4月に入りました。さまざまなものの値段が上がっています。賃金は上がっていないのに値段が上がる、悪い物価上昇に思えてなりません。新型コロナウイルス禍で直撃を受けた方々には本当に辛い状況です。生活支援、事業継続支援、子どもたちの教育支援、ケアが必要な方々への支援など、早急にプランを作りできるところから実行していかなければなりません。
3月31日、ウクライナ情勢について開催されたG7首脳会合の報告について、本会議で会派を代表して質問に立ちました。下記に、質問を掲載します。
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<ロシアへの非難>
立憲民主党・無所属の西村智奈美です。私はただいま岸田総理からありました「G7首脳会合に関する報告」に対して、会派を代表して質問いたします。
まず冒頭に、我々、立憲民主党は、ロシアが、国際社会の制止や各国の仲介の努力を振り切り、国連安保理常任理事国でありながら自ら国連憲章に違反して、ウクライナに対して不当で不法な侵略に踏み切ったことに怒り、最大限に非難します。どのような歴史的な経緯があろうと、現在のウクライナの主権と領土の一体性は国際社会に認められたものです。軍事力による現状変更の試み、侵略は言語道断の暴挙であり、ルールに基づく国際秩序を無視した国際社会に対する挑戦であり、断じて許されません。
また、日々ウクライナの惨状、一般住宅や学校や病院までも攻撃され、大切な家族を失った方々、絶望に立ちつくす方々、不安に涙する方々の姿を見て、いたたまれない気持ちです。このような人道の反する行為は断じて許されるものではなく、ロシアに対し、ウクライナ全土での即時の停戦、撤退を強く要求します。
<停戦交渉>
総理のG7会合の報告をお聞きしました。経済制裁をはじめ、G7が一致してロシアに対抗し、ウクライナに連帯する取り組みについて、我々も支持します。G7においてこの連携がしっかり確認されたとのことを評価したいと思います。
29日、トルコにおいて停戦協議が行われ、一定の進展があり得るとの報道があります。総理が現時点で把握されている、最新の情報をお知らせください。
協議の進展を望みますが、今後の情勢は決して予断を許しません。最終的な停戦が実現するまで、ロシアへの毅然とした対応を強く求めます。
<国際社会への働きかけ>
G7は結束している一方、国際社会全体は、残念ながらそうなっていないのは、総理もご存じのとおりです。外務省によれば、世界196カ国の内、ロシアになんらかの経済制裁を行っている国は、わずか20カ国程度とのこと、例えば日本と関係の深いASEAN10カ国の中で経済制裁を行っているのは、シンガポール一国のみです。先日、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が国会で行った演説には、「アジアのほかの国々とともに力を合わせ、状況の安定化に取り組んでください」との言葉がありました。岸田総理は、この思いに具体的にどうお応えになりますか。総理の報告にもありましたが、G7会合に先駆けて、インドのモディ首相、カンボジアのフン・セン首相とも総理は会談していますが、どのような働きかけを行い、両首脳の反応はどうだったのか、お答えください。各国にロシアとの関係に様々な経緯や利害関係があることは当然ですが、今回のようにあからさまで非道な侵略行為に対し、少なくとも経済制裁などで国際社会が一致して連携するために、我が国として具体的にどうように取り組むのか、お答えください。
ロシアにとって、特に中国の動向は大きな影響があると考えます。制裁などへの参加は困難だとしても、経済的ましてや軍事的な支援をさせないことはきわめて重要です。米国などは中国に働きかけをしているようであり、日本としても独自の働きかけを行うべきと考えますが、これまでのどのような取り組みをしたのか、今後どう取り組むのかお答えください。
<核共有>
今回、ロシアは核兵器による「抑止部隊」を「戦闘の特別態勢」に移すとし、核兵器の使用をほのめかし、国際社会を威嚇しました。日本は唯一の戦争被爆国として、これを強く批判すべきです。改めてこれに対する総理の見解をお聞かせください。
今回、悲惨な戦争を目の当たりにして、多くの国民がわが国の安全保障に危機感を感じるのは当然のことだと思います。わが党も、自衛力の着実な整備、日米安全保障体制の堅持による抑止力の確保という現実的な安全保障政策を深めていきたいと考えています。
一方、まだ悲惨な戦争のさなかに、国民の危機感に乗じるかのような、とても現実的とは思えない防衛論議が、一部でみられるのは、きわめて残念です。その象徴が、いわゆる「核共有」論です。核拡散防止条約、非核三原則、米国の意向、周辺国の反応などを考えると、実現の可能性が到底あり得ないのみならず、軍事的にも、核兵器の日本領域内への配備は、有事の際の攻撃目標にされかねず、合理性が見出せません。
岸田総理が、委員会質疑において、「核共有論」について否定的な見解を示されたことには、安心しました。しかし、例えば、現国家安全保障局長の秋葉剛男氏は、2009年駐米公使時代、米国の核兵器の日本持ち込みに肯定的な姿勢を示したとの報道があるなど、政府内ではすでに検討されてきた可能性があります。
この本会議場において、改めて「核共有論」についての日本政府の見解を、核拡散防止条約、非核三原則、米国、周辺国の反応、軍事的合理性の観点それぞれからお聞かせください。また、「核共有」「日本への核持ち込み」について、過去も含め政府内での検討、米国との協議、意見交換等も行ったことがないのか、お答えください。
