と中央の財政はどのくらいになるのかということを、できるだけ早く具体的に示していただきたいというふうに思うものです。
合併の関連で一つお伺いをいたしたいんですけれども、合併についても、これは財政的な関係がとても強いというふうに私は考えております。地方の方から出ている声というのは、まず、分権の道筋も明らかになっていない、財政も、どういう形で税財源の移譲が行われるのか明らかになっていないので、合併も判断できないというような主張が時々聞かれるわけでございます。
例えば、町村議長会の方では、税財源の地方分権の道筋が明確にされないまま、合併を強要することは順序が違うというふうに申しているわけでございます。税財源の地方分権を実現することが先決であって、そして、それを踏まえて初めて市町村は合併か存続かの自主的な判断が可能になるというふうに主張されているわけでございます。
やはり、こういった要望が出されていることを考えるまでもございませんけれども、市町村合併は、国と地方の財政の将来像を示した上で推進するべきものではないでしょうか。国庫補助負担金、そして、先ほど言われたような地方交付税、そして、税源移譲を含む三位一体改革の工程表づくり、これはまたさっきの話に戻るんですけれども、そういった市町村の合併に関する基本的な資料をそろえていくことがまずは大前提だろうと思っております。
しかし、この間の合併の論議、ずっと経過を見ておりますと、やはり、あめとむちの交互の行ったり来たりではないか、本来であれば、合併は地方分権を推進する見地から生み出されたものでなければならない、だけれども、それにもかかわらず、財政ありきという議論から出てきたものであるように思えてなりません。
ちょっと改めて確認のために伺いたいのですけれども、合併は財政ありきの議論であったのではないかというふうに考えておりますけれども、どうでしょうか。と同時に、国と地方の財政の将来像を示さない、まだまだはっきりと地方に対して示すことのできていない、国が今回のさまざまな合併論議を混乱させている原因をつくっているのではないかというふうに考えるんですけれども、そのあたりの責任についてはどうお考えでしょうか。
○麻生国務大臣
今回の合併論議というものは、これは、金が足りているから合併しなくていい、金が足りないから合併するというような趣旨ではない、基本的にそう思っております。
一番最初に御見解を述べられましたように、やはり、地方というものがそれなりに自分で判断して自分の責任で地方自治を、住民自治をとかいうことが主眼。そのためには、今の状況として、いろいろな意味で地方自治体の内容がしっかりしてこないかぬ、そのためというのであって、それが目的、あとは手段ということになろうと思います。
優先順位からいきましたら、地方の自立ということになろうと思います。そこのところは、財政がやはり、何となく直接金の話になります。ただ、地方が自由にやるためにはある程度財源も要るということが付随してまいりますので、そういった意味では、財源のために合併するのではなくてというところが、優先順位を間違えちゃいかぬところだという御指摘なんだと思いますが、私もその点はそう思います。
■西村(智)委員
財政ありきであっていただきたくないと思いますけれども、依然としてそういう声が根強いということはぜひとも御認識をいただきたいと思っています。
法案関連で、本会議でもございましたけれども、生活保護費のことについてお伺いをしたいと思っております。
本会議の民主党の代表質問、これに対する御答弁の中で、生活保護費の考え方について、どうも総務省と厚生労働省の意見の相違があるということが見られました。これは、政府・与党協議、年末に行われたところによりますと、厚生労働大臣は、平成十七年度に生活保護費の削減については実施をしたい、当然のことながら、総務省や地方団体との協議を重ねて結論を得るというふうにはおっしゃっているんですけれども、おおよそそういう方向性である。一方、総務大臣の御答弁では引き下げ反対というようなことでございます。
今後、この意見の相違、見解の相違、どういうふうに議論を整理していかれるおつもりですか。
■麻生大臣
御指摘のとおり、厚生労働省と総務省と意見が食い違ったのは確かであります。
これはもう厚労省もよくわかっておるところでありますが、生活保護というものは、これは憲法上、全国画一的に金銭的給付を行うという一種の制度ができ上がっておりますので、いわゆる地方の自由裁量というものが全く許されていない分野という点が一番肝心なところだと思っております。
ただ、今言われますように、地域、県におきましては、千人当たりで十七人いらっしゃるところもあれば、一・何人しかいらっしゃらぬところもあり、県によってこんなに差があります。その地域はそんなに生活保護者が多いのかという、その背景は歴史的な理由もいろいろありますけれども、そういったものはある程度、もう少し精査されてしかるべきではないかというのは、私はそれは正しいと思いますので、いろいろな意味で、これは厚生労働省と今後年末にかけて議論を詰めていかねばならぬところだと思っております。
何の抜本的改正もせずに、ただただ一律カットなどということはできません。
■西村(智)委員
おっしゃられたように、地域によって例えば認定のばらつきがあったりですとか、保護基準のあり方についてはどうなんだろうかという問題点も指摘されているわけでございますけれども、厚生労働省の方から来ていただいていると思いますけれども、同じ問いをお答えいただければと思います。
■小島比登志政府参考人(厚生労働省社会・援護局長)
ただいま先生御指摘いただきました各省大臣間の合意におきましては、自治体の自主性、独自性を生かし、民間の力も活用した自立・就労支援の推進、事務執行体制の整備、給付のあり方、国と地方の役割、費用負担等について、地方団体関係者等と協議しつつ、検討を行い、その結果に基づいて平成十七年度に実施するというふうにされているわけでございます。
これに基づきまして、私どもといたしましては、今後の進め方も含め、総務省を初め関係省庁あるいは地方自治体の方々と十分協議をしつつ、生活保護改革の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