<戦争の抑止>
東アジアの情勢は、中国の軍事力の台頭など、けしてロシアの侵攻を他人事とは言えない状況にあるのは事実です。こうした中とはいえ、いや、こうした中だからこそ、感情的対立を煽り、軍事面にのみ焦点を当て、軍拡競争へ進むことが、地域の安定、ひいては日本の国益に資するとは思えません。この地域で、戦争を起こさせないため、どのような外交を進めるのか、特に中国とのどのように信頼醸成の道筋をつくるのか、総理のお考えをお聞かせください。
<原発攻撃>
ロシアの侵攻では、チェルノブイリ原発やザポリージャ原発が攻撃対象となり、原発事故を体験した我々にとって、大きな衝撃でした。
山中伸介・次期原子力規制委員長は、参議院議会運営委員会で原発への武力攻撃への対策を問われ、「武力攻撃に対する規制要求はしていない」と答えています。更田豊志委員長は16日に「武力攻撃に対して堅牢性をもつ施設という議論は計画もしていないし、事実上無理だ」と記者会見で述べました。自民党幹部は、自衛隊による原発の警備などの検討について述べられたようですが、陸上からのテロなどには対応できても、ミサイル攻撃などに対応できるとは、思えません。外国からの武力攻撃に原発は対応できますか。総理、お答えください。
今回の戦争によるエネルギーの逼迫などを踏まえ、自民党議員連盟や日本維新の会は、原発再稼働を経産大臣に要望されたとのことです。ロシアの原発への攻撃を踏まえて、日本の安全保障を考えれば、日本の取るべき道は再稼働推進とは逆の、脱原発の加速だと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。
<ロシアへの経済協力等>
私たちの反対にもかかわらず来年度予算が成立しました。反対の理由の一つは、ロシアへの経済支援が含まれていることです。中身が人道支援などと言い訳されていますが、例えば「モスクワで200名の肥満予防プログラム」が今、本当に必要な予算でしょうか。先行きが不透明などと言いますが、戦争が終結したとして、こうした支出を行える状況だとお考えでしょうか。予算の修正を拒否したいというきわめて内向きの理由でこのような予算が成立したことはきわめて残念です。予算はまさに国家の意志であり、政権の意志です。そこに「ロシアへの経済支援」が入ることは、国際社会の大きな誤解を招きかねません。こうした項目の執行停止は当然として、予算の修正に応じなかったことについて、改めて見解を伺います。
さらに遡れば、北方領土問題の解決のためとはいえ、「固有の領土」との表現を取りやめるなど原理原則まで曲げ、また経済協力を推進した挙句、成果を出せなかった安倍政権には、結果責任があります。ロシアの不当なクリミア侵攻の後も、友好姿勢を維持し、経済協力を進めた安倍政権の対ロ外交は、結果としてプーチン大統領に誤ったメッセージを送った可能性はありませんか、岸田総理のお考えをお尋ねします。
<ウクライナ避難民の受け入れ>
多くの避難民が戦火を逃れ周辺国に避難しています。我々の要望にも応えていただき、岸田総理が、避難民の日本への受け入れに対して、前向きな姿勢であることは評価しますが、実態を見れば、渡航費の支援などにしても、「検討する」と総理が答弁しているものの、検討のままでいっこうに前に進んでいません。渡航費の支援について、いつまでも結論を出すのですか、お答えください。法務大臣の訪問に合わせて、政府専用機の活用が検討されているとお聞きしていますが、まさか一回限りの渡航支援となることはありませんね。お答えください。
現地ではNGOなどが避難民の支援のために精力的に活動されています。しかし、肝心の日本国内での受け入れ体制については、官邸に連絡調整会議は設置されているものの、相変わらずの省庁間のたらいまわしになっているとの指摘があります。窓口の一本化などが必要だと考えますが、総理のご見解をお聞かせください。
また、日本に来ていただいた後のことも重要です。立憲民主党は25日に渡航費用、入国後の暮らしの確保、長期化する場合に備えた支援などについて政府に提言し、29日、ウクライナからきた皆さんに安心して社会の一員として日本で生活していただきたいという思いで、戦争等避難者という特別の在留資格を定めた議員立法を提出しました。政府は、90日の短期滞在後、特定活動という在留資格を与えるとしていますが、期間や就労の可否については入管庁の裁量となっており、法的に極めて不安定な立場となる可能性があります。特例法案では、就労可能、期間は1年で更新可、受け入れる自治体や企業に国が責任をもって財政的支援を行なうことを明記しました。本法案はウクライナ避難民に限らず普遍的なものですが、ウクライナ避難民を受け入れるにあたって、こうしたベース部分の整備も早急に行う必要があります。我が党の法案に対する総理のご見解を伺います。
多くの避難民を受け入れているウクライナ周辺国への経済支援も喫緊の課題です。すでに1億ドルプラス追加の1億ドルの支援を表明されていますが、避難民の規模から考えると、とても十分とは思えません。さらなる支援を検討すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。
<結び>
結びに、一刻も早い戦争の終結に向け、日本政府が、最大限の力を尽くすことを、強く総理に求め、私の質問を終わります。