■西村(智)委員
やはり、国民に対してきちんと説明できる内容を示していくべきだろうというふうに考えております。
今回の三位一体改革、まだまだ続きますし、補助金、補助負担金の中で約半分を占めると言われている厚生労働省社会保障費関係、これは総務大臣もおっしゃっておられましたけれども、やはり補助金改革をするというときには、どうも二十兆円のうちの約半分を占めている社会保障関係費、厚生労働省の関係費のところに目を向けざるを得ないというふうにおっしゃっておられるわけです。
そのときに、ではどういう基準でどういう考え方に基づいてそれを行うのか、そのことについて、私は、本来三位一体改革というのは社会保障制度をどういうふうに維持するかどうするかという議論とセットで行われなければいけないのではないかというふうに感じています。これをいみじくも北海道・ニセコの町長は、三位一体ではなくて本来的には四位一体でやるべきだというふうにおっしゃっておられました。
これからこの改革が進んでいく中において、社会保障制度をどうするか、ナショナルミニマムなどをどうするのかという議論とセットでやるべきではないかというふうに考えておりますけれども、また厚生労働省と総務大臣に見解をお伺いしたいと思います。
■水田邦雄政府参考人(厚生労働省政策統括官)
お答え申し上げます。
私どもがやっております社会保障施策、さまざまあるわけでございますけれども、そのうち、個々の住民の生活実態に即して行われる給付でありますとかサービスにつきましては、これは言うまでもなく地方自治体の果たすべき役割は大変大きいわけでございまして、今後とも、そういった分野におきましては、地方分権の視点に立って、国と地方の役割分担のあり方につきまして見直しを進める、その中には重層的な連携も含まれていると思いますけれども、そういった観点で見直しを進めることが必要である、このように考えてございます。
三位一体の改革全体につきましては、私どもの関係、社会保障に関する国と地方の役割分担のあるべき姿について留意しながら、十八年度までに、先ほど来お話がありましたとおり、四兆円の国庫補助負担金の廃止、縮減等を行うという方針がございますので、これを踏まえながら、地方団体、関係者の御意向も伺いながら、引き続き検討していく必要があると考えております。
■麻生大臣
西村委員が言われましたように、二十兆の補助金のうち、約半分がいわゆる社会保障関係、大体半分ぐらいというふうに御理解いただければいいんだと思います。したがいまして、今後、補助金の削減をやっていくに当たりましては、そもそも社会保障とはどうあるべきかという話をしておくべきではないかという御指摘なんだと思いますが、正しいと思います。
そもそも、金の話と社会保障の話は、基本的には財政的な話と社会保障の話とを一緒にしたような話が、何となくすぐ金の話になり過ぎる嫌いがありますので、シビルミニマムという言葉を使われましたけれども、シビルミニマムとしてはどれぐらいのものがミニマムなのかというのは、これは生活保護の話等を含めて、基本的にここだけはきちんとしておくべきという点がないと、話が非常に矮小化されることになりかねないと思いますので、基本的にその種の話はきちんと論議されてしかるべきだと思います。
■西村(智)委員
世知辛い世の中になりますと、お金がないから減らされたんだ、これでは国民に対しては説得になりません。また、国民の皆さんも納得は決してできないというふうに思っております。ぜひともその基本的なラインは崩さないでいただきたい。本来ですと、そのことは民主党の方でやりたいという思いの方が強いんですけれども、そのことについては強く強く要望しておきたいと思っております。
最後に一点。三位一体改革が地方の声を聞いて行われなければいけないという趣旨からの質問というふうに御理解をいただきたいんでございますが、揮発油税についてでございます。
全国知事会の方から、揮発油税の地方への移譲が提案をされておりました。見ましたら、非常に額が大きい。ちょっと今ぱっと出てきませんけれども、恐らく二兆とか三兆とか、二兆八千億円でしょうか、このくらいの額というふうになっております。ほかの道路特定財源と比べましても際立って大きい額ですけれども、これは依然として国税、国の部分ということで保持をされております。
一方、道路の整備率でございますけれども、国道の改良率、これはもう九〇%に近い。一方で、地方道全体では五三・四%、地方道の整備に対する要望が強いということもまた一方で事実だというふうに思っております。
そこで、お伺いは、この全国知事会から出されております提案について、これが出されているという状況をどういうふうに認識していらっしゃるのか、そのことを伺いたいと思います。
■山口俊一総務副大臣
お答えをいたします。
もう委員も御指摘のとおり、地方の道路、まだまだ未整備の区間が多うございます。私の選挙区も、高井委員さんもよく御存じと思うんですが、めちゃくちゃに整備がおくれておりまして、しかも道路特定財源のうちごく一部が地方にというふうな形になっておるのは、もう委員も御案内のとおりでございます。
ですから、知事会の御提言ということも大変よくわかるわけでありますが、一方、三位一体の改革の一環としての税源移譲につきましては、国庫補助負担金の改革に対応して、地方が引き続いてしっかりと事業をするものにつきましては、基幹税の充実ということを、ぜひともこれを税源移譲していきたいというふうに思っております。ですから、まずは基幹税である所得税から個人住民税への税源移譲の実現に向けて、これに全力を挙げて取り組むというふうなことでございます。
しかし、今の御指摘のような状況もあるわけでございますし、今般も、道路特定財源から、九百億ですか、地方の方にというふうな話が出ておりまして、これも実は、いわゆる高速道路の直轄分のみならず、やはり道路関係で削減された補助率に関してもというふうな意味合いも含めておりまして、やはりそういった方向で我々考えていかなきゃいけないんだろうと思っております。
■西村(智)委員
終わります。